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タイトル「2008年度シラバス」、フォルダ「2008年度シラバス?放送大学科目
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 変化する地球環境 
担当教員 放送大学 
対象学年 2年,3年  クラス 学部:自然002 
講義室   開講学期 2学期 
曜日・時限 集中  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 「主任講師」
木村 龍治 (放送大学教授)

「全体のねらい」
グローバルな視点から地球の自然環境の仕組みを学習する。特に、自然環境の変化に着目して、変化のメカニズム、時間スケールに対する理解を深める。単に大気環境だけでなく、宇宙、海洋、地球内部、生物の作用など、大気環境を取り巻く世界にも目を向け、宇宙スケールから人間スケールまで、自然界の構造とその変化に関わる全体像を示す。
 
授業の詳細2
地球科学の視点: 1988年以来、地球環境問題が大きな社会問題になった。特に「地球温暖化」に対しては、さまざまな議論を生み、地球環境と調和する社会体制はどうあるべきか、というような政治的な問題に発展している。しかし、「地球温暖化」が気候の変化である以上、地球科学的な視点が欠かせない。地球科学的な視点で環境の変化の意味を検討し、この講義全体のパースペクティブを示す。

惑星の大気環境: 太陽系の惑星は、ほとんど大気をもち、それぞれ、独自の気象の営みがある。地球はそのひとつに過ぎない。比較惑星気象学の視点から、火星、金星、木星の大気環境と地球の大気環境の違いを考察する。

宇宙から見た地球環境: 地球環境は、非常に複雑な構造をもつが、地球から遠く離れて地球を見ると、意外に簡単な物理環境にあり、地球環境は安定な状態に保たれている。地球が吸収する太陽放射エネルギーと、地球からの放射される赤外線のエネルギーのバランスで宇宙から見たときの地球の温度が決まる。また、大気に温室効果気体が含まれるために、宇宙から見た地球の温度と地表面温度との間に違いが生じる。これが温室効果である。
 
授業の詳細3
大気循環: 大気と海水の循環によって、太陽放射による加熱の地域差が再分配され、地球が受ける太陽放射に大きな地域差があるにもかかわらず、気温は平滑化されている。このような熱の再配分に重要な役割を果たしている大気循環の構造を学ぶ。

海水の循環: 大気は地球全体を覆い、かつ、グローバルによく攪拌されている。一方、海洋は大陸によって仕切られているので、地域的な循環が卓越する。一方、全体の海水はひとつながりになっているので、長期的には、グローバルに海水が混合されている。海洋は、地球表層の貯熱槽として、気候の形成に大きな役割を果たしているのと同時に、エルニーニョ現象を発生させて、異常気象をもたらす。このような海水循環の構造を学ぶ。

水の循環: 地球環境の最大の特徴は、水が大気中で気相から液相、固相に変化することであろう。そして、大気循環から分離して、地上にもどる。すなわち、降水現象が生じる。これに伴い、潜熱が解放され、大気が加熱される。また、地球の大気層の半分は、常に、雲に覆われ、太陽放射を反射するのと同時に、地球から宇宙に逃げる赤外線を吸収する。雲と降水の特徴は、きわめてゆらぎが大きいということである。そのメカニズムを学ぶ。
 
授業の詳細4
気候の形成: 気候は地域によって大きく異なる。また、気候の変化にも地域性がある。気候の地域性は、降水量と気温に支配される。世界の気候区分は、主に植生によって分類されるが、植生は降水量と気温による所が大きい。気温は緯度と高度によって変化する。降水量は大陸の配置や大気循環の構造に支配される。また、都市域には、都市独特の局地的な気候がある。

地球環境のライフサイクル: 生物の生活には、日変化、年変化などの環境の周期的な変化に対応したリズムがある。一方で、誕生、成長、成熟、死というような一過性のライフサイクルがある。地球環境も、生物と同じように、周期的な変化と一過性の変化が重なっている。ここでは、特に、約10万年周期の氷期と間氷期の交代を取り上げ、そのメカニズムについて考察する。

