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タイトル「2012年度シラバス」、フォルダ「2012年度シラバス?大学共通科目(人文・社会科学等科目)
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 文化としての戦略と戦術 
担当教員 篠森 敬三 
対象学年 1年  クラス 学部:人社001 
講義室 K102  開講学期 2学期 
曜日・時限 金5  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 科  目:文化としての戦略と戦術(大学共通科目)
 (Cultural Aspects of Strategy and Tactics)
担当教員:篠森敬三
開講年次:1年 2学期(3Q+4Q)科目 金曜日5限 
単 位 数:2
区  分:人文・社会科学等科目(大学共通科目)

重要な注意
最後にある科目の位置づけと履修上の注意をよく読んでから履修すること。


授業の目的と概要
 人間あるいは集団がある程度大きな目標を達成するにあたっては,その過程で様々な問題や困難を克服する必要がある。無計画や無策では目標の達成は難しいため,いにしえの昔より,目標達成のための方策が考えられて,そのスケールによって分類される3つの要素が必要不可欠であると考えられるようになった。1つは大局的で中長期的な活動計画や活動方針であり,戦略と呼ばれるものである。2つは,比較的短期の行動計画や策略であり,作戦と呼ばれるものである。3つには,ある目的を達成するための具体的な方法や手段であり,戦術と呼ばれる。迅速かつ効率的な目標達成のためには,このレベルの異なる3つの要素を,巧みに組み合わせることが必要とされる。
 古代から現代に至るまで,その3つが極限まで追求される状況が戦争や合戦であり,そこでは幸か不幸か,もっとも洗練された形で戦略や戦術を考える必要があった。その中で,失敗に対しては自らの血をもって償いながら,さまざまな手法が考案されてきたのである。さらには,それらが長い歴史の中で各地域や民族におけるさまざまな環境要因と密接に関連を持ちながら,典型的な思考方法や活動パターンとして形成されるに至った。これがこの講義で取り上げる「文化としての戦略と戦術」である。
 現代においては,そのような文化として洗練された戦略や戦術は,昔のようにそのままの形で戦争や合戦に用いられるのではなく,技術開発やビジネスモデル構築などにおける計画立案(現代における作戦)において利用することが可能な,典型的手法集(いわゆる必勝法)として捉えるべきものである。そのような思想的な背景から,歴史的に提案されてきたさまざまな戦略や戦術について学ぶと共に,それを現在の問題解決や目標達成のための手法として応用することが本授業の動機である。それにより,いかなる状況においても,勝利のための合理的な作戦行動をおこなうことの出来る指導的役割を果たす人材の育成に寄与することが最終目的である。

 
授業の詳細2 授業の目標

(1)戦略・作戦・戦術に対する理解
 ・歴史的な戦略・作戦・戦術の基本的な考え方について理解する。
 ・戦略や戦術と,作戦との差異を理解するとともに,戦略優位性(優れた戦略は稚拙な戦術をカバーできるが,優れた戦術で
  も稚拙な戦略をカバーすることは出来ないという特性)についても理解する。
 ・目的遂行集団としての組織論の基本的考え方について理解する。

(2)戦略・作戦・戦術におけるスキル形成
 ・戦略・作戦・戦術の基礎的諸概念を正しく理解し,自分でも実際の活動における計画立案や遂行において,使えるようにする。
 ・戦略をいくつかの連続的な具体的計画にインプリメンテーションしたものが作戦であることを理解し,実際の事例に適用する
  経験を得る。 
 ・戦術に相当する研究開発における要素技術などをもとに,それらを最大限に生かすための活動計画(作戦)を作成するスキル
  を形成する。
 ・組織(企業等)が目的を遂行するために必要とされる組織構造について理解し、活動目的や活動形態が組織のあり方を規定し
  ていく点を踏まえて組織のあるべき構造を考えられるようにする。

(3)指導者としての合理的判断の展開
 ・戦略・作戦・戦術の基礎的諸概念にもとづいてさまざまな対策を考案し,かつそれを議論や報告書の形で展開することによっ
  て,組織全体に対して合理的判断を敷衍させるという作業のひな形を体験することによって事前経験を得る.

