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タイトル「2012年度シラバス」、フォルダ「2012年度シラバス?大学共通科目(自然科学分野等科目)
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 科学的探求の方法 
担当教員 放送大学 
対象学年 2年,3年  クラス 学部:自然001 
講義室   開講学期 通年 
曜日・時限 集中  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 【主任講師】
濱田 嘉昭 (放送大学教授)

【講義概要】
 科学は人間の行う知的活動の一つであり,現実に生起している現象を観察に基づく経験や実験によって得られた結果を整理し,複雑な現象の中から一定の規則を見出し,それらを総合して法則や原理を導き出し,さらにそれらを統合してより基本的な法則を見出そうとする。このようにして得られた法則からは,物質世界あるいは社会現象の予測が可能になる。特に自然科学を技術と結びつければ,新しい性質を示す物質や装置を創造することもできるようになる。一方では,現象の整理の仕方を間違えたり相応しくない方法を適用すると,間違った結論を導き出す可能性もある。本講義では自然科学を中心として科学の考え方,観察や実験を行う際の基本的に重要な項目について考えることにする。また,情報を収集し,論文にまとめ,発表する方法についても考える。最後に科学は専門家のものだけではなく,すべての人々が関心をもつべき事柄であることを強調したい。これによって,現在の私たちが直面する環境問題などに正しく対処できるようになると考えるからである。

【授業の目標】
 実験や観察は自然・社会現象を探究する重要な方法であり、理論的考察と合わせて科学の両輪になっている。最近では、計算機によるシミュレーションも科学的探究に欠かせないツールになってきた。これらの基本的な理解あるいは使用に関する一般的な注意事項を知る。それにより、得られる結果に対する正しい評価ができ、正しい判断が下せることになる。すべての実験法や観察法、およびそれらの操作法を紹介することはせず、それらに共通する事柄を学ぶことを目標とする。

【履修上の留意点】
 実験や観察は自然科学の手法に止まらず、人文・社会系の研究あるいは学習にも共通する事柄である。したがって、分野を問わず履修していただきたい。なるべく、広範な事例を紹介することに努めるが、講師の専門性もあり、自然科学の例が多くなることは了解しておいてほしい。ただし、自然科学の内容自身の理解を求めることが本意ではなく、広い分野に応用してもらうことを前提にしている。気楽に受講してほしい。 
授業の詳細2 【1】科学とは何か
 科学は人が行う文化的な活動とどこがどのように違うのか。歴史的な発展を振り返ることで科学の特徴を考えて見たい。科学というと一般的には、自然科学を思い浮かべるが、人文科学や社会科学とはどのような特徴があり、それぞれにどのような違いがあるのかを考える。
【キーワード】
自然科学、人文科学、社会科学、客観性、再現性

【2】科学における用語と表現
 科学は厳密に定義された専門用語を用いる。多くの科学者が共通の基盤に立って、情報を交換し、議論を進める上で必要なことである。一方で、このことが日常生活で用いられる言葉使いや、話の進め方と乖離しているため、専門家と非専門家との間の意志疎通の原因あるいは専門学術への不信にもつながる可能性がある。専門・学術用語について考える。
【キーワード】
専門(学術)用語、単位と標準、物理量と表記法

【3】何を問題にするのか
 科学では何を問題にするのか。どのように問題を設定するのかなどについて考える。何が未解決の問題であるのかをどのようにして調べるのかについて学ぶ。卒業研究や大学院修士課程での課題設定において、どのようなテーマにすべきかについても話す。
【キーワード】
科学の語源、問題の発見、先行研究 
授業の詳細3 【4】研究の準備
 科学研究は人が行う文化活動の一つであるから、それらを始めるに際する心構えや準備の必要性は科学に特別なものではない。しかし、科学研究に特有の準備もある。一方、研究結果が自己満足だけではなく、人の文化にとって意味あるものとなるには、研究を始めるに際して、いくつかの考えておかなければならないことがある。本章では研究テーマの決め方、先行研究を確認することの意味を考えてみたい。
【キーワード】
研究実行条件、結果公表の可不可、プライバシー、先行研究

【5】研究のプロセス
 どのような研究も、実際のプロセスは単純ではなく、試行錯誤の連続、あるいは初期のテーマとは異なる方向へ進む場合もある。どのようなプロセスで研究が進むはずであるかについて考察する。
【キーワード】
要素分解と統合、帰納と演繹、仮説の発見、偶然の幸運とは

【6】領域の拡大
 自然現象はヒトの五感をはるかに越えた領域で生起している。あるいはわれわれが五感で感じられるのは自然現象のほんの一部であることを知ることは重要である。一方で、五感を越える検出器や観測装置を考案し、利用することはわれわれの認識の範囲を拡大することに繋がる。これらについて論じる。
【キーワード】
五感の範囲、検出限界、分解能、1桁の実験 
授業の詳細4 【7】自然(社会)に働きかける
 自然現象や社会現象は観察するだけでは、その現象が起こっている原因あるいは法則性を見出すことができない場合がある。そのような場合の実験的な方法が、何らかの方法による介入的な観察である。どのような観察・観測があり、その結果をどのように取り扱うべきかを考える。
【キーワード】
 (非)破壊分析、定性分析、定量分析、個人情報保護、雑音(ノイズ)

