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タイトル「2011年度シラバス」、フォルダ「2011年度シラバス?大学共通科目(人文・社会科学等科目)
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 国際協力フロンティア 
担当教員 村上 雅博 
対象学年 1年  クラス 学部:人社001 
講義室   開講学期 2学期 
曜日・時限 時間外  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 授業の目的
我々人類が二度に亘る悲惨な世界大戦を経験した20世紀を経て、21世紀は「生命と水と環境の世紀」ともいわれるなかで、2000年に世界の人口は61億人に達した。しかし、世界の人口の7割を占める発展途上国では13億人が貧困にあえぎ、最貧国グループでは1-1.5千万人の子供が飢餓のため、そして毎日5,000人もの子供たちが安全な水が飲めずに下痢などの水系感染症で死亡している。アメリカに次いで世界で二番目の経済大国となった日本が世界の貧困問題や環境(難民)問題の解決、そして紛争の予防や平和構築に何か協力や支援できることはないか?との問いかけから始まる。
明日の地球を見つめて、主にアジア、中東、アフリカ、中南米における発展途上国の貧困問題や地域紛争問題および持続的開発と地球環境の保全・再生に係わる国連や日本政府やNGO/NPOの実践的なプロジェクトを事例に学び、国際協力に関わる基礎的な知識と理解力および考える力を身に付けることが目的である。

 
授業の詳細2 授業の進め方
授業の各回のテーマごとに主にインターネット(Web, http::/)に掲載されているオフィシャルな国際協力に関する情報から選んだ資料を配布するのでテキストの一環として参考にする。各位は毎回配布されるテキスト資料を順次ファイリングするためにA4版(2穴)ファイルを事前に準備すること。講義やビデオ演習にかかわるキーワードを5ケ書き出し、英文を含むWeb資料やテキストから選んだクイズ形式または穴埋め形式の設問について解答した演習課題シートを提出するが、それらは出欠カード記録と合わせて成績評価の一部に含まれる。 講義の後半に実施される穴埋め形式の問題を解く演習課題の答え合わせは、各位が次回の講義までに配布された設問用紙に記載されている(Web, http::/)のアドレスにアクセスして答え合わせを行いながら復習をしておくこと。各授業のユニット(@(1,2,3)、A(1,2,3)、B(1,2,3)ごとに3回実施される国際協力ビデオ演習課題・小テスト(穴埋め形式の設問を含む課題演習を含む小テスト)、中間のレポート課題、そして、最後に論文テストを実施する。
 
授業の詳細3 達成目標
国際協力の主要なテーマ(持続的開発、貧困、紛争と平和、人間の安全保障、開発援助、国際貢献など)に関する基本的な用語と内容を理解し説明できる。
国際協力の基本的な用語と内容を理解し、フロンティアとして国際協力の意義を考えて発展途上国の“国造り、人造り”に係わるプロジェクトの意味と内容を理解することが出来る素養が身につく。
日本と国際社会と発展途上国の関係を理解し、国際協力における問題の所在を見出して課題を整理し、”Think Globally and Act Locally”の視点から対応や解決策についても考察して自分の言葉で主張することが出来る力が養成される。

 
授業の詳細4 授業計画

1.本授業の目的・進め方・到達目標、評価基準、参考資料について説明しながら、世界(地球)の現実を知ることから講義をスタートさせよう。 ヒントは、「世界百人村」にある。国際協力の講義にヒントを得て、国際協力機構(JICA)青年海外協力隊(JOCV)に応募してアフリカや中東の国で体験を積んできた諸君の先輩達がいる。世界も、自分も変えるシゴト「JICAボランティア」について解説する。

2.今、世界は 〜世界は刻々と変化している、一秒の世界〜
今、世界(発展途上国)で起きている問題や課題を知り、そして疑問を持ち考えることから国際交流や国際協力がなぜ必要かについて考える”一歩を踏み出す。そのヒントは異文化と多様性の理解、そして日本国憲法前文にある。<一秒の世界から、BBC Jesica William>

