科目名 |
応用化学概論 |
担当教員 |
細川 隆弘,小廣 和哉 |
対象学年 |
2年 |
クラス |
学部:自然001 |
講義室 |
K101 |
開講学期 |
1学期 |
曜日・時限 |
月1,木1 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
講義の目的 ガソリンや灯油はいうにおよばず,医薬品や香水など私達の身の回りにあるものの多くは化学物質である.ポリ袋として利用されているポリエチレンは,エチレン分子をつなげたポリマーと呼ばれる物質からできている.日常生活にはさまざまなプラスチックが使われ,化学の知識がうめ込まれている.私達の身体をささえているタンパク質は,アミノ酸分子がつながったネックレスのような有機分子である.これらの物質についての知識は,豊かな人間らしい生活のために必要である.この講義では,日常生活に活用されている「化学」の応用と,「化学」を通して人の営みを学ぶ.「化学」の体系は,教科書である「図表から学ぶ化学」(化学同人)で学習する.
講義の進め方 毎回の講義では,教科書である「図表から学ぶ化学」(化学同人)の各章の事項を先ず学習する.続いて,その章に関連する最新の話題を中心として「化学」の実生活への応用を講義する.さらに,日常生活に活用されている「化学」を通じて,人間の営みに関するものの見方・考え方を学ぶ.毎回,講義で述べたキーワードを講義終了時に提出する.
達成目標 1. 化学とは「分子の科学」であることを理解する. 2. 日常生活に不可欠な化学製品,特に石油化学製品,プラスッチク製品,医薬品の基礎的知識の理解ができる. 3. オゾン層破壊や二酸化炭素問題に関連する環境の化学が理解できる. 4. 化学の歴史を通じて人間の営みとしての「化学」を理解する. |
授業の詳細2 |
講義計画 1. 化学の歴史-錬金術と煉丹術- 銅や鉄などの卑金属を純金に変えようとした錬金術は,その行為を通じて「一なるもの全なるもの」を求めていた.物質観の変遷を通じて,錬金術者の夢と現代の化学の役割を話題にする.
2. 化学の基礎-化学記号とはどのような記号か- 元素記号の組み合わせで表わされる物質の表記法を概説する.物質の性質の理解するために,分子の概念と化学結合を学ぶ.また,原子の電気陰性度を取り上げる.
3. 化学の基礎(2)-キーワードは「分子」- オゾン層を破壊する分子から化学の基礎に接近し,化学反応を体系的理解する方法について概説する.
4. 有機化学の基礎-分子の性格を決める「官能基」- 有機化学の基礎を理解するために,共有結合の仕組みを解説する.有機化学の壮大な体系を概観し,有機分子の性格を決める「官能基」をエチルアルコールを例に取り学ぶ.
5. 石油とその変身 油田から掘り出された原油からナフサと呼ばれる留分が得られる.これを熱分解するとエチレン,プロピレンが生成する.これらはさまざまな化学製品の原料となる.石油が合成繊維,プラスチック ,合成ゴム等に変身する化学反応について学習する.
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授業の詳細3 |
6. ポリエチレンとナイロン-付加重合と縮重合- 日本の絹産業に大きな打撃を与えたナイロンの発見は,絹を「高分子」(巨大分子)という概念でとらえたことに起因する.ポリエステル,アクリル繊維や染料など衣服のファッションを豊にする化学の基礎知識を学習する.
7. 高分子化学-熱硬化性と熱可塑性- 有機分子をつなぐ重合反応の種類と身のまわりにある種々のプラスチックの関係について学習する.自然の中で分解するプラスチックについても述べる.
8. 病気とたたかう化学(1)-ペニシリンとアスピリン- ペニシリンとアスピリンを取り上げ, 健康の維持と疾病の予防に必要な身近な医薬品について概説する.ペニシリン発見の経緯を通じて「偶然」の意味するものを考察する.
9. 病気とたたかう化学(2)-抗生物質,その光と影- 人間の細胞を傷つけず病原菌だけを殺す有機医薬品-化学療法剤と抗生物質-について概説する.また,抗生物質の乱用についての危険性を述べる. 専門的な話題を加えた以下の項目に関しては適時講義する.
10.分子認識 ある分子が他の分子を識別して選択的な相互作用を及ぼし,高度に洗練された機能を発現することを分子認識という.生体内で進行する物質・エネルギー・情報の変換や伝達,貯蔵など生命活動を支える機能もこの分子認識なくしては発現されない.この分子認識を化学の立場から概説する. |
授業の詳細4 |
11.自己組織化 生物・無生物を問わず,秩序が自発的に形作られるような現象を自己組織化とよぶ.この自己組織化による高次構造体の構築法とその応用としての生体機能模倣化学,ナノ材料,分子素子等について学ぶ.
12.大気の化学 地球上の生命にとって極めて重要な大気の物質量は,地球全体からみると約0.005%の存在量しかない.したがって,ほんのわずかな異物が混入してもその性質を大きく変える.大気中での様々な物質の循環を化学的見地から概説する.
13.水循環 地球の水圏では絶えず水が循環しており,大気にも絶えず水が出入りしている.この循環の量的側面について概説する.また,河川や湖沼の水の水質について解説する.
14.超臨界水の化学 水を加圧しながら加熱してゆくと374℃,218気圧で臨界点に達し,この更に加圧・加熱すると超臨界水と呼ばれる状態になる.また,臨界点付近で水は大きく性質を変え,超臨界水のは通常の水には見られない様々な物性や反応性が見られる.超臨界水のもつ諸物性と,その応用技術について学ぶ.
15.光機能物質 光機能は物質に光があったときの物質の応答によって発現する.光(電磁波)の一般的性質と光吸収の意味.有機化合物の光物性と発現機能について解説する. |
授業の詳細5 |
成績評価
出席率,キーワード提出及びレポート4回で評価する. ◆ AA: 出席率90%以上で,キーワード提出及びレポートから達成目標1〜4に充分達していると判断される. ◆ A: 出席率80%以上で,キーワード提出及びレポートから達成目標1〜4に到達していると判断される. ◆ B: 出席率70%以上で,キーワード提出及びレポートから達成目標1〜4にほぼ達していると判断される. ◆ C: 出席率65%以上でキーワード提出及びレポートで達成目標1〜3に達していると判断される.
---------------------------------------------------------------------- ◇テキスト: 「図表で学ぶ化学」,大城芳樹,平嶋恒亮著(化学同人) ◇参考書: マクマリー著「有機化学概説第5版」,伊東椒・児玉三明訳,東京化学同人 ◇履修上の注意: この講義は,物質・環境システム工学科で開講されている「有機化学序論」及び「有機化学」と相補的な関連を持っている. ◇履修前の受講が望ましい科目: 「有機化学序論」及び「有機化学」 |
授業の詳細6 |
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授業の詳細7 |
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授業の詳細8 |
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授業の詳細9 |
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授業の詳細10 |
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