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酸化亜鉛物語

3.酸化亜鉛ZnOの結晶構造

酸化亜鉛ZnOは、亜鉛原子Znが電子を2個失って亜鉛イオンZn2+となり、酸素原子Oが電子2個受け取って酸化物イオンO2-となって、イオン結合してできるイオン結晶です。結晶はイオンや原子が規則正しく配列したもので、その規則性をあらわす繰り返しの最小の単位を単位胞といいますが、酸化亜鉛の単位胞を図1、図2に六角柱で示します。

図1はボールアンドスティックモデルといい、各イオンの位置関係がわかります。図2は空間充填モデルといい、酸化物イオンの半径を0.140 nm(1 nm=10-9 m)、亜鉛イオンの半径0.074 nmとして酸化物イオンと亜鉛イオンが接するように示してあります。図1と図2を比較すれば明らかなように、図1でもそれぞれのイオンの半径の比は図2と同じです。

図2からわかるように酸化亜鉛の結晶ではイオン間にかなり大きい空隙(隙間)があり、他の原子が侵入しやすいといえます。

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図1 酸化亜鉛の単位胞(ボールアンドスティックモデル)
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図2 酸化亜鉛の単位胞(空間充填モデル)

酸化亜鉛は図1(または図2)で示された六角柱が連なってできています。図1で示された六角柱の1つの辺を3倍にしたものが図3です。つまり図1の六角柱の33=27個分を示しました。図3には図1の六角柱が小さく表示してあります。同じように図4は図2の六角柱27個分を示したものです。

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図3 酸化亜鉛の連なり(ボールアンドスティックモデル)
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図4 酸化亜鉛の連なり(空間充填モデル)

酸化亜鉛ZnOの結晶構造はウルツ鉱型結晶構造に属します。ウルツ鉱型結晶構造とは、陰イオンと陽イオンが1:1で結合してできるイオン結晶にみられる結晶構造のひとつです。“ウルツ鉱”というのは硫化亜鉛ZnSを主成分とする鉱物の名前です。

酸化亜鉛の結晶構造をもう少し詳しく検討してみます。酸化亜鉛の結晶構造の一部を表したものが図5です。図5から酸化物イオンO2-だけを取りだしてそのくりかえしの単位を表すと、図6で示すような六方最密格子となります。

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図5 酸化亜鉛の結晶の一部
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図6 図5から酸化物イオンO2-を取り出す

また、亜鉛イオンZn2+だけを取りだしてそのくりかえしの単位を表すと、図7のように同じ六方最密格子となっています。つまり、酸化亜鉛の結晶構造は、酸化物イオンと亜鉛イオンがそれぞれにつくる六方最密格子が図5のように組み合わさってできている構造ともみることができます。一方の六方最密格子が、もう一方の六方最密格子の六角柱の高さの方向に3/8だけずれて組み合わさっています。

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図7 図5から亜鉛イオンZn2+だけを取り出す

したがって、酸化亜鉛の結晶構造の単位胞は図8、9のいずれでもよいことになります。

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図8 酸化物イオンを頂点に置いた単位胞
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図9 亜鉛イオンを頂点に置いた単位胞

酸化亜鉛の結晶構造では、酸化物イオン4個によって囲まれる正四面体型のすきま(図10)の半分に亜鉛イオンが入っており、酸化物イオンも4個の亜鉛イオンに囲まれています(図11)。

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図10 亜鉛イオンは4個の酸化物イオンに囲まれている。
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図11 酸化物イオンも4個の亜鉛イオンに囲まれている

酸化亜鉛の単位胞はふつう図12に赤い線で示された平行六面体ですが、これまでは理解しやすいように六角柱で表してきました。

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図12 ふつう使われる酸化亜鉛の単位胞

赤い線で囲まれた単位胞は図13のように 軸と角度αβγ が決められます。酸化亜鉛のこれらの数値は以下の通りです。 =0.325 nm、 =0.325 nm、 =0.5206 nm、α =90.0°、β =90.0°、γ =120.0°。このうち、 軸というのは図12の平行六面体の一番長い辺に平行な軸のことです(図12が立ち上がったときえでいえば鉛直方向のことになります)。


図13 単位胞の軸と角度

さて、図10で見たように亜鉛イオンは4個の酸化物イオンに正四面体的に囲まれています。図14に4個の酸化物イオンに囲まれた亜鉛イオンの状態をボールアンドスティックモデル(特に酸化物イオンと亜鉛イオンの結合をスティックで表示)で示しました。実際の酸化亜鉛の結晶中の4つの亜鉛イオンと酸化物イオンの距離はすべて同じではありません。図13の 軸方向(図14が立ち上がったときの鉛直方向)にある亜鉛イオンと酸化物イオンの距離だけは0.1991 nmと他の距離0.1976 nmよりわずかに長くなっています。したがって、酸化亜鉛の 軸方向の結合がわずかに弱くなります。これを電気的にいうと 軸方向の電気抵抗がわずかに大きくなることを意味します。つまり、 平面の電気抵抗がわずかに小さく、電気伝導度はわずかに大きくなります。最近酸化亜鉛は透明導電膜の素材として注目されていますが、 軸方向に結晶を薄く広く成長させて 軸にそった平面薄膜をつくります。その結果、平面内を通る電流の伝導度を大きくしているわけです。

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図14 亜鉛イオンは4個の酸化物イオンに囲まれている(ボールアンドスティックモデル)