科目名 |
惑星地球の進化 |
担当教員 |
放送大学 |
対象学年 |
1年,2年,3年 |
クラス |
学部:自然001 |
講義室 |
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開講学期 |
通年 |
曜日・時限 |
集中 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
[主任講師(現職名):松本 良(東京大学大学院教授)] [主任講師(現職名):浦辺 徹郎(東京大学大学院教授)] [主任講師(現職名):田近 英一(東京大学大学院准教授)]
[講義概要] 地球は火星や金星などと同じ太陽系の一つの惑星ですが、豊かな水の存在と生命活動が他の惑星との違いを際立たせています。 しかし長い時間軸で見ると、地球環境はいつも穏やかだった訳ではありません。 地球は太陽エネルギーや潮汐などの外因エネルギーと地球内部の放射性核種の壊変に由来する内因エネルギーによって駆動されるシステムであり、これらのエネルギーやその他の原因(小天体の衝突など)により惑星地球はダイナミックに進化・変動してきました。 本講義では、知識の網羅ではなく、ダイナミックな地球を理解する上で特に重要な項目について詳しく解説します。 身近な地質現象の観察を手がかりとして、地球の成り立ちと進化について理解し、地球との共生について考えることを講義の目標とします。
[授業の目標] 講義は3つの章から構成されます。 第1章「惑星地球の形成とダイナミクス」では、惑星地球の形成や地球の構成、地球を駆動するエネルギーについての解説を通じて、地球のダイナミクスを理解します。 第2章「惑星地球システムを構成するもの」では、岩石、地層、化石から地球史を解読する方法を学びます。 第3章「地球の変動と進化」では、生物の絶滅や劇的な環境変動に関する最新の成果から、地球変動のメカニズムを知り、資源や環境、地球の近未来について考えます。 |
授業の詳細2 |
[講義内容]
【第1章 − 惑星地球の形成とダイナミクス】
第1回:自分の地球観を持とう 講義が目指すもの、講義全体の構成、および学生諸君に望む事柄について説明する。 人類社会と地球、環境問題、資源の問題、生物多様性の問題、持続的発展をテーマに、今日地球と人類が抱える課題について問題提起する。
第2回:太陽系と惑星地球の形成 地球と太陽系内の他の惑星との比較を通じ、それらの共通点や違いを明らかにすることによって、惑星地球の特徴を理解する。 また、太陽系の形成過程を概観し、地球がどのように誕生したのかを理解する。
第3回:地球環境の形成と進化 地球環境は太陽からのエネルギーと大気の温室効果によって支えられている。 地球史を通じて温暖な地球環境が維持されるためには、大気の進化が重要であった。 大気中の酸素は生物起源であり、地球史半ばに酸素濃度が増加したらしい。 これらのことを紹介する。 |
授業の詳細3 |
第4回:固体地球の成立と分化 惑星地球は、主として内因的エネルギーによる熱、圧力、マグマ活動などさまざまな要因で成層構造を持ち、分化して行く。 また、大陸と海の区別ができ、地球の原型が形成される。 そのような成層構造をいかにして調べるのか、大陸と海の違いは何かを紹介する。
第5回:地球内部ダイナミクス 現在の固体地球は内因的エネルギーに支えられてダイナミックに活動している。 現在の地球の営みを規定しているのはプレートテクトニクスで、この理論により、それまで分からなかったさまざまな現象を統一的に理解することが出来るようになった。
【第2章 − 惑星地球を構成するもの】
第6回:地球のサブシステムの成立 地球システム全体を考えた時、質量では固体地球が99%をしめるが、ものの“流れ”の大きさを比べると気圏、水圏、生物圏といったサブシステムの重要性が浮かび上がってくる。 これらのサブシステム間の相互作用が、現在の地球を駆動している事を学ぶ。 |
授業の詳細4 |
第7回:熱水活動と鉱物資源の生成 プレートの拡大境界/収束境界に多くのマグマ活動が集中している。 その熱は、地殻中に熱水循環を引き起こす。 この熱水活動は、重金属で代表される鉱物資源の生成のほか、地下生物圏のエネルギー源となるなど、新たな地球像を見せようとしている。
