In SITE 2002

教育と情報技術


   情報化と教育に関する国際シンポジウム

   期間:平成14年度1月12日〜14日

   場所:高知工科大学



  掲載した内容は、全て InSITE2002 教育と情報技術-情報化と教育に関する国際シンポジウム論文集-(高知工科大学出版会)より一部引用しました。

まえがき  
西本 敏彦

高知県における情報化と教育について
高知県知事  橋本 大二郎

情報と通信技術を活用した教育改革
メディア教育開発センター 坂元 昴

MITのOpen Course Ware
Massachusetts Institute of Technology (USA) Shigeru Miyagawa

マルチメディア・インターネットを利用した環境学
高知県教育センター 中越 敏博  
高知県教育センター 木村 卓生  
高知県教育センター 細木 建男 

盲学校におけるコンピュータ活用の現状と可能性
高知県盲学校 濱口 誠一

21世紀を迎え学生に科学を教えるということ
University of Sheffield (England) Colin White

図形学習へのコンピュータの活用  -基礎学力の向上を目指して-
高知県教育センター 久保田 功

中学高校から大学まで連携した数学の効果的な学習と教育
Lund University (Sweden) Gerd Brendell

ギャップを埋めること
高知市教育委員会  Aarons Shawn

高知工科大学の景観デザイン教育
高知工科大学 重山 陽一郎

大学のIT教育 : 十年間の歩み
Michigan State University (USA)  Michael Thoennessen  
Michigan State University (USA)  Ed Kashy  
Michigan State University (USA)  Guy Albertelli  
Michigan State University (USA)  Deborah A. Kashy

日本の教育と学力問題
国立大学財務センター  天野 郁夫

教育機関における情報管理責任者の課題
Thammasat University (Thailand)  Svasti, Pongsvas

語学教育を向上させる情報技術
前橋工業大学 原島 秀人

RoboCupを利用した問題設計解決型学習 -創造シートとその効果の事例研究-
高知工科大学 Ruck Thawonmas

個性化・多様化時代の教育を考える
福井工業大学 応用理化学科 畑田 耕一

高知県マルチメディア・モデル研修展開事業について
松下電器産業株式会社 後藤 健二

教育のためのドキュメント・デザインの機能
高知工科大学 Lawrie Hunter

視覚的情報と基礎学力の向上
高知県立須崎高校 大崎 政重

ネットワークインタラクティブ講義ノート
インターネットをクリック辞書として利用したWeb予習・復習ノート
高知工科大学 野中 弘二

学生と雇用者の期待 工学教育プログラムの認定モデル
University of Technology (Poland)  Jerzy Swiatek

DNA:生命現象(いのち)のプログラム
中内 光昭

学生の学習能力を改善するための原則と技術
University of Nebraskas-Lincoln (UAS)  Delwyn L.. Harnisch

シンガポールの高等教育における情報・通信技術の利用
National Institute of Education (Singapore)  Horn-Mun Cheah

アメリカと日本の小学6年による異文化理解のためのコラボレーションの実践
コミュニケーションを支援するツールとしてのマルチメディアの活用
高知県教育センター 田村 剛啓
武庫川女子大学 中野 彰

数学授業における問題解決の重要性 -思考・実践・解決-
東海大学 渡辺 信

基礎学力向上のための取り組み (1999年から今年度)
村市立東中筋中学校 松田 佳子

「アクション・リサーチ」いかにレッスンを向上させるか
高知県立須崎工業高校 千谷 志保

学生ベンチャー「高知ナビ」の創業を通じた実践教育
高知工科大学 畠中 兼司
高知工科大学 高村 禎二
高知工科大学学生 兼 轄rmナビ 松原 英樹
高知工科大学学生 兼 轄rmナビ 森澤 満
高知工科大学学生 兼 轄rmナビ 奈良 祐介
潟Rンピュータ・イメージ研究所 石丸 智香
潟Rンピュータ・イメージ研究所 井上 雄介

高知工科大学におけるインターネット3D-CAD設計教育
高知工科大学 坂本 東男 
高知工科大学 汀 祥子
高知工科大学 吉岡 秀高



    まえがき  
          西本 敏彦

  本書は平成14年1月12日から14日までの3日間にわたり高知工科大学において開催された「InSITE 2002: 情報化と教育に関する国際シンポジウム」の論文集である。国際シンポジウムInSITE2002は高知工科大学がプロジェクト研究、通称BLUE BIRD: 「小中高校大学連携情報化教育の実践的研究」の活動の一つとして毎月1月に実施してきた「高知インターネット教育セミナー」の5回目の記念行事として計画されたものである。
  現在のように、生徒・学生の学習意欲や基礎学力の低下、理科離れなど様々な問題が指摘されている教育環境の中で、日進月歩の情報技術を如何に効率よく望ましい方向に活用するかを考察することは教育に携わる我々にとって極めて大切なことである。
  そこで本シンポジウムの目的は、
    (1)学校教育における基礎学力を定着・向上させる教育方法
    (2)情報技術を活用した教科教育の実践例、 そして
    (3)各国、或いは地域における教育と情報化に対する取り組み
 についての講演と討論会を行うことであった。
  国内、国外14項目の招待講演を含む30項目の講演は貴重な研究論文や教育の実践例等の報告であり、これをもとに活発な意見の交換が行われた。この論文集を編集するにあたり御協力戴いた講演者各位にたいし心から感謝申し上げるとともに、本書が今後の教育の情報化を有効に推進するための適切な指針を与えてくれることを期待したい。
  最後に、この論文集を書籍として出版することを薦めて戴いた末松安晴高知工科大学前学長にたいし、又本書を高知工科大学出版会設立記念号として出版することを許可された岡村甫高知工科大学長にたいして深く感謝申し上げたい。





