科目名 |
国際協力 |
担当教員 |
村上 雅博 |
対象学年 |
4年 |
クラス |
学部:専門001 |
講義室 |
B104 |
開講学期 |
2学期 |
曜日・時限 |
火3,金3 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
授業の目的 国際開発協力システムは、主に発展途上国における持続的開発と環境管理に係わるプロジェクトを事例に、国連(世界銀行、国連大学、UNDP等)や日本政府(外務省、JICA等)の開発援助システムについて学び、地球規模で問題になっている貧困の撲滅や環境衛生改善そして地域紛争の解決・予防に向けての国際協力プロジェクトを自らのアイデアと構想力で計画する企画能力を身につけることを目標としている。
授業の進め方 教材は国連関係のレポート(英文、統計資料、インターネット検索情報を含む)および人間開発・社会開発・平和協力等のモデルプロジェクトのビデオ(英語と日本語)を用い、繰り返し解読・書き取りする課題演習を段階的に重ね、社会開発調査プロジェクトの企画書(プロポーザル)を作成する能力を養成する。 基本的に講義・演習はディクテーションを中心に英語(読み、聴き、書き)で行われるため、学部1〜2年次の英語授業の単位取得やTOEICには十分な配慮と注意が必要。
達成目標 国際協力の基本的な用語(英語)と内容を理解し英語で説明でき、フロンティアとして発展途上国の“国創り、人創り”に係わるプロジェクトに参画することが出来る素養を身につける 国際社会と発展途上国の関係を理解し、国際協力における問題の所在を見出して課題を整理し、”Think Globally and Act Locally”の視点から一つの課題について考察して説明することが出来る。 日本の政府開発援助やNGO/NPOと関係を理解し、国際社会における日本の国際協力のあり方および問題の所在や課題について論理的に考えを整理して、貧困削減や人間の安全保障の問題について具体的な解決策をエンジニアの視点から提案し、方法や戦略を示すことができる。 |
授業の詳細2 |
授業計画
1.国連システム-概説 第二次世界大戦を通じて設立された国際連合(United Nations)の誕生と歴史的な背景、目的と国連憲章について解説し、国連委員会や組織IDA, IFC, IMF, ICAO, UPU, ITU, WMO, IMO,WIPO, IFAD, UNIDO, GATT, UNU)が果たす役割と意義および問題点と課題について考察する。
2.国連の役割-平和のための課題 平和維持と平和構築を目的とした最近の国際連合の差し迫った役割とその限界を解説ビデオ(英語・日本語)をもとに、要旨および問題点と課題の抽出を小論文形式でとりまとめる。平和の意味とは?国連は必要か?<課題演習>。
3.国連と安全保障-軍縮と平和構築 国際連合(United Nations)と国際社会の課題(安全保障、軍縮・核拡散防止、国際平和協力)について、とくに東西冷戦構造崩壊前後の国連の果たす役割と意義の変化について解説し、地域紛争の解決・予防と国連平和維持(PKO)の問題点と課題について考察する。
4.日本の政府開発援助 日本の政府開発援助(ODA)の背景、目的、方向性、戦略、組織について解説し、事業実施機関である国際協力事業団(JICA)が発展途上国の社会経済開発に果した役割と意義および変貌する国際政治システムの流れの渦中にあるが故に大きく援助の理念を変更したODA大綱(1992年)について学ぶ。
5.日本国憲法と国際協力の原点 日本の国際協力と平和構築について日本国憲法のテキストと解説ビデオ(NHK)をもとに、要旨および問題点と課題の抽出を小論文形式でとりまとめ、日本の紛争の問題点と平和的解決策について考察する。<課題演習>
6.国際平和協力プロジェクト 1999年に勃発したコソボと東チモールにおける地域紛争から、紛争解決とPKO問題等の解説ビデオ(英語、日本語)をもとに、平和主義と基本的人権の擁護を目的とした平和維持活動の問題点と課題の抽出を小論文形式でとりまとめ、日本の平和貢献と開発協力(援助)について考察する。<課題演習>。
7.課題演習発表(プレゼンテーション) 直接的・間接的に現実に我々が世界で経験している代表的な国際協力の問題と課題について、エンジニアの思考過程で重要な役割を果たしているシステムを理論的に考察し、自身の問題提起を英語のパワーポイントにとりまとめてプレゼンテーションを行う。 |
授業の詳細3 |
8.国連と社会経済開発 国際連合(United Nations)とグローバルな社会・経済開発(Economic sand Social Development)について、貧困問題、食料問題、環境問題、人口問題、難民救済に焦点をあて、地球環境時代の開発戦略についての新パラダイムについて考察する。
9.人間開発と社会開発 国際協力事業団(JICA)が実施した社会開発プロジェクト等の解説ビデオ(英語)を例に聞き取りながら(ヒアリング)、要旨をノート・メモ形式でとりまとめ、ベーシック・ヒューマン・ニーズに基づいた貧困撲滅と参加型開発プロジェクトの意義および問題点と課題の抽出を行う<課題演習>。
10.青年海外協力隊(JOCV) ボランティア性を有するが故に、青年海外協力隊の活動は、開発途上地域の住民と一体となって生活し、働き、彼らの言葉を話し、相互理解を図る国際協力の原動力の一つにもなっている。大学で学び社会で仕事を経験した若い力が、開発途上国の国づくり、人づくりに協力する青年海外協力隊の背景、意義、目的、方向性、戦略について学ぶ。
