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タイトル「2012年度シラバス」、フォルダ「2012年度シラバス?大学共通科目(人文・社会科学等科目)
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 技術者倫理 
担当教員 放送大学 
対象学年 2年,3年  クラス 学部:人社001 
講義室   開講学期 通年 
曜日・時限 集中  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 「主任講師」
 札野 順 (金沢工業大学教授)

「講義概要」
 科学技術は、新しい「価値」を生み、社会と環境に大きな影響を与えます。それゆえ、技術を実践する「行為者」である技術者は社会に対して特別の責任を負っています。本科目では、技術者がその職務を遂行する上で、必要な新しい「倫理」について考察します。技術者が直面する可能性のある種々の倫理的問題を、スペースシャトルチャレンジャー号事故などの具体的な事例を通して紹介します。また、それらの問題を分析し、倫理的に推論する方法について学びます。特に、技術者が重視すべき「価値」(安全など)を、学協会の倫理綱領を通して検討します。これらの学習を踏まえ、21世紀の技術者に求められる倫理的な判断能力について考えます。

「授業の目標」
 1. 科学技術の発展に伴い、人間の「行為」の領域が拡大たので、技術を実践する「行為者」である技術者には、新しい「倫理」が必要であることを理解できる。
 2. 技術的解決の結果が、社会や環境に与える影響の範囲と大きさを理解できる。
 3. 技術に関する意思決定を行う際に、考慮すべき種々の「価値」について認識できる。
 4. 技術者が担う特別の責任について、その歴史的背景を含めて、理解できる。
 5. 技術を実践する上で、発生し、技術者が直面する可能性のある倫理的問題を認識できる。
 6. 倫理問題を分析する手法について理解すると共に、それらの手法を種々の事例に適用できる。
 7. 倫理問題に唯一絶対的な解はなく、複数の視点が存在し得ることを理解する。 
授業の詳細2 1 技術者倫理とは何か 学習目標: 1. 科目概要:技術者倫理を学ぶ目的 2. 科目の学習・教育目標の理解 3. 技術者倫理の定義の理解
 1. 技術倫理に関わる事例のフラッシュ映像の提示
 2. 問いかけ「あなたが現場の技術者であるとしたらどのように行動しますか。」
 3. 科目概要、科目の学習・教育目標の提示
 4. 技術者倫理の定義の説明
 5. 科学技術と価値
 6. 技術者倫理の4つのレベル(メタ、マクロ、メゾ、ミクロ)

2 技術者が意思決定を迫られる状況とは(1)
 1. 技術者倫理における事例検討の重要性
 2. 事例研究(スペースシャトル・チャレンジャー号に関する解説)
 3. あなたが現場技術者ならいかに行動するか。
 4. 現場の技術者の視点(ロジャー・ボジョリー氏に聞く)

3 技術者が意思決定を迫られる状況とは(2)(事例を通した用語/概念などの解説)
 1. 本事例におけるステークホールダーと価値
 2. 本事例をメタ・マクロ・メゾ・ミクロの視点から考える
 3. マクロ・レベル:科学技術と行為の拡大
 4. メゾ・レベル:組織の問題、制度、権限の問題など
 5. ミクロ・レベル:技術者はいかに行動すべきか:倫理的意思決定の方法

4 なぜ今、技術者倫理か(1)
 1. 科学技術の歴史、エンジニアリングの歴史、特質に関する解説
 2. 科学技術の発展に起因する社会の変容
 3. 近代科学の成立と「内なる自然(人間の本能など)」を理解し制御するものとしての新しい倫理学(義務論、功利主義など)の台頭
 4. 職業としてのエンジニアリングの発達

5 なぜ今、技術者倫理か(2)
 1. 科学技術の進展による行為の拡大と新しい倫理の必要性
 2. 科学技術と社会の新しい関係:科学技術社会論の視点
 3. 科学技術に関連する「価値」に関する議論
 4. 環境倫理学、生命倫理学、情報倫理などが明らかにした事柄に関する議論 
授業の詳細3 6 技術者としていかに行動すべきか(1)
 1. 倫理的問題とは何か−ジレンマ問題を手がかりに
 2. 倫理的思考の特徴
 3. 倫理原則と倫理問題の解決方法
 4. 倫理と法の関係

