科目名 |
ヒューマンインターフェース概論 |
担当教員 |
任 向実 |
対象学年 |
3年 |
クラス |
学部:専門001 |
講義室 |
A106 |
開講学期 |
2学期 |
曜日・時限 |
月3,木3 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
授業の目的
ヒューマンインタフェースとは人間とコンピュータとの接続部を意味するものであり、両者の相互作用を研究する分野である。具体的には、コンピュータの使い勝手を高めるための技法を開発し、その運用法を考えることである。そこには、コンピュータ科学のみならず、人間工学、心理学、社会学など多方面の分野が交錯し、極めて学際的な研究分野が形成される。本講義では、まず人間の特性を知り、次にコンピュータの特性を知り、その上に立って両者の円滑なインタラクションを得るにはどうすれば良いかを知るという進め方をとる。本講義の目的は、基礎理論、モデリング手法から始まり、入出力インタフェース、人間とコンピュータのコミュニケーション、協同作業のインタフェースからインタフェースの評価までヒューマンインタフェースを体系的に修得することであり、これを受講することにより以下の能力が身につく。 (1)人間、および、コンピュータの特性が理解できる。これにより、人間とコンピュータをモデル化しシステマティックに考える能力が培われる。 (2)人間とコンピュータの接点の本質が理解できる。これにより、ユーザの立場に立ってコンピュータを考えることができるようになる。 (3)実社会に出てから新製品の企画、設計、開発に携わるときに必要となる知識と技術の基礎的な部分が修得できる。 (4)本講義ではコンピュータを対象としてヒューマンインタフェースを論じているが、その考え方はコンピュータだけでなく、工場における生産機械、野外における作業機械など他の人工物に対しても通じるものであり、他の分野に敷衍できる能力が涵養される。 |
授業の詳細2 |
授業の進め方
ヒューマンインタフェースの全貌と個別要素が習得できるよう、講義は次の順で進める。 (1) 最初に前回の講義のテーマの復習を行うことにより、講義全体の流れを把握する。 (2) 次に今回の講義で学ぶテーマの位置付けと概念を解説することにより、今回の講義の意義を理解する。 (3) 次に教科書に従って今回の講義のテーマを解説する。教科書は平易に書かれているので、読むだけで理解することができる。したがって、講義では、個別に書かれていることを表にして整理して見やすくする、箇条書きにする、体系的に纏めるなどして理解度を深めるようにする。また、そのテーマの歴史的推移、他のテーマとの関係など教科書に書かれていないが知っておくと役立つことを補足しながら解説する。さらに、最新の研究動向をプロジェクタで投影しながら紹介するとともに、機会があれば著名な研究者を講師に招いてホットな解説をしてもらうなど、本物の研究に触れてもらう。 (4) 講義の最後には本日、学んだことのまとめを行う。 (5) 重要なテーマについては別途演習時間を設け、応用問題を多く解くことにより理解度を深める。応用問題はネットショッピングにおける画面構成をはじめ、実際的なものを選んでおり、将来、就職してからも役立つものとなっている。応用問題を解いている時には教員またはTAが巡回しており、随時質問を受付け、また、適切なアドバイスを行うことによりスムーズに解くことができるようになっている。解いた結果はホワイトボードを用いて学生に解き方を発表してもらう。教員はそれに対してコメントおよび添削を加える。これにより、発表の仕方および解答の文章の書き方が習得できる。 (6) 最後の講義では新製品を開発する過程について述べ、ヒューマンインタフェース見地から如何なる提案ができるかについて議論する。本講義は、学生が将来、企業に就職して製品開発を行うときに着目すべき視点、開発の進め方を技術的観点のみならず、組織論、キャリアアップの観点からも述べており開発現場を意識したものとなっているのが特色である。
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授業の詳細3 |
達成目標
1.人間、および、コンピュータの特性が理解でき説明できる。 2.人間とコンピュータの接点の本質は対話型システムであることが理解できその入出力インタフェースについて説明できる。 3.人間とコンピュータのコミュニケーションの手段としてノンバーバルコミュニケーション、音声インタフェース、マルチモーダルインタフェース、空間型インタフェースが理解でき説明できる。 4.コンピュータが複数の人間の作業を支援する協同作業支援のインタフェースが理解でき説明できる。 5.インタフェースの評価においてその目的を明確にする手法および評価手法が理解でき説明できる。 |
授業の詳細4 |
授業計画(1/2)
