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タイトル「2009年度シラバス」、フォルダ「2009年度シラバス?大学共通科目(人文・社会科学等科目)
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 人類の歴史・地球の現在 
担当教員 放送大学 
対象学年 2年,3年  クラス 学部:人社002 
講義室   開講学期 2学期 
曜日・時限 集中  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 「主任講師」
本多 俊和(スチュアート ヘンリ)(放送大学教授)
棚橋 訓 (お茶の水女子大学大学院教授)
三尾 裕子(東京外国語大学助教授)

「講義概要」
 この講義では、人間の探究専攻の学生、あるいは人類学を修める予定の学生だけを想定せず、全専攻の学生を対象とする基礎科目とします。世界各地を視野に人類学で蓄積されてきた多くの知見・データ・理論が私たちの日常生活に関与することを国内外の具体的な事例をとおしてみる授業です。古典的な理論と最先端の学説をまじえながら、人類の歴史からはじまり、さまざまな人間の行為をキーワードに、ほかの学問領域との接続を意識して、幅の広い知識と解釈を提供します。 

「授業の目標」
なるべく多くの受講生に文化人類学的な考え方に接してもらい、人種、民族、宗教などの研究分野で他専攻生も活用されることを目標としています。
 
授業の詳細2
文化人類学へのいざない
授業のねらい: 「近代」とともに歩んできた文化人類学が、現在当然視されるさまざまな概念や観念、カテゴリー(人種、民族、国民、宗教、世界観など)を生み出した時代背景を紹介します。そして現在、文化人類学がどのように私たちの日常生活に関わり、役立つかについて、具体的な事例をまじえて考えます。

うまれる
生物としての人間の成立: 人類の進化史を概観し、古典的な4段階発展論と、多地域進化説・単一起源説をめぐるミトコンドリア論争をとり上げます。これを基礎にして、人類の生物史の概略をふまえ「人種」概念を考察します。

うむ
生殖をめぐる視点と諸問題: 「人間をうむ、うみだす」という現象を文化と社会の多様性の観点から考察し、「うむこと」を概観します。民俗生殖理論と近現代の生物医学の生殖理論を対比しながら、「人間をうむ、うみだす」という視点から現代の地球社会に生じている諸問題(例えば、生殖医療・技術、生命観・家族概念の変遷と転換など)に、どのように挑み得るのかを考えます。
 
授業の詳細3
まなぶ
「ことば」と/でつくる世界: 人間は「ことば」“を”学び、「ことば」“で”学びます。人間は「ことば」を生み、「ことば」は人間をつくります。“人間”と「ことば」の多元的な関わりを、文化の普遍性と多様性の視点から考えていきます。言語習得から人間の認知世界の形成までの過程を文化の側面から考え、言語の多様性をめぐる最新の議論にふれます。「ことば」の視点から現代世界の諸問題に接近していきます。《文責:棚橋》

つくる・つかう
人とモノの関係:
人間はさまざまな道具・技術を用いて、モノをつくりだしてきました。有形から無形まで、リアルからヴァーチャルまで、DIYから先端科学技術まで、モノはその時どきの知識・経験・技術の結節点となってきました。作り手や使い手はモノに意味を込め、社会的な役割を負わせます。ここでは、人間にとってのモノと技術の意味を考えていきます。

そだつ
幼児から大人へ: 人はどうやって社会の中で成長し、一人前になり、仕事を持って働き、社会を支え、そして支えられるようになっていくのでしょうか。ここでは、社会化の過程や通過儀礼などを見ていく中で、現在の日本の成人式をめぐる問題、パラサイト・シングル、ニートとよばれる若者たちの問題などの問題を考えてみましょう。
 
授業の詳細4
つながる
社会的な存在としての人間: 人間社会の基礎的要素は「家族」をはじめとする「親族」の関係と、それにもとづく集団です。「親族」のあり方は、狩猟採集段階から、初期農耕・牧畜をへて、産業社会へと至る人類史を貫いて、さまざまな形態をとりますが、その基本的構成には不変のものがある。この講義では、人間社会の多様性と共通性を、家族と親族に的をしぼり、社会進化史的観点から見てゆきます。