3.日本の国際協力と政府開発援助(ODA) -ODAのしくみ-
日本の開発協力の魁となった戦前から戦後にかけての技術協力の歴史と、今日の国際協力事業の実施機関である国際協力機構(JICA)が発展途上国の社会経済開発や平和構築に果している役割と意義および変貌する国際政治システムの流れの渦中にあるが故に大きく援助の理念を変更したODA大綱(1992, 2003年)について解説し、ベーシック・ヒューマン・ニーズ(BHN)や人間の安全保障の概念にもとづいた、保健医療、水と衛生、教育、農業・村落開発等の分野における技術協力プロジェクトを例に評価法(PCM: Project Cycle Management)の基礎について学ぶ。

4. 国際連合と国際協力 ?世界の貧困問題と平和の課題-
戦争の世紀とも総括される20世紀に生まれた国際連盟(League of Nations)と国際連合(United Nations)の歴史的な背景と国連の果たす役割と意義について解説し、国連の主目的である「安全保障」の問題と「平和」の課題および世界で唯一の被爆国であり平和憲法を有する日本が中心となって取り組んでいる平和構築と貧困削減の意義についてについて学ぶ。 <世界は誰が守るのか?国連の試練>

5. 国際協力ビデオ演習課題・小テスト(1) 「明日の地球を見つめて(JICA)」
 
授業の詳細5 6. 体験的国際協力(1) ?先輩ようこそ(1) :JICA/JOCV海外青年協力隊、ニカラグア・理数科教育 [槙島]
大学を出て、最初のステップとして国際協力の現場の仕事につけるチャンスがある。青年海外協力隊(JOCV)の活動は、ボランティア性を有するが故に地域の住民と一体となって生活し、働き、彼らの言葉を話し、相互理解を図る国際協力の原動力の一つにもなっている。大学で学び社会で仕事を経験した若い力が、開発途上国の国づくり、人づくりに貢献している。 中米(ニカラグア)のJOCV活動(理数科教育分野)に参加されて活動した体験から学ぶ。[世界を、そして自分を変えるシゴト]

7. 体験的国際協力(2) 先輩ようこそ(2) :JICA/JOCV海外青年協力隊、南米・ボリビア [松尾]
大学を出て、最初のステップとして国際協力の現場の仕事につけるチャンスがある。青年海外協力隊(JOCV)の活動は、ボランティア性を有するが故に地域の住民と一体となって生活し、働き、彼らの言葉を話し、相互理解を図る国際協力の原動力の一つにもなっている。大学で学び社会で仕事を経験した若い力が、開発途上国の国づくり、人づくりに貢献している。 実際にJOCV活動に参加されて、南米の村落開発の現場で活躍された先輩の体験談から学ぶ。

8.国際協力の魁、アジアの国際開発における日本人技術者の軌跡
アジアを舞台に始まった日本の政府開発援助(ODA)の背景と21世に入って急成長を遂げたアジア発展途上国の技術協力プロジェクトのモデル・ケースを解説し、戦争の世紀とも総括される20世紀の歴史的な枠組みを踏まえて日本のアジアにおける経済協力の役割と意義および平和への課題について学ぶ<八田興一技師の軌跡>。JICA技術研修(西アフリカ)員グループとの国際交流<予定>。

9.国際協力ビデオ演習課題・小テスト(2) 「非政府組織の草の根活動:バングラディシュ・グラミン銀行」

 
授業の詳細6 10.体験的国際協力(2) プロフェッショナル:国際協力機構(JICA)の現場から [新納]
国際協力の課題は、直面する貧困などの諸問題を解決することに加えて、明日の地球を見つめて次世代のために何が出来るかを常に考えていることにある。JICAのトップラスのプロフェッショナルがアジアで体験された国際協力の最前線のプロジェクトの経験を通じて国際協力の本質を学ぶ。

