科目名 |
環境概論 |
担当教員 |
村上 雅博 |
対象学年 |
1年 |
クラス |
学部:専門001 |
講義室 |
K102 |
開講学期 |
2学期 |
曜日・時限 |
月3,木3 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
|
備考 |
|
授業の詳細1 |
授業の目的
地球の豊かな自然と生態系を守り、自然と調和した豊かな社会を築くためには、我々の地球と地域の環境の状況を知りどのように変化していくかについて考察することが必要である。本講義は環境のなかでも特に地球環境問題に焦点をあて、基本的なコンセプト”Think globally and act locally”にもとづいて、自然・社会環境の保全・再生および自然災害の対策のプロセスに関わる基礎的な知識と理解力を身に付けることが目的である。
|
授業の詳細2 |
授業の進め方
地球をとりまく環境は総合科学の領域にあり、学問体系としては理学系の地球科学(Earth Science)と工学系の環境工学(Environment Engineering)の接点に位置している。地球科学は物理・化学・生物・地学の基礎的な知識をもとに構成されるサイエンスであるが、地球環境問題や自然災害に対し適切な対応ができれば、水資源の適切な管理、農林水産業への活用など自然現象を社会経済活動に有効に活用できることにもなり、人類の生活に限りない好影響を与えることが期待されているので、物理・化学・生物・地学の基礎的な知識に触れながら代表的な環境問題に関する問題解決型の事例プロジェクトを組み入れて、複合領域の科学的な知識を習得しながら問題と課題について考察してくステップを踏む。
授業の各回のテーマごとに主にインターネット(Web, htttp::/)に掲載されているオフィシャルな地球科学や地球環境問題に関する情報から選んだ資料を配布するのでテキストの一環として参考にする。 各位は毎回配布されるテキスト資料を順次ファイリングするためにA4版(2穴)ファイルを事前に準備すること。当日の講義内容にかかわるキーワードを5ケ書き出し、英文を含むテキストから選んだクイズ形式または穴埋め形式の演習問題、そして環境科学や地球環境問題に関する特別講義やビデオ教材(NHK)を視聴して内容の要約を5百字のレポートに簡潔にとりまとめるトレーニング(演習)を適宜に実施するが、それらの成果は成績評価の一部に含まれる。 講義の最後に実施される穴埋め形式の演習問題の答え合わせは、各位が次回の講義までに設問用紙に記載されている(Web, http::/)のアドレスにアクセスして復習をしておくこと。15回の授業で中間試験を1回、期末試験を1回実施する。 |
授業の詳細3 |
達成目標
●地球科学や地球環境問題の主要なテーマ(温暖化、気候変動、生物多様性、人口変動、など)に関する基本的な用語と内容を理解し説明できる。
●我々の社会生活に係わる地球科学や地球環境問題の所在を見出して課題を論理的に整理し、文章(小論文)に主張をまとめることができる。
●自身で地球科学や地球環境と人間・社会のあり方および問題点の所在や課題について考え、自分が何を出来るかを含めて問題解決のアイデアや方法および戦略を総合的に考察することができる。 |
授業の詳細4 |
授業計画
1.(10/01) 地球科学序論: 地球の歴史 水の惑星地球の歴史と未来。人類が誕生してからの地球の歴史は第四紀に過去4回繰り返された氷河(寒)期と寒氷(温暖)期の繰り返しである。地球温暖化とは何か?との疑問から始まる。
2.(10/05) 海洋の科学 深層海流(Deep Ocean Current)と海洋深層水(Deep Sea Water)を解説し、地球の気候システムを基本的に支配している海洋環境のダイナミズムについて学ぶ。
3.(10/08) 気象の科学: 特別講義(1) <近藤純正、東北大学名誉教授> 気象学の基礎を解説し、地球の自然環境を基本的に支配している大気(対流)圏の気象の科学について学ぶ。
4.(10/15) 地球の温暖化 地球温暖化のメカニズムおよび現状と将来の問題を解説し、地球規模気候変動が社会に与える影響と対策について学ぶ。
5.(10/19) 都市の温暖化 都市温暖化のメカニズムを解説し、変貌する都市熱環境とヒートアイランド・クールアイランドの問題と工学的な対策法について学ぶ。
6.(10/22) 地球規模気象災害 エルニーニョとラニーニャを例に地球規模の異常気象現象が地球社会に及ぼす影響について解説し、不規則に頻発化する洪水と渇水の被害と対応策について学ぶ。
7.(10/26) 中間試験 各授業(前半の1〜6回)のテーマごとに配布した、主にインターネット(Web, http::/)に掲載されているオフィシャルな地球科学や地球環境問題に関する情報や資料から選んだテキストから、25題(穴埋め形式の知識問題、計40分間) |
授業の詳細5 |
