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タイトル「2009年度シラバス」、フォルダ「2009年度シラバス?情報学群専門科目
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 情報代数 
担当教員 坂本 明雄,高田 喜朗 
対象学年 1年  クラス 学部:専門001 
講義室 A106  開講学期 1学期 
曜日・時限 月2,木2  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 【 授業の目的 】

代数学は,数の代わりに文字(記号)を用いて,数の性質や数の計算法則を研究することから始まった数学の一分野である。現代の代数学の対象は,通常の四則演算ができる整数や実数などの数値には限らない。

この授業の目的は二つある。一つは,演算が定義された抽象的な要素の集合である『代数系』の概念を理解することであり,もう一つは,複数の演算をもつ重要な代数系である『ブール代数』の基礎を学ぶことである。代数系の概念は情報システムを学んでいく上での理論的な考え方の基本であり,一方,ブール代数は論理回路をはじめとするコンピュータのハードウェアのふるまいを理解するための基本である。
 
授業の詳細2 【 授業の進め方 】

代数系を理解するために必要となる数学的な道具として,集合・関係・関数といった基礎概念がある。授業の前半は,これらの概念を具体例を通して学習する。後半では,半群や群など代数系の抽象的な定義を理解した上で,具体的な例や演習問題を解いて代数系の概念の有用性を修得する。また,ブール代数に関する基本的な用語を学習し,ブール式の具体的な表現手法を理解して,通常の四則演算が定義されている数値の扱いとは異なる代数系の扱い方を身につける。

この授業は,13回の講義と2回の試験(中間試験と最終試験)からなる。毎回の講義の最後にはQuiz(小テスト)を実施してその日の学習内容を復習する。
 
授業の詳細3 【 達成目標 】

基礎概念:集合演算(和集合,積集合,補集合など),2項関係(直積集合,同値関係,半順序関係など),関数(単射,全射,全単射,逆関数など)について説明することができ,これらの概念を用いた数学的記述を理解できること。

代数系:集合の上に定義された演算の性質を理解し,その演算の単位元や特定の要素の逆元を求めることができること。また,半群や群についての説明ができ,これらの概念を用いた数学的記述を理解できること。

ブール代数:ブール代数の公理や諸定理を理解し,利用できること。また,ブール式の極小項表現,極大項表現を導くことができること。
 
授業の詳細4 【 授業計画(前半)】

1.『情報代数』で学ぶこと
代数系およびブール代数について,身近な具体例を通してその概要と意義を理解する。また,次回以降の準備として集合についての基礎的な考え方を学習する。この授業科目の成績評価法についても説明する。

2.集合演算と直積
和集合・積集合・補集合など集合についてのさまざまな演算を学習する。それぞれの演算について成立する法則から,通常の数値に関する四則演算における法則との類似点と相違点を理解することは重要である。また,順序対を要素とする二つの集合の直積について理解する。

3.関係の表現法と性質
集合の上で定義される2項関係の概念を学習する。2項関係はグラフや行列を用いて表現することができる。更に,ある種の2項関係において成立する反射性,対称性,推移性などの性質を学ぶ。

4.同値関係と集合の分割
反射的,対称的,かつ推移的である関係を同値関係という。集合上に定義された同値関係はその集合の分割を導き,逆に,集合の分割から同値関係を導くことができることを理解する。

5.関数
関数は,集合と並んで数学において最も重要かつ便利な概念である。まず,一般的な関数の意味や表記法を学ぶ。

6.特殊な関数
特別な性質を持つ関数として,単射,全射および逆関数について学習する。また,これまでに学んだ集合・関係・関数の基本的な概念について復習する。

7.中間試験
* 集合・関係・関数という基礎概念を確実に理解できているかどうかを試験によって確認する。
* 試験問題は,授業に使用するテキストにある演習問題のレベルとする。
 
授業の詳細5 【 授業計画(後半)】

8.代数系
集合の上に演算規則が定められているものを代数系という。通常の数値における四則演算以外にさまざまな演算があることを理解するのは重要である。

9.半群と群
特別な性質を満足する代数系の最も基本的なものである半群と群について学習する。

10.特殊な群
部分群や可換群といった,いくつかの特殊な群について学ぶ。

11.ブール代数の公理
まず,ブール代数とよばれる代数系が満たすべき公理が示される。ブール代数が集合の演算体系を一般化した代数系であることを理解する。

12.ブール式
ブール代数における演算を用いて構成される式をブール式という。ブール式は論理式とも呼ばれ,論理回路を理解する上で基本となるものである。

13.ブール式の表現
ブール式を表現する二つの標準な方法について学ぶ。

14.最終試験
* 代数系およびブール代数の概念を確実に理解できているかどうかを試験によって確認する。
* 試験問題は,授業に使用するテキストにある演習問題のレベルとする。

15.『情報代数』で学んだこと
この授業で学んだことを整理する。さらに,返却された最終試験の答案を検討して,各自がこの授業の目標に達しているかどうかを自己点検する。また,まとめとして課される最終課題についてその概要を理解する。
 
授業の詳細6 【 成績評価 】

成績は,2回の試験結果をもとに評価するが,講義の最後に実施するQuizの結果および最終課題を成績評価の一部に利用する。

中間試験では,この授業の達成目標に示した基礎概念について40点満点の問題を出題する。また最終試験は,代数系およびブール代数に関する問題をそれぞれ30点,合計で60点満点の出題とする。

◆C:2回の試験結果の合計が55点以上であることを基準とする。
◆B:2回の試験結果の合計が65点以上であることを基準とする。
◆A:2回の試験結果の合計が75点以上であることを基準とする。
◆AA:最終課題の完成度を含めて,この授業の目標を完全に達成したと認められた場合

なお,成績評価の詳細は最初の授業で説明する。

◇テキスト
『離散数学』(第1章,第2章),牛島 和夫 編著,相 利民・朝廣 雄一 共著(コロナ社,2006)ISBN 4-339-02715-4
また,必要に応じて補助テキストを授業中に配付する

◇参考書
『離散数学 〜コンピュータサイエンスの基礎数学〜』,S. Lipschutz 著,成嶋 弘 監訳(オーム社,1995)ISBN 4-274-13005-3

◇備 考
履修登録必須科目
 
授業の詳細7  
授業の詳細8  
授業の詳細9  
授業の詳細10  


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