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タイトル「2009年度シラバス」、フォルダ「2009年度シラバス?電子・光システム工学科専門科目
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 信号解析 
担当教員 山本 真行 
対象学年 3年  クラス 学部:専門001 
講義室 A104  開講学期 1学期 
曜日・時限 火2,金2  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 講義の目的
  
電子回路であれ,その集合体としてのコンピュータであれ,電子機器内部の処理には電気信号が使われている.信号の本質は何かと問われたら,あなたはどう答えるであろうか? この講義が終わる頃にその答えをあなた自身の頭で考え物理的・数学的に自分自身の言葉で説明できるようになることを本講義の目的とする.
 
授業の詳細2 講義の進め方
  
信号の解析なんて計測機器任せ,コンピュータ任せ,という時代であるからこそ,その本質を見抜けなければ将来の現場で通用する人材とはならない.本講義では,信号を解析・処理していくプロセスに必要不可欠な知識をじっくり身につけることを基本としたい.そのためにまず電気信号の知識がどのような場面でどのように使われているか,これまでのカリキュラムで学んだ事柄を総出動させ,知識をリンクさせるプロセスを経て,あなた自身の中で目的意識をつけるところからはじめたい.
信号の本質すなわち波の物理的性質を理解するには数学という言語に親しまねばならない.従って,本講義ではまず理解のために必要な数学についてこれまでの学習内容を復習する.次に,電気信号の本質である波についての数学表現と,その解析法について順を追って学んでいく.これらのプロセスでは実際に手を動かして身に付けることが重要であるので,講義時間の半分以上を演習時間として活用する.後半では信号解析の応用に視点を移し,アナログ信号とデジタル信号の違いについて本質を学ぶ.信号の取り扱いの主流になりつつあるコンピュータを通した解析を踏まえて,その入出力についての知識にも触れておきたいし,さらに今後の研究において不可欠な科学技術論文の活用法などについても概説しておきたい.大学ではカリキュラムに沿って漫然と学ぶだけでなく,それぞれの学習内容を有効活用するには得られた知識間のリンクが重要である.その観点から,最後に今後の勉学・研究活動の指針について各自の中での方向性を見出す機会を作る.
 
授業の詳細3 達成目標
  
1:電気信号の本質を自ら考えて説明できるようになることを目標とする.これは数学的には,(1) 周期的な時間関数f(t)をフーリエ級数展開できること,(2) 一般的な時間関数f(t)をフーリエ変換できること,(3) フーリエ級数の複素展開を理解できること,(4) 高速(離散)フーリエ変換の基本的な考え方を理解できること,を達成することと等価である.さらに、2:本講義で得た知識を電子・光システム工学科における研究活動に,さらに技術者として社会に出たときに活用できる状態になること,を目標とする.
 
授業の詳細4 講義計画
  
1 ガイダンス・学科カリキュラムを俯瞰する,コンピュータと信号,本科目の意義
2 単位,物理定数,オーダー,有効数字,数式と図示,三角関数とその実践
3 アナログとデジタル,誤差の要因と推定,統計,理論と実験結果,近似,最小二乗法
4 電気信号とS/N,波と周波数,移動平均,これまでのまとめ
5 試験1(15点),<Topic1:自己アピールを磨く・・発表技法>
6 ベクトルと内積,相関係数,相互相関関数,自己相関関数
7 想像力の世界へ・・N次元空間,正規直交関数系
8 フーリエ級数
9 スペクトルの世界へ・・空間の波とDFT,これまでのまとめ
10 試験2(30点)
11 FFT,フーリエ変換
12 フーリエ変換の応用領域,線形システムの解析
13 これまでのまとめ,<Topic2:国際人となるために・・英語と科学技術論文>
14 試験3(15点),<Topic3:勉学・研究意識の再構成>
15 議論:独力で結論を導くには,本科目からの発展
 
授業の詳細5 テキスト:
『図解メカトロニクス入門シリーズ 信号処理入門』 雨宮好文 監修,佐藤幸男 著(オーム社,ISBN4-274-08674-7,2,800円)

参考書:
『基礎数学ワークブック番外編1 フーリエ級数』 井上 昌昭 著
『フーリエの冒険』 トランスナショナルカレッジオブレックス編(ヒッポファミリークラブ)
『信号解析のための数学』 三谷 政昭 著(森北出版,ISBN4-627-78521-6,2,400円)
『入門物理学実験-体でつかむ物作りの基礎-』 伊藤 敏,村守 清,磯貝 正弘,坂口 鋼一,伊藤 豊明 著(コロナ社,ISBN4-339-06603-6,2,200円)
『測定論ノート』 大澤 敏彦 著(裳華房,ISBN4-7853-2073-7,2,600円)
『新版 電気・電子計測』 新妻 弘明,中鉢 憲賢 著(朝倉書店,ISBN4-254-22736-1,3,000円)
 
授業の詳細6 成績評価:
試験各15点×2回+30点×1回,レポート課題10点×4回とし,計60点以上であれば合格とする.講義中の演習問題の板書解答・説明,有意義な質問などを行なった学生に対しては追加点を与える.出席点は加味しない.欠席による減点も行なわないが,数学的内容を徐々に取り扱う本講義では1回の欠席が単位取得を困難にすることは十分承知されたい.再試験は実施しない.本科目の成績は,90点以上を(AA),80点以上を(A),70点以上を(B),60点以上を(C)とする.但し最終段階の点数の合計が(F)評価となる場合にも,通常の講義内での頑張りと目的達成への応分の努力が認められる学生に関しては(C)評価を与えるための措置を課した上で(C)とする.

履修上の注意:
【重要】本年度の講義開講日程は,担当教員の海外・国内出張の日程が2Qに集中しているため厳しいことが予想される.詳細は講義開始日は6/10に通知する.またB日程水曜日の演習時間を講義日として振り替えることがあり,やや変則的な講義日程となることを了承の上,受講されたい.


備 考:
3Q「音声情報処理」ならびに4Q「画像情報処理」を履修予定の学生は,本講義を履修しておくことを強く希望する.数学的内容が多いため,履修学生の不断の努力が不可欠である.特に講義中ほどの6〜10回講義においては相当集中的な勉強量が必要と見込まれる.他学科からの履修はこれを歓迎するが,軽い気持ちでの履修では単位取得できないかもしれない.

履修前の受講が望ましい科目:数学,物理学,実験,回路理論,電磁気学,電気情報数学,計測基礎の全科目.
 
授業の詳細7  
授業の詳細8  
授業の詳細9  
授業の詳細10  


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