    高知県における情報化と教育について
          高知県知事  橋本 大二郎

  本日は、InSITE2002(情報化と教育に関する国際シンポジウム)にご参加をいただきまして、誠にありがとうございます。
  また、遠くヨーロッパやアメリカ、アジア各国から、また、国内各地からお忙しい中をおこしいただき、ご講演をいただく皆様方に心から感謝を申し上げます。
  本日のシンポジウムは、情報化と教育ということでございますので、まず、本県の情報化につきまして、簡単にご紹介をしたいと思います。我が高知県は、全国でも最も早く情報化に取り組んだ県のひとつでございまして、1997年から「情報生活維新」というスローガンを掲げまして、情報化を活用してライフサイクルを変えていこう、あるいは行政と住民との新しい関係を作り出そうといった取り組みをしてまいりました。
  この中でまず取り組んだのが、情報スーパーハイウェイの構築でございます。これは、県の東西を結ぶ当時としては高速の50メガビットの基幹回線とそれにつながる支線網をNTTに協力いただいて整備し、公共機関はもちろん、意欲のある企業や団体も利用できるようにいたしました。
  そしてこうした基盤のうえに立って、教育の情報化をはじめ総合防災システムやいわゆる電子自治体への取り組み、あるいはITを産業振興に活かすことを目指した取り組みなどを行ってまいりました。最近では、情報スーパーハイウェイも利用者の増加に伴い回線が混雑してきましたので、来年度以降、ギガビットクラスの新しい情報ハイウェイに切り替え、教育関係でいえば県内全ての公立学校から少なくとも10メガビット程度でアクセスできるようなネットワークにしたいと考えております。
  一方、教育それも情報教育への取り組みですが、一昨年には全国で最初に県内の全ての公立学校がインターネットに接続しましたし、昨年3月末現在の文部科学省の調査によりますと教育用のコンピュータや校内LANの整備率が都道府県別で全国1位になるなど、情報教育に関するハード面での整備はかなり進みました。
  また、こうした環境を活かして、県内3分の1以上の学校がホームページを開設し、インターネットを使った学習や国内外の学校との交流なども盛んに行われるようになってまいりました。
  本日のシンポジウムの会場でありますこの高知工科大学にも、県内の公立学校の教員と共同で、数学や英語、理科などの教科を情報化によってより分かりやすく学べるようにしようという研究(ブルーバードプロジェクト)や、学生が中心となりボランティアで県内の小学校にLANや中古パソコンを整備するドリームネットデーなどに取り組んでいただくなど、大変ご協力をいただいております。
  ただ、本県の教育の情報化への取り組みを現時点で私なりに評価しますと、まだ第一歩を踏み出した段階かなというのが正直な気持ちです。といいますのも、1年以上も前になりますが、日本教育工学協会の全国大会が本県で開催されまして、講演する機会がありました。そのとき、情報化と学びということに関して、「情報化を学ぶ」「情報化で学ぶ」「情報化から学ぶ」という3つの区分けがあるのではないかというお話をさせていただきました。もう少しつっこんで申しますと、「情報化を学ぶ」というのはコンピュータの操作など情報技術そのものを学ぶということ。「情報化で学ぶ」は、数学や英語、理科などの教科をより便利に、しかも分かりやすく学習するための手段としてITを活用するということ。最後の「情報化から学ぶ」は、情報化というのは距離の壁を無くしたり膨大なデータを一瞬に整理したり、その他にもこれまではとてもできなかったことを可能にする力を持っていますので、こうした可能性を活かして新しいライフスタイルや仕事のやり方などを考え出す力をつけるということというふうに捉えております。
  こうしたポイントで見ますと我が国における教育の情報化は、これまでどちらかというとこの中の「情報化を学ぶ」に留まっているのではないか、また、本県も同様の状況ではないかという意味で、まだまだこれからの段階かなと考えている訳です。
  このため、本年度から県の教育委員会の中に情報教推進課という新しい課を設けまして、ただ今申しました3つのポイントを総合的に推進してもらうことにしました。
  現在の具体的な取り組みを少しご紹介しますと、まず、ソフトのインフラを整備するという視点から、ワープロや表計算、イラストの作成など基本的なアプリケーションソフトを開発し、全ての学校に無料で配布するといったことを行っています。もちろん一からの開発ということではなく広く利用されているソフトと互換性のあるスタンダード版のソフトを教育用にカスタマイズするという意味での開発です。なぜこんなことをやっているのかと申しますと、例えば、教材コンテンツについて現場の先生が自ら開発し、それをさらに別の先生がいいものに改良していってもらえるような仕組みづくりを考えていますが、その際、お互いが使っているソフトが違うことが原因でそれができないということが起こります。また、これからどんどん作成されるであろう教材コンテンツを授業で利用しようとしても、現状のままですと多くの小中学校ではパソコンはあっても利用するアプリケーションソフトがないために利用できないという事態も発生いたします。
  こうした問題を解決するためには、ネットワークや機器の整備と同列でソフトのインフラが必要だと考えている訳です。
  また、「情報化で学ぶ」ことを学校現場で進めるためには、コンピュータに詳しい先生よりも、コンピュータは苦手でも教科指導で力のある先生方に率先して情報教育に取り組んでもらうことが重要と考えておりまして、来年度予算にもこうしたことへの対応を盛り込んでおります。
  こうした取り組みを積み重ねながら、最終的には「情報化から学ぶ」ことのできる多くの子どもたちを育てたいという希望を持っています。
  今回のシンポジウムには、企画していただいた皆様のご努力により、「教育と情報化」というテーマに関して、これ以上ない講演者の方々を招いていただきました。また、地元高知県からも、教育の現場に根ざした様々な実践の報告などが行われることになっております。内容的にもバラエティーに富んだものとなっておりますので、様々な視点から高知県のこれからの情報教育の在り方を考えるうえで大変役立つ議論が聞けるものと思いますし、参加された皆様にとっても意義深いシンポジウムになるものとご期待申し上げます。





