科目名 |
高分子化学 |
担当教員 |
杉本 隆一,古沢 浩 |
対象学年 |
3年 |
クラス |
学部:専門001 |
講義室 |
B107 |
開講学期 |
2学期 |
曜日・時限 |
月1,木1 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
|
備考 |
|
授業の詳細1 |
講義の目的 材料分野の大きな柱の1つである高分子(材料)について,それらの合成と物性の基礎知識を身に付ける.また,応用編として高分子材料設計の妙に触れる.
講義の進め方 この講義では,講義計画の項に示す事項を中心とする. 堤直人・坂井亙著「基礎高分子科学」(教科書:下記)を用い,重要なキーワードを提示しつつ高分子の合成と物性の基礎を解説する.また,毎回の講義では小テストを課し,基礎的知識の深化を計る.
達成目標 1.重縮合,ラジカル重合,イオン重合,配位重合などについて理解し,説明ができるようになる. 2.高分子の官能基変換反応,架橋反応,分解反応などについて理解し,説明ができるようになる. 3.エンジニアリングプラスチック,スーパーエンジニアリングプラスチックの合成について理解し,耐熱性高分子材料,高強度・高弾性高分子材料,機能性高分子材料などの分子設計の基礎を身に付ける. 4.高分子の空間的広がりについて理解し,説明ができるようになる. 5.高分子溶液の熱力学的特長について理解し,説明ができるようになる. 6.力,電気,光に対する高分子材料の応答について理解し,説明ができるようになる.
|
授業の詳細2 |
講義計画 1. 高分子合成反応(1) 高分子合成の基本的様式を学んだ後,ポリアミド,ポリイミド,ポリエステルなどを例にとり重縮合の反応様式と特徴につい学習する.また,分子量と分子量分布の基礎概念を理解し,重縮合によって生成する重合物の分子量と分子量分布について考察する.
2. 高分子合成反応(2) ポリ(メタアクリル酸メチル),ポリスチレンなどを例にとり,ラジカル重合の反応様式と特徴につい学習する.また,ラジカル重合によって生成する重合物の分子量と分子量分布について考察する.
3. 高分子合成反応(3) 2種類のモノマーを用いたラジカル重合であるラジカル共重合について学び,反応性比の概念を考察する.また,反応開始種がカチオンあるいはアニオンであるイオン重合の反応様式と特徴につい学習する.
4. 高分子合成反応(4) ポリプロピレンなどを例にとり,配位重合の反応様式と特徴につい学習する.また,配位重合によって生成する重合物の分子量と分子量分布,立体規則性,リビング性について考察する.
5. 高分子反応(1) 高分子でも基本的には低分子有機化合物と同様な素反応が進行するが,高分子量であるがために特別な傾向や結果を示すことが多いことを学ぶ.高分子反応として,まず,バイオマスの有効利用,汎用高分子の機能化に関連する官能基変換反応と,ゴムに代表される架橋反応を取り上げる.
6. 高分子反応(2) 高分子反応として化学分解反応と光分解反応を取り上げ,高分子の劣化について学ぶ.また,最近脚光を浴びている生分解性高分子の分解反応について概観する.
7. 高分子反応(3) 高分子反応である架橋反応あるいは分解反応を利用する感光性樹脂について学ぶ.最後に,高分子反応を利用したケミカルリサイクルを含む高分子のリサイクルについて考える.
8. 高性能高分子材料(1) 高性能高分子材料を概観した後,耐熱性高分子材料の分子設計を垣間見る.
|
授業の詳細3 |
9. 高性能高分子材料(2) 次いで,高強度・高弾性率高分子材料の分子設計に触れる.
10. 高分子物性(1) 一本の高分子鎖の空間的広がりについて学ぶ.主眼は、鎖の広がり程度について、近距離相互作用のみ考慮した理想鎖の場合、および、遠距離相互作用(排除体積効果)を考慮した実在鎖の場合との違いを理解することにある.
11. 高分子物性(2) 高分子溶液の熱力学的特徴を、低分子溶液との比較により理解する.式の導出詳細には立ち入らない.主眼は、フローリー・ハギンズモデルの設定と得られる結論式の特質の学習にある.さらに当回では、高分子の分子量とその分布を評価する種々の測定法に関する知識も提供する.
12. 高分子物性(3) 高分子物質の熱的性質を特徴づける物理量、およびその測定法について学んだ後に、以下の3つの転移現象の熱的性質を理解する.すなわち、ガラス転移、結晶化、およびその逆の融解現象について、高分子系と低分子系との相違点を学習する.
13. 高分子物性(4) 力に対する高分子物質の応答の特徴について学ぶ.高分子の高い粘性の起源を分子論的に概観した上で、高分子物性の本質的特徴である「粘弾性」という概念について学ぶ.さらに、動的粘弾性(次回の学習内容)を理解するための準備として、線形応答理論の基礎を速習する.
14. 高分子物性(5) 力、電気、光に対する高分子物質の応答の特徴について、周波数スペクトルの立場から統一的に概観する.具体的には、力学的応答についてマックスウェルモデルとフォークトモデルを用いて学習する.さらに、同様のモデルに基づき、電気的・光学的応答の統合的理解を提供する誘電率スペクトルについて学ぶ.
15.1?15の講義内容についての理解度確認
|
授業の詳細4 |
成績評価 小テストおよび試験で目標の達成度を評価する AA:達成目標をほぼ完全に理解し,説明ができる. A:達成目標について十分理解し,説明ができる. B:達成目標をほぼ理解し,説明ができる. C:達成目標の理解はできている. F:Cに定める到達度に達していない場合.
◇教科書: 堤直人・坂井亙著「基礎高分子科学」サイエンス社
◇参考書: 高分子化学会編「高分子科学の基礎」東京化学同人 中浜精一他著「エッセンシャル高分子科学」講談社サイエンティフィック マクマリー著「有機化学(上),(中),(下)第7版」,伊東椒・児玉三明訳,東京化学同人
◇ 履修上の注意: 受講者は,「有機化学序論」「有機化学」の単位取得者あるいは同等の学力を有する者であることが望ましい.
|
授業の詳細5 |
|
授業の詳細6 |
|
授業の詳細7 |
|
授業の詳細8 |
|
授業の詳細9 |
|
授業の詳細10 |
|