科目名 |
アナログ・ディジタル通信 |
担当教員 |
M村 昌則 |
対象学年 |
2年 |
クラス |
学部:専門001 |
講義室 |
A107 |
開講学期 |
1学期 |
曜日・時限 |
火2,金2 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
情報通信・情報処理・ネットワークの技術が発達し,それらの技術は多方面に応用されている.学ばなければならない事柄も多く,これらの技術の完全なる理解は到底一朝一夕でできるものではない.このようなときに役に立つのは物事の本質を見きわめる能力であり,これには基礎が大事である.この授業では,アナログ通信及びディジタル通信の根幹を成す変復調技術の基礎を学ぶ.変復調を学ぶということは,情報を送るときの発信から受信までを,ある時は途中の通信媒体までをも含めて,信号理論の面から学ぶということである. 自然情報例えば音声や写真・映像などの大部分は連続的なアナログの信号波形で一般化できる.ディジタル通信でアナログの信号波形を運ぶときには,まず元のアナログ波形をサンプリングして不連続なとびとびのパルス信号波形に変換する.なぜ,とびとびのパルス波形から元の連続的なアナログ波形を再現できるのだろうか?再現できるとしても果たして完全に再現できるのだろうか?完全な再現にはどのような方法をとらなければならないのだろうか?この授業ではこのような視点で標本化定理を学ぶ.
授業の進め方 講義形式で授業を進める.
達成目標 この授業の達成目標は以下の通りである. (1) 線形システム,時不変システムとは何か説明できる. (2) 実現可能・不可能なフィルタを区別できる. (3) 各種アナログ変調の数式モデルを記述できる. (4) 標本化定理を時間領域・周波数領域で説明できる. (5) 標本化定理がアナログとディジタルの接点になることを知る. (6) 各種パルス変調方式と信号フォーマットを説明できる. (7) 各種ディジタル変調方式を説明できる. (8) ディジタル通信の最適信号検出の考え方を知る. |
授業の詳細2 |
1.導入 まず,この講義のねらいと進め方について説明を受ける. 次に,本講義の履修に不可欠なフーリエ級数・フーリエ変換の種々の性質について復習する.具体的には,2年次1クオータ開講科目『応用解析学』で学んだ「複素フーリエ級数」「フーリエ変換」の性質のうち,「実信号の周波数スペクトルの性質」「線形性」「時間推移定理」「周波数推移定理」「縮尺性」「対称性」「時間微積分のフーリエ変換」「(ディラックの)デルタ関数」「たたみ込み」等についておさらいする.これらについては,テキストの第1章にも整理されているので,事前の復習が望まれる.線形時不変システムの導入も少し行う.
2.線形時不変システム 線形システム及び時不変システムを定義し,線形時不変システムを理解する.そして,線形時不変システムのインパルス応答及び周波数応答を知る.システムの無ひずみ条件,更には,ひずみに関して振幅ひずみと位相ひずみがあることを学ぶ.システムとフィルタの同一性について学ぶ.
3.フィルタ 理想フィルタについて学び,フィルタ帯域幅を定義する.次に,Pi/2-位相シフトフィルタとヒルベルト変換の関係を学ぶ.トランスバーサルフィルタとこれによる通信路の等化にも触れる.
4-6.振幅変調と角度変調 まず,振幅変調(AM)の定義を学ぶ.次いで,DSB変調とDSB信号の復調・包絡線検波,SSB変調とSSB信号の復調を理解する.そして,振幅変調が単なる情報信号の周波数変換であることを理解し,周波数分割多重(FDM)が可能なことを理解する. 瞬時位相及び瞬時周波数を定義し,これらから,角度変調方式である位相変調(PM)及び周波数変調(FM)の位置づけとそれらの関連性について学ぶ.角度変調信号のスペクトル,角度変調信号の生成法,角度変調信号の復調法についても学ぶ.
7.アナログ情報のディジタル伝送−標本化定理 標本化定理,なかでも,応用上最も重要な等間隔標本化定理を学ぶ.帯域制限されたアナログ情報波形の標本化周波数に関して,オーバーサンプリング・アンダーサンプリング・ナイキストの標本化周波数を理解する.量子化及び量子化雑音についても学ぶ.標本化定理を通じて,なぜアナログ情報をディジタルで伝送できるか理解する.
