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タイトル「2008年度シラバス」、フォルダ「2008年度シラバス?人文・社会科学等科目
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 人文科学特別講義1 
担当教員 赤澤 威 
対象学年   クラス 学部:人社001 
講義室   開講学期 2学期 
曜日・時限   単位区分  
授業形態 一般講義  単位数  
準備事項  
備考  
授業の詳細1 講義の目的と概要
 人類史700万年とは、猿人の登場から現代の新人ホモ・サピエンスの登場に到るまで、消えていく「旧人」と新時代を切り拓く「新人」の交替劇の繰り返しだったという見方ができる。とすれば、われわれ現代の地球人は次なる交替劇に向かって、その渦中に身をおいていることになる。そのわれわれの行く末を考える上で、4万年前以降、世界各地で人類史上最後の交替劇を演じた旧人ネアンデルタールと新人ホモ・サピエンスの間でいったい何があったのか、なぜホモ・サピエンスに軍配が上がったのかを知ることは有益である。その真相のなかにわれわれの行く末を考えるためのヒントが見つかるかもしれないからである。 
授業の詳細2  交替劇の最大の舞台のひとつが、西アジアの西端を地中海に沿って南北に走る全長約1000キロメートルの帯状の盆地、死海地溝帯である。現在のヨルダン、イスラエル、レバノン、シリアといった国々の国境線沿いに走るこの一帯は、今日の国際情勢のもとでしばしばマイナスイメージで語られ、「危機的な状況」だとまでいわれる国際舞台であるが、かつては、アジアとヨーロッパの間の懸け橋となり、人類史を彩るさまざまな事件の舞台となりながら長大な歴史と洗練された古代文明を発展させてきたことは周知である。そして、それに先立つ遙か以前、遡ればヒトの誕生以来数百万年間、人類揺籃の地アフリカ大陸とユーラシア大陸との懸け橋として、アフリカ出身のさまざまな初期人類がユーラシア大陸に移り住む際に最初に足を踏み入れた場所、言ってみれば最古の移住回廊の役回りを演じた場所でもあった。
 そして死海地溝は、人類史上最後の交替劇、言い替えれば現代人の起源論争の最大の舞台のひとつである。私の四十年来のフィールドである。その地でかつて交替劇を演じた旧人ネアンデルタール(20万年前-)、新人の祖先プロト・ホモ・サピエンス(10万年前-)、新人ホモ・サピエンス(4万年前-)の足跡の宝庫である。彼らのなかのあるものは消えていき、あるものは生き残り現代の地球人の祖先となったわけだが、なぜ新人ホモ・サピエンスに軍配が上がったのか。旧人ネアンデルタールから新人ホモ・サピエンスが直接生まれた、言い替えれば両者の系譜を血縁のある親子関係のようなものだったとみる連続進化説が否定された今日だからこそ、両者の間でいったい何があったのかが話題となる。 
授業の詳細3  さて、最近の研究から、両者は一時期、世界の各地で共存共栄していたこと、その間、交流することはあっても、暴力的に一方が他方を駆逐するとか、一方が他方を吸収するといった状況による交替劇は想定できないことになった。そして残るのは両者の能力差による説明モデルである。旧人ネアンデルタールは行動や認知能力において新人ホモ・サピエンスに能力的に劣り、両者の生存戦略上にも優劣が生じ、結果として旧人ネアンデルタールの社会は崩壊し、かれらは消滅してしまったというシナリオだ。分かりやすいが実証化するのは至難である。だが、人文学の危機が喧伝される昨今、その役割と責任のとり方を身をもって実践するとすれば願ってもないフィールドであり、共同研究に取り組んでいる。その研究の現状を以下のコンテンツに従って報告する。 
授業の詳細4 (1) ヒトの進化の研究は遺跡の発掘から:シリア・デデリエ洞窟の発掘
  2月7日(木)9:30?
  赤澤 威
  赤澤が1987年以来取り組んでいるネアンデルタール洞窟デデリエの発掘と人骨研究の
 最前線の紹介
(2) デデリエ洞窟の発掘の発掘に参加して:他流試合のはじまり
  同 10:40?、13:10?
  山本優太:社会システム工学コース・高木方骭、究室・修士2年
  宮崎倫理:     同         同     同1年
  赤澤 威
  2007年夏、遺跡発掘をはじめて体験した学生諸君が工学と遺跡調査のこれからに
 ついて語る。
(3) ヒトの進化の道筋について
  同 14:50?
  赤澤 威
  700万年前アフリカの地で誕生したヒトのその後の進化の道筋を、地球を舞台とする移
 住拡散運動という視点から探ってみる。
 
授業の詳細5 (4) 旧人ネアンデルタールと新人ホモ・サピエンスの交替劇について
  同 16:30?
  赤澤 威
  人類史上最後の交替劇を演じた旧人ネアンデルタールと新人ホモ・サピエンスの間でいっ
 たい何があったのか、なぜ新人ホモ・サピエンスに軍配が上がったのか、その真相を知るこ
 とがなぜ重要か、等について考える。
(5)交替劇と旧石器技術革命
  2月8日(金)10:00?
  赤澤 威
  旧人ネアンデルタールと新人ホモ・サピエンスの間で技術格差が生じ、旧人の社会は崩壊
 することになった。勝ち残った新人ホモ・サピエンスが演出した旧石器技術革命について考
 える。
(6)なぜ新人ホモ・サピエンスに軍配上がったのか
  同 13:10?
  赤澤 威
  最後の交替劇の原因を探るにはどのような研究が必要になるか。人文学・生物学・工学の
 連携研究の実際について考える。
 
授業の詳細6 成績評価
出席状況とレポートを総合的による評価を行う。 
授業の詳細7  
授業の詳細8  
授業の詳細9  
授業の詳細10  


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