科目名 |
世界の名作を読む |
担当教員 |
放送大学 |
対象学年 |
2年,3年 |
クラス |
学部:人社002 |
講義室 |
|
開講学期 |
2学期 |
曜日・時限 |
集中 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
|
備考 |
|
授業の詳細1 |
「主任講師」 工藤 庸子 (放送大学教授) 大石 和欣 (放送大学助教授)
「講義概要」 文学講義の入門編。だれでもタイトルは知っているけれど、いきなり読むのは荷が重いという超大作から、はかりしれぬ含蓄のある珠玉の短編小説まで、それぞれの講師が、自分自身の読書経験に照らして作家と作品の魅力を語る。放送授業では、全体の3分の1程度を声優による朗読にあてた。生き生きとした朗読と講師の解説を通して作品の世界に親しみ、テキストを読み込んでゆくことの面白さを実感していただきたい。「世界の名作」とは、各自が身近なテーマを発見し、自分なりの「読書の愉しみ」を経験できるような文学作品をいうのである。印刷教材には朗読を収録したCD-ROM(MP3ファイルを予定)を添付し、大学のホームページにも徐々に補助教材を立ち上げてゆく。 |
授業の詳細2 |
「授業の目標 」 講義で取りあげられた作品を、履修者が自力で積極的に読むことが求められる。義務教育の「感想文」とは異なる「文学の読み方・語り方」とはいかなるものか。講師はその具体例を提案する。履修者は、授業の内容を十分に理解したうえで、それを考える材料にしていただきたい。この科目は、教養のための読書という意味で、文学好きの人はいうまでもなく、文学離れした若者世代も射程に入れて構成されている。また、教員、図書館司書、ヴォランティアなど、読書指導の現場にいる人たちが、指導の技法を学ぶためにも活用できる。通信指導および期末試験は、記述式で行う。 |
授業の詳細3 |
セルバンテス『ドン・キホーテ』: ・はじめに ― 文学作品を耳で愉しむ。 ・音読か黙読か ― 物語文学と翻訳の問題。 ・講談ヴァージョンで聴く「風車の冒険」 ― あまりにも有名なエピソードのどこが面白いのか。 ・アラビア人の原作者シデ・ハメテ・ベネンヘリと謎の「第二の作者」。
同: ・『ドン・キホーテ』後篇を読む ― 錯綜する幻想と現実。 ・村の知識人サンソン・カラスコと従者サンチョ・パンサ。 ・講談ヴァージョンで聴く「森の騎士との決闘」。 ・狂気の終わりと主人公の死と物語の幕切れ。
エミリー・ブロンテ 『嵐が丘』: ・18世紀以降の女流小説の興隆。 ・語りの形態。 ・崇高美に見るロマン主義的風景。 ・屋根裏の女たち ― 特に財産権をめぐる女性差別の問題。 ・映画でみる小説の面白さと虚しさ。
ドストエフスキー 『罪と罰』: ・ドストエフスキーの日本でのこれまでの読まれ方。 ・「犯罪小説」であると同時に、形而上的観念の小説でもある『罪と罰』。 ・ドストエフスキーの独自のリアリズムと幻想。 ・ペテルブルクを舞台とした都会小説。 ・繊細な言葉の芸術としてのテキスト。 |
授業の詳細4 |
チェーホフ 『ワーニカ』 『可愛い女』 『犬を連れた奥さん』: ・チェーホフの短編のうち特に『ワーニカ』『可愛い女』『犬を連れた奥さん』の3篇を取り上げ、その魅力と現代的意義について考える。 ・「手紙は届かない」「可愛い女は本当に可愛いか?」「愛はいつ始まるのか?」 ・チェーホフは人情味豊かなユーモアとペーソスの作家だったのか?
メルヴィル 『バートルビー』: ・アメリカ精神の陰画。 ・バートルビーとは何者か。 ・壁・墓場の意味。 ・語り手の(そして我々の)中で何が変わるか?
マーク・トウェイン 『ハックルベリー・フィンの冒険』: ・南北戦争後のアメリカ ― 郷愁の発生。 ・トム・ソーヤーとハック・フィンの違い。 ・文体の新しさ・重要性。 ・ユーモアとメランコリー。
プルースト 『失われた時を求めて』: ・「記憶」とは何か ―「無意志的な記憶」と「知性の記憶」について。 ・マドレーヌのエピソードを読む。 ・「見出された時」という奇蹟。 ・物語をいかに書き始めるか。 ・眠りと目覚めと「身体の記憶」。 |
授業の詳細5 |
同: ・人生について考える「モラリスト」の小説。 ・身近な人間類型としての登場人物たち。 ・悲劇の描き方と喜劇の混在 ― 祖母の死をめぐって。 ・「心の間歇」 ― 悲しみと忘却と甦る記憶。
ヴァージニア・ウルフ 『ダロウェイ夫人』: ・小説の技法と「意識の流れ」。 ・女流小説の伝統とフェミニズムの曖昧さ。 ・シネマトグラフィーと小説。 ・第一次世界大戦後のイギリスと文学。
カフカ 『変身』: ・無名のサラリーマン作家としての生涯。 ・平凡な営業マンの日常におきた「変身」という事件。 ・虫男のおかしさ ― 変身ぶりの不思議と当人が不思議に思わぬことの不思議。 ・身近なテーマとしての「変身」。
カフカ 『断食芸人』: ・実在した「断食芸」― 何もしない、食べることすらしないという芸。 ・なぜ断食は40日なのか。 ・カフカの笑い。 ・断食芸人の死と作者の死。 |
授業の詳細6 |
イタロ・カルヴィーノ 『魔法の庭』 『楽しみはつづかない』: ・戦争体験はどのように物語となったのか。 ・子どものまなざしが教えるもの。 ・民話との出会いから空想と歴史の融合へ。 ・短篇か長編か ― 表現形式の選択をめぐって。
同 『ある夫婦の冒険』 『ある詩人の冒険』: ・小説という形式そのものへの問い。 ・「ポストモダン」という魔法の効き目。 ・果てしない断片化の先に待つ物語とは。 ・詩か小説か ―「不在」と「ことば」。
(まとめ) 読書の愉しみ: ・全体の復習をかねて「文学の読み方・語り方」を考える。 ・作品分析の基礎概念 ― 物語の構造と作中人物の描き方。 ・イタロ・カルヴィーノ ― 「古典」とは何か。 ・プルーストの読書論 ― 「友愛としての読書」。 |
授業の詳細7 |
「成績について」 AA:特に優れた成績を示したもの A:優れた成績を示したもの B:良好と認められる成績を示したもの C:合格と認められる成績を示したもの F:不合格
「開講時期(予定)」 2学期(本登録は7月ごろ) 履修を希望するものは6月末ごろに行う予定の放送大学履修登録説明会に出席し、配布する専用の申請書を必ず提出すること。
「テキスト」 放送大学より送られてくる資料を使用する。
注意:4年生は原則履修できない。(理由:放送大学の試験結果通知が本学の卒業認定時期と同時期であるため卒業判定が困難となります。2・3年次での履修を推奨します。)
(その他何かわからないことがありましたら教務学生部までお越しください) |
授業の詳細8 |
|
授業の詳細9 |
|
授業の詳細10 |
|