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タイトル「2008年度シラバス」、フォルダ「2008年度シラバス?人文・社会科学等科目
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 検証:日本の都市 
担当教員 荒木 英昭 
対象学年 1年  クラス 学部:人社002 
講義室   開講学期 2学期 
曜日・時限 時間外  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 講義目標及び講義概要
「都市」は魅力的な生き物である。わが国には、東京のような大都市から香美市のような地方の中小都市まで、たくさんのいろいろな都市が存在し、それぞれ異なる立地条件のもとで栄えたり、衰えたり、衰退の予感に立ち向かって振興策を講じたりしているが、どれもが興味尽きない観察対象である。いま、日本の経済・社会は大変革期にあるが、日本の主要都市の最新の動向を映像を用いるなど実地に即して講述することにより、激動する地域経済の動向を認識し、都市問題を考える基礎的知識とする。 
授業の詳細2 講義計画
1. 基礎的知識の整理
(1)人口 1)住民登録人口 2)国勢調査人口
(2)「都市」の定義 1)「市」2)「人口集中地区」 参考)東京 東京都と東京都特別区部
(3)2005年10月1日国勢調査結果の概要 1)わが国の人口の趨勢、2)都市別人口ランキング、3)高知市、松山市等四国の主要都市の概況
(4)平成の大合併  明治の大合併、昭和の大合併に続く平成の大合併の意図とその概況
2.わが国の地域構造と都市の盛衰
徳川幕府300年の治世のもと、各大名は、川を治め、産業を興し、日本各地に独自の特色を持つ城下町を育ててきた。明治維新以後我が国は工業立国を目指し、特に戦後は中央政府主導のもと、国土の均衡ある発展を国策としたが、それでも、首都圏や名古屋圏等の勝ち組的地域と、大部分の地方圏との格差は開くばかりである。幕藩体制以後の我が国の地域構造の変遷、都市の分布・展開・盛衰の経緯と現況の概略を頭に入れる。
3.都市間競争の荒波に遭遇しつつある地方中核都市
高知市のような県庁所在都市を始め、各地方の生活圏の中心であるいわゆる地方中核都市は、いま、興隆するか衰退するか難しい分岐点にある。これら各中核都市の動向が、日本の国土構造の将来を左右するのではないかと思われる。これら地方中核都市の将来を学生と一緒に議論し考えたい。札幌、仙台、広島、福岡のいわゆる地方中枢都市は他の主要な地方中核都市より一ランク上の都市力を持っていると見られている。これら地方中枢都市なるものと、高知市等地方中核都市との差は何なのか、今後その差はどうなるのかを考える。


 
授業の詳細3 4. 日本国内でだけひとり勝ちの東京及び東京圏
江戸時代、江戸はロンドンやパリよりも人口が大であった時期さえある。明治維新以来の首都東京の発展、関東大震災・戦災からの復興、高度経済成長の過程において東京並びに首都圏が巨大化してきた経緯と、一極集中・過密化を抑制しようとしてきた行政を概観する。
 日本国内においては、大阪以下の諸都市と圧倒的な力の差を示してひとり勝ちの様相を示しながら、国際的にはその中枢的地位が下落しつつあるなど東京の抱えている諸課題を摘出する。
  また、神戸とともに戦前から日本を代表する国際貿易港であった横浜、さいたま新都心の整備が進むさいたま市等東京圏の主要業務各都市の動きを概観する。
5.東京に対して地盤沈下が著しい大阪市及び近畿圏
江戸時代から商都として発展してきて、明治以降は工業都市として日本経済の中枢であった大阪の歴史を学ぶとともに、東京に対して地盤沈下が著しい大阪並びに近畿圏の現状と課題を概観するとともに、独自の古い歴史と文化を持つ京都,神戸のこれまでの長い軌跡を概観し、新しい動きを知る。
6.独自の道を行く名古屋市及び名古屋圏
東京と大阪の中間という位置にあり、世界のトップクラスの製造業の諸企業を輩出し、その豊かな経済力に支えられ、独自の道を行く名古屋市と名古屋圏を概観する。               
7.人口減少と赤字財政に苦悩する地方中小都市
全国に点在する多くの地方中小都市は、無名の小都市でもそれぞれ、それなりの長い経緯を背負って存在しているのであり、これら、各自治体の存在に温かい視線を注いでやらなければならない。地方圏に存在する各市町村の果てしなく続く人口減と財政赤字に悪戦苦闘している実態と努力を学ぶ。
8.高知工科大学と盛衰をともにする香美市
 高知工科大学が立地している香美市の経緯と現状を概観し、工科大と地域との連携の概況、わが国の筑波や関西等の他の研究学園都市の事例や欧米の魅力的な大学都市の事例を学んで将来を展望する。
 