つどう
群れることで生みだす世界:
「つどう」という人間の特質について総合的に考えます。母子関係にはじまる人間関係のネットワーク形成(社会組織)に関する理論研究を概観して足場を固め、そのうえで集団、民族、都市、国家の概念を再検討します。また、エスニシティ、境界性など、「つどう」ことが必然的に生みだしてしまう差別と排除のロジックについても考察していきます。

うごく
人の移動が生みだす世界: 人は、古来、活発に移動し、さまざまな環境に適応してきました。移動はモノの交換や交易を生み、異なる集団との出会いが新しい文化を生みだしてきました。この回では、人の移動を歴史的に概観することから出発して、昨今の観光、トランスナショナリズム、グローバリゼーションなどの現象が生みだす多民族、多元文化状況、逆に文化の均質化などの人間の思考や文化の多様性を消し去りかねない側面について考えます。
 
授業の詳細5
あらそう
戦争について: 戦争はなぜ起こり、なぜ繰り返されるのでしょうか。このことについては、多くの説明が提示されてきました。その中の一つにシュンペーターの戦争論があります。本授業では、この戦争論を紹介します。この回のもうひとつの狙いは現代の戦争の特徴を提示する点にあります。それは非国家主体による戦争です。「民間軍事会社」やアルカーエダというNGO的な組織活動などに注目したいと思います。

きりひらく 
「開発」をめぐって: 開発論、NGO・NPO活動、自然環境、資源論など自然と社会、そして政治の側面から解きます。グローバリゼーション、「近代化」、エコ主義などの視点をまじえて「開発」の多様性を論じます。《文責:本多》

きずく
少数・先住民族の今: この回では、植民地的な状況における少数・先住民族の歴史を通観して、いくつかの地域や国家における少数・先住民族、エスニック集団の運動と現状について国内外の事例を紹介します。
 
授業の詳細6
いやす
病と癒し: 人々は、近代医療(バイオメディスン)が発達していなかった時代や場所でも、さまざまな方法で病に対処していました。文化人類学で扱う「病と癒し」は、医学的な疾患と治療よりもずっと広い概念です。わたしたちの身の回りにある「癒し」の体験を振り返ってみましょう。すると、バイオメディスン以外にも、いろいろの選択肢があることに気づくでしょう。

まつる 
信仰の世界: 科学が発達していく中でも、人は、自分に降りかかる理不尽に思える災難を理解して克服していくために、人知を超えた力に頼ることがあるでしょう。また、自分の死を恐怖なく受け入れ、魂の永続性を得たいと願うこともあるでしょう。私たちは何を信じ、何に頼り、またそのような気持ちをどのような行動で表現するのか、神や祖先などの霊魂観、宗教、儀礼、系譜観念や葬制などを通して考えてみましょう。

総括: 以上の14回をふりかえながら要点を確認します。また、改めて文化人類学の方法論、性格、他の学問分野との関連性、現代的な意義などを整理するとともに、充分に議論し尽くすことができなかった問題にも展望を広げて全体を総括します。
 
授業の詳細7 「成績について」
AA:特に優れた成績を示したもの
A:優れた成績を示したもの
B:良好と認められる成績を示したもの
C:合格と認められる成績を示したもの
F:不合格

「開講時期(予定)」
2学期(本登録は7月ごろ)
履修を希望するものは6月末ごろに行う予定の放送大学履修登録説明会に出席し、配布する専用の申請書を必ず提出すること。

「テキスト」
放送大学より送られてくる資料を使用する。

注意:4年生は原則履修できない。(理由:放送大学の試験結果通知が本学の卒業認定時期と同時期であるため卒業判定が困難となります。2・3年次での履修を推奨します。)

(その他何かわからないことがありましたら教務学生部までお越しください) 
授業の詳細8  
授業の詳細9  
授業の詳細10  


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