登録コンテンツ500件目インタビュー

 2011年2月に、高知工科大学学術情報リポジトリに登録されたコンテンツが500件となりました。リポジトリ運営にご支援いただいた皆様、論文等をご提供いただいた皆様に心よりお礼申し上げます。

 500件目のコンテンツは、坂輪光弘先生(地域連携機構)の「炭化室内X線断層撮影に基づくコークス気孔率分布推定モデルの開発」でした。
 これを記念しまして、坂輪先生にインタビューを行いました。

この論文の内容について教えてください

 医療用CT装置の中に乾留炉を作り、石炭からコークスに変化する過程を観察した論文です。

この論文の背景はどういったものですか

 石炭からコークスへの変化は誰も見たことがないものだったので、見てみたかったということがあります。コークスが完成するタイミングというのも、作業長の経験と勘によって、操業していました。私はそれを「技能」と呼んでいますが、そういったものを「技術」にしたかったのです。経験や勘といったものを化学式や数値化できないかと。
 石炭も人体も炭素と水素からできています。人体が見えるのなら石炭からコークスへの変化も小型の乾留炉を医療用CT内に造れば、見ることが出来ると思ったのです。医療用ですから表面温度は25度に保たなければなりません。しかし、乾留炉の内部は1000度近くにする必要があります。コークス炉を造る小さな会社の社長さんと色々な材質を選びました。石炭からコークスに変化するのを世界で初めて直接観察できたときは本当に嬉しかった記憶があります。

高知工科大学での研究生活で印象に残っていることは?

 「炭の鉢」で花が咲いたこと、きのこができたこと、稲もできたこと。2000年に淡路島で開かれた国際花の博覧会に1期生の子と1m立方の炭を造って参加したこと。たたら製鉄のこと。親子炭焼き大会のことです。

炭の鉢。直接種を植えて、植物を育てることができます。

リポジトリなどで論文が見られることについて

 昔は、まずは図書館へ行って探す、ということが第一でした。コピーも大変な時代でしたから、大事な論文は手で書き写しました。今はネットでぽんと見られるようになりましたが、簡便になりすぎているかなという思いもあります。

学生・研究者へのメッセージ

 私は人のまねをしないで、他の人がやらないことに取り組んできました。流行にのって研究しようとしても、周囲に打ち勝つにはとてつもないアイデアが必要になります。
 日ごろ、私は首から下しか鍛えられないから、後は自分でやれといいます。首から上は社会に出れば鍛えられるものです。私の研究室では、グループで先輩と後輩が一緒に取り組まなければいけません。その中で、汗を流し、怪我もせず、続けていくことが大事です。友達をたくさん作って遊んでください。後は、やらないといけない時がくれば、自ずとやるようになるでしょう。

(インタビュー : 2011年3月4日)

坂輪先生にご提供いただいた論文等一覧