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タイトル「2012年度シラバス」、フォルダ「2012年度シラバス?システム工学群専門科目
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 電子回路基礎 
担当教員 八田 章光 
対象学年 2年  クラス 学部:専門001 
講義室 C101  開講学期 1学期 
曜日・時限 月3,木3  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 【授業の目的】

 情報処理や情報通信を行うコンピュータやネットワーク,機械や自動車,ロボットなどを動かす制御装置のすべては,電子回路がその実体である.電子回路の基本的な原理や考え方を理解することは,工学技術者として活躍する上で必須である.
 この授業では基本的な電子回路素子である演算増幅器(オペアンプ),ダイオード,バイポーラトランジスタ,電界効果トランジスタ(FET)について,素子の動作特性を理解し,回路の基本法則に基づいて,実際に使用される増幅回路や制御回路,スイッチング回路の設計方法や解析方法を修得する. 
授業の詳細2 【授業の進め方】

 前半は電気回路基礎で学修した回路の基本的な考え方と計算方法を復習し,電圧源,電流源,抵抗,コンデンサ,コイルの性質とその数学的な表記方法を理解する.オペアンプの特徴を理解した上で,オペアンプを用いた反転増幅回路,非反転(正相)増幅回路,加算回路,積分回路,比較器の動作原理について学ぶ.回路の基本事項とオペアンプを用いた増幅回路について理解度の確認を行う.
 後半はダイオード,バイポーラトランジスタ(単にトランジスタ),電界効果トランジスタ(FET)の構造と特徴,性質,一般的な使用方法としての増幅回路とスイッチ回路を理解する.トランジスタの基本的な増幅回路としてエミッタ接地増幅回路の回路構成と動作原理,設計方法を修得し,等価回路を理解する.FETについても同様にソース接地増幅回路の回路構成と動作原理,設計方法を修得し,等価回路を理解する.授業全範囲について理解度の確認を行う. 
授業の詳細3 【達成目標】

 目標は電子回路の基本的な考え方を「理解すること」である.教科書の知識や要点を覚えること,問題の答えや計算式を覚えること,試験の前日に要点を暗記することは,目標達成に必要であるが最終的な目標ではない.最低限の覚えなければならない事項を覚えることは容易に達成されることであり講義の目標とはしない.電子回路の考え方を「理解して使いこなす」ことを目標とする.

[1]オームの法則とキルヒホッフの法則を理解すること.
[2]オペアンプ,ダイオード,トランジスタ,FETの特性を知ること.
[3]オペアンプの基本回路を理解すること.
[4]トランジスタの基本回路を理解すること.
[5]FETの基本回路を理解すること. 
授業の詳細4 【講義計画】

1.オリエンテーション/電子回路の実例
 授業の目標と進め方について確認した後,電子回路の回路基板や回路図の実例を見る.実際の電子回路に用いられている素子の形状や名前,回路記号,電気的な性質や役割,調べ方,抵抗のカラーコードなどについて紹介する.代表的な素子として,電源,抵抗,コンデンサ,コイル,ダイオード,トランジスタ,集積回路(IC,LSI),発光ダイオード(LED)等の性質や用途を説明する.
宿題@素子の名前や用途,特性を調べる

2.オームの法則とキルヒホッフの法則
 電気回路基礎で学んだ電圧と電流の区別,オームの法則,キルヒホッフの法則,重ねの理について復習する.基本的な素子である電源,抵抗,コンデンサ,コイル,ダイオードの電圧−電流特性を説明する.また分圧回路の意味と特性を理解する.
宿題A電源(電圧源,電流源,電池),抵抗,コンデンサ,ダイオードの電圧−電流特性

3.オペアンプの性質と基本増幅回路
 オペアンプ(演算増幅器)は多数のトランジスタなどを組み合わせて,センサーや制御に必要な増幅回路が簡便に作製できるように設計されたアナログの集積回路素子である.演示実験を通してオペアンプの性質を説明し,オペアンプを用いた基本増幅回路である反転増幅回路と非反転(正相)増幅回路を示し,そのゲイン(利得・増幅率)を導出する.
宿題:B反転増幅回路と非反転増幅回路の増幅率
 
授業の詳細5 4.増幅回路の性能
 増幅回路の性能を示す電圧利得,電流利得,電力利得,入力インピーダンス,出力インピーダンス,帯域幅などを定義し,特に回路設計における入出力インピーダンスの重要性を理解する.オペアンプの反転増幅回路,非反転増幅回路について,現実的な数値を用いた回路計算を行う.また出力電圧の限界や利得帯域幅,スルーレートなど現実の増幅回路で考えなければならない諸問題を検討する.
宿題:C非反転増幅回路の設計

5.オペアンプの応用
 オペアンプを用いたボルテージフォロワ,コンパレータ,加算回路,減算回路,乗除算回路,積分回路などの様々な応用回路を紹介し,回路構成と動作原理を理解する.
宿題:D加算回路,減算回路,乗算回路の設計

6.ダイオードの性質と用途
 ダイオードの電圧−電流特性,整流特性について理解する.交流から直流に変換する半波整流回路,全波整流(ブリッジ)回路,平滑回路,シリーズレギュレーター,スイッチングレギュレーターの構成と動作について演示実験を交えて解説する.定電圧(ツェナー)ダイオード,発光ダイオード(LED),定電流ダイオード,太陽電池など広く用いられている特殊なダイオードの特性について紹介する.
宿題:1〜6講までのまとめ学習

7.1〜6講までの理解度確認
 オペアンプの特性,オペアンプを応用した回路の構成や動作原理,回路の基本法則に基づいた増幅特性の計算や回路設計について理解度(習熟度)を確認した後、理解が不十分な課題について解説を行う.
 
