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タイトル「2012年度シラバス」、フォルダ「2012年度シラバス?環境理工学群専門科目
シラバスの詳細は以下となります。
科目名 水圏環境工学 
担当教員 村上 雅博 
対象学年 3年  クラス 学部:専門001 
講義室 B107  開講学期 2学期 
曜日・時限 月2,木2  単位区分 選択 
授業形態 一般講義  単位数
準備事項  
備考  
授業の詳細1 授業の目的
21世紀は、水、生命、環境の世紀になるであろうと予見されていた。水なしに人や生物は地球上で生きることができないに止まらず、水は“地球環境”の“かなめ“でもあるからである。 水の惑星地球の豊かな自然と生態系を守り、自然と調和した豊かな社会を築くためには、我々の地球と地域の水の状況および問題点と課題について知り、そして持続的開発のコンセプトに沿った具体的な対応策について考察するプロセスは欠かせない。本講義は水の惑星を支えている水循環システムに焦点をあて、基本的なコンセプト”Think globally and act locally”にもとづいて、我々の地球および地域社会の水循環と環境システムの保全・再生および自然災害の対策のプロセスに関わる基礎的な知識と理解力および問題解決のための応用能力を身につけることを目的としている。
 
授業の詳細2 授業の進め方
人間や生物の生命を支えるのみならず我々の生活に不可欠で極めて身近なテーマである「水」について、地球規模の降雨-流出-蒸発の過程にかかわる一連の「水循環システム」の仕組みと、工学的な応用技術の視点から 「水文学」、「水理学」、「河川工学:多自然型技術」、「応用水界生態系管理工学:自然再生技術」、「水資源工学:ダムと地下水」、「都市河川:雨水の貯留浸透技術」、「水環境工学:上下水道・廃棄物処理」に関する計画論に具体のプロジェクトの事例を含めて解説し、水文学、水資源工学、水環境工学等に関する教材(英文、統計資料、インターネット検索情報を含む)およびモデルプロジェクトのビデオ(英語と日本語)を用いた講義・演習を行う
河川・地下水・雨水にかかわる講義では、天候の条件にもよるが、大学構内および物部川を対象に現地調査の基礎(自身の足と目で現場を確かめる)を学ぶ。ただし、個々人が学外での安全には十分に注意を払う自覚が必要。学外から複数のエキスパートを特別講義の講師として招き、社会との接点を知る機会を組み入れる。
授業の各回のテーマごとに主にインターネット(Web, http::/)に掲載されている水圏環境工学に関する情報から選んだ資料を配布するのでテキストの一環として参考にする。各位は毎回配布されるテキスト資料を順次ファイリングするためにA4版(2穴)ファイルを事前に準備すること。当日の講義内容にかかわるキーワードを5ケ書き出し、Webテキストから選んだ穴埋め形式の知識演習問題に応用編としての水文・水理計算演習を適宜に組み入れて各講義の最後に課題演習を実施する。穴埋め形式の演習問題の答え合わせは、各位が次回の講義までに設問用紙に記載されている(Web, http::/)のアドレスにアクセスして復習をしておくこと。
講義は大きく3ブロックに分かれ、各ブロックの最後にビデオ課題演習・小テスト(1),(2),(3)が設定されている。小テストの設問(計算問題を一部に含む)は各回の後半に配布された課題演習シートの内容を対象として選ばれる。講義の最後に最終(論文)テストを実施する。

 
授業の詳細3 達成目標
●水圏環境工学の基本的な用語と内容を理解し説明できる。
●我々の社会生活に直接に係わる水圏環境工学の問題の所在を見出して課題を整理し、解決の方法を含めて説明できる。
●自身で水循環と環境システムの問題点の所在と課題について考察し、水資源や渇水・洪水災害および水環境の保全や再生の問題について解決策(課題)をエンジニアの視点から考察し、具体的な適応・対応策と戦略を提示することができる。
 
授業の詳細4 授業計画

(12/03)
1. 水圏環境工学序論
講義の目的、達成目標、授業の進め方、成績評価、参考テキストについて概説し、「生命・水・環境」の現世紀における地球規模課題の水問題について学ぶ。
(12/06)
2. 水循環(1)::水循環システムと水資源
地球の降雨、流出、蒸発のサイクルを支える水循環システムについて解説し、水収支と水資源(利水・治水・環境)の問題と課題について学ぶ。<関数電卓を持参のこと>
(12/10)
3.水循環(2): 河川
日本の河川を利用して治める河川技術について解説し河川や開水路の水の流れの状態を解析する水理学の基礎(流速・流量、ベルヌーイの定理、マニング式)を学ぶ。<関数電卓を持参のこと>
(12/12)
4. 水循環(3):地下水
水文地質学の基礎(地下水盆の構造、地下水の涵養・流動機構、水理解析法:有効空隙率、ダルシーの法則)について解説し、地下水資源の開発・管理の事例プロジェクトを通じて公害・環境問題(地盤沈下・海水侵入および地下水複合汚染)の問題解決法や大震災危機管理対策に有効な井戸と分散型給水システムについて学ぶ。あわせて大学キャンパス内の地下水湧水を観察する。<関数電卓を持参のこと>
(12/17)
5. ビデオ演習・小テスト(1)
演習ビデオ(1):各授業(前半の1〜4回)のテーマごとに配布した主にインターネット(Web, http::/)に掲載されている情報や資料(サブ・テキスト)から選んだ穴埋め形式の知識問題および水文・水理計算演習が一部に含まれる。<関数電卓を持参のこと>
 