11.貧困の複合と弱者のための新経済学 深刻化する南北問題と格差を拡大させた貧富のギャップをうめるための新たな開発戦略を貧困の経済学というユニークな視点で問い直した解説ビデオ(英語)をもとに、基本的人権の擁護と生きる権利を目的とした経済開発協力の問題点と課題の抽出を小論文形式でとりまとめ、日本の国際貢献(援助)について考察する。<課題演習>。
12.地域紛争と貧困の複合-中東和平プロセスと国際協力 中東和平プロセスと国際協力の解説ビデオ(英語、日本語)をもとに、日本と共に、米国、カナダ、ドイツ、イギリス、フランス、ノールウェー等で同時に実施されている二国間援助プログラムと多国間にまたがる国連の開発プログラムの背景、目的、方向性、戦略について比較し、日本の戦略的な国際協力の方向性と平和維持活動(PKO)および予防外交に係わる問題点と課題について考察する。
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授業の詳細4 |
13.文理融合(シナジー):国際法 東西冷戦構造の崩壊に伴い政治・経済システムの枠組みが変貌していく過程で、国際河川であるドナウ川に建設されたガブシコバ・ダムの運用と環境保全の是非をめぐり、スロバキアとハンガリーが国家の威信をかけてハーグ国際司法裁判所で抗争したケースの一部を解説したビデオ(英語)を例に聞き取りながら(ヒアリング)、国境をまたがる大規模開発プロジェクトと環境保全の相克する問題点と課題の抽出を行う<演習>。
14.日本の国際貢献-開発と文化 21世紀の日本と国際貢献(NHKビデオ収録)をヒントに“開発と文化”をもとに、開発と経済と文化の相克、文化の破壊と創造、目に見える・顔のある国際貢献、国際社会とシステム、なぜ言葉・外国語を学ぶ、日本にない新しい概念を知る、人口問題と地球の破滅、人類の黄昏、インターネットと宗教、多産・多死、PKO、地域紛争、難民・人道援助、予防装置、地域協力、平和外交、NGOの役割、宗教(イスラム)と人口増加、国家権力と大学・学問、反権力、人道援助と政治、開発と発展、伝統・歴史・文化について学ぶ。
15.課題演習発表(プレゼンテーション) 直接的・間接的に現実に我々が世界で経験している代表的な国際協力の問題と課題について、エンジニアの思考過程で重要な役割を果たしているシステムを理論的に考察し、自身の問題提起を提案書(ポロポーザル)にまとめ、英語のパワーポイントによるプレゼンテーションを行う。 |
授業の詳細5 |
テキスト: 村上雅博、“水の世紀”、日経評論社、2003年
参考書: 1) 後藤則行偏、村上雅博、他、”エコブームを問う -東大生と学ぶ環境学-“、学芸出版社、2005年 2) 監修/福岡克也、村上雅博、他、”国際河川と紛争:地球環境データブック2004-05”、ワールドウオッチジャパン, pp.214-221, 2004年 3) Masahiro Murakami, “Managing Water for Peace in the Middle East, Alternative Strategies”, United Nations University Press(国連大学出版局), 1995年<Webから、全文(309頁)を読み込むことが可能、http://www.unu.edu/unupress/unupbooks/80858e/80858E00.htm> 4) Libor Jansky, Masahiro Murakami, Nevilina I. Pachova, “The Danube, Environmental Monitoring of An International River”, United Nations University Press(国連大学出版局), Tokyo/New York/Paris, 2004年 5) 福嶌義宏監修・村上雅博総編集、“地球水環境と国際紛争の光と影”,信山社、1995 6) 国連開発計画(UNDP)人間開発報告書、“貧困と人間開発”、国際協力出版会、1997 成績評価: 英文教材による課題演習(50%)とレポート(50%)を総合(100%)して評価する. AA:国際協力と技術援助ついての基本的な知識レベルでの理解ができ,問題の所在を見出した上で、解決の方法にもチャレンジして自身の発想から具体的なアイデアを示し、英語で方法や戦略についても提示できるポテンシャルがある. A: 国際協力と技術援助についての基本的な知識レベルでの理解ができ,問題の所在と課題を見出した上で解決の方向性を英語で提示できるポテンシャルがある. B: 国際協力と技術援助についての基本的な知識レベルでの理解ができている上で,問題の所在と課題を見出すポテンシャルがある. C: 国際協力と技術援助についての基本的な知識レベルでの理解ができる上で、問題の所 在を明らかにするポテンシャルがある。 |
授業の詳細6 |
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授業の詳細7 |
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授業の詳細8 |
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授業の詳細9 |
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授業の詳細10 |
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