科目名 |
企業倫理 |
担当教員 |
各指導教官 |
対象学年 |
2年 |
クラス |
学部:専門001 |
講義室 |
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開講学期 |
2学期 |
曜日・時限 |
時間外 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
【授業の目的】 企業が起こす不祥事や反社会的行動の報道が跡を絶ちません。一方で企業はモノ・サービスの供給者であり、イノベーションを実現する担い手であり、社会にとって欠くことのできない組織でもあります。その企業は、顧客や資本の提供者(株主など)の存在を前提に、経営者と従業員があって始めて活動できます。その経済活動が社会のなかで存続していくためには、彼らの行動に企業倫理の裏づけがなされていなければなりません。不祥事を例にとっても、それは直接の当事者個人の問題というよりも、所属する組織に起因する場合がほとんどで、組織の倫理が問われます。この科目では、まず応用倫理学の観点を入れて、企業活動において倫理が問われる領域、倫理的判断の必要性、企業倫理の制度化など様々な課題について考察を行います。また講義スケジュールの後半には、企業統治(コーポレートガバナンス)のテーマを扱います。経営者は企業戦略を立て企業を引っ張るリーダーであり、企業倫理の体現者ですが、必ず企業の主権者の眼によって監督されなければなりません。企業統治にはその仕組みとしての意義があります。本講義は企業倫理周りの事象への理解と必要な知識の習得を目的にしますが、アジアで世界で活躍する企業はどうあるべきかという企業論でもあることを言い添えておきます。 |
授業の詳細2 |
【授業の進め方】 集中講義の形式(週末(金、土、日)3日連続、2回(8コマと7コマ)に分ける)になるので、1ヶ月程度前に公示する参考文献に目を通しておいてください。講義は、毎回のテーマを説明するスライドを使用して進めます。これらのスライドは私のホームページ(URLは下記のテキスト欄参照)から、講義の1週間程度前よりダウンロード可能に設置します。集中講義の後半にケーススタディを1コマ実施します。授業の前までに各自、解答を用意して参加してください(この授業終了時に考えをまとめたペーパーを提出)。 |
授業の詳細3 |
【授業の目標】 1)企業が倫理を問われる分野を確認する。 2)企業倫理の制度化、企業統治に関する知識を得る。 3)企業経営には倫理的な裏づけが必要なことを納得する。 |
授業の詳細4 |
【授業計画】 集中講義第一週 1. 企業に倫理は必要か 人間社会と倫理、倫理的問題とはなにか。 応用倫理学からのアプローチを学ぶ。 2. そもそも企業とは何か、経営とは何をすることか 企業とは何か、企業と社会の関係。経営者の役割と責任。経営者機能における企業倫理の位置づけを行う。 3. 企業が倫理を問われる分野 取引先との関係、取引方法(独禁法)、労務人事、環境、個人情報など、企業が倫理を問われる分野を確認する。 4. 法と企業倫理 法と倫理の関係、法という企ての意義、会社法等主要法規の要請するもの、コンプライアンス体制と企業倫理の関係などの位置づけを行う。 5. 事業執行、経営戦略と企業倫理 経営戦略と一体となったマーケティング倫理の確立の必要性。PL・環境問題ともリンクした製造・技術の倫理。リスク管理との関係も検討する。 6. グローバル化と企業倫理 企業活動のグローバル化に起因する倫理問題を検討する。またフェアトレードの動きや世界企業の企業倫理活動も紹介する。 7. 企業倫理の制度化 企業が倫理を血肉とするためには、企業倫理の社内制度化や社会による支援が必要。内部統制システム、評価と監査、教育、PDSサイクルマネジメントに触れる。 8. 企業の社会的責任を考える 水俣病とは何だったのか。企業経営と持続可能な社会との整合性、そのような社会形成への積極的寄与を考える |
授業の詳細5 |
集中講義第二週 9. ケーススタディ 授業の前にケースと課題研究に取り組み、各自の答えを用意して授業に臨む。授業においては討議を中心に進め、終わりに各自でまとめたペーパーを提出。 10.歴史にみる日本の企業倫理 江戸時代から明治・大正・昭和の近代化の時代を振り返り、日本にもあった企業倫理概念を確認する。 11.企業統治(コーポレートガバナンス)の視点 経営戦略実行の経営者があっての企業であるが、その経営者を監督する仕組が企業統治である。企業統治の様々な態様、欧米と日本での企業統治の変遷を検討する。 12.取締役会改革 欧米と日本 投資家の機関化は世界の企業に取締役会改革を求めている。OECD加盟国をモデルに各国の取締役会構造を比較し、取締役会、取締役の責任を検討する。 13.世界の機関投資家が求めるもの 投資家に信頼される経営者の要件として、一層の情報開示、株主総会・議決権行使のあり方の改善など、投資家とのコミュニケーションの重要性を検討する。 14.M&Aによる規律づけ 過去25年のM&Aデータを用いて、M&A取引を通じてなされた経営者の規律づけを辿りながら、企業統治におけるM&Aの位置づけを行う。 15.まとめ 全体の講義をふりかえって、企業倫理を改めて考える機会とする。 |
授業の詳細6 |
【成績評価】 ケーススタディへの解答評価:40%、講義シリーズ終了後のリポートの評価:60%の配分で、合計点(100点満点)を出し、60点以上を及第としてC、70点以上をB、80点以上をA、95点以上をAAと評価します。 |
授業の詳細7 |
【その他】 ◇テキスト 特に予定していません。講義の際使うスライドを私のホームページ(高知工科大学用のボタンを設定します)からダウンロードして予復習に使ってください。 ホームページURL: http://www.linkclub.or.jp/~yk-mogi/ パスワード: kochitech09bizeth ◇参考書 『ビジネス・エシックス(新版)』、高巌・T.ドナルドソン著(文眞堂、2003年)、ISBN 4-830-94474-1 『ビジネスの倫理学(現代社会の倫理を考える(3))』、梅津光弘著(丸善、2002年)、ISBN 4-621-04992-1 『応用倫理学のすすめ』、加藤尚武著(丸善ライブラリー、1994年)、ISBN 4-621-07046-8 『OECDコーポレート・ガバナンス』、日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム編(明石書店、2006年)、ISBN 4-7503-2280-6 『日本型コーポレートガバナンス』、久保利英明・高梨智弘・鈴木忠雄・酒井雷太著(日刊工業新聞社、1998年)、ISBN 4-526-04225-6 『株主を重視しない経営−株式市場の歪みが生み出した日本型ガバナンス』、江川雅子著(日本経済新聞出版社、2008年)、ISBN 4-532-13343-6 下記は企業倫理そのものではないが、倫理問題について目を開かされる内容で一読の価値あり。 『人生の教科書 よのなかのルール』、藤原和博・宮台真司著(ちくま文庫、2005年)、ISBN 4-480-42085-1 ◇オフィスアワー: 集中講義(3日連続、2回)に来学のため、充分な時間をとることができません。 個別の質問については、一日の授業の終わりなどに受けることにします。 |
授業の詳細8 |
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授業の詳細9 |
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授業の詳細10 |
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