上記目標を達成するため、次の順で講義を進める。演習は重点的な単元を補強するために行うものであって、必ずしも水曜日に実施するものではないから注意すること。 1.ヒューマンインタフェースとは ヒューマンインタフェースの定義を明らかにするとともに概要を説明する。次に、その目的、情報社会における役割について講述し、学習の動機付けを行う。さらに、ヒューマンインタフェースの体系を概説し、本講義の全体像を明らかにする。 2.人間の知覚、感覚、生理特性 ヒューマンインタフェースを理解するには、まず、人間を知ることが必要である。目・耳など知覚・感覚で如何なる特性があるか、また、脳波・心電図など生理指標で如何なる特性があるかを述べる。 3.人間の認知と理解 人間には心があり、心の機能的な側面として認知特性がある。認知科学の概要、ヒューマンモデル、アフォーダンスについて述べる。 4.対話型システムのデザイン ヒューマンインタフェースの変遷を概説するとともに、製品のデザイン目標とユーザ特性との関わりについて述べ、良いデザインについて考察する。 5.入力インタフェース コンピュータへの入力手段としてはコンピュータに情報を直接的に入力するものと間接的に入力するものとがある。ここでは、直接的な入力手段としてキーボード、間接的な入力手段としてマウスとペンを取り上げ、その役割とこれまで開発されてきた方式について説明する。 6.ビジュアルインタフェース(1) 人間がコンピュータから情報を受け取るには、情報を視覚化する仕組みが重要である。代表的な表示方式であるGUIの基本概念とウィンドウシステムの構成について述べる。 7. ビジュアルインタフェース(2) 情報視覚化の概念と目的を述べ、それを実現するために必要な情報表示技術、および、情報操作技術を概説する。 【演習1】入出力インタフェースに関する演習 8. 中間試験 ヒューマンインタフェースの中で、人間の特性と入力インタフェースに関する試験を実施し、これらの習得状況を把握する。 |
授業の詳細5 |
授業計画(2/2)
9.人間とコンピュータのコミュニケーション(1) コンピュータへの間接的な入力手段は人間とコンピュータのコミュニケーションを人間と人間とのコミュニケーションに近づけるという特性を持つ。このようなものとして、ノンバーバルコミュニケーション、音声インタフェースについて述べる。 10.人間とコンピュータのコミュニケーション(2) コンピュータへの間接的な入力手段の続編として、身振りインタフェース、表情インタフェース、マルチモーダルインタフェースについて述べる。 【演習2】コンピュータへの間接的な入力手段に関する演習 11.空間型インタフェース(1) 通常使用しているコンピュータのモニタの画面は2次元である。しかし、人間が生活している3次元空間での作業を支援するにはそれとは異なる空間型インタフェースが必要である。コンピュータが作り出した3次元空間を利用するバーチャルリアリティについて述べる。 12.空間型インタフェース(2) コンピュータの中に仮想世界を作り出すのではなく、実世界の作業現場をコンピュータ内に持ち込んだ実世界志向インタフェースについて述べる。 13.協同作業支援のインタフェース コンピュータが複数の人間の作業を支援するときには、人間同士の作業が円滑になるようなインタフェースを提供する必要がある。マルチユーザインタフェースを持つ協同作業支援に必要な共有空間の概念とその構築方式について述べる。 【演習3】空間型インタフェースに関する演習 14.インタフェースの評価 インタフェースを設計するとその評価が重要になってくる。評価の目的を明確にする手法、各種の評価手法について概説する。 15.クォータ末試験 ヒューマンインタフェースの基礎から応用までに関する試験を実施し、これらの習得状況を把握する。 |
授業の詳細6 |
成績評価
演習、中間試験および期末試験で達成目標への到達度を評価する。 ◆C:総合的に見て達成目標全体の60%に到達した場合 ◆B:総合的に見て達成目標全体の70%に到達した場合 ◆A:総合的に見て達成目標全体の80%に到達した場合 ◆AA:総合的に見て達成目標全体の90%に到達した場合 但し、達成目標全体の50%以上であった場合、追レポートでCの基準に達しているかの成績判定を行うことがある。
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授業の詳細7 |
◇テキスト 『ヒューマンコンピュータインタラクション』, 情報処理学会編(オーム社) 必要に応じて参考資料を配付する。 ◇参考書 『ヒューマンインタフェース』,田村博編(オーム社) 『ヒューマン・インタフェース』,田村博編(コロナ社) その他に必要な参考書は講義中に適宜紹介する. ◇備 考:なし ◇履修の前提となる必須科目:なし ◇事前の履修が望ましい科目:「知覚と認識」、「計算機システム」 |
授業の詳細8 |
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授業の詳細9 |
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授業の詳細10 |
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