戻る
タイトル「2008年度シラバス」、フォルダ「2008年度シラバス?専門科目(物・環)
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 材料科学 
担当教員 前田 敏彦 
対象学年 2年  クラス 学部:専門001 
講義室 B106  開講学期 2学期 
曜日・時限 火3,金3  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 講義の目的
 物質のもつ機械的・電気的・磁気的・光学的・熱的性質(物性)は多様である.我々はそれらを利用し,物質を材料として使う.あるいはまた,望む性質を持つ物質を創り出す.この講義では,金属,半導体,磁性体,超伝導体などの固体物質・材料の示す性質がその結晶構造や電子の振る舞いからどのように導かれるのかを理解しよう.そして,性質を制御する方法についても学習する.


講義の進め方
 基本的に板書で行うが,適宜 PowerPoint 等も使用する.また必要に応じプリント等講義資料を配付する.随時小テスト(演習)を実施する.

達成目標
 金属,セラミックス等における主要な結晶構造を理解し,それらの特徴を説明できること.物質が示す多くの性質は電子の振る舞いに基づいて説明できることを理解すること.物質を材料として使用するために施される種々の工夫についての知識を習得すること.  
授業の詳細2 講義計画

1. Introduction(講義の概要,基本的事項の確認)
物質と材料とは異なる概念である.材料は人間にとって有用でなければならない.しかし,良い材料を創り出すためには物質の性質(物性)についての理解が不可欠である.
2. 原子の構造
原子は正の電荷を持つ原子核と負の電荷を持つ電子とから構成されている.電子のエネルギーはとびとびの値を持つ.電子の軌道という概念を学ぶ.
3. 結晶構造 -I
固体物質の結晶構造は原子間の結合の性質(金属結合,共有結合,イオン結合など)に依っている.金属の結合は等方的であり密につまった構造をとる.IV 族の C や Si は方向性が強い共有結合の物質でダイヤモンド構造をとる.
4. 結晶構造 -II
イオン性結晶の構造を決定する重要な因子は,陽イオンと陰イオンの半径比である.この比が大きいほど陽イオンのまわりの陰イオンが増えてくる.高分子などでは,分子が弱い力で結びつけられて分子結晶をつくる.
5. X 線回折
X 線などの波長が原子間距離と同程度の放射線は結晶の原子面によって特定の方向にのみ強く反射(回折)され,その方向は Bragg の条件によって定まる.X 線回折法は物質の同定に不可欠の手法であるだけでなく,未知の物質の構造を決定することにも使われる.
6. 電気伝導度
個々の原子に束縛された電子は,決まったエネルギー準位(軌道)に存在している.固体になると,これらの軌道は重なって,エネルギーバンド(帯)をつくる.エネルギーバンドの構造が物質の電気・光・熱的性質を支配する.この回では金属のエネルギーバンドの特徴について学ぶ.
7. 半導体のバンド構造
Si や Ge には電子で満たされた価電子帯と空の伝導帯との間に電子が存在できないエネルギギャップがあり,半導体となる.半導体では,不純物を添加してキャリア(伝導電子・正孔)の種類と濃度を調節する.
8. 中間試験(50 点満点) 
授業の詳細3 9. 誘電体 -I
誘電率は物質の電気的な分極特性を表す量である.大きな誘電率を持つ物質はコンデンサに使用される.
10. 誘電体 -II
圧電素子が外力により起電力を発生するのも電気分極の結果である.自発分極を示す誘電体を強誘電体という.
授業の詳細3 11. 熱現象
比熱・熱膨張率・熱伝導率のような熱的性質は,格子を組む原子の振動と自由に結晶中を運動する電子とに依存している.固体の比熱は主として格子比熱である.金属の熱伝導率が大きいことは自由電子の存在によって説明できる.
12. 光電現象・熱電現象
半導体にバンドギャップ以上のエネルギの光をあてるとキャリアができる.二種類の金属や半導体を接触して熱を加えると起電力が生じ,逆に電流を流すと熱の発生・吸収が起きる.これらの現象は太陽電池や冷蔵庫などへ利用されている.
13. 磁性
磁性は,電子の運動や電子・原子のもつ磁気モーメントから生じる.磁場の中におかれたとき,多くの固体は磁場と同じ方向に磁化される(常磁性).鉄やニッケルでは,磁場をかけなくてもスピンが平行に揃い強い磁化を生じる(強磁性).
14. 超伝導
超伝導はマクロな量子現象である.この現象の微視的な理論を定性的にとらえる.完全導電性(永久電流),完全反磁性,ジョセフソン効果など超伝導特性の応用は広範である.
15. 期末試験(50 点満点) 
授業の詳細4 ◆テキスト:特に指定しない
◆参 考 書
(1) C. Kittel 著,宇野良清 他訳,「固体物理学入門(第 7 版)」(1998 年,丸善).
(2) A. Guinier・R. Jullian 著,渡辺正・黒田和男 訳,「固体の科学」(1992 年,マグロウヒル).
(3) 佐久間健人・井野博満 著,マテリアル工学シリーズ 1「材料科学概論」(2000 年,朝倉書店).
◆成績評価
二回の試験の合計点が 95 点以上であれば AA、80 点以上を A、70 点以上を B、60 点以上を C とする。A、B、C については、小テストの内容等を最大で 20 点程度まで考慮する.ただし,二回の試験の受験と試験を含む全授業の三分の二以上の出席とを合格の必要条件とする.
◆備考:
◆受講前の履修が望ましい科目:先端材料工学,基礎化学,物質・環境基礎力学,物質・環境基礎電磁気学,物理化学序論,無機化学序論,有機化学序論,無機化学,物性物理学基礎,計測と解析,材料プロセス工学. 
授業の詳細5  
授業の詳細6  
授業の詳細7  
授業の詳細8  
授業の詳細9  
授業の詳細10  


Copyright (c) 2006 NTT DATA KYUSHU CORPORATION. All Rights Reserved.