科目名 |
人文地理学 |
担当教員 |
放送大学 |
対象学年 |
2年,3年 |
クラス |
学部:人社002 |
講義室 |
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開講学期 |
2学期 |
曜日・時限 |
集中 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
「主任講師」 小林 茂 (大阪大学大学院教授)、杉浦 芳夫 (首都大学東京教授)
「講義概要」 グローバル化がすすむ今日、多様な人間社会はますます複雑に変動し、これをどう認識するかが大きな課題となっている。大学レベルの人文地理学初学者のための入門として、まずその古典的視角の解説からはじめて、人間の環境への適応や環境改変、立地論、人間の空間行動などに関する枠組みを概観するとともに、それにあわせて発展してきた計量的手法や地理情報システム(GIS)を紹介する。さらにそれを基礎として今日の世界や日本の多彩な問題の理解にむけた課題を検討する。
「授業の目標」 現代の人文地理学の理解に必要な知識を身につけるとともに、変化の急速な社会の理解に有用な地理学的枠組みや手法について概観をえる。またこれらの理解の上に、福祉やジェンダーなど、現代的問題へのアプローチの方法に接することもめざす。あわせて、高等学校までの地理のイメージのリニューアルをはかりたい。 |
授業の詳細2 |
1.変動する世界へのアプローチ―人文地理学とはどんな学問か―(※改訂回) グローバル化がすすむ今日、地球上の多様な人間社会はますます複雑に変動し、これをどう認識するかは私たちの大きな課題となっている。近年の変化を大きく「時間と空間の圧縮」としてとらえ、人文地理学がその理解にどのように貢献できるか検討し、あわせて本講義の概要を示す。 【キーワード】時間と空間の圧縮、国際化、流行病の拡散
2.地理的知識の発展と地図 世界の人びとは、自分たちの居住地に関する地理的知識を蓄積し、それをさまざまな手段で表現してきた。地図はそれらを視覚的に統合する媒体として大きな役割をはたし、正確さをましながら多彩に発展してきた。地理的知識の発展について、その地図的表現の歴史をみながら概観したい。 【キーワード】地図、先住民、探検、測量、世界観
3.人文地理学の先駆者と古典理論 19世紀には、人文地理学の基礎となる3つの課題に関心が展開した。第1は人類の環境への適応および環境の改変で、アレクサンダー・フォン・フンボルトらによって展開された。第2は「地域の個性」の認識で、カール・リッターらによって推進された。第3は「空間と立地」で、フォン・チュウネン以降、立地論として進歩する。時代的背景と結びつけてこれらを概観する。 【キーワード】環境、適応、地誌、立地論
4.環境への適応 人びとの環境への適応が、さまざまな戦略や方法で実現されてきたことを、具体例(ネパールの中間山地農村におけるマラリアに対する文化的適応と生物学的適応)を紹介しつつ解説する。その生活様式、民族分布、集落分布との関係など、関連する問題を概観し、環境への適応の意義を考える。 【キーワード】マラリア、文化的適応、生物学的適応、集落立地
5.資源利用と景観 環境への適応の一局面である資源利用が、景観の形成に密接にむすびついていることを、具体例(福岡県太宰府市の農業水利と里山利用)を紹介しながら解説する。また資源利用の変化が景観をどのように変化させるかについても具体例に即して示し、景観のもつ意味について考える。 【キーワード】農業水利、里山、土地利用、都市化 |
授業の詳細3 |
6.農村・定期市・都市−中心地理論からみた地理空間− 農村空間を背景に都市的集落が成立するプロセスを中心地理論から説明する。まず経済発展の低い段階では定期市システムが成立することを、スタインのモデルを用いて説明する。ついで、定期市システムを克服して都市的集落の階層的配置(中心地システム)が成立することを、クリスタラーのモデルを用いて説明する。 【キーワード】中心地、定期市、都市、商業
7.計量革命 1950年代中葉のアメリカ地理学界で起こった計量革命(地理学の理論化・数量化の動き)は、世界の地理学の学問内容を刷新した。計量革命の背景を当時のアメリカの社会や地理学界の現況と関係づけて説明するとともに、計量革命がめざした新しい地理学(「空間の科学」としての地理学)について概説する。 【キーワード】戦時地理学、地域科学、コンピュータ、計量地理学
8.都市システム(※改訂回) 都市のシステム論的な記述・分析は、1960年代から人文地理学にとりこまれる。複数の都市間の機能的な関係を特定する都市群システムの視点と、都市内部の部門間の関係から1つの都市をシステムとみなす都市内部システムの視点から研究が推進された。これらにより、都市システムが、どのように記述・説明され、さらには予測されているかを述べる。 【キーワード】都市群システム、都市内部システム、因子生態研究、都市モデル