授業の詳細5 (12/20)
6. 水圏環境科学(1) [バイオマニピュレーション]: 
 「生命・水・環境」の世紀において、生態学と河川工学の接点となる境界領域のフロンティアを開拓しつつある応用水界生態系管理工学の基礎と応用技術(バイオマニピュレーション)について解説し、欧州(オランダ)と日本における具体的な湖沼の水質環境改善プロジェクトを例に学ぶ。 <関数電卓を持参>
(01/07)
7. 水圏環境科学 (2) [ミチゲーション]: [特別講義(1):山下慎吾]
 生態学と河川工学の接点となる応用生態工学の視点から、米(フロリダ)と日本における具体的な湿地帯の自然再生プロジェクトを例に、流域の生態環境保全や自然再生の技術(ミチゲーション)について学ぶ。
(01/10)
8. 水圏環境科学(3)[ 近自然・自然再生]: [特別講義(2): 福永泰久]
 河川の自然再生プロジェクトが新しい公共事業として市民と社会に受け入れられていった日本と欧米における経緯について解説し、高知県から発信していった伝統的河川工法技術を再評価した日本の近(多)自然型河川技術についての実例を含め、新しい河川工学の一端をヒントに環境学のフィロソフィーを学ぶ。<関数電卓を持参>
(01/15)
9. ビデオ演習・小テスト(2)
演習ビデオ(2):“水の世紀”と各授業(6〜8回)のテーマごとに配布した主にインターネット(Web, http::/)に掲載されている情報や資料(サブ・テキスト)から選んだ穴埋め形式の知識問題および水文・水理計算演習が一部に含まれるので関数電卓を持参のこと。
(01/17)
 
授業の詳細6 (01/17)
10. 水圏環境工学(1):上水道
 人間の生活および都市のインフラストラクチャーを支える水道システムについて解説し、水源、導水、浄水、配水のプロセスにそった水道計画に必要な管路の水理学の基礎について学ぶ。<関数電卓を持参のこと>
(01/21)
11. 水圏環境工学(2):下水道
下水道計画と排水処理システムおよび循環再生水利用システムに関する具体のプロジェクト、世界で最先端の都市流域水資源管理を実践しているシンガポール環境・水資源省(PUB)の事例を含めて解説し、総合的な都市流域の水環境管理の応用技術について学ぶ。<関数電卓を持参のこと>
(01/24)
12. 水圏環境工学(3):エコロジカル・サニテーションと自然循環(四万十)方式水処理技術
物資循環型のエコロジカル・サニテーションの原理と水を使用しないバイオトイレの応用技術および高知工科大学の環境インフラの心臓部に当たる自然循環型の高度下処理(四万十)方式を組み入れた開放系循環再利用システムについて学ぶ。<関数電卓を持参のこと>
(01/28)
13. ビデオ演習・小テスト(3)
演習ビデオ(3):各授業(6〜8回)のテーマごとに配布した主にインターネット(Web, http::/)に掲載されている情報や資料(サブ・テキスト)から選んだ穴埋め形式の知識問題および水文・水理計算演習が一部に含まれるので関数電卓を持参のこと。
 
授業の詳細7 (01/31)
14.ウォーターエコロジー: 都市環境と水
 都市水文学の基礎と応用について述べ、都市化に伴う土地利用の急激な変化に伴う雨水の流出機構の変化について学び、流域の水循環システムを総合的に保全・再生するためのキーテクノロジーである雨水貯留・浸透技術に代表される都市雨水の流出制御と地下水涵養システムについて具体的なプロジェクトを事例に、相反する環境問題と災害問題を同時に解決する可能性の有るエコ・テクノロジーを学ぶ。高知工科大学の雨水流出抑制制御施設(サッカー場)の現場を見学し、流出解析の基礎を学ぶ。<関数電卓を持参のこと>
(02/04)
15. ビデオ演習と最終試験
講義1〜14回のまとめ(ラップアップ)を行う。そのなかから小論文1問と課題演習型の水文・水理計算問題10問を出題するが、小論文は設問における問題の所在を見出した上で、問題の解決のための対策や方法(課題)にもチャレンジして自身の発想から具体的な提案を示した上で戦略を提示できることが評価につながる。
(02/07)
16. 補講:フリーディスカッション
 
