科目名 |
国際協力フロンティア |
担当教員 |
村上 雅博 |
対象学年 |
1年 |
クラス |
学部:人社001 |
講義室 |
K102 |
開講学期 |
2学期 |
曜日・時限 |
水3 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
授業の目的
我々人類が二度に亘る悲惨な世界大戦を経験した20世紀を経て、21世紀は「生命と水と環境の世紀」ともいわれるなかで、2000年に世界の人口は61億人に達した。しかし、世界の人口の7割を占める発展途上国では13億人が貧困にあえぎ、最貧国グループでは1-1.5千万人の子供が飢餓のため、そして毎日5,000人もの子供たちが安全な水が飲めずに下痢などの水系感染症で死亡している。アメリカに次いで世界で二番目の経済大国となった日本が世界の貧困問題や環境(難民)問題の解決、そして紛争の予防や平和構築に何か協力や支援できることはないか?との問いかけから始まる。
明日の地球を見つめて、主にアジア、中東、アフリカ、中南米における発展途上国の貧困問題や地域紛争問題および持続的開発と地球環境の保全・再生に係わる国連や日本政府やNGO/NPOの実践的なプロジェクトを事例に学び、国際協力に関わる基礎的な知識と理解力および考える力を身に付けることが目的である。 |
授業の詳細2 |
授業の進め方
授業の各回のテーマごとに主にインターネット(Web, htttp::/)に掲載されているオフィシャルな国際協力に関する情報から選んだ資料を配布するのでテキストの一環として参考にする。各位は毎回配布されるテキスト資料を順次ファイリングするためにA4版(2穴)ファイルを事前に準備すること。当日の講義内容にかかわるキーワードを5ケ書き出し、英文を含むテキストから選んだクイズ形式または穴埋め形式の演習問題、そして国際協力に係わる特別講義やビデオ教材(NHK)を視聴して内容の要約を5百字のレポートに簡潔にとりまとめるトレーニング(演習)を適宜に実施するが、それらの成果は成績評価の一部に含まれる。 講義の最後に実施される穴埋め形式の演習問題の答え合わせは、各位が次回の講義までに設問用紙に記載されている(Web, http::/)のアドレスにアクセスして復習をしておくこと。15回の授業で中間試験を1回、期末試験を1回実施する。 |
授業の詳細3 |
達成目標
国際協力の主要なテーマ(持続的開発、貧困、紛争と平和、人間の安全保障、開発援助、国際貢献など)に関する基本的な用語と内容を理解し説明できる。
国際協力の基本的な用語と内容を理解し、フロンティアとして国際協力の意義を考えて発展途上国の“国創り、人創り”に係わるプロジェクトの意味と内容を理解することが出来る素養が身につく。
日本と国際社会と発展途上国の関係を理解し、国際協力における問題の所在を見出して課題を整理し、”Think Globally and Act Locally”の視点から解決策についても考察して自分の言葉で主張することが出来る力が養成される。 |
授業の詳細4 |
授業計画
1.(10/07) 今、世界は ?明日の地球を見つめて (1) -世界百人村- 世界(地球)の現実を知ることから始めよう。 ヒントは、世界百人村から。 そして、国際協力がなぜ必要かについて考える一歩を踏み出す。
2.(10/14) 今、世界は ?明日の地球を見つめて (2) ?一秒の世界から- 今、世界(発展途上国)で起きている問題を知り、そして疑問を持つことから始まる。 ヒントは、一秒の世界から。 なぜ日本が国際協力に真剣に取り組んでいるのかについて考える。
3.(10/21) 日本の国際協力と政府開発援助(ODA) -ODAのしくみ- 日本の政府開発援助(ODA)の背景、目的、方向性、戦略、組織について解説し、技術協力の事業実施機関である国際協力機構(JICA)が発展途上国の社会経済開発や平和構築に果した役割と意義および変貌する国際政治システムの流れの渦中にあるが故に大きく援助の理念を変更したODA大綱(1992, 2003年)について学ぶ。
4.(10/28) 国際連合と国際協力(1) ?国連システム- 戦争の世紀とも総括される20世紀に生まれた国際連盟(League of Nations)と国際連合(United Nations)の歴史的な背景と国連の果たす役割と意義について解説し、国連の主目的である安全保障と平和構築の問題と課題について学ぶ。 について解説する。