第8回:堆積岩はどこで出来たのか? 固体地球の最外郭は堆積岩で覆われる。 堆積岩は、河床やデルタ、大陸斜面から深海底と様々な環境で形成され、それぞれ特徴的な構造や組成を持つ。 野外での観察を通じて堆積岩がどのような環境で形成されたか判定する手法を学ぶ。
第9回:海洋環境と深海堆積物 氷床の発達による海水準の低下、深層水の循環、海洋の成層構造の発達など、海洋の物理的、化学的進化と変動は、地球環境を大きく変える。 一方、地球表層環境の変動は深海堆積物によく記録される。 深海掘削コアを例に、深海堆積物の特徴と海洋環境の変動について解説する。 |
授業の詳細5 |
第10回:地球史の編年 生物の進化に基づく生層序、古地磁気や海水の組成変動など、全地球的に同時に変動する現象を手がかりとして、遠く離れた場所の地層の新旧の関係が明らかにされる。 一方、放射性元素の壊変を利用して数値年代を知る事ができる。 これらに基づき詳細な地球史が編まれてきた。
【第3章 − 惑星地球の変動と進化】
第11回:生物の大量絶滅 5億4千万年以降の顕生代において生物は5回大量絶滅という危機を経験した。 大量絶滅の要因としては、天体衝突のほか、寒冷化、海水面の低下、海洋の貧酸素化など、様々なモデルが提案されている。 最近の研究成果から、地球表層環境の劇的変動と生物の大量絶滅について学ぶ。
第12回:地球表層環境の変動 地球史において、暖かい時代(温室期)と寒い時代(氷室期)が数億年の周期でくりかえされたことが堆積物に記録されている。 こうした長期的な環境変動の要因について考察する。 また、氷室期に見られる短周期の氷期ー間氷期サイクルを、炭酸塩の酸素同位体組成の変動から解読する。 |
授業の詳細6 |
第13回:全球凍結イベントと地球環境の安定性 最近の研究によって、地球全体が凍結するという破局的な環境変動が過去に何度か生じたらしいことが分かってきた。 この全球凍結(スノーボールアース)仮説について紹介し、地球環境の安定性について考える。
第14回:メタンハイドレート:環境と資源へのインパクト メタンガスと水から成るメタンハイドレートが堆積物中に大量に存在する。 メタンハイドレートが分解すると海洋の貧酸素化を促進し生物圏に致命的な影響を与える。 将来のエネルギー資源としても期待されるメタンハイドレートについて考える。
第15回:惑星地球と人類社会の共生 講義の締めくくりとして、人類と地球の共生について考える。 人類が登場してほんの100万年ほどの間に、人類活動の影響は拡大し、直接地球環境の変動に介入するようになってきた。 46億年の地球進化のなかで、人類はいかに地球との共生を図れるのか、考えよう。 |
授業の詳細7 |
[成績について] AA:特に優れた成績を示したもの A:優れた成績を示したもの B:良好と認められる成績を示したもの C:合格と認められる成績を示したもの F:不合格
[開講時期] 2学期 ※講義スケジュールは、2年生、3年生のオリエンテーションに配布した資料で 確認してください) ・2クォーターの履修変更期間までに、履修登録されている科目以外は、履修す ることができません。 ・5月下旬に開催される「放送大学科目履修説明会」に必ず出席してください。
[テキスト] 放送大学より送られてくる資料を使用する。
注意:4年生は原則履修できない。(理由:放送大学の試験結果通知が本学の卒 業判定時期と同時期であるため卒業判定が困難となります。2・3年次での履修 を推奨します。)
(その他何かわからないことがありましたら教務部までお越しください) |
授業の詳細8 |
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授業の詳細9 |
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授業の詳細10 |
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