授業の詳細6 8.トランジスタ
 基本的な増幅素子であるバイポーラトランジスタ(単にトランジスタ)と電界効果トランジスタ(FET)の種類と構造,動作原理を説明し,基本的な増幅の原理を理解する.
 バイポーラトランジスタの種類,構造,端子の名称,回路記号,静特性について解説する.基本的なエミッタ接地増幅回路の動作を理解する.
宿題:トランジスタの用途,特性を調べる

9.トランジスタ
 エミッタ接地増幅回路を基本にバイポーラトランジスタの直流等価回路と交流等価回路を示す.エミッタ接地増幅回路のバイアス回路について考え,バイアスを含めたエミッタ接地型回路の利得や入出力インピーダンスなど増幅特性を求める.
宿題:エミッタ接地幅回路の増幅特性

10.トランジスタ
 実際の回路設計で必要となる最大定格の意味を理解し,バイアス回路を含めたエミッタ接地型回路の設計手順を考えて,実際の素子を仮定した回路設計の演習を行う.
宿題:エミッタ接地幅回路の設計
 
授業の詳細7 11.トランジスタ
 負帰還増幅回路の意味と実際の回路構成などについて勉強する.また,コレクタ接地型とベース接地型の増幅特性と用途について説明する.
宿題:負帰還増幅回路の設計

12.FET
 FETの種類,構造,端子の名称,回路記号,静特性について解説する.基本的なソース接地増幅回路の動作を理解する.
宿題:FETの用途,特性を調べる

13.FET
 ソース接地増幅回路を基本にFETの直流等価回路と交流等価回路を示す.ソース接地回路のバイアス回路について考え,バイアスを含めたソース接地型回路の利得や入出力インピーダンスなど増幅特性を求める.
宿題:ソース接地幅回路の増幅特性

14.FET
 実際の回路設計で必要となる最大定格の意味を理解し,バイアス回路を含めたソース接地増幅回路の設計手順を考えて,実際の素子を仮定した回路設計の演習を行う.
 FETのスイッチング素子としての使用方法について解説する.またFETを用いた増幅回路でソース接地型以外のドレイン接地型,ゲート接地型の増幅回路を示す.
宿題:第14講までの授業のまとめ

15.理解度の確認
 授業内容全般にわたり,特にトランジスタやFETを用いた増幅回路の設計について,理解度確認を行う.

16.補習
 第15講で理解度が十分でない部分について補習を行ない,理解度の向上を確認する. 
授業の詳細8 【テキスト】
『アナログ電子回路の基礎』,藤井信生(昭晃堂)ISBN4-7856-1212-6


【参考書】
電子・光学生には、3年次『アナログ回路』で使用予定の,以下の教科書を奨める.
『新インターユニバーシティー「電子回路」』,岩田 聡(オーム社出版)ISBN978-4-274-20633-7

入門書としては、
『なっとくする電子回路』,藤井 信生著(講談社)ISBN4-06-154504-3
があるが、専門技術者が勉強する教科書としては不十分である。勉強のきっかけとして読みやすい.

実際に電子回路を使う必要に迫られたときは
『わかる電子回路部品完全図鑑』、トランジスタ技術編集部(CQ出版社)ISBN4-7898-3422-0
回路部品について写真を多く用いてわかりやすく解説しており、奨める.

 
授業の詳細9 【成績評価】

ほぼすべての授業に出席し,宿題をすべて提出し,かつ授業ノートをしっかり整理していることを前提とし,2回の理解度確認で評価する

評価の目安は下記のとおりとし,授業で詳細を説明する.

AA 完全にすべてを理解し、ほぼすべて正解を導くことができた場合
A 総合してほぼすべてを理解し,75%程度正解を導くことができた場合
B 電子回路に必要な事項を理解し,50%程度正解を導くことができた場合

2回の理解度確認で上記Bのレベルに到達しない場合は補習を行って再度、理解度を確認する
第6講,第15講に加えて第16講の合計3回の理解度確認を総合的に評価して

B 電子回路に必要な事項を理解し,50%程度正解を導くことができた場合
C 電子回路に必要な最低限の事項を習得した場合

 
授業の詳細10 【履修上の注意】

A4サイズで綴じられた専用ノート(ルーズリーフやレポート用紙は不可、1年次の電気回路基礎のノートを延長して使用してもよい)を作成する.
宿題や課題のプリントは返却後,必ずノートに貼付する.

【備考】

連絡先:A棟402号室

【履修前の受講が望ましい科目】

「電気回路基礎」の理解が十分に達成されているものとして授業を進める.

 


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