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タイトル「2008年度シラバス」、フォルダ「2008年度シラバス?専門科目(知能)
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 知能機械システム工学特別講義6 
担当教員 楠川 量啓 
対象学年 4年  クラス 学部:専門001 
講義室 K201  開講学期 2学期 
曜日・時限 火2  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 講義の目的
  
高機能化する機械・構造物の合理的な開発,設計を行なうためには使用する材料の力学的特性を十分に把握しておくことが重要である.この授業では固体材料,主に金属材料の弾性,塑性および強度などの機械的性質を原子スケールの微視的観点から解説し,これらの巨視的挙動との関係を理解してもらう.このことにより材料を使用する立場の知能機械技術者として,材料を合理的に選択し使用するための基本的知識を習得してもらう.

講義の進め方
  
材料の機械的性質について復習した後,金属材料の結晶構造の種類と格子欠陥について理解してもらう.次に強度と密接な関係のある微視的な塑性変形とこれら格子欠陥との関係を述べ,材料を強化するにはどのような方法があるのかを述べる.最後に脆性破壊,延性破壊,疲労破壊あるいは腐食といった実際の材料の損傷,破壊の各問題についてそのメカニズムを微視的に考察していく.講義を通して,理解を深めるため数回の課題を出すのでこれをレポートとして提出してもらう.
 
授業の詳細2 達成目標
  
1. 結晶構造と格子欠陥を理解する.また,結晶面と方位と記述するミラー指数の意味を理解する.
2. 材料を強化する方法とそのメカニズムについて理解する.
3. 各種破壊の種類と特徴を理解する.

 
授業の詳細3 講義計画
  
1. 科目内容と目的および評価方法
 本授業の全体的説明を行なう.また,応力とひずみ,降伏応力や延性といった材料の機械的性質に関する復習を行い基本的知識の整理をする.
2. 結晶構造
 金属材料の基本的な結晶構造には体心立方構造,面心立方構造および稠密六方構造の3つがある.これらがどのような原子配列となっているのかを解説し,結晶の面と方位を記述するためのミラー指数を理解してもらう.
3. 格子欠陥
 実際の金属材料は完全結晶ではなく不完全な部分,すなわち格子欠陥を多く含んでいる.これら格子欠陥を点欠陥,線欠陥(転位)および面欠陥に分類し,それぞれがどのような状態になっているのかを理解してもらう.
4. 微視的塑性変形
 金属の塑性変形はすべりと双晶の2つのメカニズムにより生じる.ここでは主にすべりによる塑性変形について解説し,原子間モデルによりその臨界せん断応力の理論値を導く.このモデルにより求められる理論的降伏応力と実際のそれとは桁違いに差が生じるが,これを説明するため前回解説した格子欠陥が重要な役割を果たすことを理解してもらう.
 
授業の詳細4 5. 金属材料の強化機構
 前回の授業で金属材料の強さは線欠陥(転位)の運動の難易により決まることを述べた.この転位の運動を妨げる方法,すなわち材料を強化する方法をいくつか解説し,そのメカニズムを理解してもらう.また,このような強化機構を利用した実際の材料にどのようなものがあるかを紹介する.
6. 破壊と疲労
 材料の破壊を分類しその特徴を解説する.実際の材料が破壊する直接的および間接的原因として疲労がその80%を占めることから,疲労破壊について特にその詳細を説明する.
7. 腐食と摩擦,摩耗
 材料の表面は内部と異なり周囲の原子が半分取り除かれた境界であるため,内部に比べてエネルギーが高い状態にある.このため化学的,物理的に特徴的な挙動を示すことになる.これら表面で生じる損傷等の問題のうち腐食と摩耗の問題を取り上げ説明する.
8. 期末試験
 
授業の詳細5 テキスト:
『材料の強度と破壊の基礎』村上理一,金允海,楠川量啓 著(西日本法規出版,2005)
ISBN 4-86186-224-8 ,¥2,400

成績評価:
課題の過半数を提出し,期末試験を受験した受講生について以下の基準で成績を判定する.
◆A:期末試験において達成目標に挙げた項目の全てを満足しうる解答をした.
◆B:期末試験において達成目標に挙げた項目の2つの項目を満足しうる解答をした.
◆C:ほぼ全ての課題を提出し,達成目標に挙げた項目の1つの項目を満足している.

履修の注意:
関連科目:物体の変形,材料・強度設計
  授業では電卓を持参のこと
 
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