【8】データの整理
 観測した結果がデータであるが、これはそのまま、求めるべき情報をそのまま反映したものであろうか。実際のデータはさまざまな理由により、真実の情報とは異なっている。多くのデータを処理する場合の基本的な注意点を考える。
【キーワード】
偶然誤差、系統誤差、装置の校正、正規分布、標準偏差、t検定

【9】原因と結果
 自然(社会)現象はさまざまな要因と相互作用をしている。それらの関連を解明することが現象の正しい理解となる。観察・測定の結果の信頼性の評価に加え、他の現象との関連・相関を考察することも重要である。この場合、解析を誤ると、原因と結果の関係も誤ることにも繋がる。これらのことについて考察する。
【キーワード】
因果律、散布図、相関 
授業の詳細5 【10】分類と法則の表現
 実験・観察によって信頼できるデータが集まったなら、それらを整理する。整理の仕方によっては生のデータの集合だけでは見えなかった新たな発見があるかもしれない。整理・分類の仕方が研究の質を決めるとも言える。自然科学の研究ではより一般的で本質的な法則を求め、できるだけ数理的な言葉に置き換えることを目指している。一方、そのようにして得た法則を具体的な現象に適用する上では適用範囲に関して注意が必要である。
【キーワード】
分類法、数式化、適用範囲

【11】視野の拡大
 科学の営みは、結局として、自然あるいは社会をより広い立場で観ることであると言い直すこともできる。井の中の蛙(かわず)が外へ飛び出して、それまで見えなかった世界を知りたいという願望を叶える活動であったわけである。一方、井の中にあっても、知識を集め、合理的に考えることで、井の外に出なくてもある程度は理解できるようにもなれる。広い立場でものが見えるとはどのようなことなのかを考えよう。
【キーワード】
空間・時間スケール、矛盾概念から対立概念へ、ミクロとマクロの視点

【12】研究成果の利用
 科学研究は、過去の研究の蓄積の上に、新たな知識を積み重ねていくことで発展してきた。新たな研究に取り組む際には、その領域で過去に積み上げられてきた科学知識を俯瞰して、定説や既に分かっていること、まだ解明されていないことを明らかにし、そのギャップを埋めるためにどんな研究にどのように取り組むべきかを考えることから出発する。過去の研究を知るためには、研究成果がどのように流通しているのかを知り、そうした研究成果を探し出す方法を学ぶことが必要である。
【キーワード】
科学情報の流通、科学情報の収集、科学情報の評価 
授業の詳細6 【13】論文の書き方
 研究の成果をまとめて世に問う最終形態が論文である。研究によって発見した現象、新しい考え方などを人類の知的財産として付け加えるものと言える。したがって、著者以外に理解できる文章と筋立てがなければならない。論文といっても、専門分野の学術誌への投稿論文から一般誌の解説記事など様々あるが、ここでは主に大学院や学部での研究論文であり日本語で書く場合を想定して考えることにする。
【キーワード】
主語と述語、正しい日本語表記、起承転結、章立て

【14】研究成果の発表と討論
 研究成果をまとめて世に問う最終形態は論文であるが、その成果を口頭発表という形で人前で公表する機会も研究者には多々ある。論文による発表は印刷媒体または電子媒体の形で残るものであるが、口頭発表は一過性のものであり、その目的は成果の公表のみならず、他の研究者からのフィードバックを得ることにもある。口頭発表には、授業の課題としての発表から、学会や研究会による発表、及び、学位論文取得のための口頭発表・口頭試問、と様々である。ここでは、主に、学会・研究会における発表を中心に考えることにする。
【キーワード】
学会発表、質疑応答、プレゼンテーション

【15】科学の使命
 現代の科学や技術の多くの研究は個人の趣味で行うものから、社会が支え社会に還元されるものとして行われている。研究体制、人員、資金は社会構成員の協働で成立しているのである。研究の結果は迅速で、しかも大きな影響を社会に与える場合が多い。したがって、科学の研究方向、結果の受容に社会構成すべてが責任をもつことになる。そのためには、科学研究の意味を理解できる基本的な知識を社会構成員が広くもつ事が必要になる。
【キーワード】
科学者倫理、科学リテラシー、自然・人文・社会科学の統合 
授業の詳細7 [成績について]
AA:特に優れた成績を示したもの
A:優れた成績を示したもの
B:良好と認められる成績を示したもの
C:合格と認められる成績を示したもの
F:不合格

[開講時期]
2学期
※講義スケジュール及び履修上の注意点は、授業時間割表P39を参照してください。
・2クォーターの履修変更期間までに、履修登録されている科目以外は、履修す
ることができません。
[テキスト]
放送大学より送られてくる資料を使用する。

注意:4年生は原則履修できない。(理由:放送大学の試験結果通知が本学の卒
業判定時期と同時期であるため卒業判定が困難となります。2・3年次での履修
を推奨します。)

(その他何かわからないことがありましたら教務部までお越しください)??? ?
 
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