科目名 |
世界の名作を読む |
担当教員 |
放送大学 |
対象学年 |
2年,3年 |
クラス |
学部:人社001 |
講義室 |
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開講学期 |
通年 |
曜日・時限 |
集中 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
【主任講師】 工藤 庸子 (東京大学名誉教授)
【講義概要】 文学講義の入門編。だれでもタイトルは知っているけれど、いきなり読むのは荷が重いという超大作から、はかりしれぬ含蓄のある珠玉の短篇小説まで、それぞれの講師が、自分自身の読書経験に照らして作家と作品の魅力を語ります。「世界の名作を読む」(’07)の教材7回分を改訂し、昔話や少年文学など、親しみやすい作品を導入しました(再履修可)。MP3の朗読CD付き。
【授業の目標】 講義で取りあげられた作品を、履修者が自力で積極的に読むことが第一の目標です。学校教育の「感想文」とは異なる「文学の読み方・語り方」とはいかなるものか、講師はその具体例を提案します。良質の翻訳文学に親しみ、日本語の力をつけましょう。
【履修上の留意点】 評価は記述式の問題で行います。通信指導問題は、それぞれの解答に即した個別的なコメントと形式にかかわる一般的な判定を記入して返却します。単位認定試験の準備に活用してください。日本語の表現力は一朝一夕で身につくものではありませんが、とにかく挑戦してみることが大切です。 |
授業の詳細2 |
【1】セルバンテス『ドン・キホーテ』 ・はじめに ― 文学作品を耳で愉しむ。 ・音読か黙読か ― 物語文学と翻訳の問題。 ・講談ヴァージョンで聴く「風車の冒険」 ― あまりにも有名なエピソードのどこが面白いのか。 ・アラビア人の原作者シデ・ハメテ・ベネンヘリと謎の「第二の作者」。 【キーワード】 声に出して読む物語、冒険、書物
【2】同 ・『ドン・キホーテ』後篇を読む ― 錯綜する幻想と現実。 ・村の知識人サンソン・カラスコと従者サンチョ・パンサ。 ・講談ヴァージョンで聴く「森の騎士との決闘」。 ・狂気の終わりと主人公の死と物語の幕切れ。 【キーワード】 アンチ・ヒーロー、幻想、物語の結末
【3】昔話:ペローとグリム兄弟 ・「赤頭巾」と「灰かぶり」の独仏ヴァージョンを比較する。 ・「昔話」は誰のために語られ、何を教えようとしているか。 ・生成するヨーロッパ。17世紀フランスの宮廷文化(ペロー)と19世紀ドイツの市民社会(グリム兄弟)を背景において、口承文学を考える。 ・いわゆる「グリムの残酷さ」について。 【キーワード】 文芸サロン、児童文学、昔話の編纂 |
授業の詳細3 |
【4】ダニエル・デフォー『ロビンソー・クルーソー』 ・無人島はサヴァイヴァル・ゲームの舞台だろうか? ・島の「経営者」のような経済人ロビンソン。 ・カリブ海をめぐる食人幻想とフライデイ。 ・オリノコ川の河口近くの無人島というトポスをいかに読み解くか。 【キーワード】 読解の視点と方法、ポストコロニアル批評
【5】シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』 ・「恋愛小説」のヒロインとは? ・女性作家の一人称小説。 ・カリブ海幻想(狂気の妻)と土地の精霊(ケルトの妖精のような恋人)という構図。 ・「結婚」というハッピー・エンディング 【キーワード】 ジェンダー、一人称の語り、女性の自由と自立
【6】ドストエフスキー『罪と罰』 ・ドストエフスキーの日本でのこれまでの読まれ方。 ・「犯罪小説」であると同時に、形而上的観念の小説でもある『罪と罰』。・ドストエフスキーの独自のリアリズムと幻想。 ・ペテルブルクを舞台とした都市小説。 ・繊細な言葉の芸術としてのテキスト。 【キーワード】 選ばれた人間、聖書、「踏み越える」こと |
授業の詳細4 |
