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タイトル「2009年度シラバス」、フォルダ「2009年度シラバス?大学院 専門領域科目
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 知覚・認識論 
担当教員 篠森 敬三 
対象学年 1年,2年  クラス 院:専門001 
講義室 A105  開講学期 2学期 
曜日・時限 火2,金2  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 講義目標及び講義概要:

 これからのソフトウェアに導入されるべき概念として,生体における知覚情報処理や生体内部の情報処理を取り上げ,その内容について講義するとともに,計算機情報処理への応用についても考える.
 この目的のために,本講義では,特に人間において視覚情報がどのように処理されるかを学習する.視覚系の構造や視覚系の初期情報処理過程についてまず理解する.さらに,視覚系の高次情報処理過程とその処理結果を,眼球運動処理,光の知覚情報処理,色覚,および異なる時空間特性を持つ視覚刺激に対する処理に焦点をあてて学習する.また研究に用いられる心理物理学的手法や,心理物理学的手法による人間応答の定量化についても言及する.また各種の情報処理システムが備えるべき機能についての一般論を述べるとともに,人間の視覚系の情報処理モデルとそのコンピュータビジョンへの応用など,生体における知覚情報処理メカニズムの一般情報処理への応用について議論する.
 
授業の詳細2 履修者への注意:

 この講義内容は,2006年度までは「ソフトコンピューティング論(篠森)」で教授されていたものであるが,従前より,一般的なソフトコンピューティング手法である「ファジイ制御」「ニューラルネットワーク」「遺伝子アルゴリズム」などの理論や計算機応用を扱うためのものではなかった.2007年度よりそれら内容については,「ソフトコンピューティング論(吉田)」で取り扱われることとなった.つまりこの講義の内容に相応しい講義名になったといえる.再履修にあたっては注意されたい.
 
授業の詳細3 講義の進め方 :

 講義は導入編の数回を除いては,輪講形式で行い,毎回その領域の担当者があらかじめ資料を準備して発表(Power Pointの使用を推奨)し,それに対して参加者が質疑応答を行うことによって進めていく.
 
授業の詳細4 達成目標 :

(1)視覚情報処理に対する理解
  ・視覚情報処理の基本的な原理について理解する.

(2)研究手法としての心理物理学に対する理解
  ・単に視覚研究に用いられるだけではなく,さまざまな研究分野への敷衍が可能である心理物理学的手法について基礎的諸概念を正しく理解し,自分でも使えるようにする.

(3)計算理論としての視覚情報処理への展開
  ・計算機に実装可能な計算理論を構築していくための,計算理論という視点から視覚情報処理を再構築する.
  ・画像処理などへの応用について考察する.
 
授業の詳細5 講義計画:

日程は全て平成21年4月の時点の予定である。変更等は3Qの最初の時に伝達する。

(導入編)
1 視覚情報処理とは(10/2)
 ソフトコンピューティングの定義と概略について議論し,これから学習する事に関しての全体像をつかむ。また最後に授業に関係する指示や担当者の割り当てなどを行う.

2 AIと計算可能性について(10/6, 10/9)
 導入として現在のAI研究の現状について紹介し,その発展と限界について議論する.また計算可能性についても言及する.

(視覚情報処理編)
1 眼球光学系(10/13)
 眼球光学系の構造とそれぞれの組織の役割について,知識を取得する.また,眼球光学系の機能について,特に水晶体濃度,MTF,瞳孔径の変化,調節などが視覚情報や見えに対して与える影響などに焦点をあてる.また視覚特性の個人差の起源についても考える.

2 神経生理1(10/16)
 ニューロンや光受容器などにおける作用について知識を取得し,神経回路網における信号伝達の基礎についてまず理解する.また網膜から,LGN,V1までの構造とそれぞれの組織の役割,さらにV1まででどのような情報処理がなされているのかについて知識を取得し,高次領域に対してどのような情報が伝わっているのかを理解する.

3 神経生理2(10/20)
 V1その他からの信号がどのように処理されているか,および脳における機能局在とそれぞれの部位における情報処理について(背側経路,腹側経路など)取り上げる.

4 眼球運動(10/23)
 眼を動かす仕組みや眼の動きの測り方についての知識を取得し,眼球運動の種類とその目的,さらに機能を実現するメカニズムについて理解する.
 
授業の詳細6 5 光の強さ(10/27)
 絶対閾や増分閾などの感度について扱うとともに,暗順応や明順応といった順応の影響について理解する.さらに,視細胞の分光感度や輝度チェンネルの分光感度についての知識に基づいて,刺激強度と知覚との関係について理解する.

6 色覚1(10/30)
 錐体分光感度と混同色線との関係や色弁別について理解する.また反対色メカニズムとその測定法,およびモデルについても言及する.明るさと輝度との違いについて考える.

7 色覚2(11/6)
 色の見えを変化させるさまざまな刺激条件についての知識を取得し,カテゴリカルカラー,色恒常性に,色覚異常について理解する.また,発達や加齢による色覚の変化について考察する.

8 時空間特性1(11/10)
 視力についての知識を取得し,視覚系の空間的な足し合わせやコントラスト感度について理解する.またちらつき(フリッカー)や時間的な足し合わせなどを中心に,視覚系の時間特性について理解する.


(11月13日は担当教員が、企業向け大学説明会へ出席の予定であり、休講を予定している。)

9 時空間特性2(11/17)
 色覚の時空間特性についての理解を深める.視覚的マスキング,視覚感覚記憶など詳細な特性について理解する.また周辺視の構造的な相違とその時空間特性について考察する.

(視覚の計算論編)(11/20, 11/24,)
1 数理モデルによる脳・神経システムの理解について
 数理モデルを導入して入力出力関係を明らかにすることで,脳・神経システムにおける情報処理を解析する手法について議論する.

2 ニューラルネットモデル
 ニューラルネットによる情報処理について学習する.

3 視覚の計算論モデル
 視覚系の情報処理を実現するアルゴリズムと神経回路について考える.

予備日(11/27)
 
授業の詳細7 授業のテキストと参考書:

テキスト:必要な資料を配付する.
参考書 :「視覚情報処理ハンドブック」(朝倉書店)
 「脳・神経システムの数理モデル」,臼井支朗編(共立出版)
 「脳の計算理論」,川人光男(産業図書)

 
授業の詳細8 成績評価:

 輪講形式の授業において,不定期に担当する領域についての発表,資料の準備および質疑応答の状況を総合して評価する.また討論参加者としての準備状況や議論の内容なども加味する.領域を担当した回に欠席したり何の準備もしなかったりすると採点において大きな不利益になるので注意すること.
 
授業の詳細9 備 考:

 学部授業である「知覚と認識」を履修してあることが望ましい. 
授業の詳細10  


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