科目名 |
哲学への誘い |
担当教員 |
放送大学 |
対象学年 |
2年,3年 |
クラス |
学部:人社001 |
講義室 |
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開講学期 |
通年 |
曜日・時限 |
集中 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
「主任講師 」 佐藤 康邦 (放送大学教授)
「講義概要」 哲学を学ぶことが敬遠されがちなのは,その用語や思考法が,いわゆる哲学用語や哲学的概念の世界に閉じこもっており,それが部外者の理解を拒んでいるかのように見えるという理由からではないかと思う。しかし,哲学的なものに対する関心は多くの人々の心の中にあるはずである。この授業では,哲学以外の所に題材を求めながら,そこに哲学的な問題を探るという基本方針を取ることにする。対象は,多岐にわたるが,哲学の部分は,50%以下に留め,これまで哲学に触れたことがなかった人々にも哲学に触れるきっかけを与えるようにしたい。
「授業の目標」 最初の部分では哲学の源流である古代ギリシャの文化的背景について展望し、それとギリシャ哲学との関連を考える。二番目では近代社会に生きる私たちの現実の問題が哲学という場面でどのように捉えられるのかを考える。そこでの知見は、私たちが日常の生活で出会う問題に対処する際にも有益なはずである。最後は、文学や芸術との関連で、哲学の問題を考える。文学作品においていかなる哲学主張がされているか、また、絵画を支える遠近法のような技法の持つ哲学的内容は何かについて考える。 |
授業の詳細2 |
1 古代ギリシャの知恵 (1)ヘロドトスの『ヒストリア』 歴史の父ヘロドトスの『歴史』は、古代ギリシャの最盛期の文化を成立させるきっかけになったペルシャ戦争についての記述である。それは、歴史学的に重要であるというだけではなく、その思想内容という点でも魅力的である。そのことを明らかにしたい。
2 古代ギリシャの知恵 (2)トゥキュディデスとペロポネソス戦争(上) トゥキュディデスは、アテネとスパルタとの間におこったペロポネソス戦争の記述を行った。最後にはアテネの敗北に終わるこの戦争についてのトゥキュディデスの記述である『戦史』が、最盛期ギリシャの最高の知性の産物であるゆえんを明らかにする。
3 古代ギリシャの知恵 (3)トゥキュディデスとペロポネソス戦争(下) いよいよ『戦史』の記述は佳境に入り、ペリクレスの演説、シシリー遠征を通じてギリシャ思想の心髄が示される。
4 古代ギリシャの知恵 (4)ギリシャ悲劇 ギリシャ悲劇はギリシャの生み出した文化遺産のなかでも最も魅力的なものの一つであり、アリストテレス、ヘーゲル、ニーチェ等の哲学者によって様々に論じられてきたものである。アイスキュロスの『アガメムノン』を題材にしてその魅力に迫りたい。
5 古代ギリシャの知恵 (5)恋愛小説としてのプラトン プラトンのイデア論は西洋哲学史の最重要主題の一つであるが、イデアを論ずるにあたり、プラトンは、「エロス(愛)」について論じている。それは、古代文学最上の恋愛文学とも言えるものなので、もっぱらその側面からプラトンの思想を扱ってみたい。 |
授業の詳細3 |
6 近代国家の現実と哲学 (1)法の哲学 近代国家は所有の自由他様々の自由を擁護しているが、それは、どのような哲学的根拠を持つのか。ホッブズ、ロック、ルソー、カント等の自然法思想を参照しつつ、それと対比する形で、ヘーゲルの『法の哲学』を検討してみる。そこで、たとえば時効という法学概念も哲学的に検討される。
7 近代国家の現実と哲学 (2)道徳と自由、(3)家族 (2)では、近代国家における自由の問題を個人の内面の自由の次元に遡って検討する。(3)では、近代家族の問題を扱う。双方において、自己決定の射程距離について検討する。
8 近代国家の現実と哲学 (4)市民社会 近代国家を支える一方の柱は資本主義である。近代法もこの資本主義経済に対応する性格を備えている。その哲学的探究のために、ヘーゲルの市民社会論を軸としつつ、スミス、マルクス等の思想を検討する。
9 近代国家の現実と哲学 (5)国家 近代の国民国家について検討する。一方で官僚制を始めとした国内体制について検討するとともに、戦争の問題を考える。カントの永久平和論と戦争を不可避のものと考えたヘーゲルの思想との比較を軸にすえながら考察を進める。
10 近代国家の現実と哲学 (6)日本の近代国家 明治以降の日本という国家を哲学の観点からどう捉えるか。一方的なイデオロギーに流されることなく語ることはむずかしいが、できるだけ多面的で公平な観点から扱う。和辻哲郎の『倫理学』を軸に考える。 |
授業の詳細4 |
11 文学と哲学(1)ロシア文学と哲学 日本近代に対しても、ロシア文学は単に文学的ということを超えた哲学的影響を与えた。そのなかでも、ドストエフスキーの存在は大きなものであった。彼の『地下生活者の手記』から哲学的主題を引き出してみる。
12 文学と哲学(2)日本近代文学と哲学 森鴎外の「空車」という概念や小林秀雄のベルグソン解釈を通じて、日本近代において、哲学を専門とするわけではなかった人々の哲学的発言について考える。
13 絵画空間と哲学 (1)絵画と遠近法 第W部では、絵画における遠近法技法を介して、芸術と科学、さらに哲学との関係を検討する。始めは、ルネッサンスにおける遠近法の成立について検討する。
14 絵画空間と哲学 (2)デカルトからセザンヌまで 絵画技法としての遠近法が、近代科学の成立の先駆的位置にあることを検証した後、最後には、セザンヌに代表される遠近法解体期の絵画について考察する。
15 絵画空間と哲学 (3)始源的奥行きの哲学 奥行き知覚についての哲学的考察を行った後で、現代絵画を含めた、東西古今の絵画における奥行き表現の比較検討をする。 |
授業の詳細5 |
[成績について] AA:特に優れた成績を示したもの A:優れた成績を示したもの B:良好と認められる成績を示したもの C:合格と認められる成績を示したもの F:不合格
[開講時期] 2学期 ※講義スケジュール及び履修上の注意点は、授業時間割表P39を参照してください。 ・2クォーターの履修変更期間までに、履修登録されている科目以外は、履修す ることができません。 [テキスト] 放送大学より送られてくる資料を使用する。
注意:4年生は原則履修できない。(理由:放送大学の試験結果通知が本学の卒 業判定時期と同時期であるため卒業判定が困難となります。2・3年次での履修 を推奨します。)
(その他何かわからないことがありましたら教務部までお越しください)??? ? |
授業の詳細6 |
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授業の詳細7 |
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授業の詳細8 |
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授業の詳細9 |
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授業の詳細10 |
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