    情報と通信技術を活用した教育改革
          メディア教育開発センター 坂元 昴

  この論文は小中学校で使われている情報・通信技術の現状を概観し、初期の「100枚プロジェクト」、「新100枚プロジェクト」、Eスクエア・プロジェクト、「KONETプラン」、「スクール・インターネットT、U、Vプロジェクト」、その他の具体的なプロジェクトについて説明している。
  また、主要教育方針について、基本概念、総合的な学習の時間、情報教育、情報通信技術を活用した教育改革、e-Japan戦略、e-Japan重点計画、教師の研修を含み、その概要を説明する。
  最後に、将来の課題に関し、カリキュラムにおけるICTの役割、子どもの主体的な学習の促進、インターネットでの教材の準備、教師の教育、サポート体制、経験的調査の促進と普及などについて考察する。





    MITのOpen Course Ware
          Massachusetts Institute of Technology (USA) Shigeru Miyagawa

2001年4月、米国マサチューセッツ州、ケンブリッジのマサチューセッツ工科大学(MIT)学長、チャールス・M・ヴェスト(Charles M. Vest)は、Open Course Wareと呼ばれる、大胆な構想を発表した。このプレゼンテーションでは、この構想について説明する。その説明にはMIT OCW組織委員会が2001年8月に作成した資料から縦横に引用する。つぎに、私が2001年秋学期に行った「メディア、教育、市場」と名付けた「OCWのような」コースでの実験について説明する。





    マルチメディア・インターネットを利用した環境学習
          高知県教育センター 中越 敏博  
          高知県教育センター 木村 卓生  
          高知県教育センター 細木 建男 

  平成12年度から、高知県教育センターは、高知県立高知南高等学校と共同で、新教育課程における理科、及び、「総合的な学習の時間」に対応した授業の在り方や指導方法について研究を行っている。12年度は、国際教養科3年生(3年12ホーム)38名の化学TAの授業で、環境をテーマとして3回の研究授業を行った。





    盲学校におけるコンピュータ活用の現状と可能性
          高知県盲学校 濱口 誠一

  本校では情報教育の新しい展開に対応するため各種の設備・人的配置を求めてきたところ、いくつかの事業をおこなうことができるようになった。
  今回は、その概要を紹介する。さらに、昨年に引き続き視覚障害と情報教育という観点からその課題と対策、そして将来についても述べることにする。





    21世紀を迎え学生に科学を教えるということ
          University of Sheffield (England) Colin White

  科学に対する魅力が若い人たちに失せつつあるということは特に日本特有の問題ではない。西側世界のほとんどの国が同じような問題を経験しており、その理由についても広く議論されてきた。
  この科学凋落傾向に歯止めをかけるには、世界中の科学教師が21世紀の技術を活用し、学生の科学への興味を掴み上げ、育んでいかなければならない。このレクチャーでは、生徒に刺激を与え、かつ教育することを可能にする、インターネットを通じて科学の教師が利用できる様々な教材を紹介する。さらに、文科系の教師と違い、科学を教える教師には学生に興味を喚起させる有効な武器がある。実験を通した発見の魅力である。このレクチャーでは、21世紀という時代に、学生に科学の魅力を伝えるために実験と実証をどのように利用できるかということについても紹介する。





    図形学習へのコンピュータの活用  -基礎学力の向上を目指して-
          高知県教育センター 久保田 功

  新学習指導要領の指導計画の作成と内容の取り扱いにおいて、「各領域の指導に当たっては、必要に応じ、そろばん、電卓、コンピュータや情報通信ネットワークなどを活用し、学習の効果を高めるように配慮するものとする。・・・」と述べられている。コンピュータや情報通信ネットワークを活用する基本は、教科数学の内容理解を一層深め、それらを生徒の将来に生きる力とするためのものであり、教師の趣味やそのデモに陥ることがないように配慮する必要がある。考えられる教育効果としては、一般的に言えば、次のようなことが挙げられよう。
@興味・関心を高め、理解を助ける
A思考力や判断力、想像力、表現力を培う
B基礎・基本の定着と主体的な学習方法の習得
C交流・共同学習など創意工夫を活かした活動
  図形の指導では、生徒の図形に対する興味・関心を高め、証明の必要性と意義を十分に理解させるとともに、思考の過程を表現する能力を高めていくことが大切である。しかし実際の指導では、その中心が論証指導に偏りがちで、多くの生徒が苦手意識を持っている。
  教科書などで取り扱う証明の課題は、過程と結論が明記されており、自ら進んで証明に取り組もうとする気持ちを半減させてしまう。そこで、課題に結論を明記せず、生徒たちが決められた条件の中から結論を見つけるような課題を設定して取り組ませることにした。しかし、図形がプリントに印刷され、固定されていたのでは仮定と結論の区別や、予想や検証が難しいので、それを解決するためにコンピュータの利用を考えた。
  コンピュータを利用した図形指導の利点としては、生徒が予想した事柄について画面を通して検証したり、条件にあてはまる図形を連続的に画面に表示することによって生徒が円滑に思考するための支援ができる。また、図形上の点を自由に動かす中で、あるきまりを発見させ、それが成り立つ条件を考えさせて仮定から結論に至る証明を行わせられる。生徒のイメージを簡単に画面に表示させ、図形の特徴を見つけやすくするなかで証明を行わせることができることである。
  そこで作図ツールなどを活用して、図形の性質を生徒が自らの力で「調べ、見つけ、解決する」活動を中心にして授業を組み立てると、図形の学習がもつおもしろさをより一層味わうことができるだろう。また、このような授業を計画的・継続的に実践することで、生徒の図形に対する興味・関心を高めたり、証明の必要性や意義を理解させたりすることができると考える。そして、図形学習における基礎学力の向上に役立つのではないだろうか。
  





