科目名 |
科学的な見方・考え方 |
担当教員 |
放送大学 |
対象学年 |
2年,3年 |
クラス |
学部:自然002 |
講義室 |
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開講学期 |
2学期 |
曜日・時限 |
集中 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
「主任講師」 濱田 嘉昭(放送大学教授)
「講義概要」 私たちの生きる環境はますます複雑になり、さまざまな情報が溢れている。意図的に本質を覆い隠すような宣伝もある。何が正しく何が根拠のないものであるかの判断が極めて重要になっている。科学的な見方・考え方が、そのような判断をする場合の有益な指針になると考える。特に自然科学で鍛えられ、経済現象や社会現象にも適用できる強固で確かな見方・考え方を身につけることが重要と考える。この講義では、自然科学での考え方を中心にしつつ、それ以外の分野でも重要と思われる事柄を、なるべく例を挙げながら考えていくこととする。
「授業の目標」 科学的・論理的な見方や考え方を実例に即して紹介し、日常生活にも役立つような見方・考え方を身につけることを目標とする。 |
授業の詳細2 |
1.科学とは何か 科学的だから絶対正しいとか、科学ですべてがわかるわけではないとかいう議論がある。科学とはどのようなものか、またその守備範囲はどの程度かをはっきりさせておく必要がある。また科学の成り立ちや科学の現状を知っておくことも重要である。
2.科学的方法 日常生活で起こるさまざまな事柄や自然現象に規則性や法則性を見出して、なぜそのようになるのかを説明し、将来はどうなるのかを予測することが科学の役割の1つである。その場合に、どのような方法論があるかを紹介する。そして、それぞれの長所と短所を理解しておくことが大切である。
3.情報の分類 多くの現象では複数の要因が絡んでおり、それらの要因の質を見分けて分析することが重要である。日常生活においても、議論の前提あるいは対象を明確に区別しないで、物事を論じたり批判したりすることが意思不疎通の原因にもなっている。これらについて考えて見よう。
4.領域の拡大 私達の認識や言葉は五感を通じた情報をもとに形成されてきた。しかし、自然や現代社会の現象の範囲はそれ以上の広がりを持っている。見えないものを見えるようにするはどのような方法があるか、また独断や誤謬に陥ることを避けるにはどのような工夫があるのかを考える。
5.原因と結果 複数の現象の間に関連があるかどうかを判定する必要が生じることがある。特に原因と結果の関係を導くときに注意しなければならない。環境問題のように複雑に絡み合った問題には、これらの混同あるいは検証なしの議論に陥りやすいように思われる。また、たくさんの要素は単純に集合し、勝手に運動しているのではなく、さまざまな原因で影響しあっていることにも注意する必要がある。 |
授業の詳細3 |
6.分析と統合 物事の成り立ちや働きを解析する場合、要素に分けてその性質を調べ、それらの結果を総合して判断するという「要素から総合へ」という科学の伝統的な方法がある。一方で、全体の性質あるいは目的を把握し、それはどのような成分が関わりあった結果であるかを分析する方法もある。これらのアプローチの仕方の違いについて考える。
7.真実とは何か 私達が見聞きし、そこから得た生の結果は事実であったとしても、必ずしも求める真実そのものとは限らない。測定にはさまざまな誤差が絡んでいる。また、求める真実の姿は予め明確になっているわけではない。真実に近づく方法について学ぶ。一方、そもそも真実とは何かについても、理科系的事柄と文科系的事柄では異なる場合があるので、それらについても考える。
8.モデル化 調査によってデータが得られたら、それらを説明するモデルを構築する。そのモデルが妥当なものかどうかは実際の現象によって判定される。一方、モデルに含まれるパラメーターをどの範囲まで拡張して良いのか、すなわち、モデルの適用範囲も検討する必要がある。モデルとは何かについても考えてみる。
9.抽象化と概念化 個別の現象は事実ではあっても、それらを無限に数え上げられるものではないし、物事を理解したことにはならない。本質的な部分を法則として確立しておき、具体的な説明や予測は、それに必要な条件を入れて実行できるはずである。抽象化あるいは概念化によって、個別の数え上げでは到達しえない地平に理解を拡張することができる。
10.要素とシステム 現実世界は多数の要素から成り立っている。それらは単なる集合ではなく、さまざまな要素とその集合が階層的に積み重なり、連動している。各階層では、独自の論理・法則が形成される。個人から社会への発展はその典型的である。これらの階層性が生じるメカニズムおよびシステムの特徴について考えたい。 |
授業の詳細4 |
11.普遍性と多様性 少ない法則でたくさんの事柄が説明できれば、それだけ有効な説明手段を持ったことになる。一方、このような普遍性では汲みつくせぬ豊かで多様な世界もある。これは科学の部門による違いも反映しているが、現実のどの側面を見るかによっても異なってくる。
12.巨視的見方と微視的見方 巨視的見方と微視的見方はどの分野にも必要な観点である。自然現象のみならず、例えば、経済現象、社会生活といった場合でも、国、地域、家族や個人で問題の質が変わってくる。これらをどのように整理するか、分析するかで答えの出し方も異なってくるであろう。
13.科学と教育 科学は自然・社会現象を観察(実験・調査)して、データを分析し、法則を導き出す行為である。その結果は自然言語と数理論理で述べられる。したがって、科学の理解には自然言語論理および数理論理をどの程度駆使できるかが重要である。特に教育段階では、その影響は大きい。このような問題について、教育、言語などの立場からも検討する。
14.科学の使命 技術や科学の社会に対する影響に関して、否定的な意見もある。それは科学・技術がわれわれの日常生活に大きな影響を及ぼしていることの現われでもある。技術の進歩と社会が調和していないこと、環境問題など負の影響が出ていることによると思われる。科学の役割について考える。
15.役に立つ見方・考え方 科学的な見方や考え方は科学のための理論あるは解釈に留まるものではない。日常生活のあらゆる場面で用いることのできる優れたものである。どのように用いたら良いのか、実例を挙げて考えてみたい。 |
授業の詳細5 |
「成績について」 AA:特に優れた成績を示したもの A:優れた成績を示したもの B:良好と認められる成績を示したもの C:合格と認められる成績を示したもの F:不合格
「開講時期(予定)」 2学期(本登録は7月ごろ) 履修を希望するものは6月末ごろに行う予定の放送大学履修登録説明会に出席し、配布する専用の申請書を必ず提出すること。
「テキスト」 放送大学より送られてくる資料を使用する。
注意:4年生は原則履修できない。(理由:放送大学の試験結果通知が本学の卒業認定時期と同時期であるため卒業判定が困難となります。2・3年次での履修を推奨します。)
(その他何かわからないことがありましたら教務学生部までお越しください) |
授業の詳細6 |
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授業の詳細7 |
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授業の詳細8 |
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授業の詳細9 |
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授業の詳細10 |
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