データ&イノベーション
学群

AI・データサイエンス専攻

データサイエンスを情報の視点からとらえ、
将来の社会システムの発展に寄与できる人材を育成

データサイエンスやAIの考え方を身につけ、かつIT情報技術・ネットワーク技術を使って、それらを実現・実装できる人材を育成します。基礎的な数学的、統計的思考を身につけ、データに対して様々な仮説を立て、解析、検証できる方策を見出すことができ、最新のコンピュータおよびインターネット技術を使って、既に存在する様々なソフトウェア、サービス、クラウド技術、その他のツールを使いこなしてDX化されたサービスを実装、実現、価値化できる能力をもつ人材を育成します。

育成する人材像

新しいITサービスを「ゼロイチ」で創出できる社会人へと成長し続けることが可能な素地を作ります。そのために、数理的知見・プログラミング能力について、生涯をかけて学び続けることが可能となる基礎・素地を深く理解した人材を養成します。また、このような能力の獲得を前提としつつ、さらに「センシング・統合と分析・流通と構築」分野の本質を網羅的に身につけた人材を育成することをめざします。

想定される卒業後の進路

国内の大手企業に、デジタル化、データサイエンス、AIに対応できる人材として入社することの他、データサイエンス、AI、DXコンサルタンティングも今後需要が増すものと考えられ、こうしたコンサルティング企業において、国内外のDXに活躍することが期待されます。また、同様に、企業において、DX、付加価値創出に寄与することも期待しています。さらに、行政、特に地方自治体、あるいは初等教育、中等教育においてもデータサイエンス、プログラミングなど、DXに即した教育が求められ、教育機関とともに国民のDXに寄与することも期待されます。

例えばこんな科目CARRICULUM

人工知能と計算知能
1950年以降の人工知能の発展の歴史を学び、それぞれの時代で研究、応用された人工知能技術の理解を深めます。第1世代のAIであるゲームや戦略策定などへ応用される探索・推論の技法から、第3世代(現代)のAIである機械学習の基礎まで幅広く学び、それらをどのようにとらえ、活用するのかを学びます。さらに、生命の遺伝子や進化の性質を応用した遺伝的アルゴリズム、人間の曖昧さを数学モデルで表すファジィ理論などの計算知能の手法についても習得します。
デジタルビジネス・トランスフォーメーション
ITの革新は目覚ましく、社会のあらゆる領域に浸透することによって新たなビジネスが創発され、産業構造や社会基盤の大きな変革がもたらされます。その一方で、これらの変革を実現するためには、既存システムの複雑化や過剰なカスタマイズの問題を解決し、従来の業務プロセス全体を見直す必要があります。本講義では、IoTやAIなどによるビジネスの変革とはどのようなものか、またその課題について経営面や人材面、技術面といった様々な角度からDXの実現可能性について学びます。
データサイエンスの実践
統計的解析、機械学習、発展的な人工知能技術(AI)を使ったデータサイエンスの実践について学びます。数値データ、テキストデータ、画像や動画データなど、様々な方法で集められた多様な形態・性質をもつデータをどのような考え方や技術で解析していくのかを実践的に学びます。また実践の場面でしばしば遭遇するデータの欠損、誤り、ノイズ、信頼性の欠如など、理想的ではないデータについての実践的な処理の知識についても学びます。
AIヒューマンセンシング
人体の力学的生体情報を取得する方法を中心に、そのための構造や材料、センシングのメカニズムについて学びます。本講義で取り扱うセンシング技術は、AIロボットやヒューマンインタフェースの制御だけでなく、ヘルスケア機器やIoT機器に関連するAI解析の内容についても理解を深めます。また、人のセンシング技術と制御、機器の安定性・安全性とAI制御を含む関連制御方法との関係についても事例をあげて学びます。
ネットワークシステムと
セキュリティ
ネットワークセキュリティの観点から、検索サービスやSNSなどの様々なネットワークサービスシステムについて、それらの成り立ちやビジネスモデルを理解するために、ネットワークシステムのセキュリティについて網羅的に学習します。具体的には、セキュリティ技術の中核となる暗号、認証の各方式について基礎を理解したうえで、インターネットにおける様々なセキュリティについて理解を深めます。
地球システムデザイン
近年多発している豪雨災害や干ばつ、熱波に見られるように、気候変動の影響は生命や健康被害だけでなく、経済活動まで幅広く及んでいます。これからの社会で生産活動をするうえで、環境および地球を物理的に適切に理解することは非常に重要となっています。本講義では、地球物理学の視点から気象や気候、海洋を対象に物理過程の概要を学び、地球をシステムととらえ、気候変動問題を考えるうえで必要な基礎知識の習得をめざします。
吉田 真一 教授