    中学高校から大学まで連携した数学の効果的な学習と教育
          Lund University (Sweden) Gerd Brendell

  大学入学生の数学の学力不足は、多くの国でますます深刻な問題となっている。この問題は、教育システムからは独立した問題だと思われる。ある特定の学科の学生だけでなく、理工系の学生、数学教師を目指す学生など、大学教育で数学を履修する全ての学生に関わっており、これは他の国々の幾つかの調査でも報告されている。
  中等教育から高等教育レベルへの移行が問題として提起されたスウェーデンの状況に焦点を当て以下の概要に沿って話を進める。
(1)大学入学前の学生の数学的弱点
(2)中等教育と高等教育間の格差とその特徴
(3)大学入学時に要求される数学の能力
(4)数学学習成功レベルを示す理論上の二つのモデルの紹介
(5)数学の重要な分野、代数と三角法における大学での学習を開始したばかりの学生の能力と、大学側が期待する能力の食い違い
(6)最後に状況改善のため既に取られている対策や提案





    ギャップを埋めること
          高知市教育委員会  Aarons Shawn

  学ぶことは楽しくなくてはならない!生徒はコンピューターの使用を楽しむのだから、私たちが外国語を学ぶためにそれを使うとしたら、生徒は授業がもっと楽しいものであると気づくに違いないということになる。普通高校の生徒だけがコンピューターの使用を必要とし、英会話能力を持っていると考えているように見える生徒もいる。しかし、もし生徒が情報技術(IT)のより効果的な使用方法を教えてもらったとしたら、彼らは考え方や話し方においてもっと創造的になるだろうというのが私の意見である。
  今日の教室では、教えるということは伝統的な「チョークとトーク(話)」に限定されることはない。ギャップを埋めるために、学校は学習を最大化するために有効な手段を使用することを必要とする。ITを使うことで生徒は日常のコミュニケーションにもっと自信を持ち、他の者を勇気付けようとしている。私の学校(高知商業高等学校)で現在行われているプログラムは、インターネットを通して、異文化を詳しく調べるために生徒の手助けをすることを目的としている。





    高知工科大学の景観デザイン教育
          高知工科大学 重山 陽一郎

  この稿は、高知工科大学工学部社会システム工学科における景観デザイン教育と、その情報化について紹介するものである。筆者は高知工科大学が1997年に開学してから大学の教員となったが、それ以前には民間の設計事務所で景観デザインの実務を行っていた。そのため、デザインの専門家ではあるが、教育の専門家ではない。
  大学で景観デザインを教えることになって、自分なりの考えで教育を組み立ててきた。
  景観デザイン教育の教材を用意するにあたっては、当初から情報技術を活用する方針だった。それが高知工科大学の方針であったし、個人的にも興味があったのである。現在は1期生が修士1年となり、カリキュラムがほぼ一回りしたところで、今までの教育を振り返り、反省と修正を試みているところである。
  この稿では、今まで行ってきた教育と情報化を紹介するとともに、それらの失敗と試行錯誤について報告を行う。





    大学のIT教育 : 十年間の歩み
          Michigan State University (USA)  Michael Thoennessen  
          Michigan State University (USA)  Ed Kashy  
          Michigan State University (USA)  Guy Albertelli  
          Michigan State University (USA)  Deborah A. Kashy

  私達は、学生数が多いコースにおけるこれまでの教育を補足し、高めるために、十年の間、宿題、小テスト、試験に、コンピューター支援の個人別取り組み(Computer-Assisted Personalized Approach)すなわちCAPAというソフトを使っている。このソフトで、学生の管理が可能になり、また学生同士や学生と教師との交流が可能になっている。その技術の使用により、学生の成績や理解が向上している。その技術に合った問題の作成や、概念に関する諸問題が、きわめて重要である。





    日本の教育と学力問題
          国立学校財務センター  天野 郁夫

  学力問題はいま、日本の教育が直面している最大の問題の一つである。この問題を最初に深刻に受け止め、提起したのは大学の教員、とりわけ理数系の教員である。彼らは入学してくる学生の、数学や自然科学の学力の著しい変化に衝撃をうけ、高等学校以下の学校での教育の現状に、強い関心を持つようになった。その結果、彼らが「発見」したのは、初等・中等教育のカリキュラムの大幅な変更、すなわち教育時間数と教育内容の削減、特定の教科と関係のない「総合学習」の時間の導入、科目の選択制の強化といった、「教育の自由化・個性化・多様化」をキー・ワードとする、一連の改革の進展であった。こうした変化は、1980年代の末からの本格化した、教育改革の大きな波の一部として推し進められてきたものである。その「成果」が、学力の点でこれまでとは異なる大学入学者の出現と増加という形で、大学教員によって認識されるようになったのである。
  国際的な先端科学技術競争が激化し、理数系のより高度の基礎学力が期待されるなかでの、こうした学力の変質と低下は、大学教員にとって大きな衝撃であっただけでない。経済の低迷が続くなかで、彼らが表明した危機感は、大学や学校の世界にとどまらず、政治的・社会的にも大きな反響をよぶことになった。それは、学力の変質と低下が理数系の教科にとどまらない、子供の学力の全体に関わる、しかも日本の教育の構造的な変化に根ざした、根本的な問題であるという認識が、人々の間に一般化しつつあったためである。
  その学力問題が、日本に限らずすべての産業社会、とりわけ高度産業社会が直面している共通の問題でもあることは、多くの国の政府が、学力の向上に重点を置いた教育改革を、最重要の政策課題の一つに掲げていることからも知られる。現代は19世紀に出現し20世紀に花開き、成熟した産業社会型の学校教育システムの総体が問い直されている時代である。学力問題は、産業社会型から脱産業社会型(あるいは情報社会型)の学校教育システムへの転換のなかで登場してきた、高度産業社会に共通の教育問題だといってよい。
  欧米諸国に遅れて近代化・産業化を開始した日本は、一世紀余の間に高度産業社会の仲間入りを果たし、世界第2の経済大国へと成長を遂げてきた。日本が作りあげてきた学校教育システムは、その急速な成長の結果であるとともに、それを可能にしてきた主要な要因の一つでもある。このことは、学力問題に象徴される学校教育の転換の問題が、高度産業社会自体の転換のそれと、不可分の関係にあることを示唆している。今なぜ、学力問題なのかを手がかりに、日本の、さらには高度産業社会の学校教育が直面している、構造的な変革の問題を考えてみたい。