8.中間試験 |
授業の詳細3 |
9.アナログ情報のディジタル伝送−パルス変調 パルス振幅変調(PAM),パルス位置変調(PPM),パルス幅変調(PWM),パルス符号変調(PCM)を学び,アナログ情報のディジタル伝送が様々なパルス変調で可能なことを理解する.任意のパルス変調が様々な信号フォーマット(Unipolar/Bipolar, NRZ/RZ, AMI, Split-Phase)で実現できることを知る.標本化定理及びパルス変調の理解を通して,アナログ情報の時分割多重(TDM)が可能なことを理解し,そのときの伝送帯域幅がどのようになるか学ぶ.
10.パルス波形設計とナイキストフィルタ パルス変調に用いるパルス波形について学ぶ.帯域制限することでパルス形状がなまりパルス間干渉(or符号間干渉orシンボル間干渉)が生じること,及び,パルス間に干渉が生じても標本化のタイミングでは干渉を許さない帯域制限が可能なこと,そしてナイキストフィルタについて学ぶ.
11.ディジタル変調 アナログ変調の特別な場合という位置づけでディジタル変調を学ぶ.AMのディジタル版であるASK,FMのディジタル版であるFSK,PMのディジタル版であるPSK,ASKとPSKを同時に利用するQAM,これらで高速通信を実現するための多値変調など,各種ディジタル変調方式について学ぶ.
12-14.白色ガウス雑音,アナログ通信及びディジタル通信の伝送特性 雑音などランダムな信号の性質を数学的に記述する際に重要となる平均自己相関関数と電力密度スペクトルを学ぶ.そして,白色雑音の電力密度スペクトルとその平均自己相関関数を知る.ランダム信号の電力密度スペクトルが線形時不変システム通過前後でどのように変わるか学ぶ. アナログ通信及びディジタル通信の伝送特性の評価尺度に用いられる信号対雑音比(SNR)やビット誤り率について学ぶ.白色ガウス雑音通信路におけるディジタル信号の最適信号検出の理論について学び,最尤信号検出,整合フィルタ,相関検出などの等価性や関連性を知る.
15.クオータ末試験
16.クオータ末試験の解説とこの授業のまとめ
演習 1.くし形フィルタ及び周波数選択性通信路に関する演習 2.AM信号の復調に関する演習 3.光磁気ディスクの記録容量に関する演習 4.ナイキストフィルタに関する演習 5.ディジタル通信の伝送特性に関する演習 など |
授業の詳細4 |
成績評価 授業および演習へ出席状況,ならびに,中間試験およびクオータ末試験の答案の内容で目標に対する到達度が判定され,以下の成績が与えられる. ◆AA:授業・演習へ出席状況に優れ,かつ,中間試験・クオータ末試験で9割以上を得点した場合 ◆A:授業・演習へ出席状況に優れ,かつ,中間試験・クオータ末試験で8割以上を得点した場合 ◆B:授業・演習へ出席状況に優れ,かつ,中間試験・クオータ末試験で7割以上を得点した場合 ◆C:授業・演習へ出席状況に優れ,かつ,中間試験・クオータ末試験で6割以上を得点した場合 ただし,到達度がCに満たなかった場合でも,中間試験・クオータ末試験の答案の内容がCの到達度に近く,かつ,授業・演習への出席状況に優れる者には,レポート課題を与えその結果Cの到達度以上になったと認められれば,Cとすることがある.
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ◇テキスト 専用テキストを用いる. ◇参考書 『Analog and Digital Communications (2nd Ed.)』,H. P. Hsu(McGraw-Hill) 『Modern Digital and Analog Communication Systems (3rd Ed.)』,B. P. Lathi (Oxford Univ. Press) 『(基礎数学ワークブック No.8)フーリエ解析』,井上昌昭 著(高知工科大学) 『フーリエ解析』,H. P. Hsu 著・佐藤平八 訳(森北出版)
◇備 考:「情報ネットワークシステムコース」履修登録必須科目 ◇履修の前提となる必須科目:「応用解析学」 ◇事前の履修が望ましい科目:「情報理論基礎」 ◇同時に履修すべき必須科目:なし |
授業の詳細5 |
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授業の詳細6 |
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授業の詳細7 |
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授業の詳細8 |
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授業の詳細9 |
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授業の詳細10 |
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