戻る
タイトル「2008年度シラバス」、フォルダ「2008年度シラバス?大学院科目(物・環)
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 分子と人間 
担当教員 榎本 惠一,小廣 和哉,石本 美智,角 克宏,細川 隆弘 
対象学年 1年,2年  クラス 大学院:共通001 
講義室 B107  開講学期 1学期 
曜日・時限 水1  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 ◆担当教員名: 榎本恵一(E),角 克宏(S),小廣和哉 (K),細川隆弘(H),石本美智(I)
◆授業目的:技術系の学生向けに3部で構成したテーマについて講義し,幅広い科学技術への関心を高める.
◆授業の進め方:講義形式で行う.

◆授業の目標:
地球上の生命の営みには,酸素(O2)や二酸化炭素(CO2)のような単純な分子から,複雑な生体内高分子(DNA)に至るまで,多様な分子が関わっている.さらに,近代科学の発展の中で,人工的に創りだされた合成高分子を初めとし,有機分子で構成される医薬品や農薬等の物質は,現代人の日常生活と切り離すことは出来ない.本講義では,これら様々な分子と人間の営みとの関係に焦点をあてる.特に,生体機能に携わる多彩な分子の役割についての理解を計り,人工合成された分子の有用性とその自然環境及び生体内環境への負荷性について考察する.


 
授業の詳細2 ◆授業計画:
【第1部】地球・生命とその分子
1.光と生命 クロロフィル(S)
  光は地球上のすべての生命エネルギーの源である.その光エネルギーを化学エネルギーにかえる仕組み(光合成)をクロロフィルという分子にスポットを当てて議論する.また,この仕組みを人工的に模倣する試みについていくつか紹介する.

2.酸素分子と生体(H)
 呼吸により生体内に取り込まれた酸素は,エネルギーとして利用され,最終的には水に還元される.この還元過程で,ごく僅かの酸素分子は活性酸素に変換され,生体内での酸化的損傷を引き起こす.酸素分子の基礎知識をもとにして,酸素分子の生体内反応を概観する.

3.超臨界水を用いる環境新技術(K)
 水を加圧しながら加熱すると374℃,218気圧で臨界点に達する.この温度・圧力を超
えた領域に存在する水を超臨界水と呼び,通常の水とは非常に異なる,低極性,低粘
度,高浸透性,大きいイオン積などの物理的性質を示す.これらの特異な物性を巧み
に応用する化学反応の例や,環境新技術について概説する.

【第2部】化学物質とそのリスク
4.環境化学物質とは(E)
  我々人間が意図してあるいは意図せずに作り出した化学物質が環境中に放出され,それが人間を含めた生物に長期的な影響を与えている.環境化学物質とその特徴について概説する.

5.リスクアセスメント1:リスクの認識と定義(I)
リスクアセスメントとは,物質の摂取量と危険性について暴露量を使って定量的に危険の度合い(リスク)をもとめることである.リスクについての社会認識と科学的な基準を比較する.

6.リスクアセスメント2:リスクの定量化(I)
まず,物質の有害性の判定と摂取量の反応の査定を解説する.次に,暴露量の査定と危険性の特徴について解説する.最後に,発癌性物質と非発癌性物質についてDose-response 査定の解説後,具体例について計算する.

7.リスクアセスメント3:PCBと健康被害のリスク(I)
PCBは工業化に伴って,土壌や水質汚染の原因となっている.地球上のPCB汚染分布と,生物濃縮された食物を通しての健康被害のリスクについて考え,各国のリスクマネージメントについて解説する.

 
授業の詳細3 【第3部】分子とその性質
8.官能機能に係る分子(H)
  味覚,嗅覚等の感覚機能には有機分子の官能基,立体構造,形状が関係する.甘味と苦味に係る分子を例に取り感覚機能に係る分子と生体の受容機能を概説する.また,昆虫フェロモンの化学について紹介する.

9.一酸化窒素(NO)とその作用 (E)
  アルフレッド・ノーベルが発明したダイナマイトの原料であるニトログリセリンが狭心症の治療に有効であることはよく知られている.しかし,それが一酸化窒素を発生することによって効くことが明らかにされたのはつい近年のことである.生理活性物質としての一酸化窒素の発見とその作用について述べる.

10.高分子化合物と人間生活(S)
 天然高分子はすでに昔から食物・繊維などに利用されており,合成高分子は今や人間生活において極めて関係深い分子群の1つとなっている.いくつかの高分子を例に挙げ,その化学構造と性質の関係をのべ,それがどのように人間生活に役立っているかについて解説する.

 
授業の詳細4 【第4部】21世紀の社会と分子
11.プラスチックの分別とリサイクル(K)
日々の生活はプラスチックの上に成り立っていると言っても過言ではない.一例として,生活に必要な,衣料,道具,住宅建材,自動車やコンピュータの部品,さらには人工臓器(コンタクトレンズ,眼内レンズ,腎臓,皮膚,血管)など,まさに「暮らしと命」を支えている素材である.これらのプラスチックが生活を便利に豊かにしたのは事実であるが,一方,大量に生産されるプラスチックがその安定性のため自然界では分解されにくくいつまでも環境中にとどまる,いわゆる,「環境問題」を引き起 こしていることも事実である.そこで,環境問題の第一歩として,1)プラスチックにはいろいろな種類があること,2)性質の差を利用して分別可能であることを学び,3)これらをもとに廃棄とリサイクルについて考えることを目的とする.

12.グリーンケミストリー(H)
 物質の合成,使用,廃棄,リサイクルの全過程にわたって,環境リスクが最小になるようにする.この考え方に立った化学を「グリーンケミストリー」と言う.環境への影響度を評価する指標を中心にして,グリーンケミストリーを概観する.

13.ポストゲノムの生命科学(E)
 2000年にヒトのゲノムDNAの全配列が決定されてから,それまで生命現象から分子へ,分子からDNAへと進められてきた研究の流れが180度転回しつつある.個人のDNA情報からの診断や治療,ヒトの細胞を用いた再生医療などがその代表である.ポストゲノム時代の生命科学の流れを追う.

14.ナノテクノロジーの世界(S)
 ナノテクノロジーは21世紀のキーテクノロジーであり,エレクトロニクス,情報通信,バイオ,エネルギーなど,広範囲な分野での発展が期待されている.このうち,カーボンナノチューブ,フラーレン,デンドリマーなどのナノ物質に関する最新の研究を紹介する.

15.期末試験

◆成績評価: 出席(20点)と期末試験(80点)の合計が60点以上を合格とする。試験はノート及び配布資料の持込み可。

◆テキスト: 使用しない。
◆参考書: 『Molecules』,P.W. Atkins, W.H. (Freeman and Company)
『Introduction to Environmental Engineering and Science』,Gilbert M. Masters (Prentice Hall)
 
授業の詳細5  
授業の詳細6  
授業の詳細7  
授業の詳細8  
授業の詳細9  
授業の詳細10  


Copyright (c) 2006 NTT DATA KYUSHU CORPORATION. All Rights Reserved.