科目名 |
機械システム工学基礎実験 |
担当教員 |
両角 仁夫,島 和生,佐藤 健夫 |
対象学年 |
2年 |
クラス |
学部:専門001 |
講義室 |
MECH |
開講学期 |
2学期 |
曜日・時限 |
月4,月5 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
【授業の到達目標及びテーマ】
知能機械システム工学に関する3つの分野(材料・振動系、熱・流体系およびメカトロ系)に関して基礎的な実験を行い、この分野における基礎知識を得るとともに、問題の把握、データの取り方と解析方法、レポートのまとめ方など、実験の手法に関する基礎を学ぶ。 各分野のテーマおよび目標は以下のとおりである。
(1)材料・振動系(担当:島 和生) 梁の変形や振動特性(特に共振の危険性)の体感は、構造物や機械の安全な設計にとって重要となる。ここでは、実験、理論、シミュレーション(CAE)結果の総合評価を通して、片持ち梁の変位やひずみの特徴や、共振現象とその回避法についての理解を深める。また、実在する物理現象は、座学で学習した基礎理論では説明できない程に複雑なことがほとんどであり、シミュレーションが欠かせない。ここではバネ振り子を例にとり、シミュレーションと実際の現象とを対比することで、実在する複雑な現象を解明するための基礎を身につける。
(2)熱・流体系(担当:両角 仁夫) 熱・流体について講義で習う内容を自ら実験して、理論を体感してゆき、考え方を身につける。熱・流体はエネルギの基本であり、電気入力、空気の流れ、水の流れ、粘度、圧力、動力、熱伝達、熱機関、冷凍サイクルの基本的な概念を実験により体感する。この技術は熱機関、空気機械、水力機械などに展開され、製品開発の基礎となるものであり、開発、設計手順の理解へのアプローチをおこなう。
(3)メカトロニクス系(担当:佐藤 健夫) 知能機械システムでは、機械力学、計測(センサ技術)、制御(プログラミング)の知識・技術が必要不可欠なものとなってくる。この実験では、課題に取り組むことにより、計測・制御技術の初歩と、それらの総合的な結びつきを学ぶ。 |
授業の詳細2 |
【到達目標】
1.各分野における基本的現象を自分の目で見て理解する。 2.現象を計測する基本的計器類の取り扱いに慣れる。 3.データの取り方、解析方法を習得する。 4.実験に関してその報告書をまとめ、正しく記述する方法を習得する。
【各分野の到達目標】 (1)材料・振動系 1.実験やレポート作成時において、自分の担当以外の共同実験者の情報もきちんと把握できていること。 2.レポートの書式が正しいこと。 3.実験・解析・シミュレーションを総合した結果の整理ができていること。 4.すでに学習している座学(関連する科目)の更なる理解が進んでいること。 5.専門の文献や自分なりの考えを基にした、しっかりとした考察がなされていること。
(2)熱・流体系 1.測定装置の使用法、原理を習得する。 2.測定の原理、理論及び解析計算を理解する。 3.テーマを理解し、実験して、レポートが作成できる。 4.レポートは実験データと理論の比較考察ができていること。 5.専門の文献や自分なりの考えを元にしたしっかりとした考察がなされていること。 6.レポートは誰が見ても内容が理解でき、それを元に他の人が追加の再現実験できること。
(3)メカトロニクス系: 1.センサの読み取り方法、モータの制御方法など、ロボットプログラミングの基礎を理解する。 2.ソフトウェアの設計手法を理解し、C言語による制御ソフトウェアの設計ができるようになる。 3.I/Oを制御するための基礎事項を理解する。 |
授業の詳細3 |
【授業の概要】
本講義を受講する学生は3グループに分かれ、大きな3つの分野(材料・振動系、熱・流体系およびメカトロ系)に関して各テーマ5回の実験を行い、その報告書を提出する。ただし、グループの実験では、さらに3?5の小グループに分かれて実験を行う。 また、今後専門科目として学ぶ各科目が、実地の現象とどのように関係するかを学習する。