    教育機関における情報管理責任者の課題
          Thammasat University (Thailand)  Svasti, Pongsvas

  インターネット・テクノロジーが含意することは教育のあらゆるレベルに対して本質的なインパクトを持つ。学校、単科大学、総合大学の管理者はこのめまぐるしく変化する技術のなかで同様の課題に直面する。情報管理責任者(Chief Information Officer:CIO)と呼ばれる、情報管理者の従来の役割は大きく広がっている。組織の情報システムの管理に加え、CIOは将来を見据えた戦略家であることが求められる。
  CIOは日和見主義者である。大学だけでなく一般社会をも対象に、よく構成された情報を届けるために、キャンパス全体を対象とする学習システムからデータを深く、広く求め、電子サービスを提供するキャンパスの効率性を高める技術を意欲的に取り入れる能力が必要である。新しい情報ハイウェイの出現により、CIOは安定し、かつ拡張可能なネットワークを計画できる能力を示さなければならない。さらに、システムの監視、評価の方法も必要である。
  それに加え、CIOは新たな市場セグメントを識別し、教育サービスを世界的な規模で様々な分野に拡大していく能力も求められる。
  インターネット・テクノロジーを教育、学習、研究、学校運営を向上させ、サポートする中核戦略とするために、CIOはあらゆる努力を払い、この新たな情報社会に対応しうる、組織のITプランと方針を注意深く作成しなければならない。





    語学教育を向上させる情報技術
          前橋工業大学 原島 秀人

  インターネット時代となって、情報技術は研究から教室での応用まで、言語教育のあらゆる側面に影響を与えている。世界中の研究者がコンピュータを利用し質的・量的な調査プロジェクトを数多く行ってきた。教師は様々なメーリングリストを通じて貴重な知識を得、情報を交換しており、学生は語学学習ソフトウェアを使用する新たな喜びを見いだした。
  技術と語学学習との相互関係の歴史におけるその他の進展では、WebCT(ウェブ・コース・ツール)やCMC(コンピュータを介在させたコミュニケーション)、またその他のオンライン情報検索活動が、それまで長い間というもの市販ソフトウェアパッケージに依存し、制約されていたコンピュータ支援の語学学習に新たな光をあてた。最初の二つ、WebCTとCMCはより高度な教育の場において関連性が高いだろうが、最後のオンライン情報検索活動は中等教育における学習活動だけでなく、教師の開発においても十分に活用できるものである。よって、この論文では、著者は効果的なインターネット情報検索をそのテーマの中心とする。
  日本において外国語を教える教師のそのほとんどは日本語を母国語とする者たちである。これらの教師は、言語教育対象の国の文化、政治、用語、文学、ニュースなどに関して最新の情報に遅れまいと、日々、努力している。インターネットはこういった教師にとって多様な情報を得るための強力なツールとなりうる。また学生にとっても、「検索し、話す」または「検索し、書く」活動を通じて、オンライン情報を検索するためにインターネットを活用することができれば有益である。
  そのため、語学教育者は、そのような検索活動を生徒に紹介するまえに、インターネット情報検索の基本的なスキルを身につけておく必要がある。教師と学生の両方にとって、授業と学習を向上させるのに役に立つオンライン情報を効果的に検索するにはどのようにすればよいかを、つぎに述べる。





    RoboCupを利用した問題設計解決型学習 -創造シートとその効果の事例研究-
          高知工科大学 Ruck Thawonmas

  産業界において創造性をもつ人材が益々必要とされている。そのために、学生の創造性を涵養する教育法として、問題設計解決型学習(Problem Based Learning、以後PBLと略する)が注目を浴びつつある。PBLでは、与えられた課題を解いて行く課程で学生同士が協力し合いながら、自ら知識を身に付けていく。教員から情報が伝達される従来の教育法と異なって、PBLは教員の援助を受けつつグループ議論を通じてグループによる情報処理を促進するものである。従って、学習過程において学生が重大な責任をもつ。それに対して、教員の役割は情報資源案内や相談相手となる。PBLの成功は選定された課題と用意された教材に左右される。
  高知工科大学情報システム工学科では1999年度よりPBLに基づいた科目の課題としてRoboCupを効果的に使用している。RoboCupは人工知能と知能ロボットの研究を促進するための国際的なプロジェクトである。いろいろな技術を検証したり統合したりするために、サッカーを題材にしたテストベッドが提供されている。このプロジェクトのグランドチャレンジとして、2050年までに完全自律ヒューマンノイド型ロボットのチームが人間のワールドカップ優勝チームに勝利することが掲げられている。それまでの研究成果が災害救助ロボットや知的交通システムなどの幅広い分野へ応用されていく。この挑戦的かつ刺激的な精神から、RoboCupはPBLの課題の相応しい候補として考えられる。
  本学科でのRoboCupの授業では、学生に筆者とスタッフが開発したサンプルロボットを提供し、サンプルロボットを基にいくつかのソフトウェアロボットを作成してもらう。提供したサンプルロボットは高い利用性と拡張性をもつため、学生が創造性を駆使してプレイヤとチーム戦略の設計や人工知能技術の応用をし易くする。さらに、研究メモからヒントを受けた筆者は、学生の創造性を促進するために創造シートと呼ばれる教材とその利用方法を提案している。創造シートによって学生の思考過程の制約が削除される。これは相原氏の創造的思考のモデルによると、創造的な思考を生み出すことができることを意味する。授業の終盤では学生チーム同士の大会が行われる。講演では、授業の構成、創造シートの効果、学生アンケート、および結論を詳細に述べる。