 
授業の詳細3 授業の進め方 (履修者への注意)

上記のように,本授業では戦略的・戦術的思考を実際の事例に対して適用するという応用力をつけることがその目的であるので,「軍事学」とか「兵器」とか「戦争の歴史」などを教えることを本来の目的とはしていない。「軍事学」や「歴史」を教えるのではない,ということは,過去や現在における軍事的・政治的・国際的状況について講義するものではないことも意味している。
さらに(授業の目的からより一層明らかではあるが),軍事関連の話題で,例えば「戦車の主砲の装甲貫通力」といった単なる兵器の性能について考えることも目的としていない。あくまでも自律的に物事を判断できるようになるための戦略的・作戦的・戦術的な思考の獲得が目的である。
上記で「教えていない」「目的としていない」という内容を期待して授業を履修して,途中からいなくなる学生がいるかもしれないが,そのようなことの無いように願いたい。

 
授業の詳細4 授業計画
 詳細な授業と演習の日程は以下の通りである(ただし予定)。

A 戦略と戦術とは(1回目)
1 個人の特性を活かす戦略的配置と戦術 (10/05)
 ・打撃力(砲撃力),防御力(装甲),機動力のバランスと戦略
 ・自分を活かし,部下を活かす。 
(重要なお知らせ:10月5日の講義は出張の影響により16時50分より開始します。)

B 歴史にみる戦略と戦術(3〜8回目)
2 孫子の兵法〜軍略の誕生〜(10/12)
   戦闘国家の構築(戦略ー作戦ー戦術の連携),多数のライバルとの戦い(パワーバランスのため
   の外交),王と将軍(組織と人間の関係)

3 ギリシアの戦い〜市民社会とポリスの形成〜(10/19)
   市民社会と兵役(権利と義務),アテネとスパルタ(多様性と単一性,及び少数精鋭主義)

○10/26は「演習1」(金曜日5限の授業時間内に実施)

4  ハンニバルとスキピオ〜1度だけ負けた者と1度だけ勝った者〜(11/02)
   包囲殲滅戦(圧倒的な戦術的優位 vs. 圧倒的な戦略的優位)

5 ジンギスカン〜元帝国の形成〜(11/09)
   少数の統治官と騎馬軍団(戦略的抑止力の形成)

6 信長の野望〜天下布武〜11/16)
  新技術と新システムの導入と運用,生産力の増大と社会の発展

★11月23日は祝日(勤労感謝の日)のため授業はない。

7  ナポレオンの戦い〜徴兵と分進合撃〜(11/27、振替授業日)
(11月27日は火曜日であるが,金曜日振替授業日であるため,本講義を実施する)
   フランス革命と徴兵(機動戦への道)

8 学修状況の検証と復習(11/30、3Qの指定科目試験日)
   いままでの学修状況の検証と福復習を目的として筆記試験形式の効果判定を実施する

○12/1の演習日の演習は実施しない。
 
授業の詳細5 C 目標達成のための戦略と戦術(9〜13回目)
9 情報と組織(12/07)
 ・囲碁将棋からの離脱
   より現実に即した戦略と戦術,モノポリーにおける戦略と戦術
 ・情報(インテリジェンス)の重要性
   情報戦で優位に
 ・組織の構築
   目標達成のための役割分担,志気の維持,個艦優越の是非

10 長期的見通しと新技術への対応(12/14)
 ・長期的見通し
   戦略と抑止の利用
 ・新技術・新コンセプトへの対応
   適正なタイミングと適正な利用

11 間接アプローチと電撃戦・消耗戦(12/21)
 ・ 間接アプローチ〜1対1の戦いにおける活路〜
   自分の全力で相手の分力と戦う
 ・ 電撃戦〜戦略的奇襲〜
   必要なポイントのみ押さえる,電撃戦の終焉
 ・ 消耗戦〜物量による戦略的持久〜
   局地的には敗北してもかまわない,消耗戦の終焉

★12月28日、1月4日は冬期休業につき授業はない。

12 兵法三十六計に学ぶビジネスの知恵(01/11) 
 ・ 兵法三十六計の紹介と分析

13 戦略と戦術の重要性(01/18)
 ・ いままでの総括
 ・目標達成のためのアプローチ
 ・戦略と作戦の良い循環・悪い循環
 ・戦略優位と戦術優位


D 就職のための戦略と戦術(14回目)
14  特別レクチャー・就職における戦略と戦術 (01/25)
    本学OBを交えた就職における戦略と戦術について講演


E 戦略と戦術の仕上げ(15、16回)
15 目標達成のための戦略と戦術の総括(02/01)
 ・ 目標達成のための戦略と戦術の総括

16.課題への戦略と戦術の応用 (02/08)
 ・最終課題レポートの作成の手引き
 ・今後への展開

○2/9の演習日の演習は実施しない。

 
授業の詳細6 授業のテキストと参考書

テキスト:
  特になし。必要があれば参考資料を配布する。

参考書:
(1)『知識ゼロからの孫子の兵法入門』,弘兼憲史・前田信弘著,(幻冬舎),2009年
  その他必要に応じて適宜紹介する。

 
授業の詳細7 成績評価

本講義では,重みづけを,筆記試験 40%,最終課題個人レポート50%,小レポート&小テスト10%(予定)として評価する。それらの得点は,以下の到達度判定に用いられる。最終的な成績評価は到達度によって決められる。なお出席点は加算しない。

