戻る
タイトル「2009年度シラバス」、フォルダ「2009年度シラバス?情報システム工学科専門科目
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 応用解析学 
担当教員 M村 昌則 
対象学年 2年  クラス 学部:専門001 
講義室 A106  開講学期 1学期 
曜日・時限 月4,木4  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 授業の目的
人は24時間を基本周期として生活している.時の経過を気にしながら行動し,次の行動に移る.人は時間と共に生きており「時間」という概念は直感的でわかりやすい.同様に,人は「空間」の中で生きており「空間」も「時間」と同程度にわかりやすい.しかし,情報システムの関連技術を理解したり,新しい物を生み出したりする過程では,必ずしも「時間」や「空間」がわかりやすい最良の概念とは言えない.
フーリエ級数及びフーリエ変換は,「時間」や「空間」の世界から「周波数」の世界へと,1対1の対応関係で橋渡しをしてくれる.「時間」や「空間」をおもての世界と見たとき,裏の世界にあたるのが「周波数」の世界である.この授業では,情報システムの理解に必須となる情報信号を題材にして,おもての世界と裏の世界とで情報信号の見え方がどのように違うか観察しこれを情報技術者の立場で理解する.授業の最後には,線形定数係数常微分方程式の初期値問題を解くときに有効となるラプラス変換の手法の基礎も修得する.試験終了直後の回の授業では,試験の解説も受ける.

授業の進め方
講義形式で授業を進める.
 
授業の詳細2 この授業の目標は以下の通りである.
(1) フーリエ級数で表現するということがどういうことかを理解する.
(2) 応用上重要ないくつかの信号をフーリエ級数で表現できる.
(3) フーリエ変換を求める・フーリエ逆変換を求めるということがどういうことかを理解する.
(4) 応用上重要ないくつかの信号のフーリエ変換・フーリエ逆変換を求められる.
(5) フーリエ変換の性質を新たな問題の計算に利用できる.
(6) デルタ関数の種々の性質を計算に利用できる.
(7) 変調理論の入門的事項を時間領域・周波数領域で知る.
(8) ラプラス変換を求める・ラプラス逆変換を求めるということがどういうことかを理解する.
(9) 基本的な関数のラプラス変換を求められる.
 
授業の詳細3 授業計画
フーリエ級数
1.導入
この授業のねらいと進め方について説明を受ける.
振幅・(角)周波数・位相で特徴づけられる正弦波及び余弦波についての復習及び微積分学の復習を行う.

2.小テスト及びフーリエ級数表現
初回の講義で説明を受けた事柄についての小テストを受ける.
その後,周期信号のフーリエ級数表現を学ぶ.三角関数の基本公式から,正弦波・余弦波の直交性及び成分抽出を理解し,フーリエ係数を与える手法を学ぶ.

3.偶関数及び奇関数のフーリエ級数
偶関数のフーリエ級数が余弦級数となり,奇関数のフーリエ級数が正弦級数となることを学ぶ.

4.複素フーリエ級数
複素正弦波を定義し,信号の複素フーリエ級数表現を学ぶ.複素フーリエ係数を与える手法を学ぶ.

5-6.周波数スペクトルとデルタ関数
複素フーリエ係数の工学的意味を学び,周期信号の周波数スペクトル(振幅スペクトル・位相スペクトル)が線スペクトルとなることを学ぶ.(ディラックの)デルタ関数の定義及び種々の性質を学習する.

7.中間試験
フーリエ級数についての理解度をはかる試験により,修得状況を確認する.
 
授業の詳細4 フーリエ変換
8.フーリエ級数からフーリエ変換へ
複素フーリエ級数における基本波周期が無限大の極限として,非周期信号のフーリエ変換・フーリエ逆変換を与える.これにより,非周期信号の周波数スペクトルが連続スペクトルとなることを学習する.

9-11.フーリエ変換の性質
フーリエ変換の線形性,縮尺性,時間推移定理,周波数推移定理を学習する.周波数推理定理に基づく変調理論の基礎を学び,第2クオータ開講科目「アナログ・ディジタル通信」への動機付けを行う.時間微分・積分した信号のフーリエ変換,たたみ込みとその性質を学習する.2つの信号の類似度の尺度となる相関関数(自己相関関数・相互相関関数)を学び,特に自己相関関数のフーリエ変換がエネルギースペクトルを表すことを学ぶ.

ラプラス変換
12.ラプラス変換
ラプラス変換を定義した後,基本的な関数のラプラス変換を求めて表を作成する.

13.過渡応答の基礎
スイッチングは情報システムのハードウェアの基礎として重要である.抵抗及び蓄電素子からなる電気回路を題材にし,スイッチング過渡応答がラプラス変換により代数的に,容易に求められることを学ぶ.

14.クオータ末試験
フーリエ変換とラプラス変換に関する試験により,その修得状況を確認する.

15.クオータ末試験の解説及びこの授業のまとめ

演習
1.正弦波や余弦波の時間領域表現と周波数領域表現に関する演習
2.フーリエ級数・複素フーリエ級数・それらの相互変換に関する演習
3.フーリエ変換及びフーリエ逆変換を求める演習
4.相関関数に関する演習
5.ラプラス変換及びラプラス逆変換による常微分方程式の解法に関する演習
など.
 
授業の詳細5 成績評価
 授業および演習へ出席状況,ならびに,小テスト・中間試験・クオータ末試験の答案の内容で目標に対する到達度が判定され,以下の成績が与えられる.
◆AA:授業・演習へ出席状況に優れ,かつ,小テスト・中間試験・クオータ末試験で9割以上を得点した場合
◆A:授業・演習へ出席状況に優れ,かつ,小テスト・中間試験・クオータ末試験で8割以上を得点した場合
◆B:授業・演習へ出席状況に優れ,かつ,小テスト・中間試験・クオータ末試験で7割以上を得点した場合
◆C:授業・演習へ出席状況に優れ,かつ,小テスト・中間試験・クオータ末試験で6割以上を得点した場合
 ただし,到達度がCに満たなかった場合でも,中間試験・クオータ末試験の答案の内容がCの到達度に近く,かつ,授業・演習への出席状況に優れる者には,レポート課題を与えその結果Cの到達度以上になったと認められれば,Cとすることがある.

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
◇テキスト
 『フーリエ解析』,H. P. Hsu 著・佐藤平八 訳(森北出版)及び配布資料
◇参考書
 『(基礎数学ワークブック No.8)フーリエ解析』,井上昌昭 著(高知工科大学)
 『基礎解析学コース 応用解析』,矢野健太郎・石原繁 共著(裳華房)
◇備 考:「情報ネットワークシステムコース」履修登録必須科目
◇履修の前提となる必須科目:なし
◇事前の履修が望ましい科目:「数学1」「数学2」
◇同時に履修すべき必須科目:なし
 
授業の詳細6  
授業の詳細7  
授業の詳細8  
授業の詳細9  
授業の詳細10  


Copyright (c) 2006 NTT DATA KYUSHU CORPORATION. All Rights Reserved.