第7回高知インターネット教育セミナー



平成15年8月29日(金)
於:高知工科大学
共催:高知県教育委員会
    高知県情報生活維新協議会
    高知工科大学




    

企業、中学・高校の先生と学生とで行うインターネット教育ソフト
〜坂本龍馬の歩みを通して、幕末から明治維新にかけての日本の歴史を学ぶ教育シュミレーションソフト〜
(有)ファーイースト・ブレインズ社  岡崎  厚詞

シンクライアントと教育支援システム「LNET」による保守及び運用コストを抑えた情報教育環境の構築
轄rmシステムズ 松浦 春選

小学校におけるコンピュータの活用
〜デジタル素材とひまわりプロジェクトと授業支援ソフト〜
野市町立佐古小学校 田村 剛啓

岐阜市立藍川東中学校での情報教育推進について
〜総合的な学習における情報機器の活用を中心に〜
宿毛市教育研究所 岡村 洋一郎

インターネットの利用と嶺北地区中高理科部会での取り組み
〜授業で使える教材の作成〜
嶺北教育研究所 秋山 義豊

教員の情報機器使用についてのアンケートから
高知県教育センター 指導主事 堅田 栄一

小規模校間における交流学習の可能性
〜テレビ会議システムを活用して〜
西土佐村立川崎小学校 福富 博紀

授業改善について〜授業評価に一方法〜
高知東高等学校 教諭  山口 元徳

学校現場における情報教育推進への支援
〜土佐市教育研究所の取り組みから〜
土佐市教育研究所 森下 裕一

複式学級におけるITの活用
越知町立野老山小学校 梅原 雅史





    企業、中学・高校の先生と学生とで行うインターネット教育ソフト
      〜坂本龍馬の歩みを通して、幕末から明治維新にかけての日本の歴史を学ぶ教育シュミレーションソフト〜
          (有)ファーイースト・ブレインズ社  岡崎  厚詞

  今から約18年前、当時東京の九段下にできたばかりのコナミ(ゲームソフト会社)の東京開発室に、私は大阪から転属になりました。この頃コナミは大阪2部に上場したばかりで、社会貢献の立場から教育ソフトの開発に乗り出したのです。コナミは従来、ゲームソフトの開発販売のみでしたから、その企画を外部の推論システム研究会(※下記参照)に託し、私はコナミ側のプログラム&企画開発の立場のリーダーの一人として参加しました。当時は、任天堂のファミリーコンピュータとMSXというパソコンがヒットし始めた頃で、まずはMSX上で推論システムを導入して見ようと言う結論となり、その上で走る教育ソフト開発に取り組みました。高等数学であるベクトル・行列・微分・積分の概念を幼稚園児や小学生にゲームを使って教えよう!と言う試みでした。単に○×式のコンピュータ教育ソフトではなく、幼いときに高等数学・物理学の概念を教え、やがて10数年たって実際その教科を習得する際に潜在的な理解の助けになるという情操教育的な企画でした。ところが、当時のパソコンのハードスペックでは、企画された内容を全てプログラミングするには限界があり(コンピュータのスピードや記憶容量など)、結果的に3年間の研究開発によって商品化することはできませんでしたが、教育ソフトに興味を持っていた私個人にとっては、衝撃的な影響が残りました。
  当時、教育ソフト分野は、数兆円産業との見出しでマスコミに騒がれ、それを当て込んだ大手ハードメーカーがこぞって参加し、さらに国策としての後押しもあり、多くのハードウェアが学校に配られました。しかし、導入されたコンピュータの大半は授業で利用されることもなく、一部のマニアックな先生の研究テーマに留まり、そのまま数年が流れ、その頃には全国に配ったコンピュータのハードスペックも古くなり、益々誰にも利用されなくなってしまいました。そしてついには当時の視聴覚室のお荷物的な存在になってしまったのです。(当時の佐川町斗賀野小学校教頭先生の話)先生方にとっても、コンピュータがいきなり導入され、さらには参考にするソフトウェアが少なかった現状を思えば、教育現場で実践し利用できるものではなく、真剣に取り組む時間も無かっただろうと推測します。
  以上は、当時私がコナミの研究開発室で大学の教授と文部省、中学高等学校の実態を調査しながら教育ソフトを開発していた時代です。
※推論システム研究会
  当時、東京大学、京都大学、東京女子医科大学の教授数名と大学院の学生、研究者たちが集まり編成されていました。研究内容は、当時大型コンピュータでしか行えない人工知能的な推論処理を、ごく普通のパーソナルコンピュータでどこまで人工知能に近い推論システムを構築できるのか、を研究していたグループだったと記憶しています。それを実際の教育ソフトに応用し、子供たちが問題を間違った時のフィードバックを推論システムで支援するための研究を、我々コナミの研究者と協力して開発していました。当時は、東京女子医科大学の青木教授(物理学教授:東京大学大学院出身、当時推論システム研究会の会長)を中心に、東京大学の研究員とその卒業生、コナミの研究開発者により実作業を行っていました。  