8.(10/29) 河川の生物多様性と環境保全:特別講義(1) <高橋勇夫、河川生物調査事務所・所長> 高知県の河川(四万十川、仁淀川、物部川)を例に鮎の生活環境を解説し、地球規模気候変動の影響下にありながらも清流のシンボルとして生きている鮎の生態環境変化から地域の水産資源と生物多様性の保全の問題について学ぶ。
9.(11/02) 氾濫源の生物多様性と環境保全 <山下慎吾、空間生態研究所・所長> 世界の氾濫源は陸地面積の15%を占めており生物の多様性や生物生産の中枢にある。 日本および高知県の氾濫源の魚類生態を例に解説し、フィールド生態調査の方法と地域の開発と生物多様性保全の問題について学ぶ。
10.(11/05) 湿地帯の生物多様性と環境保全 釧路湿原を例に生態系のゆりかごである湿地帯(湿原)の環境問題とラムサール国際条約を解説し、破壊された自然環境を再生するための自然再生技術について学び、地球環境の視点から開発(経済)と保全(自然)の接点の問題を考える。
11.(11/09) 森林と地球環境問題: 地球温暖化防止に必要不可欠な二酸化炭素(CO2)削減の実質的な切り札となっている森林の多面的な機能と役割について解説し、地球環境時代の森林の保全と再生および森林環境税と二酸化炭素取引(CDM)について学ぶ。
12.(11/12) 循環型社会(3R)とゴミ問題 廃棄物(ゴミ)問題について解説し、ゴミのリサイクル問題と循環型社社会(3R)の形成につて学ぶ。
13.(11/16) 循環型社会と高知工科大学の取り組み 四万十方式 高知工科大学の自然循環(四万十)方式水浄化システムと朝倉第二小学校のバイオ・トイレから、地域の再資源化(3R)と環境保全のしくみを解説し、地球環境問題に貢献する(Think Globally and Act Locally)視点から、何が自分に出来るか? そして我々に出来るか?について考える。
14.(11/19) 失敗学: 戦後の日本を代表する公害問題の原点となった水俣病を解説し、地域の環境問題に対して技術者がはたす役割と使命および倫理について学ぶ。 |
授業の詳細6 |
15.(11/25) 最終試験
各授業(後半の8〜14回)のテーマごとに配布したる、主にインターネット(Web, http::/)に掲載されているオフィシャルな地球科学や地球環境問題に関する情報や資料から選んだテキストから、25題(穴埋め形式の知識問題、40分間)と小論文(範囲は前半と後半から各1題、各750字、計40分間)。 小論文は地球科学や地球環境に係る科学と工学と社会の接点の問題の所在を自ら見出した上で解決の方向性やシナリオや戦略を独自に示せることが評価につながる。
|
授業の詳細7 |
テキスト: 村上雅博、“水の世紀”、日経評論社、2003年
参考書: 1) 後藤則行偏、村上雅博、他、”エコブームを問う -東大生と学ぶ環境学-“、学芸出版社、2005年 2) 監修/福岡克也、村上雅博、他、”国際河川と紛争:地球環境データブック2004-05”、ワールドウオッチジャパン, pp.214-221, 2004年 3) Masahiro Murakami, “Managing Water for Peace in the Middle East, Alternative Strategies”, United Nations University Press(国連大学出版局), 1995年<Webから、全文(309頁)を読み込むことが可能、http://www.unu.edu/unupress/unupbooks/80858e/80858E00.htm> 4) Libor Jansky, Masahiro Murakami, Nevilina I. Pachova, “The Danube, Environmental Monitoring of An International River”, United Nations University Press(国連大学出版局), Tokyo/New York/Paris, 2004年 5) 福嶌義宏監修・村上雅博総編集、“地球水環境と国際紛争の光と影”,信山社、1995 6) 蔵治光一郎編・村上雅博、“水をめぐるガバナンス”、(株)東信堂、pp.174-192, 2008年
成績評価:出席・課題演習(25%)、中間・最終試験(75%)を総合(100%)して評価する. AA:地球環境システムと持続的開発ついての基本的な知識レベルでの理解ができ,問題の所在を見出した上で、解決の方法にもチャレンジして自身の発想から具体的なアイデアを出し、対策の方法や戦略を示せるポテンシャルがある. A: 地球環境システムと持続的開発についての基本的な知識レベルでの理解ができ,問題の所在を見出した上で解決の方向性を示すことが出来るポテンシャルがある. B: 地球環境システムについての基本的な知識レベルでの理解ができている上で,問題の所在を見出すポテンシャルがある. C: 環境システムについての基本的な知識レベルでの理解ができている. |
授業の詳細8 |
|
授業の詳細9 |
|
授業の詳細10 |
|