(1)材料・振動系 @実験に関係する力学基礎の復習と模擬的な実験を含む全体説明を受ける。 A1自由度のばねならびに振り子の振動実験 B2つ以上の振動が相互に作用を及ぼし合って複雑な振動を起こす連成振動の基礎実験 C片持ち梁の曲げ実験と断面形状による固有振動数の違いの計算 D先端に集中質量を持つ片持ち梁の共振実験と共振を避けるための工夫に関する考察を行う。 各テーマ(下記の3テーマ)終了後、1週間以内にレポートを提出し、添削後に返却された場合には、再考後再提出を行い、受理されるようにする。
(2)熱・流体系 熱・流体の実験内容の解説を行い、各班に分かれて、テキストにしたがって以下のテーマの実験を行う。 @風洞による圧力実験 A粘度の測定 B熱伝導実験 Cスターリングクーラの設計開発実験 最終日にグループでの口頭試問を行い、実験の理解を深める。 出席と提出したレポートにより採点を行う。レポートは実験後1週間以内に提出し、そのレポートを添削して、返却することにより、レポートの書き方を学習する。
(3)メカトロニクス系 初回に課題について教員から説明を行い、2〜3名のチームに分かれて、テキストにしたがって、以下のテーマの実験を行う。 @ロボットプログラミング AI/O制御基礎実験 すべての実験に出席し、課題に取り組み、レポートを作成し提出することが単位付与の要件である。レポート提出前に口頭試問を受けることが必要である。 |
授業の詳細4 |
【授業計画】
(1)材料・振動系
1.実験内容の全体説明 第1回目は、材料・振動系での実験者全員に対して、この系で行う全ての実験に関係する力学の基礎を復習すると共に、模擬的な実験を実際に行い、留意すべき点を理解し、全体の流れをつかむ。このとき、実験手引書が渡されるので、実験前の予習が可能になる。
2.ばねならびに振り子の振動実験 機械や構造物においては、各所で振動の発生が多々見られる。振動現象には単純なものから複雑なものまであるが、それらの解明のための基本は、1自由度の振動である。ここでは、ばねならびに振り子の振動について考える。一方、現実には2つ以上の振動が相互に作用を及ぼし合って複雑な振動を起こす現象が多い。このような連成振動の最も初歩的な例題を取り上げ、厳密解と実験との比較検討、ならびCAEでのシミュレーションを通じて、連成振動の基礎を理解する。
3.片持ち梁の変形の実験 曲げモーメントによって生ずる応力である曲げ応力は、梁の強度設計において主要なものである。ここでは、梁の断面形状に依存し、曲げ応力の値を支配する量である断面二次モーメントや断面係数の意味を、実験、理論、CAEでのシミュレーションを通して理解すると共に、断面形状による固有振動数の違いについても検討する。 |
授業の詳細5 |
4.強制振動(共振)の実験 機械のように運動部分があると、部品の不釣合いなどによる周期的な力が作用して、共振現象を起こし、有害な結果が生じることがあるので、その設計にあたっては十分な検討が必要である。ここでは、このような共振現象の理解や、それを避けるための工夫について、先端に集中質量を持つ片持ち梁での振動実験、理論、CAEでのシミュレーションを通じ、学習する。
5.結果整理と返却レポートの再考ならびに追実験 最終テーマのレポートについては、最も完成度の高いものが要求される。このために、結果整理、文献調査、該当テーマの座学担当教員への質問等、自分なりの深い考察を行うための準備時間としてこの時間を設けてある。ただし、レポートの完成度が低くて返却された者については、再提出のための再考の時間として利用しても構わない。また、都合により実験ができなかった者のための追実験用の時間として割り当てることもある。
履修上の注意: 実験には関数電卓と方眼紙(A4)を持参すること。また、他班のデータを写す必要があるので、記録用のメディア(CD−R、フラッシュメモリ等)を持参すること。必ず、実験・理論・シミュレーションの総合的な比較検討を行うと共に、実験条件の異なる他班のデータとも比較して更なる総合的検討を行うこと。 |