5.(11/04) 国際連合と国際協力(2) ?平和の課題- 国連の背景的目的は戦争を繰り返さないように世界が協力して紛争を予防することにあり、そのために世界で唯一の被爆国であり平和憲法を有する日本が中心となって取り組んでいる貧困削減や人間の安全保障について解説し、変貌しつつある経済協力の問題と課題について学ぶ。 |
授業の詳細5 |
6.(11/11) 日本の国際協力 ?体験的国際協力(1)-<先輩ようこそ(1)> 国際協力の課題は現実の貧困などの諸問題を解決することに加えて、明日の地球を見つめて次世代のために何が出来るかを常に考えていることにある。ボランティア性を有するが故に、青年海外協力隊(JOCV)の活動は、開発途上地域の住民と一体となって生活し、働き、彼らの言葉を話し、相互理解を図る国際協力の原動力の一つにもなっている。大学で学び社会で仕事を経験した若い力が、開発途上国の国づくり、人づくりに貢献している。 実際にJOCV活動に参加されて活躍された先輩の現場(中南米)での体験談から学ぶ<先輩ようこそ(1)>。
7.(11/18) 中間テスト 各授業(前半の1〜6回)のテーマごとに配布した、主にインターネット(Web, http::/)に掲載されているオフィシャルな国際協力に関する情報や資料から選んだテキストから、25題(穴埋め形式の知識問題、計40分間)
8.(11/25) 国際協力の課題別取り組み(1) ?貧困削減- ベーシック・ヒューマン・ニーズにもとづいた、保健医療、水と衛生、教育、農業・村落開発の分野における具体的な技術協力プロジェクトの実例を含めて解説し、途上国の貧困削減の問題と解決への取り組み及び開発プロジェクト評価法(PCM)の基礎(1)について学ぶ。
9.(12/02) 国際協力の課題別取り組み(2) ?持続的開発- 日本の経済協力の柱となっている社会基盤(インフラ)整備について、具体的な技術協力プロジェクトを例に解説し、発展途上国の基盤を支える持続的発展性の問題と解決への取り組み及び開発プロジェクト評価法(PCM)の基礎(2)について学ぶ。
第1回から第9回までの講義内容を踏まえて、自身が国際協力に貢献できる可能性(自分に何が出来そうか?)を見出し、小論文形式でレポート(2千字)に取りまとめる。 問題の所在を見出した上で解決の方向性やシナリオや戦略を示すイメージ・トレーニング。 レポート提出期限は次回(第10回)講義の開始時まで)。このレポートでA以上の評価を受けたものは参考のモデルとして第13,14回目の講義演習にてプレゼンテーションの機会がある。 |
授業の詳細6 |
10.(12/09) 国際協力の地域別取り組み(1) ?アジア- アジアを舞台に始まった日本の政府開発援助(ODA)の背景と21世に入って急成長を遂げたアジア発展途上国の技術協力プロジェクトのモデル・ケースを解説し、戦争の世紀とも総括される20世紀の歴史的な枠組みを踏まえて日本のアジアにおける役割と意義および平和への課題について考察する。
11.(12/16) 国際協力の地域別取り組み(2) ?アフリカ- 世界で最も国際協力(援助)が必要とされる困窮地域はアフリカにある。アフリカの貧困と地域紛争の問題を解決するためには、幸いにして政治的・歴史的な係わりがない日本の中立的な援助に大きな期待がある。世界の貧困問題と紛争問題が交錯し、地球規模環境変動により砂漠化が進むなかで環境難民が発生するアフリカの援助問題を貧困削減と平和構築にかかわる技術協力プロジェクトを通じて解説する。 ベーシック・ヒューマン・ニーズと貧困削減の問題に技術協力が果たす役割と意義について学ぶ。
12.(01/13) (国際協力の地域別取り組み(3) ?中近東- 世界の火薬庫とも言われる中近東は、殆どがイスラム世界に属しており、パレスチナやイラク問題に象徴されるように、平和構築が国際協力の最大の関心事で課題でもあるため、日本政府はアフリカと並んで政府開発援助に特に力を注いでいる。水と平和をテーマに日本の国際協力が中東地域の紛争予防に貢献するプロセスと可能性について実例を含めて解説し、平和構築に技術協力が果たす役割と意義について学ぶ。 |