吉田 真一 教授

専門分野 / ソフトコンピューティング(計算知能)、パターン認識・機械学習、画像認識

農業や医療に革命をもたらす
信頼性の高いAI技術を開発

生物の進化の仕組みや人間の脳・知能の構造をコンピュータに応用し、人間のような柔軟な処理の実現をめざす「ソフトコンピューティング」。この手法を用いて実社会の課題解決につなげる研究に取り組んでいます。そのひとつが、AIやIoTなどの先端技術を駆使して次世代型農業をめざすプロジェクトです。ディープラーニング(深層学習)による画像認識を応用し、高知県の主要な農産品である柚子の着果数の推定から生育状況の把握を自動化できる仕組みの構築や、熟練技術者の技術を手軽に学べる学習コンテンツを網羅したアプリの作成など、高知県の農業の未来を支える技術開発を行ってきました。
また医療の分野では、高知大学医学部や高知健診クリニックと連携し、蓄積されたデータを活用して病気の早期発見や医師の診断支援につながる自動診断システムの開発などを進めています。安全性や正確性が何より重視される医療への導入を円滑に進めるために、診断結果の根拠を説明できる信頼性の高いAIの研究にも力を入れています。

デジタルイノベーション専攻

データサイエンスをツールとして利用し、
価値創造を行う人材を育成します

経済界および公共分野の双方においてイノベーションを起こすことができる人材を育成します。経済界において不足している先端的学術や高度技術を生かした価値創造やビジネス創造を実現できる人材を育成するため、基礎学問の原理的理解をベースに、多視点を活用した課題発見および分析能力、多様な基礎学問の原理を統合することで複雑なソリューションを創造するとともにニーズに気付き価値創造ができる能力を養成します。さらに、これらのイノベーションを支える基礎的な経営能力、起業力をもった人材育成を目標とします。

育成する人材像

実業界および公共分野の双方においてイノベーションを起こすことができる人材を育成します。実業界において不足している先端的学術や高度技術を生かした新たな価値創造やビジネス創造を実現できる人材を育成するため、基礎学問の原理的理解をベースに、多様な基礎学問の原理を統合することで社会に散在する課題、ニーズを的確にとらえ、先端的学術や高度技術を前提とした課題解決、またニーズを充足する新たな価値創造を可能とする能力を養成します。またこれらを実現するために必要となる新たな組織あるいは組織間関係を構築するとともにこれらをマネジメントできる能力を養成します。さらに、これらのイベーションを支える基礎的な経営能力、起業力をもった人材育成を目標とします。

想定される卒業後の進路

本専攻を修了した学生が活躍できる分野は官民を問いません。日本の根本問題であるソリューションや価値創造を実現できるイノベーション能力を備えた人材は圧倒的に不足しています。製造業やIT産業、商社にとどまらず、起業家、行政に代表される政策立案者に至るまで、多方面の分野での活躍が期待されています。

