科目名 |
政治学入門 |
担当教員 |
放送大学 |
対象学年 |
2年,3年 |
クラス |
学部:人社001 |
講義室 |
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開講学期 |
通年 |
曜日・時限 |
集中 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
主任講師 辻中 豊 (筑波大学大学院教授)
講義概要 現代における政治の役割、その実態を市民ひとりひとりが自分の問題として考えるために、市民と比較の視点から政治学の基礎を講義します。講義では、各国との比較や講師の経験を交え、現代に生きる人間の公的決定として、政治を理解できるよう努めます。全体の講義は、第一部総論から第二部 公的決定のシステム、第三部公的決定の主体、第四部 公的決定の内容―日本政治の変遷、とになっています。1-2回は政治とは何かを考え、3-6回は公的決定のシステムとして構造的な側面を、7-12回は政治のさまざまな主体、有権者、マスメディア、社会集団、議員と政党、首相と大統領、官僚と司法、について、最後の3回で日本と150年の政治の流れを押さえ、多様な政治学のアプローチを用います。
授業の目標 政治とは、それぞれの集団のレベルでの公的な決定をめぐる現象です。地球レベルの政治から個々の自治体や組織のレベルの政治まで、政治は多様なレベルに存在し、それぞれのレベルで仕組みや動態は異なりますが、公的な決定としての共通の機能をもっています。本講義では市民が主体であり、自己決定と公的決定が効果的に関連するシステムとしての民主主義をいかに各レベルで生かすことができるか、という問題意識をもちながら、国のレベルを中心に、政治の構造や機能、決定の主体について、様々な概念を理解することを目標とします。
履修上の留意点 テキストは基礎をしっかり押さえた解説や資料を含みます。講義は、講師による解説で進みます。講義で各回の切り口や問題意識をとらえ、その角度からテキストをしっかり読み込むことで理解が自分のものとなります。また、講義自体は時事性を離れたやや一般的な内容ですが、受講者は、その時々の政治現象に関するニュース、資料などを切り抜き・コピーなどをしながら、現場感覚で講義を受けることが望ましいと思います。 |
授業の詳細2 |
1.政治とは何か 政治学が解明を目指す政治現象とは何かを明らかにします。「現実」「理想」「調整」という3つの政治観を提示し、「調整」という側面の重要性をのべ、さらに「政治とは公的な決定である」と定義します。さらに現代政治の条件、特徴として「大衆社会」と「多層的なガバナンス」について述べます。
【キーワード】 公的決定、正統性、強制力、大衆社会、多層的ガバナンス
2.政治システムにおける公的決定と類型化 政治の「静態的な鳥瞰図」をえるために、政治システム論を参照して、公的決定が形成・実行されることによって社会が動き、次なる公的決定の形成に影響を与えることを確認します。次にミクロな観点から演繹的に、公的決定の4つのパターンと4つの政治の性格を提示します。システム論では合理的で静かに見える政治が実は、ダイナミックで多様であること、そして、そうした公的決定の方式の規定因(決め手)として構造、主体=アクター、状況という3つを提示します。
【キーワード】 政治システム、過程機能、システム機能、決定主体、決定内容
3.政治体制―その1 配置 全体の構成 公的決定の内容と主体の型を決めるマクロな構造、政治システムの様々な構造的パターンは政治体制と呼ばれています。政治体制は、政治システムの特定の型であり、個々のモデルはそれを見分けるための色のついたレンズのようなものです。本講義では、公的決定の主体と内容から、エリート主義、多元主義、闘争主義、協調(コーポラティズム)主義の4つに関連する各レベルでの体制について説明します。
【キーワード】 エリート主義、多元主義、闘争主義、、協調(コーポラティズム)主義
4.民主主義:政治体制 その2 体制の質 市民にとっては、体制の型だけでなく、質としての民主主義が重要です。民主主義にまつわる様々な謎、複雑さを解き明かし、そして現代において最も広く使われるようになった自由民主主義、ポリアーキーと呼ばれる民主主義の質について理解することに力点をおきます。一つの尺度としてフリーダムハウスの方式についても触れます。
【キーワード】 自由民主主義、社会主義、第3の波、ポリアーキー
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授業の詳細3 |
5.制度―政府の構成 国家など政治システムは、様々な政治制度の組み合わせから成り立っています。本章ではその主要なものとして、選挙制度、議会制度、地方自治制度などを説明していきます。制度は、公的決定の「主体」を定義づけ、誰が政治システムの構成員かを規定します。また、制度は何を(どのように)決めるかを左右するからです。制度が決定の内容やその形にも影響を与えます。
【キーワード】 制度、国家、選挙制度、議会制度、地方自治制度
6.規範―市民の構成 政治の主体は自らの内なる価値基準に基づいて決定すると考えられます。価値基準はほとんどが社会的なもので、社会規範と呼ばれるものや、文化、イデオロギーといわれるものです。ここでは世界価値観調査の結果から各国での政治的なもののイメージの違いを確認し、価値観、規範、文化、イデオロギーなどが公的決定にどのように関係するかを考えてみます。
【キーワード】 政治文化、規範、アイデンティティ、イデオロギー
7.アクターと政策過程 公的決定の前後において、多様な主体が、決定の形成や執行・裁定をめぐって不可欠な役割を果たしています。舞台には、「主役」以外にもいろいろな登場人物が「敵役」「脇役」「裏方」「操り手」などとして存在するのです。新聞記事やアンケート調査によるデータをもとにして、政治に登場するアクターとは誰なのかを明らかにします。政策過程分析におけるいくつかのモデルを紹介しながら示します。