F判定 C判定で定める到達度に到達していない場合で,単位取得は認めない。

C判定 授業内容1〜9の内容で学んだ戦略や戦術の概念を理解し,おおよそ説明することが出来る能力に到達した。

B判定 授業内容10〜14で取り上げる戦略や戦術の概念を理解し,現代的なサンプル事例に対して,1〜14の内容で学んだ戦略や戦
   術の概念を当てはめて分析し,戦略的適合性を判断することのできる能力に到達した。

A判定 B判定の到達度に加えて,現代的なサンプル事例に即して,有効な対策や合理的判断を自ら考え,かつそれを説明・議論した
   上で,報告書にまとめることのできる能力に到達した。

AA判定 A判定の到達度に加えて,討論での議論や問題点の指摘をふまえて,さらに作戦立案を高度化し,普遍的に受け入れられる
    ことができる合理的な戦略と戦術を構築してそれを報告書の形でまとめることのできる能力に到達した。

理解度確認は主としてB判定までの到達度(試験範囲は講義内容9まで)を判定し,最終課題個人レポートはA,AA判定の到達度を判定することを主目的として実施される。F判定ではあるが一部特定領域(ある一部の講義内容)を除けばC判定到達度を満たしていると考えられる学生については,その領域に関する追加レポート課題を与え,そのレポートの得点を到達度判定に加える場合もあるが,おそらく実施する必要はないだろう(全体を見通すことができれば,ある領域のみ出来ないという事例が発生しないので)。

演習では自主採点方式を用い,成績評価には加味しない。また授業では原則,出席点は加味しない。したがって最終的に,様々な戦略や戦術の概念を理解してそれを現実の問題に適用できるようにならなかった場合には,単位取得出来る可能性はない(この科目では,中身の無いレポートを出すだけ出しても単位取得の可能性はない)。

 
授業の詳細8 科目の位置付け

継承科目
 『7人の気魄』、『世界一を目指せ』の継承科目である。

履修の前提となる科目:
(情報学群の諸君は)『情報と倫理』の単位を取得していることが望ましい。

同時履修が必要な科目(単位既取得者は除く):
『スタディスキルズ1』

同時履修が望ましい科目(単位既取得者は除く):
『日本人の教養』

 
授業の詳細9 履修にあたっての重要な注意

(1)継承科目としての位置付け
 この科目は、『世界一を目指せ(旧科目名称:7人の気魄)』の継承科目であり、両者の単位を重複して取得することは出来ない。したがって『世界一を目指せ』あるいは『7人の気魄』の単位を取得済の学生は履修することは出来ない。この制限は全ての学生に適用される。

(2)工学部において廃止されたことによる影響
 この科目は平成22年度(2010年度)をもって工学部科目としては、廃止されている。したがって原則、工学部学生は履修することが出来ない(ただし次項も参照)。
 
授業の詳細10 (3)学年(期生)別の履修にあたっての注意)
・ 工学系3学群(情報学群、環境理工学群、システム工学群)及びマネジメント学部の新入生(16期生)は相談不要なので、そのまま履修可。

・ 『世界一を目指せ』の単位を未修得の工学系3学群・マネジメント学部の2年生(15期生)については、『文化としての戦略と戦術』を昨年度履修していなければ履修可。『文化としての戦略と戦術』の再履修の学生については、平成24年度については履修人数によっては履修をお断りすることがある(この場合は個別の相談によらず機械的に決定する)。

・ 編入学生以外の3年生については原則履修を認めない。ただし、本科目を過去履修したことのない学生については、以下の相談によって特に履修を認める場合がある。(なお編入学学生の場合は相談によらずそのまま履修して良い)

・ 4年生以上(4年生以上の編入学生も含む)で『世界一を目指せ』と『7人の気魄』のいずれの単位も未修得の学生であって、かつ本科目を履修したい情熱あふれる学生については,個別に相談すること(工学部の学生も含む)。

・ 3年生と4年生のうち相談希望の学生は、授業中に指定する日時(@10月2日,10月3日のいずれも12時15分から12時50分,あるいはA10月2日,10月5日,10月9日,10月11日の18時15分から19時)あるいはB10月12日の3限のオフィスアワー(10月5日の3限は不在になりました),あるいはC10月3日3限の特別オフィスアワーに篠森教員室A419を訪ねること。その際、(4年生以上のみについては)卒業後の進路を証明する書類のコピー(内定通知書の複写等)及び(相談する全員が)成績表(事務局パピルスによるものか,Web上の成績ページのプリントアウト)を必ず持参すること。相談の結果としてしか履修を認めない。従って、4月の履修登録の時点において3年生以上が履修登録することは認めない。10月当初の履修変更の登録・確認期間中に上記相談の結果として履修登録すること。

以上
 


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