    個性化・多様化時代の教育を考える
          福井工業大学 応用理化学科 畑田 耕一

  大学への進学率の増加にともなって、大学は一般化してきている。そのため、個性を無視した教育を行うことは出来なくなってきた。多様な学生がいる環境では、学生はお互いの議論を通じて、自分自身の考えだけでなく、様々な知的背景、考え方、習慣を他の学生から学び取ることができる。大学は様々な個性のぶつかり合い(面と向ってのコミュニケーション)によって創出されるエネルギーを最大限に利用する教育を目指すべきで、それにより卒業生が個性と創造性に満ちた社会を構成することができる。一方、科学と技術の進展、その人間社会への浸透が若い世代の「科学離れ」という深刻な問題を引き起こしている。現代の若者は、生まれた時からたくさんのハイテク製品が身の回りに溢れているため、科学や技術にはほとんど注意を払おうとしない。われわれの大部分が空気の有り難さを忘れているのと同じである。科学教育ではこの科学への興味の喪失が大きな問題である。教授や教師は「科学・技術とは何か」、「それらの人間社会とのかかわり合いは?」、あるいは、「科学者、技術者としての倫理観、職業観は?」といった問題について、学生に考える機会をつくってやらなければならない。本稿では、筆者とその同僚が行っている「科学離れ」の問題を解決するためのいくつかの試みを紹介する。





    高知県マルチメディア・モデル研修展開事業について
          松下電器産業株式会社 後藤 健二

  高知県情報スーパーハイウェイ(幹線系50M)と衛星を接続し、非対称通信(下り衛星通信、上り地上回線通信)のシームレスネットワーク環境を創出し、県民の生涯学習活動に対する積極的な参加支援を可能としたシステムを構築、ネットワークを活用した情報リテラシーの向上および県民間交流の活性化を図ると同時に高知県情報生活維新 「KOCHI 2001 PLAN」で進めている、DREAM NET(教育の情報化)プロジェクトの面的な拡大を進める事を主目的として以下の4つのシステムを構築した。
(1)非対称通信ネットワーク・システム
(2)映像コラボレーション・システム
(3)個人適応型情報提供支援システム
(4)マルチメディア教材配信システム
   本システムを利用した実験結果について報告する予定である。





    教育のためのドキュメント・デザインの技能
          高知工科大学 Lawrie Hunter

  パソコンとインターネット機能の発達は近年、急速である。今日、コンピュータは映像や音声の処理マシーンとなっており、テキストやグラフィックタイプの教材や資料を作成するコンピュータの能力が忘れられがちである。
  教室がネットワークシステムで接続されたこの時代においても、ほとんどの教師はコンピュータ・ラボやコンピュータが備わった教室を思う存分、自由には利用できない。たぶん、その時代はもうすぐやって来るだろうとは思うが、現状では、いまだに教師にはバイリンガルなワードプロセッサ、表計算,ページ編集,プレゼンテーションの基本ソフトウェアを使用する能力が極めて重要である。また、教師は検索エンジンを使用し、インターネットから画像や音声ファイルをダウンロードすることもできなければならない。
  教科書やワークブックがクラスによっては完全には合わないことがある。また、学生にさらに学習させたり知識を深めさせるために、補助教材を必要とすることがよくある。上で述べた基本的なコンピュータを扱う技術があれば、教師は教室での授業に使える極めて効果的な教材を簡単に、素早く取り入れたり、拡張したり、開発したりすることができるようになる。教材の作成は大変な作業のように思われるが、教師のコンピュータを扱う技術が向上し、教師が集める教材ファイルの量が増えてくると、この作業は非常に簡単になってくる。
  教材の作成は一種の資料のデザインであるとともに、課題のデザインでもある。教材は、異なった学習スタイルを持つ学生のニーズに応えるために多様な処理タイプを提供しなければならない。そのためには学生が各課題で受け取り/実行する情報の入力/出力タイプの分析が必要である。同様に、課題のデザインでは、学生が低レベルの処理(反復、リストから解答の選択、文章の穴埋め、2つの事柄の合致など)を行っているのか、あるいは様々なリソースにアクセスし、問題の解を求める高レベルな処理なのかについて、十分に考えた上での判断が求められる。資料デザインのためのコンピュータを扱う技術と課題をデザインするための教師の技術を獲得するのはそれほど難しいことではなく、両方とも練習と観察によって能力を高められる。





    視覚的情報と基礎学力の向上
          県立須崎高校 大崎 政重

  基礎学力を向上させるためには、生徒の興味や関心を喚起し、生徒自身が理解を深めようと積極的に取り組む意欲を引き出す工夫、手段を用いることが求められる。人間は、生活に必要な情報を視覚から得ることが多い。特に、現代の生徒は、小さい頃からテレビやゲームなどの視覚的な情報提供に慣れ親しんでいるため、情報メディアを活用した視覚的な教材を用いることは、生徒の学習意欲を喚起するのに非常に有効な手段であると考える。特に、リアルタイム・シュミレーションやGIFアニメーションなどの動画教材は、生徒の興味や関心をより多く引き出し、学習意欲を喚起するための特効薬となりえるだろう。
  この発表は、視覚的な情報が生徒の学習意欲を喚起するうえで如何に有効か、そして、それらの動機付けを与えることで如何に理解がふかめられ、基礎学力が向上したか、と言うことについて研究し、授業実践によって得られた成果について報告するものである。