【キーワード】 アクター、政策過程、合理的行為者、組織過程、組織内政治、ゴミ缶モデル、政策の窓、紛争の拡大と転位
8.有権者とマスメディア 主権者である市民が、有権者として、政治に参加し、影響力を行使することは、民主主義の質を発展させる基本です。日本では、投票以外は、他の国に比して高い水準ではないが、マスメディアの発達は世界的に見ても特筆すべきものがあります。政治参加、投票行動からメディアの影響力について検討します。
【キーワード】 政治参加、投票行動、投票モデル、業績投票、フレーミング、全国紙体制
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授業の詳細4 |
9.社会集団 現代社会において、様々な「社会集団」は組織されることで「団体」と呼ばれますが、団体は2つの顔、利益団体の顔を市民社会の顔を持つことを説明します。政治システムにおいて、システム機能も過程機能ともに団体の活躍の場です。団体組織がいかに形成され、いかにアクターとして公的決定に関与しているか、それらを現代日本に注目しつつ、比較の中で説明してみたいと思います。
【キーワード】 利益団体、市民社会、NPO、利益表出
10.議員と政党 民主主義において,公的決定のもっとも中心的な形は,内政的には法律の制定と予算の決定,国際的には条約締結や国際組織加盟などの批准(決定)です。その決定を行う制度が選挙で選ばれた代表(議員)からなる議会です。法案を提案し,修正し,可否を決定する,主体が,議員であり,議員の集団組織である政党です。
【キーワード】 立法過程、政党システム、党内集団、政治家リクルート
11.首相と大統領 行政部を通じてシステム全体を指揮する部分について説明します。首相や大統領等など政治システムの指導者については,指導者の資質に着目する特性論があり,他方に指導者を取り巻く制度や組織に着目する視点があります。リーダーシップとは何か。制度によってどのような制約を受けているのか、なぜ日本の首相はすぐに変わってしまうのかについて考えます。
【キーワード】 執政府、リーダシップ、PM理論、拒否点
12.官僚と司法 政治家と異なり選挙を経ないアクターについて解説します。試験による資格が必要となる官僚と司法(裁判官,検察官,弁護士)は,「選挙による民主的正統性を持たない」にも関わらず,公的決定に大きな影響を及ぼしています。中央の官僚制度とその関連の諸制度、また中央と地方の関係、さらに司法制度は大きな変化を経ました。基本的な仕組みを理解するとともに、どのような変化が生じ、なぜそのような変化が生じたかを考えます。
【キーワード】 メリットシステム、政治的任用、最大動員、二重の駒形、司法制度改革
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授業の詳細5 |
13.1860年―1960年の日本政治 近代日本の政治は、明治維新以降の近代化と自由化、憲政と政党の発展、大恐慌以後の権威主義化、そして戦後の民主化と55年政党体制、さらにポスト55年体制の連立政権期をへて、2009年の政権交代と、何度かの転換を経験してきています。まず日本において近代化が生じた100年間,1860年頃から1960年までを検討します。具体的には,近代日本における2つの二重構造とその解消までを,国家の体制構成政策とアクター間の権力構造を中心に考えて描いていくことにします。
【キーワード】 非西洋の近代化、憲政、戦前の政党政治、戦後の自由民主主義
14.1960年―1990年の日本政治 日本の政治を長く特徴づけたのは,1955年に形成された政権党としての自民党の強さ,一党優位政党制でした。自民党は,1960年の危機を,所得倍増政策など経済成長政策に大きく舵をきることで克服し,1970年代の以後,都市住民に利益政治の範囲を広げることで安定させます。しかし,そのつけとして社会福祉や税制などでの大きな政策転換はなく,政権交代のある政党政治も実現しませんでした。
【キーワード】 発展志向型国家、55年体制、産業別人口構成、政官関係、社会党の失敗、ブレーン政治
15.1990年以降の日本政治 1990年に日本ではバブルの崩壊が始まり、前後して冷戦が終焉し、ソビエト連邦が崩壊しました。日本政治も1993年には非自民連立政権が誕生し、55年体制から連立政権の時代に変化しました。長い模索の時期を経て、2009年には民主党を中心とした政権に移行しました。高い期待を持って出発した新しい政権は内外の多く問題処理に悩み混迷する中、2011年3月には未曽有の東日本大震災が発生、公的決定への役割、政治体制が大きく問われることになりました。
【キーワード】 民主党、危機の政治、双系野党、財政危機、課題先進国日本 |
授業の詳細6 |
[成績について] AA:特に優れた成績を示したもの A:優れた成績を示したもの B:良好と認められる成績を示したもの C:合格と認められる成績を示したもの F:不合格
[開講時期] 2学期 ※講義スケジュール及び履修上の注意点は、授業時間割表P39を参照してください。 ・2クォーターの履修変更期間までに、履修登録されている科目以外は、履修す ることができません。 [テキスト] 放送大学より送られてくる資料を使用する。
注意:4年生は原則履修できない。(理由:放送大学の試験結果通知が本学の卒 業判定時期と同時期であるため卒業判定が困難となります。2・3年次での履修 を推奨します。)
(その他何かわからないことがありましたら教務部までお越しください)??? ? |
授業の詳細7 |
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授業の詳細8 |
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授業の詳細9 |
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授業の詳細10 |
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