例えばこんな科目CARRICULUM

ITビジネス・
マーケティング入門
IoT、AI、VRなどの先端技術をどのように生かして社会を変革し、ビジネスを創造するのか、次世代のビジネス人材にはその知識と能力が求められています。本講義では、最前線で活躍するIT企業経営者や役員などを講師に迎え、最先端のITビジネスに関する知識や技術を学び、またITマーケティングのトレーニングやコードレスプログラミングなどIT技術者でなくとも学べるスキルを習得します。
デジタルビジネスの
フロンティア
メルカリやTikTok、LINEなど突然世界中で使いだされるサービスの多くは、すでに普及したデジタル技術を活用し、新しい仕組みを作り、爆発的に普及したケースが多く、AIなどの最先端の技術が必須というわけではありません。そのため、実務家が現場の視点でデジタルビジネスを作り出すことも可能です。本講義では、身の回りにあるデジタルサービスがなぜ普及したのかをケース(事例)として考えていくことで、その本質を理解していきます。
イノベーション創出
新たな価値、イノベーションを創出するには、従来型のトップダウンやボトムアップといった考え方だけでは不十分になっています。本講義ではイノベーションの代表的な方法論であるデザイン思考などの価値創出手法について、その思想や実践方法などについてワークショップ形式で身につけ、これらを中心に据えたイノベーションの具現化の実践を、 Project-based Learning 形式で行います。
AIマーケティング
人工知能(AI)を利用するデータ駆動型マーケティングの新分野であるAIマーケティングについて、基礎とその技術の応用を学びます。具体的には、消費者データのどの側面が結果に関連しているかを特定し、どのように収集するかについて、データ科学の側面から学びます。そして、そのデータをリコメンデーションやリアルタイム予測、チャットボットなどのマーケティングに利用するためのAIの機能を理解し、先端企業の成功事例から将来の潜在的な傾向を分析します。
アセット・マネジメント
アセットマネジメントは、限られた予算制約のもとで、効率的かつ効果的な社会基盤・社会機能の運用、維持管理するための手法です。本講義では、社会基盤分野と社会機能分野に分かれて少人数のグループを作り、実際に土木構造物や社会基盤システムなどのデザイン(計画・設計)を検討し、各グループの成果発表を行います。成果発表では、ゲストスピーカーや外部協力者の参加も予定し、実践的な討議のスキルも身につけます。
事業創造・起業特論
“事業を作る”ことは、起業することだけではなく、企業内起業(新規事業開発)においても重要であり、“イノベーションの本質”です。“事業を作る”とは、持続可能なビジネスモデルを構築することであり、そのためには、戦略的狙いを実現するための差別化された事業運営の仕組みを整備することが求められます。本講義では、それらを理解し、フレームワークから具体的な事業計画を作成することにより、事業化の第一歩を踏み出せることを目標とします。
吉田 真一 教授

上村 浩 教授

専門分野 / 公認会計士監査・財務会計

イノベーションを成功に導く
組織管理の新たな概念を探る

デジタル技術やAIが進化を遂げる一方で、それらを活用して新たな価値創造を行うために有効な組織やコミュニティのあり方が問われています。先行研究では閉鎖的で密なつながりよりも、広く弱いつながりを有するプロジェクトの方が情報収集のスピードが飛躍的に増すことが明らかになっています。しかし、情報収集や議論を経て創造的なアイデアを実装する段階では、オープンなコミュニティを一気に閉じる方が実行可能性が高まるという説もあります。では、どのようなタイミングでコミュニティを変化させるとよりよい社会実装につながるのでしょうか。この問いに答えるべく、デジタルイノベーションの検討から実装までの過程におけるコミュニティの変化をとらえ、メカニズムを解明しようと研究を進めています。地域に目を向けると、オープンイノベーションを促すプラットフォームの構築が地域貢献につながるという認識が広がっていますが、地域住民が医療や福祉といった社会共通資本について協議する際には閉じたコミュニティの方が有効ではないかと考えています。様々な地域と連携した課題解決の実践を通して、デジタル社会における組織管理の新たな概念を確立していきます。