科目名 |
宇宙とその歴史 |
担当教員 |
放送大学 |
対象学年 |
2年,3年 |
クラス |
学部:自然002 |
講義室 |
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開講学期 |
2学期 |
曜日・時限 |
集中 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
「主任講師」 杉本 大一郎 (放送大学教授) 吉岡 一男 (放送大学助教授)
「全体のねらい」 宇宙がどのように始まり、その中に天体が生まれ、天体や宇宙がどのように進化して現在われわれが見る物質世界が形成されたかが、中心的テーマである。その進化は物理法則に支配されて起こったものであり、実証的自然科学の対象として論じなければならない。この講義は自然科学の予備知識なしでも理解出来るようにするために、宇宙の始まりから現在までの時間的経過に沿ってではなく、理解のしやすさの順序に沿って話を展開する。この講義では、具体的な個々の天体の現象についての解説よりも、そのようなことを探求することの意義と科学上の意味について考える。個々の天体や現象に関する最新の詳しい情報については、対応する専門科目の講義を参照されたい。 |
授業の詳細2 |
地動説がもたらした科学: 天動説でも惑星の運行は十分に正しく記述できた。それではコペルニクスからニュートンに至る地動説がもたらしたものは何か。それは天体(惑星)が有限の距離に存在する実体だということである。この天文学への距離概念の導入は、ニュートンによる万有引力の発見と近代科学への道を開いた。地上の力学法則と天上の法則が統一されたとも言える。
宇宙の広がりと天体の階層構造: 遠くの天体までの距離が測られるようになって、宇宙の天体は階層構造をなして存在することが分かった。それらは、小さいほうから言うと、惑星・恒星・星団・銀河・銀河団・超銀河団・宇宙である。それらの間には、銀河系内のガス雲、銀河間ガスが瀰漫している。
宇宙の物質: 分光学の進歩によって、原子の種類を観測的に決めることが出来るようになった。こうして天上の物質と地上の物質は同じものであることが分かった。さらに恒星の大気内で光のスペクトル吸収線などが形成される様子の研究から、宇宙における各元素の存在量が定量的に分かるようになった。こうして天上の物質と地上の物質も統一された。
宇宙からの情報の取得: 宇宙の構造やそれぞれの天体についての情報は、それらからの光、赤外線、電波、X線などの電磁波によってもたらされる。それらを受けてどのようにして情報を解読することが出来るかについて、基本法則に戻って論ずる。
星はなぜ光る: 殆どの恒星の中心部では原子核反応が起こっており、それによって解放されるエネルギーによって恒星は光り続ける。そのことは恒星の内部構造論と原子核物理学とを結合することによって解明された。 |
授業の詳細3 |
進化する恒星: 恒星のもつ原子核エネルギーは有限だから、恒星は有限の寿命を持つことになる。その寿命は殆どの恒星では宇宙の年齢よりも短いから、恒星は常に誕生し、進化して、死んでいくことになる。恒星の内部で原子核反応が起こると、元素は異なる種類のものに転換される。こうして、宇宙における元素の起源が説明され、物質世界の歴史が元素のレベルから天体のレベルまで解明される。
銀河の世界: 星団の中の恒星と個々の恒星が千億個ほど集まって1つの銀河を構成する。宇宙の歴史においては、宇宙の中で銀河が誕生し、銀河の内部でそのような星団と恒星が誕生した。銀河どうしが衝突して合体したり、星が爆発的に誕生したり、巨大ブラックホールが形成されたりして、銀河は進化した。そして激しい活動をする銀河も観測される。
銀河で探る宇宙の膨張: 遠くの銀河のスペクトルを調べると、銀河はわれわれからの距離に比例する速さで遠ざかっていることが分かる。宇宙という空間が膨張していて、銀河がその空間に乗っているのである。光の速さで銀河が遠ざかるところが、宇宙の果てに対応する。
宇宙と相対性理論: 宇宙全体というか、大局的な宇宙を論ずる物理学は一般相対性理論である。それによって、光の速さに近い運動や、重力(万有引力)による空間の曲がりとそこを伝播する光などを論ずることができる。こうして、無限に広がっているかのごとくに思われる宇宙全体も、きちんとした物理学の形式にのせて取扱うことができる。
宇宙の始まりと進化: 宇宙が膨張しているのなら、それを過去に向かって遡れば、宇宙の物質=エネルギーが狭い空間に閉じ込められていた時代、すなわち宇宙の始まりの時期があったはずである。そのような時期の存在は、どのようにして実証科学の対象として論ずることができるのであろうか。宇宙背景放射や宇宙の大規模構造と関連させて考える。 |
授業の詳細4 |
光と赤外線による宇宙の観測: 前回までに述べた宇宙の構造と進化は、観測と物理法則に基づいて論じられる。光と赤外線による観測は精密な情報を与え、すべての観測の基本となるだけでなく、豊富な情報を与える。現代の精密科学的観測の到達点を見る。
電波による宇宙の観測: 電波で観測すると、天体は光で見たのとは異なる側面を見せる。それは宇宙の低温の部分であったり、逆に高エネルギー電子の関わる激しく活動する部分であったりする。電波干渉計の方法によって、光による観測を凌駕する高分解能が達成され、宇宙の果てに近い銀河の構造も分かる。
X線やガンマ線による宇宙の観測: X線で観測すると、天体の100万度を超える超高温の現象が観測される。そのような超高温は中性子星やブラックホールなど、重力が一般相対性理論で扱わなければならないほど極めて強い天体と共にある。また超銀河団の空間にある高温ガスも観測され、宇宙論にもつながる。
電磁波以外の手段による宇宙の観測: 宇宙の観測は、電波からガンマ線までの電磁波によるもの以外の手段を用いてもなされている。たとえば宇宙線は、陽子等の素粒子が、超新星残骸や活動銀河核などで高エネルギーに加速されたものである。また、透過力の強いニュートリノは、太陽や超新星の中心部の情報を直接与えてくれる。まだ検出されてはいないが、さらに透過力の強い重力波は、宇宙の奥深くの情報を与えてくれるものと期待されている。
天文学の理論: 天文学では物理パラメターが実験室の範囲を大きく超えた極限的な状況が現れるので、理論の果たす役割は大きい。そこで重要なのは、自分自身の重力による非線形相互作用で、それによって天体の形態や構造が自発的に形成され、進化という現象が起こる。天文学の範囲内では、相互作用が重力(万有引力)という数学的に単純な数式で記述されるので、そのようなシステムでも、コンピュータを用いて定量的に解くことができる。このような視点は、より複雑な非線形システムへと理解を進めていくための模範になりうるであろう。 |
授業の詳細5 |
「成績について」 AA:特に優れた成績を示したもの A:優れた成績を示したもの B:良好と認められる成績を示したもの C:合格と認められる成績を示したもの F:不合格
「開講時期(予定)」 2学期(本登録は7月ごろ) 履修を希望するものは6月末ごろに行う予定の放送大学履修登録説明会に出席し、配布する専用の申請書を必ず提出すること。
「テキスト」 放送大学より送られてくる資料を使用する。
注意:4年生は原則履修できない。(理由:放送大学の試験結果通知が本学の卒業認定時期と同時期であるため卒業判定が困難となります。2・3年次での履修を推奨します。)
(その他何かわからないことがありましたら教務学生部までお越しください) |
授業の詳細6 |
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授業の詳細7 |
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授業の詳細8 |
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授業の詳細9 |
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授業の詳細10 |
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