    ネットワークインタラクティブ講義ノート
       インターネットをクリック辞書として利用したWeb予習・復習ノート
          高知工科大学 野中 弘二

  IT技術は印象深い講義用OHPを作成するのには非常に有効な手段です。しかし、音声や画像を付与した自作の講演資料は作成準備に非常に労力がかかります。また、印象的な発表にはキーポイントの絞り込みが不可欠ですので、高度技術の学習に不可欠な詳細で深い学習まで網羅することは困難です。
  学生は正しい理解のために効率的な予習・復習が不可欠です。講義は彼らの深い学習への入り口となってあげるべきです。私は<情報ネットワーク>の講義のために、ネットワークを利用してそのような講義ノートを公開しています。講義ノートの各ページはいくつかのキーワードが色づけされており、そこをクリックするとより詳細な説明のあるウェブサイトや、その技術の実体験ができる別のウェブサイトに導かれます。
  講義は、内容に興味を深め、キーポイントを教えるだけで良いのです。私は彼らを世界中のネッットワーク上にある情報の正しい物にこの講義ノートを使って導いてやるだけでよいのです。学生は私のウェブサイトを足がかりとして、より詳しく自ら復習していくのです。このようなWebノートの利点としては、全て自作の教材に比べ、ネットワークの情報を利用することにより準備の負担が少なくてすむこともあげられます。





    学生と雇用者の期待 工学教育プログラムの認定モデル
          University of Technology (Poland)  Jerzy Swiatek

  高等教育に学生と雇用者がよせる期待を論じる。質問票の回答結果をいくつか見ると通常の大学の活動に学生と雇用者が抱くイメージが現れている。履修中の追加的な活動についても述べる。ここに紹介する期待をもとに、エンジニアリング教育プログラムの構成を紹介する。閉じたループシステムでの認定手順を論じる。





    DNA:生命現象(いのち)のプログラム
          中内 光昭

  生命現象は細胞が展開するドラマである。ドラマのシナリオは、細胞の核に存在するDNAと呼ばれる物質に記録されている。記録に用いられる文字(塩基)は4つで、4進法による記録と見なすことができる。DNAの情報に基づいて、まず特定の蛋白質が合成され、それらの働きで高次の生命現象が展開される。DNA情報は単に成体の構造を規定するだけでなく、その生物の生活史全般の活動を基本的に制御している。つまり、生命現象のプログラムということができる。DNAシステムは自然界で最もエレガントな情報システムである。情報は容易にコピーされ、容易に蛋白質の構造に“翻訳”される。さらに、このシステムには自己修復、自己改良機能も組み込まれている。地球上の生物は共通の情報システムを持ち、用いられる暗号も共通である。本稿では、この自然界の情報システムと人間による電子コンピュータシステムの比較もなされている。
  





    学生の学習能力を改善するための原則と技術
          University of Nebraskas-Lincoln (UAS)  Delwyn L.. Harnisch

  今日世界は、技術のおかげで小さくなってきている。衛星放送で、世界のどこからでも映像をみることができる。携帯電話で、すぐに対話ができる。手のひらに乗るような小型のパソコンは、計画を立てたり、データを保存・表示できる強力な道具を提供している。映像の技術で衛星放送は、宇宙の何百マイルも離れた所から高質の画像を送ってくる。
  新しい技術は、今日の世界に二つの大きな変化をもたらしている。先ず、経済が変化している。新しい技術で、労働者はこれまでより生産的になった。さらに金融取引、コミュニケーション、有用な物の入手が国際的に可能になっている。その例として、アメリカの娯楽ビジネスで主要な持ち株を所有しているソニーがある。
  第二に、職場が変化していることである。国際的に私達は、ある人々が述べたような「情報の時代」に入っている。パソコンのマウスをクリックするだけで、入手できる情報がたくさんある。従って知識は、すぐに重要なものになっている。教育を受けた人が持つべき技能は、解決をする必要がある諸問題を処理するために、入手できる膨大な量の情報を探すのに必要な技能である。(2000年に発表された「21世紀のための数学及び理科教育に関わる全国委員会」の報告より。)
  これらの国際的な変化は、教育者に二つのことを示唆している。先ず、私達は子ども達が国際社会でうまく活動できるように、入手できる情報技術の道具を使える訓練をしなければならない。次に私達は授業をする際、もっと効果的な教育・学習ができるシステムを作るのに、技術を使わなければならない。もし技術が授業で効果的に用いられるのであれば、学生が主体になった学習環境を作るために使われなければならない。この論文では、学生が主体の学習の機会を増すような原則と技術に焦点を当てる。






    シンガポールの高等教育における情報・通信技術の利用
         National Institute of Education (Singapore)  Horn-Mun Cheah

  シンガポールでは、1997年4月に教育省が教育におけるIT活用の教育省基本計画作成に着手した。この基本計画が目指したのは、学校でITを活用し、全ての子どもたちに情報と通信技術の充実した学校環境を用意するための青写真を整える事であった。このように情報・通信技術が整った学習環境で、今後益々多くの子どもたちが学習するようになると、高等教育機関での教授・学習により多くの期待が寄せられるようになる。次世代の学生たちのために、また情報・通信技術が適切に利用されれば、効果的な教授・学習を生み出すことが可能であるという強い信念を持って、高等教育機関はこれらの課題を克服するよう、様々な取り組みに指導力を発揮してきた。本論では、シンガポールの高等教育間が、独自に、あるいは関係機関と協力して、取り組んできた様々な活動を紹介する。たとえば、仮想学習環境、オンライン上の資源利用、また、大人数を対象とした授業に効果的なe-ラーニングのためのプラットフォームなどが含まれる。





    アメリカと日本の小学6年による異文化理解のためのコラボレーションの実践
       コミュニケーションを支援するツールとしてのマルチメディアの活用
          高知県教育センター 田村 剛啓
          武庫川女子大学 中野 彰

