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タイトル「2009年度シラバス」、フォルダ「2009年度シラバス?マネジメント学部専門科目
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 プロジェクト評価 
担当教員 渡邊 法美 
対象学年 3年  クラス 学部:専門001 
講義室 C102  開講学期 2学期 
曜日・時限 火1,金1  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 【授業の目的 】
私たちが生活・仕事の様々な場面で関わっている事業(プロジェクト)は、殆どの場合、他者の評価を受けています。企業、行政、NPOの事業活動は、それぞれ、どのように評価されるべきなのでしょうか。適切な評価とは、どのような評価なのでしょうか。
本講義は、事業評価の基本的な考え方と手法を理解するとともに、営利企業、行政、NPOが実施する事業の評価方法を実践的に学ぶことを目的とします。

【授業の進め方】
授業は大きく3部に分かれます。
第一部では、「評価」「豊かさ」「開発」など評価に関する哲学を考えます。私たちの個人的体験から評価の意義を考えた後、文献・指標・映像等を通して,経済成長国と経済成熟国、さらには現代の日本社会における豊かさと開発を様々な視点から討議し,多面的に理解することを試みます.
第二部では、プロジェクト評価方法の基礎を学びます。
プロジェクトの効果,財務分析と経済分析,社会的割引率,現在価値変換,プロジェクト採択の基準,事後評価などの考え方と手法を学びます。
第三部では、営利企業、行政、NPOが行うプロジェクトの評価を、実践的演習を通して体験します。
授業は,14回の講義と1回の期末試験から構成されます。

【達成目標】
1. 「評価」、「豊かさ」、「開発」に関する様々な考え方や定義を理解している.
2. 財務分析と経済分析の相違が理解している.
3. 社会的割引率を理解し,将来発生する価値を現在価値に変換する「現在価値変換」を実施することができる.
4. プロジェクトの採択基準を理解し適用することができる.
5. 事後評価の考え方について理解している.
6. 営利企業による事業、行政による社会資本整備事業、NPOによる市民事業の評価方法の基礎を理解している
7. CVM(仮想的市場評価手法)の基礎と現実の問題への適用方法を理解している.  
授業の詳細2 【授業計画】
第一部:「評価」、「豊かさ」、「開発」の哲学を考える
1.評価、豊かさ、開発とは
−私たちが生活・仕事の様々な場面で関わっている事業(プロジェクト)は、殆どの場合、他者の評価を受けています。適切な評価とは、どのような評価なのでしょうか。
皆さんの生活体験を基に、「いい評価とはどのような評価か」「そもそも何故評価が必要か」という問いについて考えます。
2.豊かさとは
−事業は「豊かさ」を求めて実施されるため、事業の実施と評価に関わる人は、「豊かさとは何か」という問いを幅広い視点から深く考えることが不可欠です。
 今回は、講師の個人的経験を通して感じた経済成長国と経済成熟国における豊かさを出発点として,豊かさとは何かを様々な視点から検討します.さらに、医療が崩壊しつつある中で,必死にそれを食い止めその再建を果たそうとする地域の人々の活動を紹介するドキュメンタリー番組を鑑賞します.それを通して,「地域の豊かさとは何か」,「豊かさをどう創造・維持できるのか」を考えます.
3.開発とは
−「豊かさ」の多くは「開発」によって実現されると考えられてきましたが、「乱開発」という言葉も存在するように、開発の弊害も少なくありません。豊かさと同様、開発という言葉の意味も、深く考えることが必要です。今回は、ADB(アジア開発銀行)が提唱する「黄金の四角形」,並びにその中の一つである「ジニ係数」の内容を深く考えます。

第二部:プロジェクト評価方法の基礎
4. 財務分析と経済分析
−プロジェクト評価の二本柱です。両者の相違を理解します.
5. 社会的割引率と現在価値変換
−両者を正確に理解し,現在価値変換(将来発生する価値を現時点での価値に変換する手法)を習得します.
6. プロジェクト採択の基準
−純現在価値,費用便益比,内部収益率を理解し,様々な状況において最も好ましいプロジェクトを採択するための考え方を学びます。
7. 事後評価の考え方
−事後評価は日本では緒に就いたばかりです。ここでは,アジア開発銀行で実施されてきた事後評価の手法と考え方に触れます. 
授業の詳細3 第三部:営利企業、行政、NPOが行うプロジェクトの評価の演習
8.営利企業の事業活動の評価
−事例調査研究を通して、実際の評価手法を学びます。
9.NPO(非営利組織)による子育て支援・福祉事業の評価
−NPO(非営利組織)による事業の効果は、金銭によって計量化することが困難であるものが少なくありません。子育て支援・福祉事業の事例調査研究を通して、NPOが行うプロジェクトの評価の現状と課題を学びます。
10−12.行政による社会資本整備事業の評価
−2009年3月31日、国土交通省は、無駄な道路が多いとの国会の批判に応えるために、高知南国道路を含む直轄道路など18路線について建設の一時凍結を発表しました。国土交通省が整備路線を決定する際には、道路新設による走行時間短縮や燃料費の削減、交通事故の減少の効果を金銭に換算し、建設・維持管理費用の総額と比較するという費用対効果分析を行っています。18路線では、その効果が経費を下回り、建設の意義が無いと判断されました。これに対して、高知県の知事や市町村の首長からは、「高知南国道路は高知医療センターにつながる命の道路でもあり、早急に再評価を」(松本安芸市長)など凍結の早期解除を求める声が相次ぎました(以上、2009年4月7日高知新聞夕刊記事から要約)。
ここでは、わが国の道路整備効果の算定方法と課題を理解するとともに、高知南国道路建設の是非について、皆さんと話し合いたいと思います。
13−14.NPO(非営利組織)・行政による環境保全事業の評価−環境保全プロジェクトの評価方法の基礎を学ぶ.環境の価値を計測する手法としてよく用いられるCVM (Contingent Valuation Method: 仮想的市場評価手法)の基礎と応用を学びます。
15. 期末試験 
授業の詳細4 【成績評価】
試験,出席状況,課題レポートの結果を総合して、以下のように評価します。
◆AA:特に優れた成績を示したもの
◆A :優れた成績を示したもの
◆B :良好と認められる成績を示したもの
◆C :合格と認められる成績を示したもの
◆F :不合格
具体的な評価方法は,第一回の講義において説明します.

【テキスト】
講義時配布

【参考図書】
H. A. Adler, “Economic Appraisal of Transport Projects,” The Johns Hopkins University Press, 1987
土木学会編「海外交通プロジェクトの評価」、鹿島出版会、1986
ジョン・ディクソン「新・環境はいくらか」、築地書館、1998
ディクソン、ハフシュミット「環境の経済評価テクニック−アジアにおけるケーススタディ」、築地書館、1993
中村英夫編「道路投資の社会経済評価」、東洋経済新報社、1997
栗田啓子「エンジニア・エコノミスト」東京大学出版会、1992
協働→参加のまちづくり市民研究会編「私のだいじな場所−公共施設の市民運営を考える」、2005  
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授業の詳細6  
授業の詳細7  
授業の詳細8  
授業の詳細9  
授業の詳細10  


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