生物のいる惑星: 地球の最大の特色は、生物が発生し、多様に進化してきたことである。過去の生物相は、従来、化石を基に再現されてきたが、DNAの発見以来、DNAの塩基配列の置換数を基に、生物の進化を論じられるようになった。生物に進化に関する最近の考え方を紹介する。
 
授業の詳細5
環境変化と生態系: 生物の生存は環境の状態と密接に関連している。生物は進化の過程で、ある程度、環境に適応できる能力を獲得したが、限度を超えて環境が変化すると生物は絶滅する。ここでは、深海熱水系、エルニーニョなどの環境適応を例にして、環境変化と生態系の応答との関係を学ぶ。

地球内部の変動: 長い時間スケールでみると、地球内部も常に変化している。過去の変化を調べるためには、過去の時間を計ることが必要である。地質学は、地層の積み重なりや化石の種類によって過去の年代を決定してきた。それに対して、地球物理学的な手法で過去の年代を決定する方法が開発され、地球内部の変動の様子がよく分かるようになった。同位体年代測定法や古地磁気学に基づいた絶対年代のデータが蓄積された結果、プレートテクトニクスの概念が生まれたことを学ぶ。

地震と火山: 日本列島は、プレートの沈み込み帯に形成された弧状列島で、地震帯と火山帯の真上にある。日本列島の地表面の環境は、地震と火山が作ったといっても過言ではないであろう。一方、地震と火山噴火は大きな自然災害を生むので、その予測が強く望まれるが、現在では、成功していない。日本では避けることのできない地震と火山のメカニズムを学ぶ。
 
授業の詳細6
日本の気象: 日本列島は、中緯度帯(温帯)に存在するが、英国やフランスに比較すれば低緯度にあり、亜熱帯気候と亜寒帯気候の影響を受ける。また、ユーラシア大陸の東の端に位置しているために、アジアモンスーンの影響も大きい。そのため、四季によって気象の支配要因が交代し、四季の変化が顕著に現れる。このような日本の気象を特徴つける気象のメカニズムを学ぶ。

大規模な気候の変化: 太陽活動はきわめて安定しているので、地球上には大規模な気候の変化は起こらないようにみえる。しかし、地球表層には、過去に大きな気候の変化があったことがわかっている。その原因は何だろうか。地球が吸収する太陽放射量を変化させる要因としては、雲が重要である。また、大規模な火山噴火によって、大量の火山灰が成層圏まで吹き上げられ、日射を遮る。もうひとつの要因として、海水の深層循環の変動がある。このような大規模な気候変化を起こす要因について考察する。

人為的な環境変化: 人口が増加し、人類の活動が活発になるにつれて、人類の存在が自然環境に与えるインパクトが次第に増加している。具体的には、2つの問題がある。ひとつは、地表面の性状を人為的に変えることによって、自然の営みに影響を与えることである。都市、水田、砂漠の灌漑、ダムなどがその例である。もうひとつは、工業生産や日常生活に伴う廃棄物を自然界に捨てることによって、大気環境や水環境に影響を与えることである。一方で、人工降雨など、人為的な気象の制御が試みられている。このような人間社会と自然環境の関係について学ぶ。
 
授業の詳細7 「成績について」
AA:特に優れた成績を示したもの
A:優れた成績を示したもの
B:良好と認められる成績を示したもの
C:合格と認められる成績を示したもの
F:不合格

「開講時期(予定)」
2学期(本登録は7月ごろ)
履修を希望するものは6月末ごろに行う予定の放送大学履修登録説明会に出席し、配布する専用の申請書を必ず提出すること。

「テキスト」
放送大学より送られてくる資料を使用する。

注意:4年生は原則履修できない。(理由:放送大学の試験結果通知が本学の卒業認定時期と同時期であるため卒業判定が困難となります。2・3年次での履修を推奨します。)

(その他何かわからないことがありましたら教務学生部までお越しください) 
授業の詳細8  
授業の詳細9  
授業の詳細10  


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