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タイトル「2008年度シラバス」、フォルダ「2008年度シラバス?専門科目(社会)
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 プロジェクト評価 
担当教員 渡邊 法美 
対象学年 3年  クラス 学部:専門001 
講義室 B101  開講学期 2学期 
曜日・時限 火2,金2  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 【授業の目的 】
経済成長国と経済成熟国における社会資本整備プロジェクトの意義と効果を理解し,地域をより豊かにする公共的事業の評価の考え方ならびに手法の基礎を習得することを目指す.

【授業の進め方】
授業は3部から構成される。
第一部では,「豊かさ」とそれを実現する「開発」について考える.文献・指標・映像等を通して,経済成長国と経済成熟国、さらには現代の日本社会における豊かさと開発を様々な視点から討議し,これらを多面的に理解することを試みる.
第二部では,プロジェクト評価方法の基礎を学ぶ.プロジェクトの効果,財務分析と経済分析,社会的割引率,現在価値変換,プロジェクト採択の基準,事後評価などの考え方と手法を学ぶ.
第三部では,第二部の応用として,環境保全プロジェクトの評価方法の基礎を学ぶ.環境の価値を計測する手法としてよく用いられるCVM(Contingent Valuation Method: 仮想的市場評価手法)の基礎と応用を学ぶ.
この授業は,14回の講義と1回の期末試験からなる.講義の他に1回の環境保全に関するフィールドワークを予定している.フィールドワークを通して,高知の自然環境の保全状況とその重要性を肌で実感した後,CVMを用いて高知の自然環境の価値を計測する演習を行う.

【達成目標】
1. 「豊かさ」と「開発」に関する様々な考え方や定義を理解している.
2. 社会資本整備プロジェクトの効果,並びに利用者効果の考え方を理解している.
3. 財務分析と経済分析の相違が理解している.
4. 社会的割引率を理解し,将来発生する価値を現在価値に変換する「現在価値変換」を実施することができる.
5. プロジェクトの採択基準を理解し適用することができる.
6. 事後評価の考え方について理解できる.
7. CVMを理解し、現実の問題に適用することができる. 
授業の詳細2 【授業計画】
第一部:「豊かさ」と「開発」について考える
1. 経済成長国と経済成熟国における豊かさとは−講師の個人的経験を通して感じた経済成長国と経済成熟国における豊かさを出発点として,豊かさとは何かを様々な視点から検討する.そのことによって,プロジェクト評価という題材を勉強する意義を明確にする.
2. 地域の豊かさとは−医療が崩壊しつつある中で,必死にそれを食い止めその再建を果たそうとする地域の人々の活動を紹介するドキュメンタリー番組を鑑賞する.それを通して,「地域の豊かさとは何か」,「豊かさをどう創造・維持できるのか」を考える.
3. 開発とは何か?−ADB(アジア開発銀行)が提唱する「黄金の四角形」,並びにその中の一つである「ジニ係数」の考え方を学ぶ. 
授業の詳細3 【授業計画】
第二部:プロジェクト評価方法の基礎を学ぶ
4. プロジェクトの効果と算定−プロジェクトの効果を理解する.その中で特に利用者便益に着目し,それをマーシャルの消費者余剰を用いてもちいて算定する方法を習得する.
5. 財務分析と経済分析−両者の相違を理解する.
6. 社会的割引率と現在価値変換−両者を正確に理解し,現在価値変換(将来発生する価値を現時点での価値に変換する手法)を習得する.
7. プロジェクト採択の基準−純現在価値,費用便益比,内部収益率を理解し,様々な状況において最も好ましいプロジェクトを採択するための考え方を学ぶ.
8. 事後評価の考え方−事後評価は日本では緒に就いたばかりである.ここでは,アジア開発銀行で実施されてきた事後評価の手法と考え方に触れる.
9. 演習−以上の項目の理解を深めるために,演習を行う. 
授業の詳細4 【授業計画】
第三部:環境保全プロジェクトの評価方法の基礎を学ぶ
10. 環境保全フィールドワークにおけるリスクマネジメント−フィールドワークはグループ(3-4名)毎に実施する.フィールドワークを実施するにあたっては,様々なリスクが存在する.各グループで,どのようなリスクが存在し,どのような対応策を実施すべきかを検討する,リスクマネジメントを実施する.
11. 環境保全フィールドワーク−高知の自然環境の保全状況と保全活動の重要性を肌で実感する.
12. 環境保全プロジェクトの便益の測定方法(1)−様々な測定方法の概要を理解する.
13. 環境保全プロジェクトの便益の測定方法(2)−CVMの基本原理を理解する.
14. 環境保全プロジェクトの便益の測定方法(3)−環境保全フィールドワークの経験を活かして,CVMを用いたアンケート調査を作成し,その分析を試みる.
15. 期末試験 
授業の詳細5 【成績評価】
 試験,出席状況,課題レポートの結果を総合して評価する.
成績評価は以下のように行うが,フィールドワークのレポートを成績評価の一部に利用することがある。
◆AA:特に優れた成績を示したもの
◆A :優れた成績を示したもの
◆B :良好と認められる成績を示したもの
◆C :合格と認められる成績を示したもの
◆F :不合格
 具体的な評価方法は,第一回の講義において説明する.

【テキスト】
講義時配布

【参考図書】
H. A. Adler, “Economic Appraisal of Transport Projects,” The Johns Hopkins University Press, 1987
土木学会編「海外交通プロジェクトの評価」、鹿島出版会、1986
ジョン・ディクソン「新・環境はいくらか」、築地書館、1998
ディクソン、ハフシュミット「環境の経済評価テクニック−アジアにおけるケーススタディ」、築地書館、1993
中村英夫編「道路投資の社会経済評価」、東洋経済新報社、1997
栗田啓子「エンジニア・エコノミスト」東京大学出版会、1992
協働→参加のまちづくり市民研究会編「私のだいじな場所−公共施設の市民運営を考える」、2005 
授業の詳細6  
授業の詳細7  
授業の詳細8  
授業の詳細9  
授業の詳細10  


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