授業の詳細8 5 テキスト:
村上雅博、“水の世紀”、日経評論社、2003年

参考書:
1) 高橋裕、「新版・河川工学」、東京大学出版会、2008年
2) Masahiro Murakami、国連大学出版局、「Managing Water for Peace in the Middle East, Alternative Strategies」,1995年 <Webサイト検索(Google)で、Murakami, UNU, Managing Water for Peaceと入力するとテキストの全文(309頁)のダウンロードが可能:http://www.unu.edu/unupress/unupbooks/80858e/80858E00.htm >
3) 福嶌義宏監修・村上雅博総編集、「地球水環境と国際紛争の光と影」、信山社、1995年
4) 地球環境データブック 2004-05、国際河川と紛争(pp.214-221)、ワールドウォチ ジャパン、2004年
5) 国澤正和、他、「絵とき 水理学」、オーム社、1998年
6) 管和利、他、「水理学演習ノート」、日本理工出版会

成績評価:
出席・課題演習(15%)、小テスト(45%)、最終試験(40%)を総合(100%)して評価する. 

各講義ごとの出欠カード記録(入口)と課題演習シート(出口)との2つが揃っている場合にのみ講義出席点として成績評価の一部に含まれる。

AA水圏環境工学ついての基本的な知識レベルでの理解ができ,問題の所在を見出した上で、具体的な問題の解決(課題)にもチャレンジして自身の発想から提案を示し、対応策と戦略を提示できるポテンシャルがある.
A 水圏環境工学ついての基本的な知識レベルでの理解ができ,問題の所在を見出した上で解決の方向性(課題)を示すことが出来るポテンシャルがある.
B 水循環システムついての基本的な知識レベルでの理解ができている上で,問題の所在を見出すポテンシャルがある.
C 水圏環境工学ついての基本的な知識レベルでの理解ができている.

 
授業の詳細9 (010212)
水圏環境工学 (2012)  [Web Text : URL-List]

注):以下のURLは講義に関係する資料(Text)ですから、Web アドレス(http://)にアクセスして予習と復習と試験対策を進めておいて下さい。小論文テストの設問は以下のURLのなかから出ます。


●水循環・水文学・水資源

★地球の成り立ちと気候変動 (環境省)
http://tenbou.nies.go.jp/learning/note/theme1_3.html
★水循環(water cycle)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E5%BE%AA%E7%92%B0
★水文学とは(東京大学)
http://hydro.iis.u-tokyo.ac.jp/Mulabo/research/indexj.html
★流域
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%81%E5%9F%9F
★水文学(hydrology)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E6%96%87%E5%AD%A6
★水文 [Hydrology]
http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=1398

★平成23 年版「日本の水資源」本篇、概要版
http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/tochimizushigen_mizsei_tk2_000002.html
http://www.mlit.go.jp/common/000160790.pdf
第1章 水の循環と水資源の賦存状況
http://www.mlit.go.jp/common/000160792.pdf
★日本の水収支
http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/c_actual/actual01.html]
★水利用の歴史
http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/c_actual/actual02.html
★1 水使用の現況
http://www.mlit.go.jp/common/000160796.pdf
★水資源の開発
http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/c_actual/actual04.html
★水の利用状況
http://www.mlit.go.jp/tochimizushigen/mizsei/c_actual/actual03.html
 
授業の詳細10 ★★ 地球表層の水循環・水収支と世界の淡水資源の現状 および今世紀の展望 [PDF] 沖大幹 著 地学雑誌-2007
http://www.geog.or.jp/journal/back/pdf116-1/p031-042.pdf
www.geog.or.jp/journal/back/pdf116-1/p031-042
★★河川工学 [単行本] 高橋 裕 (著)
http://www.amazon.co.jp/%E6%B2%B3%E5%B7%9D%E5%B7%A5%E5%AD%A6-%E9%AB%98%E6%A9%8B-%E8%A3%95/dp/4130628178#reader_4130628178
★★河川工学(River Engineering)http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%B3%E5%B7%9D%E5%B7%A5%E5%AD%A6
河川およびその流域などについて研究する工学である。
★★流域圏
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%81%E5%9F%9F%E5%9C%8F
★地下水の保全と適正な利用
http://www.mlit.go.jp/common/000160800.pdf


●河川工学

★河川工学とは?
http://www.cive.gifu-u.ac.jp/lab/he2/
★洪水をなだめた人びと (宮村忠 監修)
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD29716/index.html
★河川法改訂の趣旨http://www.skr.mlit.go.jp/tokushima/river/yoriyoi/yoriyoikawa/kasenhou/kasenhou01.html
★「マニング式」って何だったっけ?
http://homepage2.nifty.com/bug_forest/manning.html


●水理学

★水理学
http://www.eco.zaq.jp/env_univ/bernoulli.html [ベルヌーイの定理(Bernoulli's theorem)]
http://www.eco.zaq.jp/env_univ/bernoulli_oyo.html [ベルヌーイの定理の応用]
http://www.eco.zaq.jp/env_univ/jouryu_syaryu.html [常流と射流](subcritical and supercritical flow)]
http://www.eco.zaq.jp/env_univ/souryuranryu.html [層流と乱流(laminar and turbulent flow)]
http://www.eco.zaq.jp/env_univ/kanronagare.html [管路の流れ]
 


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