7 技術者としていかに行動すべきか(2)−行為の設計と価値
 1. 技術者が重視すべき価値とは何か
 2. 「社会契約説」と倫理綱領
 3. 倫理綱領の歴史
 4. 技術者倫理の原則としての倫理綱領とそこに含まれる価値
 5. 設計問題と倫理問題

8 技術者としていかに行動すべきか(3)−倫理的意思決定の方法
 1. 黄金律テスト、普遍化可能性テスト、その他倫理テストなどに関する解説
 2. セブンステップガイドの解説と応用
 3. 倫理的判断を行う際に技術者が知っておくべき法律
 4. 倫理的判断を妨げる要因と促進する要因

9 優れた意思決定がもたらすもの
 1. 技術者の倫理的な意思決定が良い結果をもたらした事例に関する理解
 2. 事例研究(ホンダCVCCエンジンの開発)
 3. 事例研究(シティコープタワービルの危機)
 4. 二人の技術者の比較

10 組織の中の技術者(1)−公益通報をめぐって
 1. 事例紹介(ギルベイン・ゴールド簡略版)
 2. 組織の中の技術者−その責任と権利
 3. 公益通報が倫理的に許される条件
 4. 公益通報をめぐる諸問題 
授業の詳細4 11 組織の中の技術者(2)−技術者倫理と企業倫理
 1. 事例研究(内部告発によって明らかになった事例の紹介)
 2. 倫理的な技術者が公益通報をしなくてもよいように企業は何をすべきか。
 3. 企業倫理プログラムとは何か
 4. 優れた倫理プログラムに含まれる要素

12 組織の中の技術者(3)−すぐれた取り組み
 1. 東京電力の取り組み
 2. 日本テキサスインスツルメンツの取り組み
 3. 雪印乳業の取り組み
 4. 東芝の取り組み
 5. 日立製作所の取り組み

13 高度技術社会における技術者の新しい役割
 1. 科学技術とリスク
 2. 個別技術( 原子力技術、遺伝子組み換えなど)に関する検討
 3. リスクの不確実性と社会的意思決定
 4. 社会とのコミュニケーション

14 責任ある研究活動とは何か
 1. 研究倫理の事例(ベル研論文捏造、韓国ES細胞、東大事件)に関する考察
 2. 「責任ある研究」に関する解説
 3. 研究における価値の変容:なぜ、不正は起こるのか
 4. 研究における不正行為:FFP(捏造、改竄、剽窃)
 5. 責任ある研究を推進するためには

15 技術者の新しい役割:社会のなかの、社会のための技術者:Philosopher-Engineerを目指して
 1. 技術/技術者倫理の諸相
 2. ミクロからマクロへ:宇宙の歴史を1年にたとえると
 3. 高度技術社会における技術者倫理の重要性の解説(Howの知識から、whatとwhyの知恵へ;総合的な問題解決能力としての、「技術者倫理」の重要性)
 4. Philosopher-Engineerを目指して:技術者の優れた意思決定がもたらすもの(本田CVCC、ルメジャー、等) 
授業の詳細5 [成績について]
AA:特に優れた成績を示したもの
A:優れた成績を示したもの
B:良好と認められる成績を示したもの
C:合格と認められる成績を示したもの
F:不合格

[開講時期]
2学期
※講義スケジュール及び履修上の注意点は、授業時間割表P39を参照してください。
・2クォーターの履修変更期間までに、履修登録されている科目以外は、履修す
ることができません。
[テキスト]
放送大学より送られてくる資料を使用する。

注意:4年生は原則履修できない。(理由:放送大学の試験結果通知が本学の卒
業判定時期と同時期であるため卒業判定が困難となります。2・3年次での履修
を推奨します。)

(その他何かわからないことがありましたら教務部までお越しください)  
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