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タイトル「2012年度シラバス」、フォルダ「2012年度シラバス?大学共通科目(自然科学分野等科目)
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 情報科学3 
担当教員 吉田 真一 
対象学年 1年  クラス 学部:自然003 
講義室 C−1WS  開講学期 2学期 
曜日・時限 月4,木4  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 授業の目的

コンピュータリテラシー,応用コンピュータリテラシー,情報科学1と,
どのようにプログラムを記述するかという方法を学んできた.情報科
学3ではなぜ情報が処理できるかという「仕組み」を学ぶ.
つまり,今まで情報処理の「How」を学んで
きた皆さんに情報処理の理論である「Why」を学習してもらう.このためには,
まず,現在に至るまで情報処理技術を推進してきた原理の歴史を学び,現在の
情報処理技術が取り組んでいる方法や将来的な問題などを明らかにする.つま
り情報科学3は今後学んで行く高度な情報システム全体に対しての理論的入
門という役割を果たすものである. 具体的には,たとえプログラムが出来ても
コンピュータで回答を得るまでに何万年もかかる問題や,一見簡単に記述でき
そうであってもプログラム自体が存在しえない問題もあるということを示す.
このような問題は避けて通りたいし,避けられない場合は人工知能などの新し
い考え方に立脚して克服できないか工夫したい.講義の前半では計算機の仕組
みを学んだあとで,なぜ時間がかかるプログラムになるのかを理解する.

授業の進め方

基本的に,本授業は講義形式で行うが,計算機の概念等は講義を聞くのみでは
理解の難しい部分もあるので,演習を別途行うことで,より深く理解する.

達成目標

本講義を受講することで,以下の項目の習得ができる.

(1) 計算機の仕組みの理解,計算機の構成と機械語・アセンブリ言語の
理解
(2) 基数法,ゼロ,指数・対数
(3) 計算不能問題の理解
(4) 計算量と計算の困難さの理解
(5) 並列計算の仕組みの理解
(6) 論理
 
授業の詳細2 授業計画

1.コンピュータサイエンスの概要

コンピュータサイエンス(情報科学,あるいは計算機科学)の取り扱う分野,問題,目指しているものについて
説明を行い,この授業で学ぶ各要素技術・理論の役割を俯瞰的に理解する.

2.記数法と指数・対数

なぜ記数法(10進法=decimal,2進法=binary,n進法=n-ary)があるか,指数・対数の性質は何かを学ぶ.

3.有限集合とディジタル情報

離散的な情報の本質を知り,それらは有限集合で表すことができ,すなわち記数法により,0 と 1 の2つのシンボル
でどのようなものでも表現できることを知る.また,アナログ情報のディジタル近似の仕組みも理解する.

4.論理

条件分岐で重要な条件の設定の原理を学ぶ.
組み合わせ論理,論理関数,論理演算などを学ぶ.

5.ブール論理の完全性

AND(直列),OR(並列),NOT(反転)があれば,どのようなディジタル入出力を持つ関数も表現できることを
学ぶ.これが現在のコンピュータの基礎となっている.

6.プロセッサの仕組みと機械語

加算回路など実用的な処理がブール論理のみで作れることを学ぶ.

7.剰余

周期性・グループ分けは,プログラミングの重要な要素である.
剰余の持つ性質を学ぶ.

8.数学的帰納法

事象を包括的・一般的に扱い,本質を見極めるためには,無限を取り扱うことが重要である.
数学的帰納法による無限の取り扱いに,ループの条件について学ぶ.

9.順列・組み合わせ

プログラムにおいて,順列・組み合わせ・置換を知ることは,条件設定をもれなく行うためにも重要であるので,
これらの諸概念・性質について学ぶ.

10.これまでのまとめと理解の確認

演習を通してこれまでのまとめと理解度を確認する.

 
授業の詳細3 11.再帰

再帰は,その考え方は独特であり慣れないと難しいものであるが,うまく再帰表現ができた場合,
プログラムの動作を簡単に表現することが可能となる.
ハノイの塔,階乗,フィボナッチ数列,フラクタル図形などの題材で,これらを学ぶ.

12.指数的爆発

計算困難性の基本概念である指数爆発,および対数計算量を学ぶ.
バイナリサーチ,暗号アタックなどを題材に学ぶ.

13.背理法

背理法の証明とその原理について学ぶ.
これは,集合の不可算性,計算不能性の証明に必要である.

14.可算と不可算〜値と関数

無限の集合においても,可算集合と不可算集合に本質的に超えられない壁がある.
身近な集合でも,これらの差があることがある.
計算不能性の理解にも重要な概念であるため,これを理解する.

15.計算不能問題と停止問題

チューリングの停止問題を題材として,原理的に計算することが不可能な問題について学ぶ.
それとともに,計算可能性を提唱するチャーチ・マルコフ・チューリングの命題(チャーチのテーゼ)
について知る.

16.人工知能による解決法

人工知能・計算知能的処理について概要を学ぶ.

17.まとめと確認

これまで学んだ内容のまとめと確認を行う.

18.今後の展望

今後学んでいく内容,コンピュータサイエンスが発展する方向性について講義を行う.




 
授業の詳細4  
授業の詳細5 成績評価:

この授業では,演習・中間試験・最終試験の結果により総合的に評価する.
総合成績は,以下の到達度判定に用いられる.成績評価は到達度によって判定される.

最終試験の試験範囲は 1-14. 授業で取り扱ったすべての事項である.

F:到達度が総合的に見て60%に満たない者
C:到達度が総合的に見て60%以上70%未満の者
B:到達度が総合的に見て70%以上80%未満の者
A:到達度が総合的に見て80%以上90%未満の者
AA:到達度が総合的に見て90%以上の者


備考:なし

履修前の受講が必要な科目:情報学群科目「コンピュータリテラシー」,情報学群科目「情報科学1」
同時履修が必要な科目:情報学群科目「情報科学2」

テキスト:結城浩「プログラマの数学」ソフトバンククリエイティブ 
授業の詳細6  
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