科目名 |
コンピュータ制御 |
担当教員 |
岡 宏一 |
対象学年 |
2年 |
クラス |
学部:専門001 |
講義室 |
A109 |
開講学期 |
2学期 |
曜日・時限 |
木4 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
「講義の目的」
前半の授業は,周波数応答について学ぶ.周波数応答とは、システムにいろいろな周波数の正弦波を入力として加えたときの定常状態における出力の応答であり、これを理解することによりシステムの特徴をよく表すことができる.また周波数応答を図式的に表現することによって,システムの安定性を考察するときに重要な概念である安定余裕を理解することが可能となり,これを用いて制御系の設計することができるようになる.これらのことを体系的に学ぶことによって制御工学の理解を深めることを目標とする.
後半の授業は,制御基礎およびコンピュータ制御で学んだ制御工学について,コンピュータ(Matlab)を用いてより理解することをめざす.まず,コンピュータで機械を制御するというシミュレーションを行うための,モデル化について学ぶ.次に,実際にコンピュータを用いて計算を行うことにより,理論とシミュレーションが一致することを学び,コンピュータを用いた制御系の設計を行う.これらのことにより制御工学のより深い理解を目指す. |
授業の詳細2 |
「講義の進め方」
前半では,まず周波数応答が伝達関数と密接な関係があることを示す.そして伝達関数から周波数特性を求められることを示した後,周波数特性を図式的に表現する方法であるボード線図とベクトル軌跡について学習する.その後,フィードバック制御系の安定性を周波数特性から求める方法として,ナイキストの安定判別法およびゲイン余裕,位相余裕について学習する.最後に安定余裕を考えた制御系の設計方法を学ぶ.
15回の授業を行い,前半は講義を行い,後半はワークステーション室でのコンピュータを使った実習を主に行う.前半の授業では各単元ごとに小テストなどを行い,前半終了時にテストを行う.後半では課題としてのレポートでの評価を行う.評価はこれらの小テスト,前半終了時のテスト,後半のレポートなどで総合的に評価を行う.
「達成目標」
1.周波数応答の概念を理解し,入力周波数によるゲインと位相を求めることができる. 2.周波数応答の図式的な表現法であるボード線図を描くことができる. 3.ボード線図に表されたグラフから伝達関数を求めることができる. 4.ナイキストの安定判別法により開ループベクトル軌跡から閉ループ系の安定判別ができる. 5.ゲイン余裕,位相余裕を理解し,それを用いて制御系を設計できる. 6.バネマス系のシステムを伝達関数を用いてモデル化でき,Matlab(Simulink) で表現できる. 7.ブロック線図を等価変換して,簡単化できる. 8.2自由度系などのバネマス系のシステムを状態空間法を用いてモデル化でき,Matlab(Simulink) で表現できる. 9.Matlab(Simulink) を用いて表現したモデルに関し,最適ゲインを求め,数値シミュレーションができる. |
授業の詳細3 |
「授業計画」
1.伝達関数と周波数応答 授業の進め方について話をした後,制御基礎の復習として,システムと伝達関数の関係を説明する.その後、周波数応答とはどのようなものかを説明する. 2.周波数応答とベクトル軌跡 伝達関数が与えられたときにゲインと位相を求めることが可能となることを学習し,ベクトル軌跡とはどのようなものかについて学ぶ.代表的な伝達関数がどのようなベクトル軌跡になるかを具体的に計算して求める. 3.ボード線図 ボード線図は制御系設計において広く利用されている非常に重要なものである.このボード線図がどのようなものであるかを代表的な伝達関数を例に取り求める.また折れ線近似と呼ばれる方法によって,フリーハンドでこのボード線図を描くことを学習する. 4.ボード線図の性質と利点 ボード線図におけるゲイン線図と位相線図について,最小位相系という観点から考察を行い,ボード線図の種々の性質について学習する.ボード線図の利点について解説し,その端的な例としてボード線図から伝達関数を求める方法について学ぶ. 5.フィードバック系の内部安定性 フィードバック系の内部安定性という概念を理解し,種々のシステムを例にとって,内部安定性を考えることがどのようなことに相当するかを説明する. 6.ナイキストの安定判別法 フィードバック系で,開ループの特性から閉ループの安定性を知ることができれば非常に便利である.そのような方法の一つしてナイキストの安定判別法という図式的な解法をあげることができる.ナイキストの安定判別法の実際の使い方について学習する. 7.ゲイン余裕,位相余裕 開ループの特性から閉ループの安定性を知る方法についてより定量的に示す方法がゲイン余裕・位相余裕である.その根拠を理解し,方法を習得し,どのような範囲のゲインであれば閉ループ系が安定であるのかを求める方法を学ぶ. 8.安定余裕を用いたときの制御系の設計 ゲイン余裕,位相余裕に基づいた制御系の設計方法を学ぶ. 9.1回から8回までのまとめ(習熟度確認) |
授業の詳細4 |
10.MatlabとSimulink バネマス系を例として,Matlab, Simulink を用いて,システムのモデル化とシミュレーションの演習を行う. 11.ブロック線図 ブロック線図のの変換の仕方を学び,入力に微分が入った場合の微分方程式のブロック線図がどのようになるかを解説し,シミュレーションを行う. 13.極と零点 伝達関数の極の位置による応答の変化を数値シミュレーションによって求め,極の位置と応答の対応を考察する. 14.状態空間モデルによるシミュレーション 状態空間モデルの作り方について学習し,バネマス系のシミュレーションをMatlab上で行う. 15.最適制御の解説 状態空間モデルを用いた最適制御によるフィードバックゲインの計算方法を学び,シミュレーションを行い,最適制御の考え方を理解する.
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授業の詳細5 |
「成績評価」 演習および宿題の提出が7割以上の学生に対し,習熟度確認での到達レベルおよびレポートについて以下の基準で成績を評価する. ◆AA:達成目標1?9を十分理解し,満たしている ◆A:達成目標1?5がだいたい理解できており,6?9ができる. ◆B:達成目標1?3が十分理解できており,4?9を満たしている. ◆C:達成目標1?3,および6,8を満たしている.
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ◇テキスト 『フィードバック制御入門 システム制御工学シリーズ3』杉江俊治,藤田政之 著,(コロナ社, 1999) ISBN 4-339-03303-0
◇参考書 『MATLAB/Simulinkによるわかりやすい制御工学』川田 昌克, 西岡 勝博, 井上 和夫 著,(森北出版, 2001)ISBN 462791721X 『MATLABによる制御理論の基礎』野波 健蔵, 西村 秀和 共著,(東京電機大学出版,1998)ISBN 9784501319304
◇事前の履修が望ましい科目:「運動と振動」 |
授業の詳細6 |
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授業の詳細7 |
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授業の詳細8 |
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授業の詳細9 |
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授業の詳細10 |
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