科目名 |
材料強度・設計 |
担当教員 |
楠川 量啓 |
対象学年 |
2年 |
クラス |
学部:専門001 |
講義室 |
A113 |
開講学期 |
1学期 |
曜日・時限 |
火1,金1 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
授業の目的 高機能化する機械・構造物の合理的な開発,設計を行なうためには使用する材料の各種特性を十分に把握しておくことが重要である。この授業では固体材料,主に金属材料の弾性,塑性および強度などの機械的性質を原子スケールの微視的観点ならびに連続体としてみる巨視的観点から解説し、相互の関係を理解してもらう。また代表的な各種材料についてその特徴を知った上で、材料を合理的に選択し使用できる技術者としての基本的知識を習得してもらう。 |
授業の詳細2 |
授業の進め方 原子構造と物質における原子の結合について解説した後,金属材料の結晶構造の種類と格子欠陥について理解してもらう。次に金属、非金属材料の代表的なものについてその種類と特徴を解説する。後半では材料の強度的特性を中心として,微視的な塑性変形と格子欠陥との関係を述べ,材料を強化するにはどのような方法があるのかを述べる。さらに脆性破壊,延性破壊,疲労破壊あるいは腐食といった実際の材料の損傷,破壊の各問題についてそのメカニズムを微視的に考察する。講義を通して,理解を深めるため数回の課題を出すのでこれをレポートとして提出してもらう。 |
授業の詳細3 |
達成目標 1.物質の微視的構造と原子の結合を理解する。 2.金属における結晶構造の種類を理解し,結晶学的面と方位をミラー指数により表現できる。 3.代表的材料の特徴とその主な用途を知る。 4.格子欠陥と材料の塑性変形の関係を理解し、材料を強化する方法とそのメカニズムに関する知識を持つ。 5.各種破壊の種類と特徴を理解するとともに破壊力学に関する基礎知識を身につける。 |
授業の詳細4 |
授業計画 1.科目概要と材料に関する知識の重要性 授業の目的,内容および成績評価の方法を説明する。人類と材料の関わりの歴史を概観し,現代の機械技術における材料の役割を解説する。 2.原子構造と結合 原子の構造と物質を構成する原子どうしの結合について復習する。結合力と巨視的な弾性との関係を理解してもらう。 3.結晶構造 金属材料の基本的な結晶構造には体心立方構造,面心立方構造および稠密六方構造の3つがある。これらがどのような原子配列となっているのかを解説し,結晶の面と方位を記述するためのミラー指数を理解してもらう。 4.格子欠陥 実際の金属材料は完全結晶ではなく不完全な部分,すなわち格子欠陥を多く含んでいる。これら格子欠陥を点欠陥,線欠陥(転位)および面欠陥に分類し,それぞれがどのような状態になっているのかを理解してもらう。 5.中間試験 6.状態図 実際の機械・構造物に使用される材料の大部分は,合金化された多相金属である。これら合金の相の構造を含有する元素の化学成分と温度の関係として表示される状態図について解説し,その見方を理解してもらう。 |
授業の詳細5 |
7.鉄鋼材料 最も多く使用されている鉄鋼材料について、その種類と特徴、主な用途などを解説する。また主要な材料について,JISの材料記号を知ってもらう。 8.非鉄材料・非金属材料 アルミニウム合金、銅合金、チタン合金、マグネシウム合金など比較的よく用いられる非鉄材料について、その特徴と主な用途などを解説する。また,セラミックス材料、高分子材料など金属材料以外の材料の特徴を述べる。また、材料の機能を高める手段の一つとして重要な複合化や表面改質についても簡単に概要を述べる。 9.微視的塑性変形 金属の塑性変形はすべりと双晶の2つのメカニズムにより生じる。ここでは主にすべりによる塑性変形について解説し,原子間モデルによりその臨界せん断応力の理論値を導く。このモデルにより求められる理論的降伏応力と実際のそれとは桁違いに差が生じるが,これを説明するため前回解説した格子欠陥が重要な役割を果たすことを理解してもらう。 10.金属材料の強化機構 前回の授業で金属材料の強さは線欠陥(転位)の運動の難易により決まることを述べた。この転位の運動を妨げる方法,すなわち材料を強化する方法をいくつか解説し,そのメカニズムを理解してもらう。また,このような強化機構を利用した実際の材料にどのようなものがあるかを紹介する。 11‐12.脆性破壊と破壊力学の基礎 まず破壊の種類を分類し、その中の脆性破壊について解説する。材料の理論的破壊強度を見積もり、実際の強度には潜在する欠陥やき裂などが大きく関与していることを理解してもらう。さらに、これらき裂を含む材料の力学的挙動を表すとともに、機器の設計、保守等に重要な役割を担う破壊力学の基礎についても述べる。 13.疲労破壊と疲労設計 疲労現象は実際の材料が破壊する直接的および間接的原因の80%を占める重要な問題である。ここでは疲労破壊についてき裂発生から伝ぱ、最終破壊までの過程の詳細を説明する。また、耐疲労設計の考え方についても述べる。 14.腐食と摩擦,摩耗 材料の表面は内部と異なり周囲の原子が半分取り除かれた境界であるため,内部に比べてエネルギーが高い状態にある。このため化学的,物理的に特徴的な挙動を示すことになる。これら表面で生じる損傷等の問題のうち腐食と摩耗の問題を取り上げ説明する。 15.期末試験 |
授業の詳細6 |
成績評価 課題・レポートの過半数を提出し,期末試験を受験した受講生について以下の基準で成績を判定する。 ◆AA:課題・レポートともに優れた内容であり、期末試験において出題される力学的な問題が完全に解答できる学力を有する。また,以下A〜Cの基準も十分に満たしている。 ◆A:各種材料の特徴を十分把握しているとともに、材料の力学的特性と強化機構の関係を深く理解している。 ◆B:各種材料の特徴を把握しているとともに、材料の破壊機構に関する知識を有する。 ◆C:材料の微視的構造を把握している。ミラー指数による標記ができる。また、材料選択に関する最低限度の知識を有する。 |
授業の詳細7 |
◇テキスト 『材料の強度と破壊の基礎』村上理一,金允海,楠川量啓 著(西日本法規出版,2005) ISBN 4-86186-224-8 ,¥2,400 ◇参考書 『JSMEテキストシリーズ 機械材料学』 日本機会学会(丸善,2008) ISBN978-4-88898-169-9 C3353,¥1,886 ◇履修上の注意 関連科目:物体の変形 授業では電卓を持参のこと |
授業の詳細8 |
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授業の詳細9 |
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授業の詳細10 |
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