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タイトル「2008年度シラバス」、フォルダ「2008年度シラバス?専門科目(物・環)
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 基礎化学 
担当教員 角 克宏 
対象学年 1年  クラス 学部:専門001 
講義室 B104  開講学期 1学期 
曜日・時限 火1,金1  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 講義の目的
 物質を理解する上で,化学は欠かせない学問である。本講義では,ブラディの「一般化学」の教科書を使って,高校で化学を修得しなかった学生にも化学の全くの初歩からわかりやく解説する。特にモルの概念,化学量論,周期表,原子の構造,電子構造および化学結合に関しての基礎を念入りに学習する。

講義の進め方
 講義は基本的にPowerPointのスライドを使って,図,写真やムービなどの映像をまじえながら行う。また,講義では宿題を出すので,レポートとして次回の講義までに必ず提出する。

達成目標
1. モルの概念を理解する。
2. 化学量論を理解し,化学量論に関する計算ができるようにする。
3. 電子配置と周期表の関係を理解する。
4. s,p,d,f軌道の空間分布を確実に識別,記憶する。
5. ルイス構造式を書けるようにする。
6. 混成軌道を理解し,空間分布を識別,記憶する。
7. 分子軌道法の基礎概念を理解する。


 
授業の詳細2 講義計画
  
1. 序論:講義内容と目的,有効数字と単位,元素・化合物・混合物および原子量
 まず,本講義の目的,達成目標,講義内容の概論,および評価法を説明する。測定値に関する有効数字の意味や単位について学習する。また,元素,化合物および混合物について,その違いについて学ぶ。さらに,化学を学習する上で極めて重要な原子量について理解する。

2. 化学量論:モル・分子量・式量
 化学を初めて学ぶ学生にとって,モルの概念を理解することはしばしば困難を伴う。しかし,この理解無くして化学の理解は始まらない。ここでは,モルの定義を学習する。更に分子量および式量を学習し,モルの概念を確実に理解する。

3. 化学量論:化学式および化学方程式・モル濃度
 種々の化学式について学び,さらに化学方程式を学習し,化学量論について理解する。限定反応物質,理論収量や収率の計算に関する知識を学ぶ。さらに,溶液に関して,溶液のモル濃度および溶液反応における化学量論に関して解説する。
 
4. 周期表と原子の構造:元素の分類・周期表
 原子は1種類ではなく,いろいろな種類の原子が存在するが,この原子の種類のことを元素と呼ぶ。元素の最も簡単な分類法の一つに,金属,非金属,メタロイドの3種類の元素に分類することがある。これら3つの分類法に関して説明する。また,元素を分類するのにメンデレーフが最初に成功した周期表について,歴史的展開を解説するとともに,現代の周期表に関して解説する。
 
授業の詳細3 5. 周期表と原子の構造:原子の構造
 原子の存在はドルトン以降,確かなものとして受け入れられたが,なぜ物質がそのように反応するかにつては理解できず,原子の構造が明らかになる現代物理学の発展を待たねばならなかった。ここでは,まず,そのきっかけになった電子について解説する。さらに,放射能,ラザフォードの実験,陽子の発見,中性子の発見など原子の構造に関する重要な発見について解説し,原子の構造を理解する。

6. 電子構造と周期表:原子スペクトルとボーア理論
 電子構造を推定するには原子から放出される光を分析しなければならない。しかし、その前に光とは何のかを学ばなければならない。その後、原子スペクトルについて学習し、それを理解するためにボーアの理論について解説する。

7. 物質の波動性:波動力学
  古典論では、電子は電荷も質量も測ることのできる粒子であるとして疑われない。しかし、量子論では波であるという。ここでは、電子の波の性質を探り、電子が波として振る舞うという波動力学の考え方によって種々の電子が軌道を形成していることを学ぶ。更に、電子の回転(スピン)とパウリの禁制原理について学ぶ。

8. 元素の電子配置:周期表と電子配置
 電子が原子の軌道に分配される法則性を学び電子配置を理解する。また、電子配置を理解することにより、周期表がなぜ独特な形を持っているのかについて解説する。
 
授業の詳細4 9. 電子の空間分布- 軌道の形と原子構造による性質の変化
 電子密度という概念を導入すると軌道の形が図示できる。s軌道、p軌道およびd軌道の形を説明し、原子の大きさや性質の周期性について学習する。

10. 化学結合 - イオン結合と共有結合
 ルイス記号について学び、化学結合において大きな二つの部類に分けられるイオン結合と共有結合について論ずる。ボルン?ハーバーのサイクルを学び、イオン結合の安定性を議論する。共有結合においては、ルイス構造を学び、オクテット則およびその例外について学習する。

11. 化学結合 - 共鳴、電気陰性度、化合物の命名
 ルイス構造の描き方を学び、極性分子と電気陰性度について学習する。また、化合物の命名法についても基礎を学ぶ。

12. 共有結合と分子構造 - 分子の形
 化学結合によって形成される分子の数は膨大であるが、分子を形成する原子の配列の仕方はむしろ限られている。VSEPR理論(原子価殻電子対反発理論)について学び、分子の形を理解する。さらに、分子の極性と分子構造の関係を学ぶ。

 
授業の詳細5 13. 共有結合と分子構造 - 原子価結合理論と混成軌道
  VSEPR理論は分子の形を予言するには役に立つが、基本的な疑問には答えていない。すなわち、原子の軌道との関係が説明されていないのである。化学結合の重要な考え方には二つあるが、ここではその一つである原子価結合理論について解説する。さらに、混成軌道について学び、分子の形を理解する。

14. 共有結合と分子構造 - 分子軌道理論
 原子価結合理論とは異なるもう一つの化学結合の重量な理論に分子軌道理論がある。この理論に関する概略を説明するとともに、O2やN2などの同核二原子分子における磁気的性質をこの方法で説明できることを学ぶ。また、非局在性分子軌道について学び、ベンゼン環の分子軌道を学習する。

15. 期末試験

16-18 演習,中間試験,補習講義,小テストなどを随時行う。
授業の詳細5 テキスト:
ブラディ『一般化学(上)』 J. E. Brady, G. E. Humiston著、若山信行・一国雅巳・大島泰郎 訳 (東京化学同人) ISBN4-8079-0347-0¥2850
[このテキストは物理化学序論でも使用する。尚、無機化学序論では下巻を使用する。]

参考書1:
『化学入門』井口洋夫・木下實 (実教出版)

成績評価
試験とレポートにより評価する。
AA: 講義内容全般を非常によく理解している。
A:モル計算を含む化学量論,原子構造や電子構造,化学結合論に関してほぼ理解している。
B:モル計算を含む化学量論,原子構造や電子構造,化学結合論に関して7割以上理解している。
C:モル計算を含む化学量論,原子構造や電子構造,化学結合論に関して半分以上理解している。

履修上の注意
演習では関数付き卓上計算機(関数電卓)を必ず持参すること。中間試験および期末試験では関数電卓の持込可能。

 
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