科目名 |
固体物性 |
担当教員 |
百田 佐多生 |
対象学年 |
3年 |
クラス |
学部:専門001 |
講義室 |
B107 |
開講学期 |
2学期 |
曜日・時限 |
火3,金3 |
単位区分 |
選択 |
授業形態 |
一般講義 |
単位数 |
2 |
準備事項 |
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備考 |
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授業の詳細1 |
講義の目的 固体がもつ性質(物性)は,その種類によって様々な様相を示す.この物性の理解を深めて効果的に利用するためには,構成原子とその結合に基づく微視的な見方で固体を記述する必要がある.この講義では,出発点となる古典的な電子・原子論に量子力学と統計力学の手法(量子統計)を取り入れることで,固体の電気的性質と熱力学的性質を記述する手法を習得する.
講義の進め方 まず,電気的現象を古典電子論,熱力学現象を格子振動に基づいて表現する.これらを巨視的(目に見える大きさの)サイズの現象と関係づけるために,量子力学的な統計手法(量子統計)を導入し,その基礎となるフェルミ・ディラック統計とボーズ・アインシュタイン統計を説明する.この統計手法を用いて,固体の電気的・熱力学的性質を記述していく.必要に応じて,レポートや講義内に演習を実施する. |
授業の詳細2 |
達成目標 1.古典的電子・原子論を使って,固体の電気的・熱力学的現象を理解できる.. 2.単純なシステムに対して,状態密度を計算できる. 3.フォノンと電子が従う統計を道具として使える. 4.固体の熱力学的性質をフォノンに基づいて説明できる 5.自由電子のエネルギーが,固体中でバンド構造を持つことを定性的に説明できる. |
授業の詳細3 |
講義計画 1.導入・固体の性質 講義の目的・評価方法を説明する。 巨視的な物性は、微視的な構造・振る舞いによって決まる
2.気体分子運動論 多粒子系におけるエネルギーの分配現象を、気体分子運動論に基づいて理解する。気体分子の運動エネルギーの平均値と温度がボルツマン分布で関係付けられ、その分布がマクスウェル分布に従うことを学ぶ。
3.電気伝導:固体電子論 古典電子論に基づいて電気伝導現象を理解する。金属中での自由電子の運動方程式からオームの法則を導出する。
4.格子振動: 固体の振動を連続体モデルと格子モデルで定式化し、両者の違いについて議論する。波数と角速度の関係を示す分散関係を用いて、ブルリアン帯について議論する。
5.2成分材料の格子振動 2成分格子の振動現象を定式化し、光学モードと音響モードを導出する。量子化によって、格子振動を粒子(フォノン)として取り扱う。
6.固体の熱力学的性質 古典統計力学に基づいて、各格子点へのエネルギー分配について議論する。アインシュタインモデルとデバイモデルを使って、固体の比熱の温度依存性を導出する。
7.熱伝導と熱膨張 熱伝導をフォノンの輸送現象として理解する。格子間にはたらく力を非調和相互作用として熱膨張現象を理解する。
8.1.?7.の理解度の確認
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授業の詳細4 |
9.量子統計 固体を構成する原子・電子およびフォノンのエネルギー分配を量子力学的に取り扱うため、フェルミ分布とボーズ・アインシュタイン分布を導入する。
10.自由電子のフェルミ気体模型 金属中の自由電子をフェルミ分布に従う気体として取り扱い、フェルミエネルギーや状態数を定義する。
11.電子気体の比熱 フェルミ気体模型に基づいて、金属の比熱を取り扱う。フェルミ気体模型を利用すれば、古典電子論で発生した室温における金属の比熱に関する問題解決や、低温における比熱の定量的取り扱いが可能となる。
12.?13.エネルギーバンド 原子が規則性に配置された結晶材料では、電子がとりうるエネルギーに制限が生じ、バンド構造が出現する。結晶原子に起因する周期的ポテンシャル中での電子の波動的振る舞いとして、このバンド構造を理解する。
14.半導体 半導体の電気的性質をバンド構造に基づいて、半導体の電気的性質を理解する。
15.9.?14.の理解度の確認 |
授業の詳細5 |
成績評価 15回のうち10回以上を出席した学生に対し以下の基準で評価する. 理解度の確認(80%)とレポートや講義中の演習(20%)の合計点(100点満点)で AA:90点以上 A:80点以上 B:70点以上 C:60点以上 |
授業の詳細6 |
◇履修・習得が望ましい講義 材料の科学(2年次) 量子力学基礎(3年次)
◇テキスト 特に指定しない
◇参考書 『キッテル固体物理学入門 上』,C. Kittel著(丸善) 『物性科学入門』,近角聰信著(裳華房) 統計力学に関する参考書 『統計力学』,土井正男著(朝倉書店) 『熱力学−統計力学』,W. グライナー著(シュプリンガージャパン) |
授業の詳細7 |
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授業の詳細8 |
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授業の詳細9 |
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授業の詳細10 |
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