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タイトル「2012年度シラバス」、フォルダ「2012年度シラバス?システム工学群専門科目
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 計測基礎 
担当教員 山本 真行 
対象学年 2年  クラス 学部:専門001 
講義室 C102  開講学期 1学期 
曜日・時限 月4,木4  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 講義の目的
  
システム工学の中で,物理量の計測は基本である.例えばロボットに動作をさせる場合にも,外界や自身の状態を計測できない限りは次の行動を決定し制御するための情報は一切得られない.計測には物理量に応じて様々な手法があり,多くの計測は専用のセンサが開発されている.それら手法を学ぶと同時に計測値の扱い方を理解する.電子・光系の志望者は必須であり,機械系,建築系においても,種々の計測手法を理解することは大きな糧になるであろう.身近な話題に触れつつ学習し,この講義が終わる頃に「計測とは何か?」あなた自身の頭で考え物理的・数学的に自分自身の言葉で説明できるようになることを本講義の目的とする.
 
授業の詳細2 講義の進め方
  
家電製品が自動で動くのは当たり前,何でもピピッとコンピュータ任せで測定,という時代であるからこそ,その本質を見抜けなければ将来の現場で通用する人材とはならない.本講義では,物理量を計測し,より正しい量を導き出すプロセスに必要不可欠な基礎知識をじっくり身につけることを基本としたい.そのためにまず長さ,質量,時間,電流など様々な基本物理量と単位の関係,身近な物理量である距離,角度,温度,音,光,電圧,電流,磁界などの計測手法を学ぶ.計測の基礎知識がどのような場面でどのように使われているか,これまでのカリキュラムで学んだ事柄を総出動させ,知識をリンクさせるプロセスを経て,あなた自身の中で目的意識をつけるところからはじめたい.
計測した物理量の本質すなわち真の値と計測値の関係を理解するには数学という言語にも親しまねばならない.従って,本講義では理解のために必要な数学についてもこれまでの学習内容を復習する.次に,計測値の本質である統計についての数学表現と概念の理解,更にその解析法について順を追って学んでいく.これらのプロセスでは実際に手を動かして身に付けることが重要であるので,講義時間の多くを演習時間として活用する.後半では高度なセンシング技術の紹介や,データ解析の応用にも視点を移し,計測値の取り扱いの主流になりつつあるコンピュータを通した解析を踏まえ,その入出力についての知識にも触れておきたい.さらに今後の専門領域の取得において不可欠な事柄についても概説しておきたい.大学ではカリキュラムに沿って漫然と学ぶだけでなく,それぞれの学習内容を有効活用するために,得られた知識を整理し知識間のリンクを自身の頭の中で如何に多く作れるかが重要である.その観点から,最後に今後の勉学・研究活動の指針について各自の中での方向性を見出す機会を作る.
 
授業の詳細3 達成目標
  
1:物理量の定義と測定の本質を自ら考えて説明できるようになることを目標とする.これは,(1)単位を正確に表現できること,(2)計測値の最適な近似を実践できること,(3)計測値の統計処理を実践し誤差と有効数字を議論できること,(4)様々な物理量の計測手法の概念が物理的・数学的に理解できること,(5)誤差の要因を理解し計測値の吟味と高精度化の提案を議論できること,を達成することと等価である.さらに、2:本講義で得た知識をシステム工学群における今後の研究活動に,さらに技術者として社会に出たときに活用できる状態になること,を目標とする.
 
授業の詳細4 講義計画
  
1 ガイダンス,カリキュラムを俯瞰する,計測とは?,本科目の意義
2 物理量の定義と単位,オーダー,有効数字,三角関数とその実践,測量レポート
3 数式と図示,計測値と統計,標準偏差,誤差の要因と推定,理論と実験結果
4 近似,移動平均,最小二乗法,スプライン,これまでのまとめ
5 習熟度確認1(25点),<Topic1:ブレインストーミング>
6 機械的計測,マイクロメータ
7 距離・回転角・速度の計測と自律制御,サーボモータ
8 電気的計測,マルチメータ,ブリッジ
9 音・光・磁界の計測,電磁波とリモートセンシング,これまでのまとめ
10 習熟度確認2(25点),<Topic2:学生時代に何をなすべきか?>
11 信号の計測,アナログとデジタル
12 波と周波数,フィルタ,フーリエ解析とは?
13 測定値とノイズ,ダイナミックレンジ,dBとは?,これまでのまとめ
14 習熟度確認3(20点),<Topic3:勉学・研究意識の再構成>
15 議論:独力で結論を導くには,専門科目への橋渡し,最終レポート
 
授業の詳細5 テキスト:
『計測システム工学の基礎 第2版』 西原主計/山藤和男 共著(森北出版,ISBN4-627-66442-7,2,400円)

参考書:
『新・電気システム工学 電気電子計測』 廣瀬 明 著(数理工学社,ISBN4-901683-09-8,2,300円)
『測定論ノート』 大澤 敏彦 著(裳華房,ISBN4-7853-2073-7,2,600円)
『新版 電気・電子計測』 新妻 弘明,中鉢 憲賢 著(朝倉書店,ISBN4-254-22736-1,3,000円)
『入門物理学実験-体でつかむ物作りの基礎-』 伊藤 敏,村守 清,磯貝 正弘,坂口 鋼一,伊藤 豊明 著(コロナ社,ISBN4-339-06603-6,2,200円)
『図解メカトロニクス入門シリーズ 信号処理入門』 雨宮好文 監修,佐藤幸男 著(オーム社,ISBN4-274-08674-7,2,800円)
『基礎数学ワークブック番外編1 フーリエ級数』 井上 昌昭 著
 
授業の詳細6 成績評価:
習熟度確認各25点×2回+20点×1回,レポート課題10点×3回とし,計60点以上であれば合格とする.講義中の演習問題の板書解答・説明,有意義な質問などを行なった学生に対しては追加点を与える.出席点は加味しない.数学的内容を徐々に取り扱う本講義では1回の欠席が単位取得を困難にすることは十分承知されたい.再試験は実施しない.本科目の成績は,90点以上を(AA),80点以上を(A),70点以上を(B),60点以上を(C)とする.但し最終段階の点数の合計が(F)評価となる場合にも,通常の講義内での頑張りと目的達成への応分の努力が認められる学生に関しては(C)評価を与えるための相応の措置を課した上で(C)とする.

履修上の注意:
【重要】本年度の講義開講日程は,担当教員の出張日程が予定されるため厳しいことが予想される.日程の不足を補うため,水曜日の同時間帯を講義日として振り替えることがあることを了承の上,受講されたい.その場合,時間割重複等への配慮は実施する.


備 考:
3年次に「信号解析」を履修予定の学生は,本講義を履修しておくことを強く希望する.数学的内容が多いため,履修学生の不断の努力が不可欠である.本科目の内容は,電子・光系の学生だけでなく,機械系ならびに建築系の学生にとってもカリキュラムのいずれかの段階で身に着けておくことが必要な知識である.他学群・学部からの履修もこれを歓迎するが,基礎科目とは言え軽い気持ちでの履修では単位取得できないかもしれない.

履修前の受講が望ましい科目:数学,力学,システム工学実験,電気回路基礎,の全科目.
 
授業の詳細7 本科目の単位取得は,第二級海上特殊無線技士,ならびに第一級陸上特殊無線技士の資格取得に必要である. 
授業の詳細8  
授業の詳細9  
授業の詳細10  


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