授業の詳細7 |
13.(01/20) 国際協力ラップアップ演習(1) 自身が国際協力に貢献できる可能性(自分に何が出来そうか?)を見出すために、問題の所在を見出した上で解決の方向性やシナリオや戦略を示すイメージ・トレーニング。 評価の参考までに、第9回講義の終わりに問題提起した小論文形式のレポート(2千字)でA以上の評価を受けたものが代表して内容を要約してプレゼンテーションを行う。
14.(01/27) 国際協力ラップアップ演習(2) 自身が国際協力に貢献できる可能性(自分に何が出来そうか?)を見出すために、問題の所在を見出した上で解決の方向性やシナリオや戦略を示すイメージ・トレーニングと討議。 評価の参考までに、第9回講義の終わりに問題提起した小論文形式のレポート(2千字)でAA以上の評価を受けたものが代表して内容を要約してプレゼンテーションを行い、まとめの討議を行う(ラップアップ)。
15.(02/03) 最終テスト 各授業(後半の8〜14回)のテーマごとに配布したる、主にインターネット(Web, http::/)に掲載されているオフィシャルな国際協力に関する情報や資料から選んだテキストから、25題(穴埋め形式の知識問題、40分間)と小論文(範囲は前半と後半から各1題、各750字、計40分間)。 小論文は国際協力における問題の所在を自ら見出した上で解決の方向性やシナリオや戦略を独自に示せることが評価につながる。 |
授業の詳細8 |
テキスト: 村上雅博、“水の世紀”、日経評論社、2003年
参考書: 1) 後藤則行偏、村上雅博、他、”エコブームを問う -東大生と学ぶ環境学-“、学芸出版社、2005年 2) 監修/福岡克也、村上雅博、他、”国際河川と紛争:地球環境データブック2004-05”、ワールドウオッチジャパン, pp.214-221, 2004年 3) Masahiro Murakami, “Managing Water for Peace in the Middle East, Alternative Strategies”, United Nations University Press(国連大学出版局), 1995年<Webから、全文(309頁)を読み込むことが可能、http://www.unu.edu/unupress/unupbooks/80858e/80858E00.htm> 4) Libor Jansky, Masahiro Murakami, Nevilina I. Pachova, “The Danube, Environmental Monitoring of An International River”, United Nations University Press(国連大学出版局), Tokyo/New York/Paris, 2004年 5) 福嶌義宏監修・村上雅博総編集、“地球水環境と国際紛争の光と影”,信山社、1995 6) 国連開発計画(UNDP)人間開発報告書、“貧困と人間開発”、国際協力出版会、1997 7) 蔵治光一郎編・村上雅博、“水をめぐるガバナンス”、(株)東信堂、pp.174-192, 2008年
成績評価:出席・課題演習(25%)、中間・最終試験(75%)を総合(100%)して評価する. AA:国際協力ついての基本的な知識レベルでの理解ができ,問題の所在を見出した上で、解決の方法にもチャレンジして自身の発想から具体的な提案を示せるポテンシャルがある. A: 国際協力についての基本的な知識レベルでの理解ができ,問題の所在を見出した上で解決の方向性やシナリオや戦略を示すことが出来るポテンシャルがある. B: 国際協力についての基本的な知識レベルでの理解ができている上で,問題の所在を見出すポテンシャルがある. C: 国際協力についての基本的な知識レベルでの理解ができている.
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授業の詳細9 |
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授業の詳細10 |
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