  国際理解やコミュニケーション能力の育成を目指した取り組みが、社会科や総合的な学習の時間を中心に取り組まれている。しかし、国際理解教育は、異文化、異言語、遠距離のため、子どもたちには実感として捕らえにくいものであった。また、インターネットを活用した多くの実践は、メール中心であり、個人またはグループでの閉じた交流に陥りやすく、自己紹介以降の課題をどうするかなど困難な点が多かった。
  本研究では、アメリカと日本の小学6年が、両国の文化的差異を理解し、共に生きる仲間として意識化していくことをねらいとしたコラボレーションを実践した。その中で、次の2項目を配慮した。





    数学授業における問題解決の重要性 -思考・実行・解決-
          東海大学 渡辺 信

  ギリシャ以来の科学史において、数学は非常に重要な位置を占めてきた。数学という学問が発展したのは、すばらしい道具を持っていたからである。この道具は「紙と鉛筆」として表現されているが、数学の持っていた道具は「論理性(言葉)」と言えよう。すべての科学的な学問は数学を頂点として存在し、いろいろな方面で活躍する研究をしている研究者は数学者と呼ばれていた。科学の発展において道具が重要な役割を演じることは、現在でも変わることはない。16世紀に人々は科学の研究としての「道具」=「レンズ」を持った。科学の対象を拡大して見ることが可能になった。レンズの発見・発明は、科学の思想を大きく変えて、拡大して見ることが重要な科学の方法となった。数学についても同じ時代に「微分」を持って数式で対抗した。具体的なものとしての道具であるレンズに対して、抽象的な数式を持った数学は、物理に遅れをとった。
  科学技術の発展は、数学教育にも大きな影響をもたらした。100年前のペリーの数学教育改革は、数式理解のために方眼紙の活用を勧めた。ソロバン対筆算の対立もあった。道具の活用が数学教育を根本から変える力を持っている。今まで「紙と鉛筆」=「理論性(言葉)」が最も重要な道具であったが、現在は「コンピュータ」が使えるようになった。この道具の変化は、数学教育の一大革命を海外では起こしつつある。数学を具体的に『見る』ことを可能にした。道具の発展が数学の世界を広げていくことに注目する必要がある。道具の発展が数学教育が対象とすることに変化をもたらすと考えられる。実際に微分積分学の授業でグラフ電卓を使った実践の紹介をする。特に、関数のグラフの理解と、微分の意味についての解釈を『数学を見る』ことによって具体的に取り扱う。





    基礎学力向上のための取り組み (1999年から今年度)
           中村市立東中筋中学校 松田 佳子

  一人一人の生徒の確かな学力の定着と授業の改善を図りながら個々の生徒の実態に応じた授業の創造を目指して以下の取り組みを行っている。
(1)授業評価システムについて
(2)到達度把握(CRT)について
(3)校内研究授業について
(4)講師招聘・先進校視察・校内講師について





    「アクション・リサーチ」いかにレッスンを向上させるか
          高知県立須崎工業高校 千谷 志保

  アクション・リサーチは研究方法論の一種で、アクション(又は変化)とリサーチ(又は理解)を同時に追求するものです。それは循環又は螺旋プロセスにより実行され、アクションと批判的反省を交互に行うものです。英語教育の分野では最近大変人気があります。
  日本でアクション・リサーチの研究者であり且つ権威でもある横浜国立大学の佐野教授のおかげで、私は半年間高校及び中学の英語の教師に私のアクション・リサーチを実行してみました。
  私のプレゼンテーションの目的は第二言語として英語を教えるクラスで実際のアクション・リサーチを実践することを示すことであり、方法論として教育技能を改善するためにどのようにして使用するかを示すためでもありました。





    学生ベンチャー「高知ナビ」の創業を通じた実践教育
          高知工科大学 畠中 兼司
          高知工科大学 高村 禎二
          高知工科大学学生 兼 轄rmナビ 松原 英樹
          高知工科大学学生 兼 轄rmナビ 森澤 満
          高知工科大学学生 兼 轄rmナビ 奈良 祐介
          潟Rンピュータ・イメージ研究所 石丸 智香
          潟Rンピュータ・イメージ研究所 井上 雄介

  高知工科大学では、「自ら考え行動できる人物を育成する」を合言葉にチャレンジ精神の優れた学生の養成に取り組んでいる。また、産業構造改革・新規雇用対策及び大学での技術開発の一環として、大学発ベンチャーの設立が各界で要望されている。筆者らは、ITを教育現場に取り入れ、さらに実践教育として現役学生による「株式会社運営」が出来ないものかという無謀なチャレンジに挑んだ。「教育者の立場」としては理論を教えるのみの(一方通行)教育から、実際の会社経営を通じた実践教育へ、「学生の立場」としては、学生と社会人を両立させるという意味合いを込めた船出である。
  本稿では、地域活性化の一環として「高知県」の観光を紹介する「株式会社高知ナビ」の経営を通じて、実践教育を進める教育の立場、経営としてのビジネス・モデルの2面から考察する。





    高知工科大学におけるインターネット3D-CAD設計教育
          高知工科大学 坂本 東男 
          高知工科大学 汀 祥子
          高知工科大学 吉岡 秀高

  この論文は高知工科大学の機械工学専攻の学生を対象とする3D-CAD設計教育について述べる。目標とする設計として風力発電機を選び、この製作を実際に行った。研究面では、希土類物質の永久磁石を使用した風力発電機の研究を行った。実際の製作物を使用しての3D-CADは設計を理解するためのツールと考えられる。一方、インターネット・マルチステーション・デザインが業界では近い将来、現実となる。3D-CADとインターネットデザインは、大学において新しい設計教科として期待される。
キーワード:風力発電機、3D-CAD、CG、希土類永久磁石、磁界