【7】チェーホフ『ワーニカ』『可愛い女』『犬を連れた奥さん』 ・チェーホフの短編のうち特に『ワーニカ』『可愛い女』『犬を連れた奥さん』の3篇を取り上げ、その魅力と現代的意義について考える。 ・「手紙は届かない」「可愛い女は本当に可愛いか?」「愛はいつ始まるのか?」 ・チェーホフは人情味豊かなユーモアとペーソスの作家だったのか? 【キーワード】 コミュニケーション、本当の生活
【8】メルヴィル『バートルビー』 ・アメリカ精神の陰画。 ・バートルビーとは何者か。 ・壁・墓場の意味。 ・語り手の(そして我々の)中で何が変わるか? 【キーワード】 アイデンティティ、アメリカ的自己、一人称の語り、大都市の誕生
【9】マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』 ・南北戦争後のアメリカ ― 郷愁の発生。 ・トム・ソーヤーとハック・フィンの違い。 ・文体の新しさ・重要性。 ・ユーモアとメランコリー。 【キーワード】 口語的語り、ユーモア、自然と文明、奴隷制 |
授業の詳細5 |
【10】ジュール・ヴェルヌ『八十日間世界一周』 ・生中継のような新聞連載というメディア戦略。 ・インドの「サティー」(妻の殉死)と「文明化の使命」 ・メディシン・ボーの吊り橋 ― 小説が荒唐無稽であることを許されるとき。 ・賭の勝敗と24時間の謎。 【キーワード】 文明化の使命、国民性、語りのトリック
【11】フローベール『ボヴァリー夫人』 ・「姦通小説」とは何か? ・新婚生活の幻滅と「ボヴァリスム」 ・恋愛感情の芽生えをいかに描くか? ・官能の陶酔をいかに描くか? ・「宗教感情」とヒロインの自死。 【キーワード】 ジェンダー、自由間接話法、新しい女
【12】フローベール『純な心』 ・フェリシテはヒロインか? ・「初聖体拝領」と宗教というテーマ。 ・鸚鵡の剥製は「キッチュ」である。 ・老いた女中の臨終と聖者の昇天 【キーワード】 表題、宗教感情、信仰、死 |
授業の詳細6 |
【13】カフカ『変身』 ・無名のサラリーマン作家としての生涯。 ・平凡な営業マンの日常におきた「変身」という事件。 ・虫男のおかしさ ― 変身ぶりの不思議と当人が不思議に思わぬことの不思議。 ・身近なテーマとしての「変身」。 【キーワード】 物語の時間、閉じこもり、現代性
【14】カフカ『断食芸人』 ・実在した「断食芸」― 何もしない、食べることすらしないという芸。 ・なぜ断食は40日なのか。 ・カフカの笑い。 ・断食芸人の死と作者の死。 【キーワード】 見世物、聖書、餓死
【15】女性と文学:ヴァージニア・ウルフとコレット ・同時代に生きた英仏の女性作家を読みくらべる。 ・「家庭の天使」と職業としての作家。 ・ウルフのシャーロット・ブロンテ批判。 ・ヒロインは「ココット」(高級娼婦)。 ・自由と自立と離婚について。 【キーワード】 ジェンダー、女性の視点、ユーモア、エスプリ |
授業の詳細7 |
[成績について] AA:特に優れた成績を示したもの A:優れた成績を示したもの B:良好と認められる成績を示したもの C:合格と認められる成績を示したもの F:不合格
[開講時期] 2学期 ※講義スケジュール及び履修上の注意点は、授業時間割表P39を参照してください。 ・2クォーターの履修変更期間までに、履修登録されている科目以外は、履修す ることができません。 [テキスト] 放送大学より送られてくる資料を使用する。
注意:4年生は原則履修できない。(理由:放送大学の試験結果通知が本学の卒 業判定時期と同時期であるため卒業判定が困難となります。2・3年次での履修 を推奨します。)
(その他何かわからないことがありましたら教務部までお越しください)??? ? |
授業の詳細8 |
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授業の詳細9 |
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授業の詳細10 |
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