授業の詳細6 |
(2)熱・流体系
6.簡易風洞を用いた圧力、流速の測定 簡易風洞を作作成し、風洞内を流れる空気の圧力および流速を測定し、圧力損失およびベルヌーイの法則を学ぶ。
7.円柱フィンを用いた伝熱実験。 異なる材質の水平円柱フィンの片端を加熱したときの温度分布を測定し、材質の違いにより熱の伝わり方が異なることを理解する。また、円柱フィン表面から周囲空気へ逃げた熱量を求め、フィンにより熱移動を向上させるための考察を行う。
8.粘度の測定 グリセリン水溶液が流出する時間を計測し、ハーゲンポアゼイユの式を用いて、液体の粘度を測定する。
9.スターリングクーラによる冷蔵庫の開発実験。 スターリングクーラー(SC)による冷却実験をおこない、外燃機関、冷却、フィン、熱伝導、熱伝達等について理解をする。発泡スチロール冷却箱の中に、SC冷却部、循環ファン、冷却フィン、被冷却物を設置し、被冷却物が冷える速度をできるだけ速くなるようにSC冷却部、ファン、箱構造、空気の流れを工夫する。
10.口頭試問。授業評価。
履修上の注意:実験には関数電卓又はPCを持参することが望ましい。 安全と健康に最優先して、実験し、危険行為はおこなわないこと。 |
授業の詳細7 |
(3)メカトロニクス系
11.実験内容全体の説明およびI/O制御回路基礎実験 ・実験回路・測定方法に関する説明 ・ブレッドボード回路を用いた測定実験
12.ロボットプログラミングに関する説明 ・ソフトウェアの設計方法に関する説明 ・実験内容の説明
13.段階的に課題に必要な関数を製作 ・タッチセンサ、光センサの読みとり値確認 ・タッチセンサ、光センサの利用 ・ソフトウェアによるモータの制御 ・ライントレースプログラムの製作
14.課題(※注)の完成
15.レポート作成と口頭試問
(※注) 課題は、以下の1)から5)を順次実行するようにロボットをプログラミングする。 1)所定のスタート位置(床に黒いビニールテープで指示)から走行を開始し、一辺60cmの正三角形を描き、スタートした位置に戻り停止する(停止時間は1秒)。 2)その位置から120°左に回転して壁に向かう。壁に当たったら180°の反転をして、ライントレースのコースに向かう。 3)ライントレースのコースに入ったら、すみやかにライントレースを行う。 4)バンパがコース上の障害物に当たったら、ただちにライントレースのコースを反転して、逆向きにライントレースを行う。 5)コース上の障害物に再び当たったら停止する。 |
授業の詳細8 |
【テキストまたは参考書】
実験手引書(後日、掲示板上にて詳細をアナウンスする) |
授業の詳細9 |
【成績評価】
全ての実験に遅刻することなく出席し、かつ全てのテーマについてのレポートを提出した者が単位を認められる。1回でも正当な理由のない遅刻や欠席をした場合、受理されないレポートがあった場合、単位は認められないので注意。各テーマ100点で集計してその平均を成績とする。その評価は各人の実験時の熱意、取り組む姿勢、レポート・諮問の内容等に基づく。全ての実験を実施し、全てのレポートが受理された学生に対し、以下の基準で成績を評価する。
AA:レポートの書式が正しく、実験・解析・シミュレーションを総合した結果の整理と、専門の文献や自分なりの考えを基にしたしっかりとした考察がなされている、または応用問題が解けおり、レポート内容に進歩性がある。 A ;標準課題をこなし、レポートの書式が正しく、上記の総合的な結果の整理と考察がなされている B :標準課題をこなし、レポートの書式が正しく、結果の整理がなされている C :標準課題の8割をこなし、レポートの書式を満足している |
授業の詳細10 |
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