ベイズ=ナッシュ均衡とベル不等式

全卓樹

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    序(7-1)

注記(H22, Aug.):
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ここまでの説明を要約すると

 (0)量子戦略は古典戦略に二つのものを補足したものとして理解できる
 (1)その補足の一つは古典戦略の「利他主義的な」拡張であり
 (2)それ以外に古典的戦略としては表せない「量子干渉」効果がある

と言うことができるだろう。そして前節まででは、量子戦略の主要な効果は(1)の擬古典的な補正で与えられて、(2)の量子干渉は無視できる小さな補正であるかのように扱ってきた。

もし(2)が事実上無視できるとすれば、それは結局、量子戦略というのは、いろいろな古典戦略をまとめて扱う一種の数学的方便にすぎない、ということになるだろう。これだと例えば、「量子戦略で囚人のディレンマが解消する」と言う事の意味は、利他主義的にゲームのルールを変更すると、囚人のディレンマの性質が代わる、というのを表す奇妙な数学的手法にすぎないという事になる。「量子ゲームは経済学者に何のニュースももたらさない」!

しかし、はたして本当にそうなのだろうか。

20世紀の物理学で、これまで繰り返し、意外な局面で量子効果が頭をもたげ、驚きをもたらしてきた事を忘れるわけにはいかない。

もう一度振り返ってみると、(2)の量子干渉が、ここまで扱ったゲームではたいてい無視できるような副次的効果であったのは、何か深い理由があるからという訳でもなく、たまたま小さかったというだけに過ぎないらしい事に思い至る。状況によっては(1)の擬古典戦略を超えた大きな効果が(2)の量子干渉によってもたらされる事もありうるにではないか。

ここからは正にそのような例が、ゲーム理論の「上級」の話題であるハーサニーの不完全情報ゲームに見いだされる事を見ていく。驚くべき事にそこで我々は意外な名前に出会う。その名はJ.S.ベル。

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