11.体験的国際協力(2) プロフェッショナル:国際協力機構(JICA)の現場から [三牧]
明日の地球をみつめて、発展途上国の地方で社会開発プロジェクトに取り組むために国際協力の中堅のプロフェショナルが取り組んでいる最前線の活動と研究活動から社会開発問題の本質を学ぶ。

12.国際協力と平和の課題
世界の火薬庫とも言われる中近東は、殆どがイスラム世界に属しており、パレスチナやイラク問題に象徴されるように、異文化理解の上に立った平和構築が国際協力の最大の関心事で課題でもあるため、日本政府は開発援助(ODA)に特に力を注いでいる。水と平和をテーマに日本の国際協力が中東地域の紛争予防に貢献するプロセスと可能性について実例を含めて解説し、平和構築に技術協力が果たす役割と意義について学ぶ。小論文課題レポートの課題提示 [日本国憲法前文と日本の国際協力の関係とその意味について、あなたの考えを論述してください]。

13. 国際協力ラップアップ演習:  ディベート (1) 世界に国際協力がなぜ必要か? 国連と先進国の役割とその意義は?
自身が世界(発展途上国)に貢献できる可能性(自分に何が出来そうか)を見出すことを含めて、問題の所在を見出した上で解決の方向性やシナリオや戦略を示すためのディスカッションを討論形式で行う。 
 
授業の詳細7 14.国際協力ラップアップ演習 ディベート (2) 日本に国際協力がなぜ必要か? 世界における役割とその意義は?自身が世界(発展途上国)に貢献できる可能性(自分に何が出来そうか)を見出すことを含めて、問題の所在を見出した上で解決の方向性やシナリオや戦略を示すためのディスカッションを討論形式で行う。 

15. 国際協力ラップアップ演習 ディベート (3) 国際協力がなぜ必要か? 我々に何ができるか?
自身が世界(発展途上国)に貢献できる可能性(自分に何が出来そうか)を見出すことを含めて、問題の所在を見出した上で解決の方向性やシナリオや戦略を示すためのディスカッションを討論形式で行う。 


16. 補講:ラップアップ(フリーディスカッション)
 
授業の詳細8 テキスト:
村上雅博、“水の世紀”、日経評論社、2003年

参考書:
1) 後藤則行偏、村上雅博、他、”エコブームを問う -東大生と学ぶ環境学-“、学芸出版社、2005年
2) 監修/福岡克也、村上雅博、他、”国際河川と紛争:地球環境データブック2004-05”、ワールドウオッチジャパン, pp.214-221, 2004年
3) Masahiro Murakami, “Managing Water for Peace in the Middle East, Alternative Strategies”, United Nations University Press(国連大学出版局), 1995年<Webから、全文(309頁)を読み込むことが可能、http://www.unu.edu/unupress/unupbooks/80858e/80858E00.htm>
4) Libor Jansky, Masahiro Murakami, Nevilina I. Pachova, “The Danube, Environmental Monitoring of An International River”, United Nations University Press(国連大学出版局), Tokyo/New York/Paris, 2004年
5) 福嶌義宏監修・村上雅博総編集、“地球水環境と国際紛争の光と影”,信山社、1995
6) 国連開発計画(UNDP)人間開発報告書、“貧困と人間開発”、国際協力出版会、1997
7) 蔵治光一郎編・村上雅博、“水をめぐるガバナンス”、(株)東信堂、pp.174-192, 2008年

成績評価: 出席・課題演習(50%)、レポート(50%)を総合(100%)して評価する. 

AA: 国際協力ついての基本的な知識レベルでの理解ができ,問題の所在を見出した上で、解決の方法にもチャレンジし
て自身の発想から具体的な提案を示せるポテンシャルがある.
A: 国際協力についての基本的な知識レベルでの理解ができ,問題の所在を見出した上で解決の方向性やシナリオや戦略を示すことが出来るポテンシャルがある.
B: 国際協力についての基本的な知識レベルでの理解ができている上で,問題の所在を見出すポテンシャルがある.
C: 国際協力についての基本的な知識レベルでの理解ができている.

 
授業の詳細9  
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