マテリアルデザインセンター : 高知工科大学

高知工科大学

マテリアルデザインセンター

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常に事業化を念頭に研究開発を推進

マテリアルデザインセンターの目的を、センター長・山本哲也教授は次の3つに要約する。

  1. シリコン(Si)、窒化ガリウム(GaN)、スズ添加酸化インジウム(ITO)は、20世紀の産業を支えてきた半導体材料である。しかし、高温製膜の条件が必要不可欠であること、希少資源であること、高価であること、などの解決すべき課題を持つ。これらを解決すべく、21世紀を支える材料を開拓するとともに、その材料の機能におけるポテンシャルを十分に発現させる装置(例:製膜装置など)を並行して研究開発する。
  2. 機能実現をめざす解決策として、これまでの“偶然”に支配される手法ではなく、“設計的”に物性制御する姿勢、手法を用いる。
  3. 事業化をめざした研究開発を実施し、企業との連携、その連携スタイルを考案する。狙いは、低コスト、低消費電力といった産業(ビジネス)上における重要成功因子と、研究開発上での重要成功要因との強い相関を見出すことで、基礎研究と実用研究との境界を無くし、常に研究開発において先端的役割を担う拠点形成実現をめざす。

酸化亜鉛(ZnO)を材料に用いた透明導電膜の開発は、この目的を実現した一つの典型的な事例と言えるだろう。

ディスプレイの価格を半分にする技術

液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、薄膜太陽電池などに不可欠な透明導電膜には、現在、非常に高価で稀少な資源であるインジウムを原料とするスズ添加酸化インジウム(ITO)が使用されている。山本教授は、.ITOに替わる新たな材料として、酸化亜鉛(ZnO)に着目した。亜鉛はインジウムと比べて埋蔵量が豊富かつ安価であり、しかも理論上では、電気抵抗や透過率などの特性がインジウムとほぼ同等であるためだ。
山本教授は産官学連携コンソーシアムを組み、酸化亜鉛分子をプラズマエネルギーでガラス基板に積層させる実験と装置の改良を重ね、 ITO透明導電膜に匹敵する性能を持つ1メートル四方の大面積ZnO透明導電膜を製造することに世界ではじめて成功した。加えて山本教授らが開発した方法では、従来より低温の製膜が可能なため、製造コストを現在の半分以下に抑えることができると期待されている。

研究成果

ZnO透明導電膜の開発プロジェクトは、平成13年、経済産業省地域新生コンソーシアム事業に採択され(平成15年度終了)、高知工科大学のほか、住友重機械工業株式会社、愛媛大学、産業技術総合研究所などが参加して開発研究を進めてきた。現在はカシオ計算機株式会社等と科学技術振興機構地域結集型共同研究事業のプロジェクトとして、更なる酸化亜鉛の応用の展開を目的に研究開発を進めている。

■センター長から

研究開発においては、準備段階としての黎明期、拡大段階となる成長期、そして成熟期を通して、“偶然”に期待することなく、常に“設計的”に方針をとりながら実施していくことが重要です。たとえば、酸化亜鉛を用いたP型半導体の実現をめざす研究開発においても、研究と平行して発展的なコンセプトを包含する手法開拓を行うことが、本センターの特徴と言えるでしょう。今後は、アクセプタとドナーとを設計的にドーピングすることで、誘電率、有効質量などの制御を可能とさせる、私が考案した「同時ドーピング理論」の有効性を実験的実証とともに確立していきたいと考えています。この手法は半導体分野に留まらず、他の分野へも応用できるものです。