    シンクライアントと教育支援システム「LNET」による保守及び運用コストを抑えた情報教育環境の構築
          轄rmシステムズ 松浦 春選

  高知学芸高校様より今年度の「情報」の授業実施にあたって保守及び運用コストを抑えたシンクライアントと教育支援システム「LNET」を組み合わせた授業環境の提案を行い、納品させていただきました。本システムのご紹介をさせていただきます。





    小学校におけるコンピュータの活用
       デジタル素材とひまわりプロジェクトと授業支援ソフト〜
          野市町立佐古小学校 田村 剛啓

  平成14年度学習指導要領ではこれまでの授業時数が必ずしも35の倍数でなく、授業時間数の減もあり、より充実した授業計画の整備が必要である。そこで年間を通した授業計画の作成を支援する授業時間集計ソフトを開発し、適用事例を報告する。CECでは、教育的活動に共同利用できる17,000点のデジタル素材を準備した。それを整理し、イントラネット上で活用できる環境を整備した。全国発芽マップのひまわりプロジェクトと大根プロジェクトの取り組みを報告する。
キーワード:デジタルコンテンツ、教育情報、共同利用、授業計画、教材開発、発芽マップ





    岐阜市立藍川東中学校での情報教育推進について
       〜総合的な学習における情報機器の活用を中心に〜
          宿毛市教育研究所 岡村 洋一郎

  県外交流事業で平成12年度〜平成14年度の間の3年間、岐阜県の岐阜市立藍川東中学校に勤務した。この間に取り組んだ情報教育を推進について岐阜市の情報環境の紹介を交えながらまとめた。また、情報教育を推進する中で、特に力を入れて取り組んだ総合的な学習において情報機器を活用することで、つけることのできる力を検証してみた。





    インターネットの利用と嶺北地区中高理科部会での取り組み
       〜授業で使える教材の作成〜
          嶺北教育研究所 秋山 義豊

  インターネットの利用:中学校にも光ファイバーなどの高速大容量のネットワークも導入され手軽にインターネットが利用できる環境が整ってきた。インターネットは、様々なデータや役に立つソフトなどの宝庫である。これを利用しない手はない。
嶺北地域中高理科部会の取り組み:嶺北地域では、各教員の指導力の向上をめざし嶺北中高教科部会で活動をしている。理科部会では、身の回りの自然の教材化に取り組んできた。





    教員の情報機器使用についてのアンケートから
          高知県教育センター 指導主事 堅田 栄一

  平成15年7月に公表された「学校における情報教育の実態等に関する調査結果(文部科学省)」によると、都道府県別の「教員のコンピュータ活用の実態」では、高知県にとって次のような大変ショッキングな結果が示された。


 全国平均   高知県    順 位
 コンピュータを使用できる教員   87.6% 81.8%   47/47 
 コンピュータで指導できる教員  52.8% 40.6%   47/47 



  本県では、教育施策として情報教育に力を入れるとともに、Blue Bird 等を中心に多くの先生方が先進的な取り組みを展開しているだけに、全国的な比較の上での最下位には衝撃を受けざるを得ない。
  しかしながら、コンピュータを使用・指導できるという問い掛けは、コンピュータの持つ多機能性からはあまりにも漠然としており、また、その程度に関する基準も不明瞭である。そこで、より詳細な調査を行うことにより、本県における情報教育の現状を探ることにした。





    規模校間における交流学習の可能性
       〜テレビ会議システムを活用して〜

          西土佐村立川崎小学校 福富 博紀

  ここ数年における情報通信環境の発達は、例えばメールの交換など離れた場所にあってのコミュニケーションの選択肢を広げ、私たちの生活に大きな変化をもたらした。そして最近ではリアルタイムにお互いの様子を見ながら会話ができるTV電話もごく身近なものとなっている。そういった変化を踏まえた上で、これからの学校間における交流学習にはどのような期待が持てるかを、実際の取り組みを紹介しながら考えてみたい。





    授業改善について〜授業評価に一方法〜
          高知東高等学校 教諭  山口 元徳

  1から5までのカードを作り、生徒一人一人にもたすようにする。授業の節目ごとまたは授業後に挙げてもらい、授業改善を行った。





    学校現場における情報教育推進への支援
       〜土佐市教育研究所の取り組みから〜
          土佐市教育研究所 森下 裕一

  土佐市教育研究所では、Create・Coordinate・Support を合い言葉に、様々な教育研究や業務を行っている。特に情報教育に関して、今後学校現場においてコンピュータや情報通信ネットワークの活用が積極的に推進されることを考えると、本研究所の果たすべき学校現場や子どもたちへのサポートの役割は大きい。ここでは、昨年度から取り組んできた情報教育推進に向けての学校現場や教職員へのサポートの概要を報告する。





    複式学級におけるITの活用
          越知町立野老山小学校 梅原 雅史

  本校は、中山間に位置する全校児童9名の極小規模複式の小学校である。極小規模複式の問題解決のために、ITを活用しようと取り組みを始めた。なかでも、学習指導については複式の問題点をコンピュータやLANを用いて解決または緩和できると考え、いろいろな条件整備から一つ一つ進めた。ハードの問題、ソフトの問題に取り組む中で、デジタル・デバイドの問題や著作権の問題など教育の情報化を進める上で避けて通れない課題の解決も必要だ。本校の取り組みが少しでも参考になれば幸いである。