授業の詳細4 9.魅力的な新しいニュータウンづくりの企図と挫折
戦後、大都市圏や、地方中枢・中核都市圏に数多く建設されたニュータウンの計画・設計を紹介し、その企図したものと、住民の老齢化、タウンセンターの衰微等の課題を検証する。
10. 地方都市の自立・発展への模索
(1)地方における工業と都市
工業振興による地域発展は、高知工科大学を創設した高知県を始め各県・各都市が目指す方向でもあるが、企業は経済合理性に基づき投資行動をしている。企業城下町とも言うべき工業都市が地方に展開してきた歴史や、高度経済成長期に、東北や九州の遠隔地にI.C.関連や自動車関連の大工場が数多く立地したことを知り、その後のいわゆる空洞化の影響を概観し、今後を展望する。
(2)特色ある都市、面白いまち
都市間の競争が激しくなるなかで、都市も差別化が重要と言われ、全国のいろいろな都市が、それぞれ工夫をこらしてまちづくりをしている。特色あるまち、参考にすべき面白い事例等を紹介する。
 定住人口は少なくとも、交流人口は増やしたいと各都市は知恵を凝らしている。各地でテーマパークが作られ、道の駅、趣向を凝らせた温泉等も数多く整備されつつある。しかし、夕張市を始め観光による地域振興は無残に失敗した例も少なくない。
11. 海外諸都市の例に学ぶ
 上海、シンガポール等アジアの諸都市は意欲的に都市整備を行っている。ヨーロッパにおいては大中小の各都市がそれぞれ素晴らしい魅力を保っている。これら海外の学ぶべき特色ある例を学ぶ。
12.総括
各類型別に講述してきた前回までの講義を総括的に振り返り、特記すべきこと等を整理し、不十分な点を補強し、日本各地の如何なる都市といえども、それぞれ見殺しにはできない大切さを認識する
 
授業の詳細5 13.試験
 ノート、参考書等持込不可、記述式の回答を求める設問もあり得る。
 
授業の詳細6 ◆テキスト: 特になし。講義時に要点を整理したレジュメを配布し、ホームページに講義メモを所載。
◆参 考 書:『都市データパック2008年版、東洋経済』、『地域経済データCD-ROM、東洋経済』総務省統計局編『平成17年国勢調査 全国・都道府県・市区町村別人口』、福原正弘『新訂身近な地理学、古今書院』、『世界の都市の物語、文芸春秋及び文春文庫』の両シリーズ(パリ、ロンドン、東京等)、インターネットによる主要都市のホームページ等各都市の情報は、当講義期間中だけでもこまめに開いてみること。 
◆成績評価: 東京、高知等講義で取り上げた主要都市の概略の特徴を大きな落ちなく記述できればC。誤字や都市名等に適切に漢字を用いない答案(例えば「札ぽろ」、「こうち市」)は厳しく減点する。
自分が育った郷里のまち等自分がたまたまよく知っている都市のことでも他のひとに要領よく説明する能力を身につけてほしい。それらの都市が抱える問題点を要領よく指摘・記述できればAA。
◆備  考: 同時に履修するのが望ましい科目=「都市問題」「人文地理学」。

 
授業の詳細7  
授業の詳細8  
授業の詳細9  
授業の詳細10  


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