9.GIS革命(※改訂回) 1980年代後半に始まる地理情報システム(GIS: GeographicInformation Systems)革命は、紙地図からデジタル地図というIT技術の地理学の導入にとどまらず、地理情報システムを地理情報科学へと展開させた。この革命がどのように進展したのかを紹介し、バーチャル空間などの新しい概念の地理学への影響などについても言及する。 【キーワード】地理情報システム、地理情報科学、バーチャル空間
10.生活空間と福祉(※改訂回) 生活の質(QOL)や福祉について、人文地理学に特徴的な見方(地域的不平等、空間的近接性、身体−環境関係など)が、福祉の問題の把握・理解・解決に有効であることを、具体例によりGISを使いながら説明する。 【キーワード】福祉、地域的不平等、空間的近接性、身体−環境関係 |
授業の詳細4 |
11.ジェンダーと都市空間(※改訂回) 現代社会の理解にジェンダーの視点は欠かすことができない。それは、現代の都市空間とそこでの生活を理解する上でも同様である。ジェンダーの視点から、都市の空間構造や居住地選択、生活行動の時空間パターンなどの特徴を、GISによりながら明らかにする。 【キーワード】ジェンダー、居住地選択、時間地理学
12.情報と現代空間(※改訂回) 交通・通信技術の発展と普及は、移動やコミュニケーションにかかる時間を大幅に短縮することで、現代の経済活動と社会生活に利便性と大きな可能性を与え、その空間構造を変化させている。複数のトピック(産業立地や地域社会の再編、遠隔医療など)を取り上げ、情報と現代空間の関係に言及する。 【キーワード】情報、バックオフィス、遠隔医療
13.発展途上国の都市生活 郊外化・情報化のすすむ先進国の都市に対して、発展途上国では、農村から都市への人びとの移動が継続し、そのなかには国境を越える場合もすくなくない。その結果発生してきた都市のスコッター地区の生活にくわえ、施設の未整備や不充分な行政サービスなどの問題を検討する。 【キーワード】発展途上国 都市、スコッター、コミュニティー形成
14.発展途上国の環境問題(※改訂回) 自然保護思想が普及し、世界遺産(自然遺産)や国立公園のような自然保護区の面積が増えている。野生動物観光が盛んなアフリカでは、保護区の設立にともない住民は区外へ移住を余儀なくされたり、住民と政府との間で軋轢が生まれている。アフリカでの自然と人との関係の地域性に注目して、保護区における持続的な資源利用のあり方について考える。 【キーワード】自然保護区、先住民、資源利用、観光
15.人文地理学と現代 現代社会における人文地理学研究の役割の例示にむけて、多摩ニュータウンを対象に、前章までに示された手法を援用して分析し、その人々の居住との関係を検討する。ベッドルーム・タウンとして開発されたニュータウンが、高齢者や既婚女性にとってはかならずしも住みやすくないことを示し、場所の理解にいたる人文地理学研究の道を示す。 【キーワード】ニュータウン、高齢者、既婚女性、場所の理解 |
授業の詳細5 |
「成績について」 AA:特に優れた成績を示したもの A:優れた成績を示したもの B:良好と認められる成績を示したもの C:合格と認められる成績を示したもの F:不合格
「開講時期(予定)」 2学期(本登録は7月ごろ) 履修を希望するものは6月末ごろに行う予定の放送大学履修登録説明会に出席し、配布する専用の申請書を必ず提出すること。
「テキスト」 放送大学より送られてくる資料を使用する。
注意:4年生は原則履修できない。(理由:放送大学の試験結果通知が本学の卒業認定時期と同時期であるため卒業判定が困難となります。2・3年次での履修を推奨します。)
(その他何かわからないことがありましたら教務学生部までお越しください) |
授業の詳細6 |
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授業の詳細7 |
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授業の詳細8 |
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授業の詳細9 |
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授業の詳細10 |
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