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タイトル「2008年度シラバス」、フォルダ「2008年度シラバス?専門科目(物・環)
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 物理化学序論 
担当教員 角 克宏 
対象学年 1年  クラス 学部:専門001 
講義室 B107  開講学期 1学期 
曜日・時限 月2,木2  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 講義の目的
物質は、三つの異なった物理的な状態、気体・液体・固体で存在することができる。この講義では物質の三態について詳細に解説し、さらに溶液やコロイドの性質を理解する。さらに、化学反応におけるエネルギーの出入りに関して化学熱力学の立場から議論する。

講義の進め方
  
 講義は基本的にPowerPointのスライドを使って,図,写真やムービなどの映像をまじえながら行う。また,講義では宿題を出すので,レポートとして次回の講義までに必ず提出する。

達成目標
1.理想気体の状態方程式を理解し,使えるようにする。
2.気体の法則に関して分子運動論的理解をする。
3.分子間力(水素結合,ロンドン力など)を理解する。
4.固体の結晶のうち立方格子を特に理解する。
5.水の状態図を理解する。
6.ラウールの法則を理解する。
7.熱力学第一法則を記憶し,エンタルピーを理解する。
8.エントロピーの概念についての予備知識を習得する。(エントロピーの本質的な理解は極めて難しいので,ここでは完全に理解できなくてもよい。ただし,2年次に開講される「物理化学」において熱力学を学習するのでそのための準備としてここで備える。)
9.自由エネルギーと自発的物理変化との関係を理解する。

講義計画
  
1.序論:講義内容と目的,気体の性質: ボイルの法則・シャルルの法則
 まず,本講義の目的,達成目標,講義内容の概論,および評価法を説明する。気体の体積とその圧力の関係(ボイルの法則)および気体の体積とその温度の関係(シャルルの法則)について学ぶ。さらに、ゲイ-リュサックの法則を加えて、より統合された気体法則を理解する。

2。気体の性質:理想気体、グラハムの法則
 ドルトンの分圧の法則とアボガドロの原理を学び、先のボイルの法則とシャルルの法則を加えて理想気体の状態方程式が導かれることを学ぶ。さらに,気体が小さな孔から流出する時の法則として知られるグラハムの法則について学習する。
 
授業の詳細2 3.気体の性質:分子運動論と気体の法則
 ボイルの法則,分子速度の分布,温度と気体の法則,グラハムの法則,ドルトンの分圧の法則など種々の気体の法則を分子運動論的に理解する。さらにファンデルワールスの実在気体の状態方程式について学習する。

4.物質の状態と分子間力 - 気体・液体・固体の性質と分子間力
 分子でできた物質に液体や固体が存在するのは分子間力があるからである。分子間力と表面張力や蒸発などの現象との関わりを理解する。さらに、分子間力の種類について学習する。

5.物質の状態と分子間力- 液体の蒸発熱・蒸気圧・沸点と凝固点
 液体の蒸発における物理的性質や諸現象について扱う。蒸発熱や蒸気圧に関して理解し、沸点に関して学習する。また、液体の凝固における物理的性質についても学ぶ。


6.物質の状態と分子間力- 結晶性固体と格子、結晶の種類
 結晶性固体に関して、X線回折などの結晶の解析法、立方格子などの結晶格子における原子の配列法、さらに分子性・イオン性などの結晶の種類について学習する。

7. 物質の状態と分子間力- 液晶、状態の変化と状態図
 液晶に関して簡単に学ぶ。ついで、加熱・冷却過程における状態変化を学び、気体、液体、固体の間の平衡曲線である状態図を理解する。

8.溶液の物理的性質とコロイド - コロイドと溶液、溶液の溶解過程
 液体を含む混合物には懸濁液、コロイドと溶液がある。それぞれについて解説するとともに、特に溶液に関して詳細に学習する。溶液の濃度を学び、さらに液体溶液中の溶解過程について理解する。

9.溶液の物理的性質とコロイド - 溶解熱と溶解度、溶液の蒸気圧(ラウールの法則)
 まず、溶解熱と溶解度に関して、学習する。さらに、溶液の蒸気圧と溶液の組成との関係を学び、ラウールの法則を理解する。さらに、この法則を基に分留の原理を理解する。

10.溶液の物理的性質とコロイド -溶液の束一的性質と浸透圧
 蒸気圧降下、沸点上昇、凝固点降下などの溶液の束一的性質について学習する。さらに、浸透現象について解説し、浸透圧と溶液の濃度との関係(ファント・ホッフの式)を理解する。また、電解質溶液における束一的性質についても解説する。
 
授業の詳細3 11.化学熱力学 - 熱力学第一法則と熱化学
 化学的・物理的過程に伴うエネルギー変化について議論する。よく用いる用語に説明した後、最も基本的な法則、熱力学第一法則について学習する。仕事と熱エネルギーの関係を学習し、エンタルピーという新しい熱力学関数、Hを定義することにより、一定圧力での化学反応の熱化学を理解する。

12. 化学熱力学 - ヘスの法則、標準状態および結合エネルギー
 ヘスの熱量和の法則について学び、生成熱、標準生成熱、さらに結合エネルギーなど、ヘスの法則によって計算される種々の反応熱について理解する。

13. 化学熱力学 - エントロピーと熱力学第二法則
 熱力学にはもう一つ重要な法則がある。すなわち、熱力学第二法則である。これは、エントロピー増大の法則ともよばれる。このエントロピーに関して、簡単に解説する。

14.化学熱力学 - 自由エネルギーと有効な仕事
 化学反応が熱力学第二法則に従って自発的に起こることを理解するのに、ギブスの自由エネルギー、Gという熱力学状態関数を導入すると、より便利である。この自由エネルギーGに関して学習し、自由エネルギーと有効な仕事との関係を理解する。

15.期末試験

16-18. 演習,補習授業,小テスト等を随時行う。

授業の詳細5 テキスト:
ブラディ『一般化学(上)』 J.E.BradyoG.E.Humiston著、若山信行・一国雅巳・大島泰郎 訳 (東京化学同人) ISBN4-8079-0347-0¥2850 [このテキストの下巻は無機化学序論で使用される.]

参考書1:
『化学入門』井口洋夫・木下實 (実教出版)

成績評価
試験とレポートにより評価する。
AA: 講義内容全般にわたって,非常によく理解している。
A:気体・液体・固体・溶液,熱化学・熱力学など状態とエネルギーに関してほぼ理解している。
B:気体・液体・固体・溶液,熱化学・熱力学など状態とエネルギーに関して7割以上理解している。
C:気体・液体・固体・溶液,熱化学・熱力学など状態とエネルギーに関して半分以上理解している。

履修上の注意
演習では関数付き卓上計算機(関数電卓)を必ず持参すること。中間試験および期末試験では関数電卓の持込可能。
 
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